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シイタケ(しいたけ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

シイタケみ)しいたけ

日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「シイタケ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

シイタケ
しいたけ / 椎茸しいたけ
しい
こう
こう
[がく] Lentinus edodes (Berk.) Sing.

担子菌類きんるい、マツタケキシメジ食用しょくようキノコ。西洋せいようマッシュルーム東南とうなんアジア・中国ちゅうごくフクロタケくさ菇(ツァオグー))とともに世界せかいさんだい栽培さいばいキノコのひとつとされ、シイタケshiitakeのはそのまま世界せかい通用つうようするほどひろしたしまれている。

今関いまぜきろく也]

形態けいたい

かさ普通ふつう5~12センチメートルほどで、はじめは丸山まるやまがたえんつよ内側うちがわむが、ひらくとたいらになる。表面ひょうめん茶褐色ちゃかっしょくからちゃしょくで、表皮ひょうひこまかくまたはおおきくけて、ひらたいか、または多少たしょうかえった「ささくれじょう」となる。周辺しゅうへんにはしろ綿毛わたげじょう繊維せんいびることがおおい。かさしたがわは、はじめは綿めんばしたようなまくおおわれるが、かさひらくとまくはちぎれてかさえんくき上部じょうぶ名残なごり(なごり)をのこすが膜質まくしつのつばにはならない。ひだはしろくきわんせいする。くきかさなかこころまたは一方いっぽうにすこしかたよってつき、うえはんしろく、したはん褐色かっしょくくき表面ひょうめん繊維状せんいじょうで、にく充実じゅうじつしてかたい。胞子ほうしもんしろ胞子ほうし楕円だえん(だえん)かたちいちはしがややとがり、5~7ミクロン×3.5~4ミクロン。なお、かさにく肉質にくしつであるが、かわかしても、みずひた(つ)けるとなま(なま)の状態じょうたいもどるという特性とくせいがあり、これがシイタケの食品しょくひんてき価値かちをいっそうたかめている。また、乾燥かんそうするとかおりもよくなる。

今関いまぜきろく也]

生態せいたい分布ぶんぷ

野生やせいのシイタケはブナのナラ、カシ、シイるいえる。発生はっせいはるあきであるが、高地こうちでは気温きおんひくくなるので、なつおおい。日本にっぽんでは全国ぜんこく各地かくち分布ぶんぷする。世界せかいてきにも分布ぶんぷいきひろく、韓国かんこく台湾たいわん中国ちゅうごくちゅう南部なんぶ、フィリピン、ボルネオ、ニューギニア、ネパールなどのほか、ニュージーランドからも発見はっけんされている。

今関いまぜきろく也]

栽培さいばい歴史れきし

シイタケ栽培さいばい技術ぎじゅつ日本にっぽん開発かいはつされたものであり、その歴史れきし江戸えど時代じだい中期ちゅうきにまでさかのぼる。栽培さいばい豊後ぶんご(ぶんご)(大分おおいたけん)または伊豆いず地方ちほうからはじめられたといわれ、1796ねん寛政かんせい8)には、農学のうがくしゃ佐藤さとうしげるひろしによってシイタケ栽培さいばい最古さいこ専門せんもんしょである『あつしときみずへん(おんこさいごずいへん)』があらわされている。このしょには、原木げんぼく選択せんたく伐採ばっさいほうきん発生はっせいうなが浸水しんすいほうほたじょう(ほたば)の管理かんり火力かりょく乾燥かんそうなどの記述きじゅつがみえる。この時代じだいには、すでに「きん」とよばれるシイタケ栽培さいばい指導しどうしゃ豊後ぶんご伊豆いずなどにおり、各地かくちからまねかれてシイタケ産業さんぎょうひろめている。佐藤さとうしげるひろし自身じしんも、米沢よねざわ(よねざわ)、会津あいづ岡山おかやま薩摩さつま(さつま)などのしょはんからのまねきをけ、栽培さいばいほう指導しどうし、シイタケ生産せいさんによってはん財政ざいせいゆたかにしている。江戸えど時代じだいされたほか専門せんもんしょとしてはた檍丸(はたあわぎまる)による『こう蕈(こうじん)播製ろく』があげられる。やがて明治めいじになると、栽培さいばいほう田中たなか長嶺ながみね(ながね)、三村みつむらしょう三郎さぶろう(しょうざぶろう)らによって科学かがくてき改良かいりょうされていく。さらに昭和しょうわになると、シイタケ菌糸きんし純粋じゅんすい培養ばいようによる「種菌しゅきん(たねきん)接種せっしゅほう」がまれて、シイタケ栽培さいばい近代きんだい産業さんぎょうとして着実ちゃくじつ発展はってんしていく。種菌しゅきん接種せっしゅほうは、アメリカでマッシュルーム栽培さいばいまなび、これを事業じぎょうした森本もりもと彦三郎ひこさぶろう農林省のうりんしょう林業りんぎょう試験場しけんじょう樹木じゅもく病理びょうり学者がくしゃ北島きたじまくんさんらによって考案こうあんされたものである。最初さいしょにつくられた種菌しゅきんは、鋸屑のこくず(のこくず)と米糠こめぬか(こめぬか)を4たい1ほどの割合わりあいぜたものに菌糸きんし培養ばいようした鋸屑のこくず種菌しゅきんであった。現在げんざいでは、ながさ2センチメートルほどのまるぼうがたまたはくさびがたしょう木片もくへん菌糸きんし繁殖はんしょくさせた「たねこま(たねごま)」がおおもちいられている。このたねこまは、シイタケ産業さんぎょうちちともいわれるもり喜作きさく(きさく)によって考案こうあんされたものである。

