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インストール

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

インストールは、

  1. コンピュータにソフトウェア追加ついかし、使用しよう可能かのうにすること。本稿ほんこう詳述しょうじゅつする。
  2. OSのさだめられた手順てじゅん (インストーラ) でソフトウェアをシステムに追加ついかすることの俗称ぞくしょう[1][2]

コンピュータの分野ぶんやにおけるインストール (英語えいご: install) とは、コンピュータにソフトウェア追加ついかし、使用しよう可能かのうにすることをす。この意味いみでは、セットアップ (英語えいご: setup) ともばれる。

概要がいよう

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黎明れいめいのぞおおくのコンピュータは、おおきくけてハードウェア物理ぶつりてき部分ぶぶん)とソフトウェア(電子でんし情報じょうほう処理しょり手順てじゅん)の2つの要素ようそっている。ハードウェアはソフトウェアによって制御せいぎょされ、ソフトウェアはハードウェアがければ実行じっこうすることができない。ハードウェアをコンピュータとして機能きのうさせたり、また必要ひつよう機能きのうたせるためには、ハードウェアにソフトウェアを追加ついかし、必要ひつよう設定せっていおこない、動作どうさ可能かのう状態じょうたいにしなければならない。この一連いちれん作業さぎょうインストールという[3][4]

英語えいごのinstallは「設置せっちする」「ける」といった意味いみであるから、本来ほんらいはソフトウェアにかぎらず、物理ぶつりてき要素ようそであるコンピュータやディスプレイ設置せっちすること、周辺しゅうへん機器きき接続せつぞくすること、拡張かくちょうカードけることなど、ハードウェア全般ぜんぱんについてももちいるかたりである。だが、日本語にほんごではIBM用語ようごなどにられる程度ていどで、一般いっぱんてきにはソフトウェアを導入どうにゅうする意味いみもちいられる[3]

すなわちインストールとは、オペレーティングシステム (OS) やアプリケーションなどが格納かくのうされているCD-ROMなどの記憶きおく媒体ばいたい圧縮あっしゅくファイルなどからファイルを展開てんかいし、コンピュータでこれらを利用りよう可能かのうにし実行じっこうできる状態じょうたいにすることをす。

ただしmakeにおけるmake installは、たんパスとおった場所ばしょにコピーして利用りよう可能かのうにすることを慣習かんしゅうてき意味いみしており展開てんかい操作そうさふくまない。むしろ上記じょうき語義ごぎちかい。

インストールのうち、製品せいひんきゅうバージョンからしんバージョンに上書うわがきすることはアップグレードという場合ばあいおおい(ぎゃくきゅうバージョンに上書うわがきすることはダウングレードという)。対義語たいぎごアンインストール削除さくじょ)。

具体ぐたいてきなインストールの方法ほうほう以下いか手順てじゅんがあるが、OSの種類しゅるい提供ていきょうしゃ方針ほうしんにより方法ほうほうことなる。具体ぐたいてきには、

  • ソースコードをコンパイル、ビルド、メイクしてむ。
  • OSのファイル管理かんりシステムを使つかい、のマシンや媒体ばいたいからハードディスクドライブひとし直接ちょくせつコピーする方法ほうほう
  • インストーラばれるインストール専用せんようプログラム前述ぜんじゅつ方法ほうほうでコピーし実行じっこうする方法ほうほう
  • 「ストア」などのアプリケーションから選択せんたくする方法ほうほう
  • 目的もくてきのアプリケーションがはいったOSごとインストールする方法ほうほう

がある。

一般いっぱんてきにインストールはソフトウェアを利用りよう可能かのうにする手順てじゅんひとつであり、ファイルを展開てんかいし、実行じっこう可能かのう状態じょうたいにするところまでをすことがおおい。 ソフトウェアの規模きぼ性質せいしつから、インストール作業さぎょう一部いちぶの(あるいはすべての)設定せってい作業さぎょうともなうものもあり、またOSのインストールとデバイスドライバのインストールのように連続れんぞくした作業さぎょうようする場合ばあいもある。

専門せんもん用語ようご

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サイレントインストール
プロセスちゅうにメッセージやウィンドウを表示ひょうじしないインストール。「サイレントインストール」は「無人むじんインストール」とは別物べつものだが、しばしば誤用ごようされる。

