伝統でんとう主義しゅぎ（読よみ）デントウシュギ

（1）一般いっぱん的てきには、革新かくしんに反対はんたいし、伝統でんとう的てきに存在そんざいする価値かちや方法ほうほうに固執こしつする態度たいど。心理しんり的てき惰性だせいや未知みちへの恐怖きょうふ心しんの現あらわれである点てんでは保守ほしゅ主義しゅぎと共通きょうつうする。しかし、特定とくていの伝統でんとうを意識いしき的てき、積極せっきょく的てきに価値かちとして主張しゅちょうする政治せいじ的てきイデオロギーとしての保守ほしゅ主義しゅぎと区別くべつして、より心理しんり的てきな反応はんのうに意味いみを限定げんていする場合ばあいもある。ただしこれは、かならずしも一般いっぱんに受うけ入いれられた用語ようご法ほうではない。（2）フランスで、1789年ねん大だい革命かくめいへの反動はんどうとしてボナールなどによって唱となえられた保守ほしゅ的てき政治せいじ思想しそう。ボナールは、家父かふ長ちょうすなわち国王こくおうの精神せいしん的てき権威けんいを中核ちゅうかくとし、カトリシズムを連帯れんたいの原理げんりとした伝統でんとう的てきな身分みぶん社会しゃかいを理想りそうとし、革命かくめいの啓蒙けいもう(けいもう)思想しそう、ブルジョア支配しはいに反対はんたいした。フランス伝統でんとう主義しゅぎは19世紀せいき末まつから20世紀せいきになってもバレス、モーラスなど右翼うよく思想家しそうかによって唱となえられたが、この段階だんかいでは王政おうせいとカトリシズムのほかに、反はんユダヤ主義しゅぎ、極右きょくう国粋こくすい主義しゅぎの性格せいかくも加くわわった。

［半澤はんざわ孝たかし麿まろ］