今関いまぜきろく也]

栽培さいばいほう

シイタケは一種いっしゅ木材もくざい腐朽ふきゅうきんであるため栽培さいばいされる。この原木げんぼくといい、コナラクヌギ最適さいてきであるが、シイ、カシなどの常緑じょうりょく広葉樹こうようじゅもちいられる。みち10センチメートル前後ぜんこう晩秋ばんしゅうたおし、1~2がつごろながさ1メートルほどにる。この作業さぎょうを「たまり」といい、伐採ばっさいからたまりまでのあいだらし、ざい水分すいぶん調整ちょうせいする。つぎ種菌しゅきん接種せっしゅで、原木げんぼくに20ほどのあなをあけて種菌しゅきんたねこま)をむ。種菌しゅきん専門せんもん業者ぎょうしゃによって製造せいぞうされている。種菌しゅきん接種せっしゅした原木げんぼくほた(ほたぎ)という。ほたは1年間ねんかんほど林内りんないで20~30傾斜けいしゃをもたせてかせむ。これは、雑菌ざっきん侵入しんにゅうふせぎながらシイタケ菌糸きんし十分じゅうぶんほた木内きなし蔓延まんえん(まんえん)させるのが目的もくてきであるから、環境かんきょう選択せんたく環境かんきょうおうじたならかたのくふうがたいせつとなる。湿しめ直射ちょくしゃ日光にっこう禁物きんもつであるが、通風つうふうはむしろ必要ひつよう条件じょうけんといえる。1ねんほどたつとキノコが出始ではじめるので、ほたをキノコの発生はっせい収穫しゅうかくにいっそうてきした場所ばしょ移動いどうする。この作業さぎょうを「ほたおこし」とか「み」といい、移動いどうした場所ばしょほたじょうという。

 以上いじょう現在げんざいおこなわれている「ほた栽培さいばいほう」である。つぎしシイタケとなまシイタケ栽培さいばいについてれる。

今関いまぜきろく也]

しシイタケの栽培さいばい

生産せいさんされたシイタケのやく3ぶんの2はしシイタケとされるが、しシイタケようほたじょう林内りんないもうけられる。これが自然しぜん栽培さいばいまたは露地ろじ栽培さいばいとよばれるものである。キノコの発生はっせいには気象きしょう条件じょうけん、とくにあめ影響えいきょうおおきいため、降雨こうう不足ふそくのときにはスプリンクラーによる散水さんすい必要ひつようとなる。また、収穫しゅうかくには大量たいりょう労力ろうりょくもとめられるので、ほたじょう選定せんていにあたってはこれらの条件じょうけんたすような配慮はいりょ必要ひつようである。しシイタケの優劣ゆうれつ乾燥かんそう良否りょうひによってまる。むかし天日てんじつ乾燥かんそうおおかったが、現在げんざい人工じんこう乾燥かんそうへとわっている。人工じんこう乾燥かんそう火力かりょく乾燥かんそうおもであるが、そのほか、真空しんくう乾燥かんそう赤外線せきがいせん乾燥かんそうなども考案こうあんされている。火力かりょく乾燥かんそう場合ばあいでも、栽培さいばい規模きぼおうじて、さまざまな乾燥かんそう乾燥かんそう施設しせつがつくられている。