無人むじんインストール (Unattended install)
インストールの過程かていでユーザ入力にゅうりょく必要ひつようとしないインストール。このため、自動じどうインストールともばれる[5]厳密げんみつには、インストール開始かいし操作そうさ以外いがいにまったくユーザの関与かんよ必要ひつようとしないものをいう。インストールには、ソフトウェア利用りよう許諾きょだく契約けいやくへの「同意どうい」を選択せんたくする操作そうさや、各種かくしゅオプションの指定していパスワード入力にゅうりょくなどを必要ひつようとすることがよくある。GUI環境かんきょうでは、ウィザード形式けいしきでこれらの手順てじゅんしめすインストーラが一般いっぱんてきである。しかし、そのようなインストーラでも一部いちぶのものはコマンドラインスイッチで無人むじんインストールが指定してい可能かのうである。

アンサーファイル
インストールちゅう入力にゅうりょく選択せんたくすべき項目こうもくアンサーファイルばれるファイルにあらかじめ記述きじゅつしておき、それにもとづいて無人むじんインストールを実行じっこうするというインストーラが存在そんざいする。大量たいりょうのコンピュータにWindowsをインストールするなどといった場面ばめん活用かつようされる。同等どうとう機能きのうOS/2ではレスポンスファイルとして実装じっそうされ、またRed Hat Enterprise Linuxではキックスタートという機能きのう同様どうよう自動じどう作業さぎょうおこなわれる。

セルフインストール
利用りようしゃによるインストール開始かいし操作そうさ必要ひつようとせずに無人むじんインストールが開始かいしされるもの(たとえばD02HWモバイルパートナーのソフトはUSB端子たんしからのセルフインストールであった)。

ヘッドレスインストール
対象たいしょうのコンピュータ(とく映像えいぞう出力しゅつりょくのないコンピュータ)に接続せつぞくされたモニタを使用しようせずに機能きのうするインストール。これはLocal Area Network経由けいゆで、あるいはシリアルケーブル経由けいゆ接続せつぞくされたべつのマシンで実行じっこうされるインストールであることがある。
アンアテンデドおよびヘッドレスインストールはシステムアドミニストレータ一般いっぱんてき業務ぎょうむである。

クリーンインストール
典型てんけいてき設備せつび複雑ふくざつさをあたえられたとき、成功せいこうした終了しゅうりょうさまたげるかもしれないおおくのファクターがある。おなじプログラムのふるいインストールからのこものである特定とくていのファイルや、OSの複雑ふくざつ状況じょうきょうが、あたえられたプログラムがまさしくインストールし、動作どうささせることを防止ぼうしするために作動さどうするかもしれない。そのような妨害ぼうがい因子いんし(プログラムによってわるもしれない)がいない状況じょうきょう実行じっこうされたインストールはクリーンインストールとばれる。とくに、OSのクリーンインストールは、実際じっさいにインストールするまえにそのあてさきのパーティションをフォーマットすることによって実行じっこうすることができる。

フラットインストール
メディアから直接ちょくせつではなく、ハードディスクへのそのオリジナルのメディア(たいていCDかDVD)の内容ないようのコピー(フラットコピーばれる)からプログラムのインストールをおこなうこと。これは目標もくひょうのマシンが、しばしばインストールに必要ひつようなCPUに集中しゅうちゅうしたタスクを実行じっこうすると同時どうじに、CD/DVDからのランダムアクセスに対処たいしょすることができないか、目標もくひょうのマシンが適切てきせつ物理ぶつりてきドライブをっていないようないくつかの状況じょうきょうたすける。

ネットワークインストール
共有きょうゆうされたネットワークドライブからのプログラムのインストール。これはたんに(フラットインストールのために)オリジナルのメディアのコピーであるかもしれないが、頻繁ひんぱんに、大口おおぐち顧客こきゃくのために、サイトのライセンスを提供ていきょうするソフトウェアの製作せいさくしゃはネットワークインストールが意図いとされているバージョンを提供ていきょうする。またLinuxFreeBSDなどでは、光学こうがくドライブなどをそなえないPCのためにネットワークをかいしたOSのインストールが提供ていきょうされる場合ばあいがある。OS/2のように起動きどうFDをかいして、ネットワーク経由けいゆでインストールCDにアクセスするネットワークインストール形態けいたい存在そんざいする。

バーチャルインストール
AmigaOSは1991ねんのバージョン2.0以降いこうInstaller呼称こしょうされるセンタライズされた標準ひょうじゅんのインストールユーティリティを特徴とくちょうとする。それはLISP言語げんごインタプリタによって動作どうさし、これらがプレーンテキストファイルであるのでユーザはインストールのスクリプトを編集へんしゅうする能力のうりょくっている。インストーラはまた、ユーザーがバーチャルインストールを実行じっこうし、本当ほんとうのインストールを委任いにんするまえこりえるどのような問題もんだいをも確認かくにんするための卓越たくえつした機会きかい特徴とくちょうとする。

