デジタル大辞泉だいじせん 「半はん蔀しとみ」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご はじとみ【半はん蔀しとみ】[謡曲ようきょく] 《「はしとみ」とも》謡曲ようきょく。三さん番目ばんめ物ぶつ。内藤ないとう藤左衛門とうざえもん作さく。紫野むらさきのむらさきの雲林院うじいの僧そうが五ご条じょう辺あたりを訪たずねると、夕顔ゆうがおのからまる半はん蔀しとみを押おし上あげて女おんなが現あらわれ、光源氏ひかるげんじと夕顔ゆうがおの上うえのことなどを語かたる。 は‐じとみ【▽半はん×蔀しとみ】 上うえ半分はんぶんを外側そとがわへ吊つるしつり上あげるようにし、下した半分はんぶんをはめ込こみとした蔀しとみ戸どしとみど。[補ほ説せつ]曲名きょくめい別項べっこう。→半はん蔀しとみ 出典しゅってん 小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「半はん蔀しとみ」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご は‐じとみ【半はん蔀しとみ】 [ 1 ] 〘 名詞めいし 〙① 上うえ半はんが釣つり上あげられるようになった蔀しとみ戸ど(しとみど)。[初出しょしゅつの実例じつれい]「梅うめ壺つぼの東面とうめん、はしとみあげて、ここにといへば」(出典しゅってん:枕草子まくらのそうし(10C終おわり)八はち三さん)② 蔀しとみのある小しょう窓まど。特とくに、清涼せいりょう殿どのの小蔀こじとみのある窓まど。[初出しょしゅつの実例じつれい]「主上しゅじょうはじとみより御覧ごらんず」(出典しゅってん:建たて武たけし年中ねんじゅう行事ぎょうじ(1334‐38頃ごろ)正月しょうがつ)[ 2 ] 謡曲ようきょく。三さん番目ばんめ物ぶつ。各かく流りゅう。内藤ないとう藤左衛門とうざえもん作さく。「源氏物語げんじものがたり」による。京都きょうと紫野むらさきの雲林院うじいの僧そうが立花たちばな供養くようをしていると、一人ひとりの女おんなが来きて夕顔ゆうがおの花はなをささげる。やがて五条ごじょうあたりの者ものとだけいって名なもあかさずに消きえる。そこで僧そうが五条ごじょうあたりに行いくと、夕顔ゆうがおの花はなの咲さいている家いえから半はん蔀しとみを押おし上あげて女おんなが現あらわれ、むかし光源氏ひかるげんじが夕顔ゆうがおの花はなの縁えんで夕顔ゆうがおの上うえと契ちぎりを結むすんだことなどを語かたり、舞まいを舞まって半はん蔀しとみの陰かげに姿すがたを消けす。 出典しゅってん 精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「半はん蔀しとみ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 半はん蔀しとみはしとみ 能のうの曲目きょくもく。三さん番目ばんめ物ぶつ。五ご流りゅう現行げんこう曲きょく。作者さくしゃは内藤ないとう藤左衛門とうざえもん(とうざえもん)。「はじとみ」ともいう。『源氏物語げんじものがたり』の「夕顔ゆうがお」の巻まきによる。世阿弥ぜあみ(ぜあみ)の作品さくひんに『夕顔ゆうがお』があり、物もの怪のけ(け)に命いのちをとられる暗くらい主題しゅだいであるのに対たいし、『半はん蔀しとみ』は、つかのまではあるが光源こうげん氏しとの恋こいを得えた喜よろこびをあの世よからいとおしみ続つづける女性じょせい像ぞうを描えがく。小品しょうひんの能のうだが叙情じょじょう的てきな佳作かさく。京都きょうと紫野むらさきの(むらさきの)、雲林院うじい(うんりんいん)の僧そう(ワキ)が夏なつの修行しゅぎょうの間あいだに仏ほとけに供そなえた花はなの供養くようをしていると、1人ひとりの女性じょせい(前まえシテ)が白しろい夕顔ゆうがおの花はなを捧ささげ(ささ)げ、「五条ごじょうわたり」の者ものと告つげて消きえる。五条ごじょうあたりを訪たずねた僧そうが、『源氏物語げんじものがたり』の昔むかしをしのんでいると、夕顔ゆうがおの絡からまる半はん蔀しとみ戸どを押おし上あげて女おんな(後こうシテ)が現あらわれ、夕闇ゆうやみ(ゆうやみ)に白しろく浮うかぶ花はなが縁えんで光源氏ひかるげんじと結むすばれたことを語かたり、美うつくしく慕情ぼじょうを舞まうが、明あけ方がたとともにその姿すがたは消きえ、僧そうの夢ゆめは覚さめる。花はなの精せいと夕顔ゆうがおの女おんなの二に重じゅう映うつしの効果こうかもみごとである。半はん蔀屋しとみやの作つくり物ものも印象いんしょう的てきで、前段ぜんだんに実際じっさいの立花たちばな(りっか)を出だす特別とくべつな演出えんしゅつもある。[増田ますだ正造しょうぞう][参照さんしょう項目こうもく] | 能のう 出典しゅってん 小学館しょうがくかん 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)について 情報じょうほう | 凡例はんれい