今関いまぜきろく也]

なまシイタケの栽培さいばい

元来がんらい、シイタケは春秋しゅんじゅうの2発生はっせいするものであるが、温度おんどみず条件じょうけん調節ちょうせつするならば、希望きぼうするときにシイタケをつくることができる。なまシイタケの施設しせつ栽培さいばいはこれを基本きほんいたものである。つまり、十分じゅうぶん菌糸きんし蔓延まんえんしたほたみずひたしてキノコの発生はっせいうながし、これを温度おんど調節ちょうせつできるハウスないならべてキノコを発生はっせいさせるわけである。シイタケには、低温ていおんせい(5~15℃で成長せいちょう)、中温ちゅうおんせい(10~20℃)、高温こうおんせい(15~25℃)などの品種ひんしゅがあるため、なまシイタケの栽培さいばいにおいては、その目的もくてきおうじて選択せんたくがなされている。

今関いまぜきろく也]

品種ひんしゅ

ここでいう品種ひんしゅとは、分類ぶんるいがくじょうのものではなく、キノコの大小だいしょういろくきながさといった形態けいたいてき特徴とくちょう、あるいは発生はっせいしゅとしてはるまたはあき春秋しゅんじゅう2かいといった生態せいたいてき特徴とくちょうをもち、だいかさねてもその性質せいしつわらない系統けいとうという意味いみである。かつては品種ひんしゅというかたりをさほど厳密げんみつ解釈かいしゃくせず、種菌しゅきん業者ぎょうしゃがかってに銘柄めいがらめて宣伝せんでんしたため、そのかずすうひゃくたっし、内容ないよう玉石混交ぎょくせきこんこうでシイタケ栽培さいばい混乱こんらんしょうじた。こうしたことから、1978ねん昭和しょうわ53)、政府せいふすぐれた品種ひんしゅ育成いくせいとその開発かいはつしゃ権益けんえき保護ほごするために品種ひんしゅ登録とうろく制度せいど施行しこうした。その結果けっか進歩しんぽてき種菌しゅきん業者ぎょうしゃはいっそうの研究けんきゅう努力どりょくかさね、気象きしょうてき市場いちばてき条件じょうけんことにするかく地方ちほう需要じゅようおうじた優良ゆうりょう品種ひんしゅ開発かいはつし、シイタケ産業さんぎょう堅実けんじつ貢献こうけんすることとなった。

 こうした背景はいけいをもつシイタケ産業さんぎょう発展はってんは、だい世界せかい大戦たいせんからはじまったものであるが、それはまず、敗戦はいせん直後ちょくご危殆きたい(きたい)にひん(ひん)した農村のうそん経済けいざい回生かいせい寄与きよすることから出発しゅっぱつしている。やがてシイタケ栽培さいばい努力どりょく食用しょくようキノコるい栽培さいばい産業さんぎょう開発かいはつ基調きちょうとなっていった。現在げんざいでは、シイタケを主体しゅたいとする食用しょくようキノコ産業さんぎょうは、養蚕ようさんぎょうをしのぐだい産業さんぎょうへと発展はってんしつつある。

今関いまぜきろく也]

食品しょくひん

生鮮せいせん食品しょくひんとして収穫しゅうかくすぐに出荷しゅっかするものをなまシイタケ、乾燥かんそうして保存ほぞんせいをもたせてから出荷しゅっかするものをしシイタケとよぶ。

 なまシイタケで完全かんぜんかさひらいたものの成分せいぶんは、水分すいぶん91.1%、タンパク質たんぱくしつ2.0%、脂質ししつ0.3%、炭水化物たんすいかぶつではとうしつが5.3%と繊維せんいが0.9%、灰分かいぶん0.4%である。かさひらききるまえのものは、このより水分すいぶんすくない傾向けいこうにある。ビタミンるいではナイアシンエルゴステロールなどがふくまれている。なまシイタケはそのあじごたえのある肉質にくしつ感触かんしょくかして、塩焼しおやきやバター(いた)め、ものなどにし、さらにそれを料理りょうり使つかう。また(あ)えものなどにはかるがいてから利用りようする。そのほか煮物にものしるじつ使つかわれ、和風わふうにも洋風ようふうにもあう。

