デジタル大辞泉だいじせん 「伝承でんしょう」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご でん‐しょう【伝承でんしょう】 [名な](スル)1 伝つたえ聞きくこと。人ひとづてに聞きくこと。「浪士ろうし数すう百ひゃく名めい島津しまつ泉いずみ州しゅうに就つきて暴挙ぼうきょの企くわだてあるの趣おもむき、疾やましくも―為ためしたりしかば」〈染崎そめざき延房のぶふさ・近きん世紀せいき聞〉2 ある集団しゅうだんの中なかで、古ふるくからあるしきたり・信仰しんこう・風習ふうしゅう・い伝いつたえなどを受うけ継ついで後世こうせいに伝つたえていくこと。また、そのようにして伝つたえられた事柄ことがら。「郷土きょうど芸能げいのうを伝承でんしょうする」[類語るいご]語かたり継つぐ・語かたり伝つたえる・い伝いつたえる・言いい継つぐ・口承こうしょう・伝つたえる・伝説でんせつ・い伝いつたえ・俗伝ぞくでん・物語ものがたり・口伝くちづたえ・伝統でんとう主義しゅぎ・伝統でんとう的てき・古典こてん的てき・因習いんしゅう的てき・歴史れきし的てき・トラディショナル・コンベンショナル 出典しゅってん 小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「伝承でんしょう」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご でん‐しょう【伝承でんしょう】 〘 名詞めいし 〙① 伝つたえ聞きくこと。人ひとづてに聞きくこと。[初出しょしゅつの実例じつれい]「白昼はくちゅう破やぶ二に五ご位い以上いじょう宅たく門もん一いち、成なり二に濫行一いち之これ由よし云々うんぬん、以二に無実むじつ之の事こと一いち被ひレ達いたる二に天聴てんちょう一いち之これ由よし、愁上為ためレ恐おそれ、伝承でんしょう之の処しょ、心神しんしん失しつ措、事こと之の真偽しんぎ自じ可か二に顕然けんぜん一いち、慥被二に捜さがせ問とい一いち理非りひ分明ふんみょう歟者」(出典しゅってん:権けん記き‐長保ながほ二に年ねん(1000)七なな月がつ二に六ろく日にち)「浪士ろうし数すう百ひゃく名めい、島津しまつ泉いずみ州しゅうに就て暴挙ぼうきょの企くわだてあるの趣おもむき、疾やまし(はや)くも伝承でんしょう(デンショウ)為ためたりしかば」(出典しゅってん:近きん世紀せいき聞(1875‐81)〈染崎そめざき延房のぶふさ〉二に)② ある社会しゃかいや集団しゅうだんの中なかでのしきたりや信仰しんこう、口碑こうひ、伝説でんせつなどを受うけ継ついで後世こうせいへ伝つたえてゆくこと。また、その事柄ことがら。[初出しょしゅつの実例じつれい]「於二に帝王ていおう一いち此礼所しょ二に伝承でんしょう一いち也」(出典しゅってん:貴き嶺みね問答もんどう(1185‐90頃ごろ)一いち二に月がつ四よん日にち) 出典しゅってん 精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「伝承でんしょう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 伝承でんしょうでんしょう 一般いっぱんには、前ぜん世代せだいからの伝統でんとう的てき文化ぶんか遺産いさんを次つぎの世代せだいが引ひき継つぐこと、または継承けいしょうされたその内容ないようを意味いみするが、民俗みんぞく学がくや文化ぶんか人類じんるい学がくでは、常民じょうみん社会しゃかいにおけるある種しゅのまとまった知識ちしきや技術ぎじゅつや信仰しんこうの体系たいけい、習俗しゅうぞく、文字もじ化かされていない説話せつわ(神話しんわ、伝説でんせつ、民話みんわ、昔話むかしばなしなど)、民謡みんよう、諺ことわざ(ことわざ)などの世代せだいを超こえた伝達でんたつを「民間みんかん伝承でんしょう」として研究けんきゅうの対象たいしょうとしている。