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T-双対そうつい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

T-双対そうつい(T-duality)は、様々さまざまつる理論りろんちいさな距離きょりなが距離きょりあいだ関係かんけい古典こてんてき記述きじゅつ[1]が、それらの特別とくべつ場合ばあいとなるという量子りょうしろん対称たいしょうせいである。[2] ブッシャー(T. H. Buscher)の論文ろんぶんなかでこの話題わだい議論ぎろんはじまり、マルティン・ロセック英語えいごばん(Martin Rocek)とエリック・ヴァーリンデ英語えいごばん(Erik Verlinde)によりさらにふかめられた。T-双対そうついは、通常つうじょう素粒子そりゅうし物理ぶつりがくなかには存在そんざいしない。つる粒子りゅうしうごきとはてん粒子りゅうしとは基本きほんてきことなる方法ほうほう時空じくう伝播でんぱする。T-双対そうつい理解りかいされる以前いぜんには、関連かんれんがないとかんがえられていたことなるつる理論りろん関連かんれんづける。T-双対そうついは、だいちょうつる理論りろん革命かくめい英語えいごばんなか進化しんかした。[3]

量的りょうてき記述きじゅつ

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つる理論りろんは、普通ふつう空間くうかん次元じげん 3と時間じかん次元じげん 1にくわえて、余剰よじょう次元じげん予言よげんする。これらの余剰よじょう次元じげんことなるサイズやかたちは、4次元じげんていエネルギー物理ぶつりあらわれることなるちからことなる粒子りゅうしとなるので、ことなったかたち宇宙うちゅうことなった物理ぶつりつであろう。しかし、これらのおおくの幾何きかがくおな物理ぶつり結果けっかし、これがT-双対そうつい基礎きそとなっている。

たとえば、次元じげんひとつが半径はんけい Rえん場合ばあいかんがえる。この方向ほうこう粒子りゅうしつる運動うんどうりょうつので、そのような状態じょうたいカルツァ・クラインモードぶ。この方向ほうこう運動うんどうりょうは、つぎたすことで量子りょうしされる。

半径はんけい Rちいさくすると、モードのひとつで励起れいきさせるさせることにさらにエネルギーが必要ひつようとなる。他方たほうRおおきくすると、カルツァ・クライン状態じょうたいのあいだの間隔かんかくちいさくなり、半径はんけい無限むげんだい極限きょくげんで、運動うんどうりょうはもはや量子りょうしされていない。

粒子りゅうしとはことなり、閉弦はまた余剰よじょう次元じげんくこともできる。そのような状態じょうたいきモードう。きモードを励起れいきするエネルギーは、半径はんけい R比例ひれいして量子りょうしされているので、半径はんけいちいさくなるにつれて、きモードがちいさくなるので、半径はんけいがゼロとなる極限きょくげんではもはや量子りょうしされない。一方いっぽう半径はんけいおおきくなるときモードを励起れいきすることに使つかうエネルギーはおおきくなる。このカルツァ・クラインモードのいは反対はんたいで、きモードとカルツァ・クラインモードをえると、半径はんけいちいさいとおおきい閉弦のいはおなじになる。半径はんけい R での物理ぶつり半径はんけい αあるふぁ'/R での物理ぶつりおなじになる。この関係かんけいがT-双対そうついれいである。

ボゾンつる

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T-双対そうついのアイデアを説明せつめいするために、半径はんけい Rえんへコンパクトされたボゾンつる英語えいごばんかんがえる。つるは、純粋じゅんすい運動うんどうりょう p をコンパクトされた次元じげんなかでもっている。この粒子りゅうし場合ばあいには、運動うんどうりょう1/R単位たんい量子りょうしされているはずである。

ここに n は整数せいすうである。しかし、粒子りゅうし場合ばあいとはちがい、閉弦英語えいごばんはコンパクトした次元じげんまわりにきついているかもしれない。その次元じげんまわりにいた回数かいすうすう wう。したがって、閉弦の質量しつりょうは、

となる。ここに NÑ は閉弦のひだり-(left-) とみぎ-移動いどう(right-mover)の励起れいきで、αあるふぁ' は、かたむきパラメータ(slope parameter)である。このスペクトルはつぎ変換へんかんした不変ふへんである。

すなわち、閉弦のスペクトルは半径はんけい αあるふぁ'/R背景はいけい(background)をつ閉弦のスペクトルとおなじスペクトルをつ。閉弦の相互そうご作用さようも、この変換へんかんした不変ふへんであることをしめすことができる。このことは半径はんけい R のコンパクトしたじたボゾンつるは、半径はんけい αあるふぁ'/R理論りろん等価とうかであることを意味いみする。

ちょうつる

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T-双対そうついのアイデアは、ちょうつる理論りろんのような、より一般いっぱんてき背景はいけい拡張かくちょうすることができる。T-双対そうついは、タイプ IIのつるたがいに(タイプ IIAをタイプ IIBへ、タイプ IIBをタイプ IIAへ)える。またヘテロつる英語えいごばんたがいに(ヘテロ SO(32)をヘテロ E8×E8 へ、ヘテロ E8×E8 をヘテロ SO(32) へ)える。たとえば、問題もんだい方向ほうこういちいたタイプ IIAのつるからはじめると、T-双対そうついは、その方向ほうこう運動うんどうりょうつタイプ IIBのつるうつす。巻数かんすう 2 をつタイプ IIAつるは、運動うんどうりょう単位たんい 2つをつタイプ IIBつるうつすように、ほかも同様どうようである。

ひらきつるとD-ブレーン

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T-双対そうついは、D-ブレーン作用さようすると、その次元じげんを +1 するか -1 するように作用さようする。

ミラー対称たいしょうせい

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アンドリュー・ストロミンジャー(Andrew Strominger)、シン=トゥン・ヤウ(Shing-Tung Yau)、エリック・ザスロフ英語えいごばん(Eric Zaslow)は、ミラー対称たいしょうせいが、カラビ・ヤウ空間くうかんの 3 次元じげんトロイダルファイバー空間くうかん適応てきおうしたT-双対そうついとして理解りかいできることをしめした。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ T-duality in nlab:url=http://ncatlab.org/nlab/show/T-duality
  2. ^ Generalised complex geometry and T-duality”. 29 Oct 2013閲覧えつらん
  3. ^ superstringtheory article Looking for extra dimensions by Patricia Schwarz

参照さんしょう項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Becker, K., Becker, M., and Schwarz, J. H. (2007). String Theory and M-Theory: A Modern Introduction. Cambridge, UK: Cambridge University Press.
  • Polchinski, J. (1998). String Theory. Cambridge, UK: Cambridge University Press 
  • Buscher, T.H. (1987), “A symmetry of the string background field equations”, Phys. Lett. B 194 (1): 59-62 
  • Rocek, M.; Verlinde, E. (1992), “Duality, quotients and currents”, Nuclear Phys. B 373 (3): 630-646