 しシイタケにすると特有とくゆうのよいかおりがる。しシイタケの成分せいぶんは、水分すいぶんやく10%、タンパク質たんぱくしつ20.3%、脂質ししつ3.4%、炭水化物たんすいかぶつではとうしつが52.9%と繊維せんいが8.9%、灰分かいぶん4.2%である。しシイタケはかさひらきぐあいなどからふゆ菇(どんこ)とこうしんじ(こうしん)とに大別たいべつする。ふゆ菇は本来ほんらいしめすように初冬しょとうから2がつごろまでの低温ていおん低湿ていしつ発生はっせいさせたもので、かさ半球はんきゅうがたで、えん裏側うらがわんでいてにくあつである。シイタケのかさそだつときに温度おんど湿度しつどとがひくいと、かさ表面ひょうめん亀裂きれつ(きれつ)がはいり、にくあつ品質ひんしつのよいものになる。なかでも、とくににくあつで、かさ表面ひょうめん光沢こうたくつよく、しろ亀裂きれつこまかくはいっているものを天白てんぱくふゆ菇(てんぱくどんこ)とよんで珍重ちんちょうする。かさ亀裂きれつおおきめで、あわ黄色きいろからあわ褐色かっしょくのものははなふゆ菇(はなどんこ)とよばれ、天白てんぱくふゆ菇に品質ひんしつとされる。このほかじょうふゆ菇(じょうどんこ)やなみふゆ菇(なみどんこ)などの規格きかくけられる。ふゆ菇はとくに中国ちゅうごく料理りょうり珍重ちんちょうされる。こうしんは、温度おんど湿度しつど適当てきとう順調じゅんちょう成長せいちょうしたキノコである。かさひらいておおきく、にくうすい。かさ表面ひょうめんいろ光沢こうたくおおきさなどにより品質ひんしつけられる。しシイタケはにくあつじゅうふん乾燥かんそうしているものをえらび、すいかぬるまでもどしてから料理りょうり使つかう。もどすときには3~すうあいだ限度げんどで、あまりながひたすとうまけてしまう。保存ほぞんは、むしがついたり湿しめったりしないようにポリぶくろかん密封みっぷうしておく。保存ほぞんほうにはこのほか塩漬しおづけや佃煮つくだに(つくだに)などがあり、しいたけちゃやエキスなど健康けんこう食品しょくひんとしても用途ようとがある。

星川ほしかわ清親きよちか


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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん 「シイタケ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

シイタケ (椎茸しいたけ)
Lentinus edodes (Berk.) Singer

担子菌類きんるいキシメジのキノコで,日本にっぽん栽培さいばいキノコの代表だいひょうしゅ。かさのみち5~10cmで,まれに20cmにもたっすることがある。はじめ球形きゅうけい,のちまんじゅうがたからたいらにひらく。表面ひょうめんあわ褐色かっしょく茶褐色ちゃかっしょくむらさき褐色かっしょくなど。はじめ周辺しゅうへんには白色はくしょくあわ褐色かっしょく綿毛わたげじょう被膜ひまくがあり,その小破しょうはへんがかさめん散在さんざいする。幼時ようじにはかさのえん内側うちがわき,くきとのあいだ白色はくしょく綿毛わたげじょうまくがあるが,のちやぶれて不完全ふかんぜんなつばをくきのこす。にくあつ白色はくしょくで,乾燥かんそうするとたか香気こうきがでる。ひだはくきわんし,みつ白色はくしょくで,ふるくなると褐色かっしょくのしみができる。くきは3~6cm×1cm,かさのなかこころまたは中心ちゅうしんをややはずれてつく。強靱きょうじん表面ひょうめんおび褐色かっしょく繊維状せんいじょう上部じょうぶ白色はくしょく平滑へいかつ胞子ほうししろくせまい楕円だえんがたで,おおきさ5~6μみゅーm×6.5~3.5μみゅーm。日本にっぽん韓国かんこく中国ちゅうごく台湾たいわん,フィリピン,ボルネオ,ニューギニア,マレーシアに分布ぶんぷする。日本にっぽんでははるあき山地さんち広葉樹こうようじゅの枯幹,切株きりかぶなどに野生やせいするが,ほた(ほたぎ)(きん接種せっしゅした原木げんぼく)による人工じんこう栽培さいばいひろおこなわれている。

