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X.400

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ITU-T X.400シリーズ勧告かんこく Message Handling SystemMHSメッセージ通信つうしん処理しょりシステム)は、電子でんしメールについての標準ひょうじゅんさだめたものである。インターネット電子でんしメールの標準ひょうじゅんとして採用さいようされることはなかったが、組織そしきない使用しようされたり、独自どくじ商用しょうよう電子でんしメール製品せいひん採用さいようされたこともある。OSIでは ISO/IEC 10021 Message-Oriented Text Interchange SystemsMOTIS)という名前なまえ標準ひょうじゅんされている。MHSとMOTISは一部いちぶこまかいはあるものの、技術ぎじゅつてきにほぼ同等どうとうである。

歴史れきし

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最初さいしょの X.400 勧告かんこく公表こうひょうされたのは 1984ねんRed Book)、大幅おおはば改版かいはんされたのが 1988ねんBlue Book)である。1992ねんWhite Book)にも改訂かいていしん機能きのう追加ついかおこなわれた。X.400 は OSI トランスポートサービスじょう動作どうさするよう設計せっけいされたが、RFC 1006 によりTCP/IPうえ動作どうさできるようになり、それが X.400 の一般いっぱんてき利用りよう方法ほうほうとなった。

ISOとの共同きょうどう開発かいはつされた X.400 シリーズ勧告かんこくは、電子でんしメッセージの交換こうかんについてはOSI標準ひょうじゅんプロトコルぐん指定していしていた。それに付随ふずいする F.400 シリーズ勧告かんこくでは、MHS じょう構築こうちくされる Message Handling Services を定義ていぎしていると同時どうじに、MHS と公衆こうしゅうサービスあいだのアクセスを定義ていぎしている。1990年代ねんだいまつITU-Tは F.400 と X.400 を統合とうごうし、F.400/X.400 (06/1999) Message handling system and service overview という勧告かんこく発表はっぴょうした。

X.400 シリーズ勧告かんこくは MHS の技術ぎじゅつてき観点かんてん定義ていぎしている。X.402 勧告かんこく(ISO/IEC 10021-2)は MHS のシステム全体ぜんたいのアーキテクチャを定義ていぎしている。X.411(ISO/IEC 10021-4)はメッセージ転送てんそうサービス (MTS) とその機能きのうコンポーネントであるメッセージ転送てんそうエージェント (MTA)定義ていぎしている。X.413(ISO/IEC 10021-5)はメッセージストアについて定義ていぎしている。すべての ITU-T 勧告かんこくには、システムの実体じったい手続てつづきを説明せつめいするための専門せんもん用語ようご定義ていぎされている。たとえば、個人こじんあいだでのメッセージ(電子でんしメール)交換こうかんは、Interpersonal Messaging (IPM) とされている。一方いっぽうかく取引とりひき業者ぎょうしゃのコンピュータあいだ交換こうかんされる電子でんし構造こうぞうビジネス文書ぶんしょたとえば、見積みつもりしょちゅう文書ぶんしょなど)は、EDIプロトコルに分類ぶんるいされている。

おおくのISO標準ひょうじゅんはネットワークのアプリケーションそうあつかっており、X.400 は SMTP対抗たいこうすることになった。X.400 は北米ほくべい以外いがいではとくにEDIサービスの用途ようとさかんに実装じっそうされた。北米ほくべいでもぐん関係かんけい航空こうくう関係かんけいでは X.400 が使つかわれている。これは、X.400 で当初とうしょからセキュリティが考慮こうりょされていたためであり、SMTP が同等どうとう機能きのうS/MIMEPGP、SMTP-TLS など)を実装じっそうするよりもはやかったのである。同様どうよう理由りゆうで、アプリケーションあいだのEDIメッセージ交換こうかんにも使つかわれることがある。

メッセージ通信つうしん処理しょりは、メッセージ転送てんそうとメッセージ記憶きおく装置そうちという2つの部分ぶぶんからなる分散ぶんさん情報処理じょうほうしょりである。ITU-T 勧告かんこくでは、様々さまざま通信つうしんタスクにかんするプロトコルを定義ていぎしている。たとえば、P1 プロトコルはMTAあいだ通信つうしんのみに使つかわれる。P3 プロトコルは電子でんしメールクライアントとMTAあいだ、P7 プロトコルは電子でんしメールクライアントとメッセージ記憶きおく装置そうちあいだのプロトコルである。