改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん 「半はん蔀しとみ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 半はん蔀しとみ (はじとみ) 能のうの曲名きょくめい。三さん番目ばんめ物ぶつ。鬘かずら物ぶつ(かつらもの)。流派りゅうはにより〈はしとみ〉とも読よむ。内藤ないとう某ぼう作さっか。シテは夕顔ゆうがお上じょう(ゆうがおのうえ)の霊れい。京都きょうとの紫野むらさきのに住すむ僧そう(ワキ)が花供養はなくようをしていると,若わかい女おんな(前ぜんジテ)が来きて夕顔ゆうがおの花はなを捧ささげて消きえ失うせる。僧そうがその言葉ことばに従したがって五条ごじょうあたりに赴おもむくと,半はん蔀しとみ戸どを下おろした小ちいさな家いえから夕顔ゆうがお上じょうの霊れい(後こうジテ)が昔むかしの姿すがたで現あらわれる。霊れいは,光源氏ひかるげんじと結むすばれたおりのことを物語ものがたり(〈クセ〉),舞まいを舞まい(〈序じょノ舞まい〉),明あけ方がたが近ちかづくとまた半はん蔀しとみ戸どの奥おくに消きえて行いく。クセと序じょノ舞まいが中心ちゅうしんとなっているが,本ほん三さん番目ばんめ物ぶつの中なかでは小品しょうひんで,夕顔ゆうがおの花はなに焦点しょうてんをおいてかなり明あかるく描えがかれる。執筆しっぴつ者しゃ:横道よこみち 万里まり雄つよし 半はん蔀しとみ (はじとみ) →蔀しとみ戸ど(しとみど) 出典しゅってん 株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ「改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん」改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてんについて 情報じょうほう
山川やまかわ 日本にっぽん史し小しょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱん 「半はん蔀しとみ」の解説かいせつ 半はん蔀しとみはじとみ ⇒蔀しとみ(しとみ) 出典しゅってん 山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ「山川やまかわ 日本にっぽん史し小しょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱん」山川やまかわ 日本にっぽん史し小しょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱんについて 情報じょうほう
世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん(旧版きゅうばん)内うちの半はん蔀しとみの言及げんきゅう 【蔀しとみ戸ど】より …たとえば平安へいあん末期まっきの平清盛たいらのきよもりの六ろく波は羅ら泉いずみ殿どの寝殿しんでんでは南面なんめんを格子こうしとし,北面ほくめんには蔀しとみを使用しようしていた。柱はしら間あいだ全部ぜんぶを1枚まいの蔀しとみとする場合ばあいもあるが,重おもすぎて開閉かいへいが困難こんなんなので,上下じょうげ2枚まいに分わけて〈半はん蔀しとみ(はじとみ)〉とするのが普通ふつうだった。これは上うえ半分はんぶん(上うえ蔀しとみ)を長押なげしから釣つり下さげ,あける時ときははねあげて先端せんたんを垂木たるきから下さげられた金具かなぐにかけ,下した半分はんぶん(下しも蔀しとみ)は柱はしらに打うちつけられた寄よせ(よせ)に掛金かけきんでとめておき,あるいは取とりはずして柱はしら間あいだ全部ぜんぶをあけはなつこともできた。… ※「半はん蔀しとみ」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつの一部いちぶを掲載けいさいしています。 出典しゅってん|株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ「世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん(旧版きゅうばん)」