日本にっぽんでのシイタケ栽培さいばい歴史れきしふるく,元禄げんろく年間ねんかん(1688-1704)には豊後ぶんご(ぶんご)や伊豆いず地方ちほうですでにほた栽培さいばいはじまっていたらしい。しかし種菌しゅきん接種せっしゅによる栽培さいばいほう考案こうあんされたのは1935ねんである。以下いか現在げんざいおこなわれている栽培さいばいほうべる。まず樹液じゅえき流動りゅうどう停止ていししている時期じき(12月~1がつ)にコナラ,クヌギなどをたおし,30~60日間にちかん枝葉えだはをつけたまま乾燥かんそうさせる(し,えだし)。のちながさ90~100cmにたまりし種菌しゅきん接種せっしゅする。種菌しゅきんにはこま種菌しゅきんとおがくず種菌しゅきんがある。接種せっしゅはドリルであなをあけ,種菌しゅきんめこみ,ふう蠟でふうじる。接種せっしゅあなすう直径ちょっけい10cm,ながさ100cmの原木げんぼくでは16~20標準ひょうじゅんである。栽培さいばいする場所ばしょ気象きしょう労力ろうりょく関係かんけいわせて品種ひんしゅ選定せんていする。シイタケの品種ひんしゅ実体じったい発生はっせい温度おんどによって高温こうおんけい(15~20℃で発生はっせい),中温ちゅうおんけい(10~20℃で発生はっせい),低温ていおんけい(5~15℃で発生はっせい)に大別たいべつされている。接種せっしゅしたシイタケきん原木げんぼくないにまんえんさせ,ほたつくるためには,直射ちょくしゃ日光にっこうたらず,通風つうふう排水はいすいがよく,湿度しつどひく場所ばしょえらんでほたむ。ふく方法ほうほうには原木げんぼく伐採ばっさい跡地あとちで,直射ちょくしゃ日光にっこうふせぐためにほたうえ枝葉えだはをかけておこなはだかせ(笠木かさぎほうともいう)と,常緑樹じょうりょくじゅ落葉樹らくようじゅ混交こんこうりんやマツと落葉樹らくようじゅだんりんなどに林内りんないせとがあり,前者ぜんしゃふるくから九州きゅうしゅう地方ちほうおこなわれている。種菌しゅきん接種せっしゅ6ヵ月かげつ以上いじょうたつと,シイタケ菌糸きんしほた全体ぜんたいにまんえんする。このころほたほたじょう移動いどうする。ほたじょう実体じったい発生はっせいしやすい環境かんきょう条件じょうけんをもつことが必要ひつようで,みなみきまたは東南とうなんきの常緑じょうりょく広葉樹こうようじゅりんか,常緑樹じょうりょくじゅ落葉樹らくようじゅ混交こんこうりんで,ひさしかげ(ひいんど)70~80%,排水はいすいがよくふくよりやや湿度しつどたか場所ばしょがよい。実体じったい発生はっせいはるあき自然しぜん発生はっせいさせる自然しぜん栽培さいばいと,浸水しんすい冷却れいきゃく加湿かしつなどの刺激しげきあたえることにより,時期じきわずに発生はっせいさせる不時ふじ栽培さいばいとがある。
キノコ
執筆しっぴつしゃ

なまシイタケ,しシイタケとも,利用りよう範囲はんいひろい,すぐれた食品しょくひんである。なまシイタケは,蒸物むしものわんだね,てんぷら,なべぶつ,いためぶつなどのほか,さっとであぶってポンズしょうゆでべたり,バターしょうにしてもよい。しシイタケはみずまたはぬるまでもどして使つかう。うまみがいので精進しょうじんのだしに使つかわれ,煮物にもの,すしのなどに多用たようされる。しシイタケは乾燥かんそう過程かていかおりの成分せいぶん生成せいせいし,みずでもどす過程かていでもこの反応はんのうこる。また,加熱かねつ調理ちょうりによってうまみ成分せいぶんおお生成せいせいする。現在げんざいしシイタケはほとんどが人工じんこう乾燥かんそうであるため,ビタミンD給源きゅうげんとしての価値かちひくくなったが,ちゅうコレステロールや血圧けつあつ低下ていかさせる物質ぶっしつ存在そんざいみとめられている。
執筆しっぴつしゃ