1994年版ねんばんでは、P7 プロトコルの強化きょうかとしてメッセージ記憶きおく装置そうちでのフォルダをサポートし、自動的じどうてきなメッセージのフォルダ分類ぶんるいやリプライの対応付たいおうづけ、配送はいそうレポート、受信じゅしん通知つうちといった機能きのう提供ていきょうされた。

X.400 のメッセージコンテンツ標準ひょうじゅん電子でんしメールクライアントあいだ通信つうしんのために定義ていぎされた。これらは、P1/P3/P7 をメッセージコンテンツ転送てんそう提供ていきょうする基盤きばんとして、そのうえ概念的がいねんてきプロトコルとしてモデルされている。IPM(Interpersonal Messaging)のためのメッセージコンテンツ標準ひょうじゅんは X.420(ISO/IEC 10021-7)で定義ていぎされており、RedBook では P2 とばれている。BlueBook での IPM の拡張かくちょうばんとして content-type 22(P2 version 2)があり、非公式ひこうしきだが一般いっぱんに P22 とばれている。EDI のためのメッセージコンテンツ標準ひょうじゅんは F.435(ISO/IEC 10021-8)と X.435(ISO/IEC 10021-9)で定義ていぎされており、非公式ひこうしきに P35 とばれている。音声おんせいメッセージコンテンツは F.440 と X.440 に定義ていぎされている。

X.400 の重要じゅうよう機能きのうとして、構造こうぞうされたアドレス指定していASN.1によるマルチメディアコンテンツ(MIME先行せんこうしていて、より効率こうりつてきだった)、統合とうごうセキュリティ機能きのうがある。ITUは、X.400 のドメインあいだリレーは各国かっこく電話でんわ会社かいしゃ公社こうしゃ)がおこなうものとかんがえていたため、X.400 と電話でんわ会社かいしゃのサービス(テレックスファクシミリ物理ぶつりてき郵便ゆうびん)との自動的じどうてき相互そうごれが可能かのうとなるようなアドレスフィールドが導入どうにゅうされた。ISO はのちにオープンなルーティング標準ひょうじゅんとして X.412(ISO/IEC 10021-10)と X.404(ISO/IEC 10021-11)を追加ついかしたが、X.400 の当初とうしょ想定そうていあやまりと電話でんわ会社かいしゃがそれをもと課金かきんすることもあって、X.400 がひろ採用さいようされるのをさまたげる一因いちいんとなった。

X.400 は、軍用ぐんよう(MMHS)と航空こうくうよう(AMHS)に拡張かくちょうされたバージョンが存在そんざいする。

アドレス指定してい

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X.400 のアドレスはつぎのようないくつかの部分ぶぶんから構成こうせいされる。

  • C (Country name) - 国名こくめい
  • しゅ官庁かんちょう管理かんり領域りょういき[1]:4えい: Administration Management Domain; ADMD)- 通常つうじょう公衆こうしゅうメールサービス提供ていきょう業者ぎょうしゃ
  • 私設しせつ管理かんり領域りょういき[1]:5えい: Private Management Domain; PRMD)- 私的してき管理かんりドメイン
  • O (Organization name) - 組織そしきめい
  • OU (Organizational Unit Names) - 部門ぶもんめい
  • G (Given name) -
  • I (Initials) - イニシャル
  • S (Surname) - せい

標準ひょうじゅん自体じたいには当初とうしょ電子でんしメールのアドレスをどうくか(たとえば、名刺めいしにどう印刷いんさつすべきか)がしめされていなかった。RFC 1685 では 1993ねんの ITU-T 勧告かんこくドラフト F.401 にもとづいて符号ふごう仕様しようしめした。それは、"G=Harald;S=Alvestrand;O=Uninett;P=Uninett;A=;C=no" といったような形式けいしきで、このようなアドレスのわかりにくさが X.400 がひろまらなかった一因いちいんであるともわれている。[2]

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Betanov, Cemil (1993ねん). Introduction to X.400. Boston: Artech House. ISBN 0-89006-597-7 
規格きかく標準ひょうじゅん
RFC 1615 - Migrating from X.400(84) to X.400(88)
RFC 1649 - Operational Requirements for X.400 Management Domains in the GO-MHS Community
JIS X 0032:1999「情報処理じょうほうしょり用語ようご電子でんしメール」日本にっぽん産業さんぎょう標準ひょうじゅん調査ちょうさかい経済けいざい産業さんぎょうしょう

注釈ちゅうしゃく出典しゅってん

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外部がいぶリンク

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X.400 標準ひょうじゅん

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X.400 標準ひょうじゅんはITU-Tから無料むりょう入手にゅうしゅ可能かのうである。