伝承でんしょうの内容ないようと形式けいしきとは地域ちいき的てき特性とくせいをもつが、ある文化ぶんか体系たいけい内ないにおける個々ここの文化ぶんか要素ようそは、実際じっさいには他たの地域ちいきからもたらされたものが多おおい。このような文化ぶんか要素ようその空間くうかん的てき移動いどうを伝播でんぱ(でんぱ)とよぶのに対たいし、伝承でんしょうとは文化ぶんかの時どき系列けいれつ、とくに世代せだいを経へた伝達でんたつを意味いみするのが普通ふつうである。 情報じょうほうの流通りゅうつう体系たいけいが比較的ひかくてき限定げんていされている社会しゃかいでは、伝承でんしょうの過程かていはより円滑えんかつで、その内容ないようもほぼ一定いっていしているが、現代げんだい社会しゃかいのように情報じょうほう量りょうが増ふえ、内容ないようが多様たよう化かし、しかも価値かち観かんの多岐たき化かによって、受うけ止とめるべき情報じょうほうの選択せんたく基準きじゅん自体じたいが流動的りゅうどうてきとなると、伝承でんしょうの形態けいたい、内容ないようの量りょうと質しつが規制きせいされることになる。 ある時期じき、ある社会しゃかい集団しゅうだんに特有とくゆうの文化ぶんかがあっても、それが次つぎの世代せだいにおいて機能きのうすることがなければ伝承でんしょうされず、一時いちじ的てきな流行りゅうこうまたは風俗ふうぞくに終おわる。しかし、なかには、比較的ひかくてき修正しゅうせいされることが少すくなく、時代じだいを超こえて伝承でんしょうされるものがある。ドイツの民俗みんぞく学者がくしゃハンス・ナウマンはこれを基層きそう文化ぶんかとよび、その時代じだいにおける特殊とくしゅ個別こべつ的てきな表層ひょうそう文化ぶんかと区別くべつした。基層きそう文化ぶんかは、その社会しゃかいの常民じょうみんが超ちょう世代せだい的てきに伝承でんしょうしてきた民族みんぞく文化ぶんかの中核ちゅうかくをなすものであり、日常にちじょう繰くり返かえされる行動こうどう様式ようしきのなかに包含ほうがんされている。それゆえに、伝承でんしょう文化ぶんかの研究けんきゅうは、その民族みんぞく的てき特性とくせいを理解りかいする重要じゅうような手掛てがかりを与あたえると主張しゅちょうする民俗みんぞく学者がくしゃは多おおい。民間みんかん伝承でんしょうと称しょうされるものも、社会しゃかい成員せいいんが同等どうとうに共有きょうゆうしているわけではない。伝承でんしょうされる知識ちしきや技術ぎじゅつの体系たいけいを記述きじゅつ、分析ぶんせきするのが民族みんぞく誌し学がくであり、これが比較ひかく民族みんぞく学がくや文化ぶんか人類じんるい学がくに基礎きそ的てき資料しりょうを提供ていきょうしている。[丸山まるやま孝一こういち]『和歌森わかもり太郎たろう著ちょ『新版しんぱん日本にっぽん民俗みんぞく学がく』(1970・清水しみず弘文こうぶん堂どう)』[参照さんしょう項目こうもく] | 基層きそう文化ぶんか | 民間みんかん伝承でんしょう 出典しゅってん 小学館しょうがくかん 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)について 情報じょうほう | 凡例はんれい
普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり 「伝承でんしょう」の読よみ・字形じけい・画数かくすう・意味いみ 【伝承でんしょう】でんしよう 伝つて襲かさねする。字じ通どおり「伝つて」の項目こうもくを見みる。 出典しゅってん 平凡社へいぼんしゃ「普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり」普及ふきゅう版ばん 字じ通どおりについて 情報じょうほう