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しょく医学いがくかん 「シイタケ」の解説かいせつ

シイタケ

栄養えいようはたらき》


 わがくにではふるくから食用しょくようにされており、栽培さいばいりょうがもっともおおいキノコです。
 ほかのキノコにはない特有とくゆう物質ぶっしつふくんでおり、がんや生活せいかつ習慣しゅうかんびょう予防よぼうつよ味方みかたとなってくれる食品しょくひんです。
〈エルゴステリンがカルシウムの吸収きゅうしゅうたかめる〉
栄養えいよう成分せいぶんとしてのはたら
 シイタケは、ビタミンDのもととなるエルゴステリンを豊富ほうふふくんでいます。
 エルゴステリンは、日光にっこう紫外線しがいせんにあたるとビタミンDに変化へんかする成分せいぶんです。
 ビタミンDは、小腸しょうちょうでのカルシウムの吸収きゅうしゅうりつ向上こうじょうたすけるはたらきをもっています。つよをつくり、ほね強化きょうか発育はついくかせないビタミンなのです。
 どものほね発達はったつ骨粗鬆症こつそしょうしょう(こつそしょうしょう)予防よぼう改善かいぜんおおいに役立やくだちます。
〈エリタデニンと食物しょくもつ繊維せんいがコレステロールげる〉
 シイタケにはふかみのあるうまみがありますが、このうまみのもとがアミノ酸あみのさん一種いっしゅグルタミン酸ぐるたみんさんです。新陳代謝しんちんたいしゃ(しんちんたいしゃ)促進そくしんし、のう栄養素えいようそとしてかせない物質ぶっしつで、老化ろうか防止ぼうし効果こうかがあります。
 新陳代謝しんちんたいしゃ活発かっぱつにさせるアミノ酸あみのさん豊富ほうふふくまれています。アミノ酸あみのさん一種いっしゅであるエリタデニンという物質ぶっしつは、血液けつえきちゅう過剰かじょうになったコレステロールを体外たいがい排泄はいせつ(はいせつ)するはたらきがあります。
 国立こくりつ健康けんこう栄養えいよう研究所けんきゅうじょによる報告ほうこくでは、1にちなまシイタケ90g、またはしシイタケ9gを毎日まいにちつづけることによって、1週間しゅうかんやく10%のコレステロールががった、という結果けっかがでたそうです。
 また、ちょうない余分よぶんなコレステロールを排出はいしゅつする食物しょくもつ繊維せんい豊富ほうふで、そのうえ、フィトステリンという物質ぶっしつ排出はいしゅつ促進そくしんするので、動脈どうみゃく硬化こうか脂質ししつ異常いじょうしょう便秘べんぴ(べんぴ)などの予防よぼうてきしています。
 シイタケにふくまれる食物しょくもつ繊維せんいは、キノコ特有とくゆうのもので、βべーた(ベータ)―グルカンとばれる不消化ふしょうかせいとうたいです。βべーた―グルカンは、ちょくせつがん細胞さいぼうはたらきかけるのではなく、からだそなわっている免疫めんえき機能きのう活性かっせいさせ、その結果けっかとしてがん細胞さいぼう退治たいじしたり、増殖ぞうしょくおさえられるようにする成分せいぶんです。それでもその効果こうかたかく、がん予防よぼう有効ゆうこうはたら成分せいぶんといっていいでしょう。
 さらに、胞子ほうしふくまれる成分せいぶんには、抗菌こうきんこうウイルス作用さよう免疫めんえき細胞さいぼう活性かっせいなどのはたらきがあります。こうがんさくようはたらきも解明かいめいされてきており、βべーた―グルカンとダブルでがんを予防よぼうしてくれます。
 核酸かくさん分解ぶんかい酵素こうそふくみ、核酸かくさん吸収きゅうしゅうしやすい成分せいぶん分解ぶんかいするちからつよいのも特徴とくちょうの1つです。核酸かくさんのう老化ろうか予防よぼう有効ゆうこうはたらきます。
 ほかに、脂肪しぼう酸化さんか抑制よくせいして動脈どうみゃく硬化こうかふせぐビタミンB2皮膚ひふえん貧血ひんけつ糖尿とうにょうびょう有効ゆうこうなB6などをふくみ、栄養えいよう価値かちたか食品しょくひんです。