上書うわがきインストール
おもにもともとはいっていたソフトのことなるバージョンを、もとのバージョンを削除さくじょせずにインストールすることをす(おもふるいバージョンからあたらしいバージョンに上書うわがきする。アップグレードともいう)。設定せっていファイルなどのさい設定せっていおこなわず、実行じっこうファイルなどのみを更新こうしんすることで、異常いじょうになったソフトウェアを回復かいふくさせるこころみとして実行じっこうされることもある。

インストーラ

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インストールを対話たいわ形式けいしき簡単かんたんおこなうためのプログラムである。特定とくてい場所ばしょ確実かくじつにインストールしてもらう必要ひつようがある場合ばあい、インストールするファイルが複数ふくすうディレクトリ散在さんざいしている場合ばあいライセンスキー照合しょうごう必要ひつよう場合ばあい、システムのクリーンインストール(ハードディスクを初期しょきしたうえで再度さいどシステムをなおすこと)自分じぶんのデータの復旧ふっきゅう自動じどうおこないたい場合ばあい、あるいはたん見栄みばえをよくする目的もくてきもちいられる。

インストーラでおこなうことは、まず使用しよう許諾きょだく契約けいやくしょ承認しょうにんつぎ使用しようユーザーの入力にゅうりょく必要ひつよう場合ばあい)、インストールさき選択せんたく必要ひつよう場合ばあい)、最後さいご必要ひつようファイルアーカイブからの展開てんかいである。インストールちゅう用意よういされた画像がぞう表示ひょうじやほかの製品せいひん宣伝せんでんおこなわれることもある。

一般いっぱんてきにインストーラでインストールしたプログラムにはアンインストーラがついている。これはインストールしたプログラムをアンインストール(削除さくじょ)するためのプログラムである。また、プログラムのバージョンアップをおこなさいにインストーラとおな要領ようりょうでバージョンアップをおこなえるようにアップデータ使用しようすることもある。アップデータは自動的じどうてきにパージョンアップの対象たいしょうとなるプログラムを検索けんさくし、えるべきファイルを自動的じどうてきえる(またはすべてのファイルをえる)。これとたプログラムにパッチプログラム存在そんざいする。これはデータの変更へんこうされた部分ぶぶん差分さぶんだけが用意よういされており、アップデータよりデータをちいさく出来できる。パッチプログラムは用意よういされた差分さぶんから既存きそんのデータを最新さいしんのものにえることでバージョンアップをおこなう。

一般いっぱんてきにOSにはインストールしたアプリケーションを一覧いちらんできる機能きのうとそこからアンインストーラーやアップデーターを起動きどうできる機能きのうそなわっている。また、アプリケーションのインストーラもその仕様しようしたがって作成さくせいされている。

ブートストラッパー

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コンピュータプログラムのインストールのあいだ、インストーラまたはパッケージマネジャー自身じしんをアップデートすることが時々ときどき必要ひつようである。これを可能かのうにするためにブートストラップばれるテクニックが使用しようされる。このための共通きょうつうのパターンは、インストーラをアップデートし、アップデートののち本当ほんとうのインストールをはじめるちいさな実行じっこう可能かのうファイル(れい:setup.exe)を使つかう。このちいさな実行じっこう形式けいしきはブートストラッパーとばれる。時々ときどき、ブートストラッパはブートストラップのプロセスのあいだにもソフトウェアのためのほかの必須ひっすのものをインストールする。

共通きょうつうのインストーラ

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WindowsmacOS、およびLinuxのためにインストーラをつくすクロスプラットフォームのインストーラのビルダーとして、InstallAnywhereフレクセラ・ソフトウェア英語えいごばん)、JExpress (DeNova)、InstallBuilder (BitRock) が存在そんざいする。

WindowsのためのインストーラはソフトウェアのインストールコンポーネントMicrosoft Windows Installer存在そんざいする。Windowsのためにインストーラを作成さくせいするための追加ついかのサードパーティの商用しょうようのツールは、InstallShieldフレクセラ・ソフトウェア英語えいごばん)、Wise Installation Studioワイズソリューションズ)、SetupBuilder (Lindersoft)、Installer VISE (MindVision Software)、MSI Studioスクリプトロジック)、Actual Installer (Softeza Development)、Smart Install Maker (InstallBuilders Company)、MSI FactorySetup Factoryインディゴローズソフトウェア)が存在そんざいする。フリーなわりのインストーラオーサリングツールはNSISIzPackClickteamInno SetupWiX存在そんざいする。

macOSにはネイティブのパッケージマネジャーソフトウェアInstaller存在そんざいする。macOSはアプリケーションをアップデートする別個べっこのソフトウェアApple Software Updateふくむが、アップルのソフトウェアとシステムソフトウェアのみをサポートする。macOSのための商業しょうぎょうてきなアプリケーションはまたInstaller VISE (MindVision Software)、InstallerMaker (StuffIt) などのサードパーティーのインストーラを使用しようすることがある。