調理ちょうりのポイント》


使つかまえにあてるとビタミンD効力こうりょくがアップ〉
 シイタケは年中ねんじゅう出回でまわっていますが、はるものなら3~5がつあきものは9~11がつにでているものがもっともおいしいとされています。
 新鮮しんせんなまシイタケは、うらしろく、うすまくっているものです。じくふとくてみじかく、かさがあまりひらいていないもので、薄茶うすちゃしょくにくあつのものをえらびましょう。
 ビタミンDの効果こうかをよりアップさせるには、使つかまえに20~30ふんほど日光にっこうにあてるのがポイントです。
 キノコはみずけると風味ふうみちてしまうので、みずあらわずにフキンなどでかるいてから使つかいます。
 いろいろな料理りょうり使つかえますが、せいのままいてべるときは、表面ひょうめんあぶら少量しょうりょうると水分すいぶん蒸発じょうはつおさえられ、きれいにがります。
 せいのシイタケを保存ほぞんするときは、あらわずに新聞紙しんぶんしかペーパータオルでつつんでからビニールぶくろれて冷蔵庫れいぞうこへ。日持ひもちはしないので、2~3にち使つかいきりましょう。
注意ちゅういすべきこと
 シイタケは、アレルギー体質たいしつひとべると、さらに症状しょうじょう悪化あっかさせることがあるのでをつけましょう。とくに生焼なまやけのシイタケには要注意ようちゅういです。

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栄養えいよう生化学せいかがく辞典じてん 「シイタケ」の解説かいせつ

シイタケ

 [Lentinula edodes].ハラタケキシメジシイタケぞくぞくする.ひろ栽培さいばいされ,せいとしても乾燥かんそうひんとしても利用りようされるキノコ.乾燥かんそうひんにはエルゴカルシフェロールがおおふくまれる.

出典しゅってん 朝倉書店あさくらしょてん栄養えいよう生化学せいかがく辞典じてんについて 情報じょうほう

世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうちシイタケ言及げんきゅう

核酸かくさん発酵はっこう】より

…60ねんになりこくちゅうあかりは5′‐IMP,5′‐GMP,5′‐キサンチルさん(5′‐XMP)などのヌクレオチドがすぐれたていあじせいゆうすること,またこれらの化合かごうぶつグルタミン酸ぐるたみんさんナトリウムとつよ相乗そうじょう効果こうかゆうすることをいだした。鰹節かつおぶしのうまみは5′‐IMP,シイタケのうまは5′‐GMPで,現在げんざいグルタミン酸ぐるたみんさんナトリウムに5′‐リボヌクレオチドを88:12の割合わりあいでコーティングしたり,顆粒かりゅう(かりゆう)にしたふくあい調味ちょうみりょう市販しはんされている。ていあじせいヌクレオチドの工業こうぎょうてき製造せいぞうほうは,1959ねんこくちゅうあきら坂口さかぐち謹一きんいちろうら,つづいて大村おおむら栄之助えいのすけ緒方おがた浩一こういちらにより,酵母こうぼRNAの微生物びせいぶつ酵素こうそによる分解ぶんかいほうとして開発かいはつされ,61ねんころから生産せいさん開始かいしされた。…

【キノコ(きん∥蕈∥だけ)】より

…キノコといわれる生物せいぶつ菌類きんるいなか大型おおがた実体じったいをつくるきんをさし,学問がくもんてき用語ようごというより,通俗つうぞくてき言葉ことばである。しかしキノコのだい部分ぶぶん担子菌類きんるい所属しょぞくし,マツタケ,シイタケなどのハラタケとサルノコシカケの仲間なかまによって代表だいひょうされる。これらのキノコは森林しんりん生活せいかつし,落葉らくよう木材もくざい分解ぶんかいする主役しゅやくとなり,森林しんりん生態せいたいけいにおける物質ぶっしつ循環じゅんかんにあって掛替かけがえのない役割やくわりをはたす。…

対馬つしま】より

山林さんりん薪炭しんたんざい炭鉱たんこう坑木こうぼく,パルプざいとして利用りようされてきたが,今日きょうでは建築けんちく用材ようざいとしてのすぎ,ヒノキが重要じゅうようせいをもつにいたり,1959ねん設立せつりつされた対馬つしま林業りんぎょう公社こうしゃなどによって,年々ねんねん造林ぞうりん面積めんせき拡大かくだいしている。60ねんころからは豊富ほうふなコナラなどの原木げんぼく資源しげん利用りようしたシイタケ生産せいさんさかんとなり,長崎ながさきけんしシイタケ生産せいさんのほとんどをめる。品質ひんしつすぐれ,とくにドンコは定評ていひょうがある。…

※「シイタケ」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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