WindowsにはOSのセキュリティ更新こうしんプログラムやデバイスドライバなどをネットワーク経由けいゆ配信はいしん・ダウンロード・インストールする仕組しくみとして、Microsoft UpdateWindows Update存在そんざいする。また、Windows 8以降いこう利用りよう可能かのうWindowsストアアプリは、従来じゅうらいのデスクトップアプリケーションとはインストール形態けいたいことなり、基本きほんてきWindowsストア経由けいゆ配信はいしん販売はんばい購入こうにゅう・ダウンロード・インストールする。

オープンソースけいUnixの場合ばあい

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LinuxやFreeBSDなどのオープンソースオペレーティングシステム(OS)では、パッケージ管理かんりシステムにより、おおくのことなる組織そしき個人こじんによって作成さくせいされた多様たようなアプリケーションソフトウェアの入手にゅうしゅとインストールを統一とういつてき方法ほうほうおこなえる、といったようにあやまった理解りかいをしがちだが[よう出典しゅってん]、そのように統一とういつされているものは、GNU/Linuxではディストリビューションもとが、かくBSDけいではFreeBSDプロジェクトなどのプロジェクト[6]がメンテナンスをしているパッケージがそのようにあつかえるということであって「おおくのことなる組織そしき個人こじんによって作成さくせいされた多様たようなアプリケーションソフトウェア」に、統一とういつされた方法ほうほうは、本来ほんらい存在そんざいしない。

Mac OSにおける簡便かんべん

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Macintoshではアプリケーションは原則げんそくとしてどこにでもけ、アイコンをダブルクリックするだけで起動きどうできるものとして設計せっけいされていた。この場合ばあい「インストール」という概念がいねん希薄きはくとなり、必要ひつようとするソフトウェアをきなところにけばいことになる。ただし、共有きょうゆうライブラリやシステムに密接みっせつかかわるソフトウェアはこのかぎりではなく、フォントや機能きのう拡張かくちょうファイルはシステムフォルダに必要ひつようがあった。その共有きょうゆうライブラリやプラグインなど外部がいぶのソフトウェアに依存いぞんするソフトウェアの増加ぞうかにより、インストーラを必要ひつようとするものがえていったが、アプリケーションは原則げんそくとしてどこにいても起動きどう可能かのうであるということはわらなかった。

現在げんざい[いつ?]のmacOSでは、アプリケーションパッケージ採用さいようにより、おおくのアプリケーションはハードディスクのなかにアプリケーションファイルを移動いどうするだけで簡単かんたんにインストールでき、アプリケーションファイルをゴミ箱ごみばこてるだけでアンインストールできる。デバイスドライバやシステム環境かんきょう設定せっていファイルのインストールについては、インストーラを必要ひつようとする。フォントはファイルをダブルクリックすることでインストールできる。オペレーティングシステムやアップルのソフトウェアのインストールについては、ソフトウェア・アップデート提供ていきょうされている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ この定義ていぎでは実行じっこうファイルをたんにコピーすることや、実行じっこうファイルのはいったドライブをマウントすることはインストールの範疇はんちゅうはいらない。トレンドマイクロによる説明せつめいではUSBメモリない実行じっこうファイルを起動きどうするタイプのアプリケーションを「インストール不要ふよう」とんでいる。
  2. ^ トレンドマイクロ ポータブル セキュリティ 2:オフライン端末たんまつ対策たいさく法人ほうじんのお客様きゃくさま:トレンドマイクロ
  3. ^ a b 大辞林だいじりん三省堂さんせいどう) 『インストール』当該とうがい項目こうもくより
  4. ^ インストールとは【install】(セットアップ)”. IT用語ようご辞典じてん. 2012ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  5. ^ AutomatedInstallation - Debian Wiki”. wiki.debian.org. 2020ねん7がつ16にち閲覧えつらん
  6. ^ 例外れいがいてきに、NetBSDのpkgsrcは、NetBSD以外いがいも(Linuxなども)積極せっきょくてきにサポートしている。

関連かんれん項目こうもく

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