デジタル大辞泉だいじせん 「喜捨きしゃ」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご き‐しゃ【喜捨きしゃ】 [名な](スル)進すすんで寺社じしゃ、僧そうや貧者ひんじゃに金品きんぴんを寄付きふすること。「托鉢たくはつ僧そうに喜捨きしゃする」[類語るいご]寄付きふ・贈おくる・贈与ぞうよ・寄贈きぞう・贈答ぞうとう・恵贈けいぞう・寄進きしん・勧進かんじん・奉納ほうのう・奉加ほうが・献金けんきん・献納けんのう・献本けんぽん・募金ぼきん・カンパ 出典しゅってん 小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「喜捨きしゃ」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご き‐しゃ【喜捨きしゃ】 〘 名詞めいし 〙 喜よろこんで寺社じしゃや貧まずしい人ひとに寄付きふすること。浄きよし施ほどこせ。施与せよ。寄進きしん。[初出しょしゅつの実例じつれい]「欲よく下した折おり二に自じ之これ貢みつぎ高だか驕慢きょうまん之の幢一いち開ひらく中なか彼かれ之の大だい施ほどこせ喜捨きしゃ之の門もん上うえ」(出典しゅってん:天てん柱ばしら集しゅう(1348頃ごろ)与あずか伯耆ほうき殿しんがり書しょ)[その他たの文献ぶんけん]〔紅べに楼ろう夢ゆめ‐三さん九きゅう回かい〕 出典しゅってん 精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「喜捨きしゃ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 喜捨きしゃきしゃ 元来がんらいは仏教ぶっきょう用語ようごで、利他りた心こころおよびそれに基もとづく行為こういをいう。行為こういの形態けいたいや意味いみは各かく宗教しゅうきょうにより異ことなるが、同様どうような行為こういは広ひろくさまざまな宗教しゅうきょうにみられ、喜捨きしゃは一ひとつの典型てんけい的てきな宗教しゅうきょう倫理りんり行為こういという広義こうぎの意味いみに解ほぐされる。未開みかい宗教しゅうきょうでも、弱者じゃくしゃ・困窮こんきゅう者しゃの相互そうご扶助ふじょや有力ゆうりょく者しゃによる保護ほごは血縁けつえん意識いしきと宗教しゅうきょう意識いしきの混合こんごうした力ちからに支ささえられ、広ひろく行おこなわれている。 ヒンドゥー教きょうでは、古来こらい、バラモン僧そうや出家しゅっけ修行しゅぎょう者しゃへの財宝ざいほうの施ほどこしは功徳くどく(くどく)ある行為こういとされている。仏教ぶっきょうの喜捨きしゃは、このヒンドゥー教きょうの理念りねんを受うけ継ついだものと考かんがえられ、財宝ざいほうの施ほどこしはおもに出家しゅっけ僧そうとその教団きょうだん(サンガ、僧そう伽とぎ(そうぎゃ))に限かぎられている。在俗ざいぞく信徒しんとにとっては、それは三宝さんぼう(仏ふつ・法ほう・僧そう)を護持ごじし、かつ財ざいへの執着しゅうちゃくを離はなれる功徳くどくある行為こういとされ、上座かみざ部ぶ仏教ぶっきょうでは今日きょうも盛さかんに行おこなわれている。 ユダヤ教きょう、キリスト教きりすときょう、イスラム教いすらむきょうでは、喜捨きしゃはおもに貧者ひんじゃ救済きゅうさいに向むけられる。ユダヤ教きょうでは、『旧約きゅうやく聖書せいしょ』に喜捨きしゃの具体ぐたい的てきな言及げんきゅうがみられ、神かみの義ぎにかなう行為こうい、贖罪しょくざい(しょくざい)の行為こういとみなされ、さらに律りつ法ほうで詳細しょうさいに規定きていされている。キリスト教きょうでは、貧者ひんじゃへの施ほどこしはイエスの説といた愛あいの教おしえの端はし的てきな実践じっせんであると考かんがえられ、古代こだい・中世ちゅうせいには広ひろく行おこなわれ、今日きょうもその伝統でんとうは続つづいている。 イスラム教いすらむきょうでは、信仰しんこう義務ぎむの一ひとつであるザカート(定さだめの喜捨きしゃ)と、サダカ(自由じゆう喜捨きしゃ)がある。ザカートはかなり初期しょきに救貧きゅうひん税ぜいとして制度せいど化かされ、さらに後ごのイスラム法ほうの体系たいけい化かに伴ともない、課税かぜい対象たいしょう、税率ぜいりつ、使用しよう用途ようとなどが詳細しょうさいに規定きていされた。サダカは個人こじんの自由じゆう意志いしにゆだねられ、贖罪しょくざい行為こういとしても認みとめられる。喜捨きしゃによる財ざいは、貧者ひんじゃ、孤児こじ、税ぜい徴集ちょうしゅう人じんらに配くばられ、また伝道でんどう、聖戦せいせんなど宗教しゅうきょう活動かつどうに用もちいられる。コーランでは、両者りょうしゃの区別くべつは明確めいかくではなく、サダカが「誠意せいい」を、ザカートが「心しんの清浄せいじょう」を一般いっぱんに意味いみすることから推おしても、両者りょうしゃともに喜捨きしゃの精神せいしんが重視じゅうしされることは明あきらかである。各かく個人こじんの信仰しんこう心しんに基もとづき、同時どうじにその共同きょうどう体たいを正ただしく維持いじすることがイスラム教いすらむきょうの理念りねんであり、喜捨きしゃはその理念りねんを端的たんてきに表現ひょうげんしている。[小田おだ淑子としこ] 出典しゅってん 小学館しょうがくかん 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)について 情報じょうほう | 凡例はんれい
百科ひゃっか事典じてんマイペディア 「喜捨きしゃ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 喜捨きしゃ【きしゃ】 惜おしむ心しんなく,喜よろこんで財物ざいぶつを施ほどこせ捨すること。施ほどこせ捨は仏ふつ・法ほう・僧そうの三宝さんぼうを守まもるためでもあり,また財物ざいぶつに対たいする執着しゅうちゃくや物欲ぶつよくから離脱りだつさせる意味いみもある。 出典しゅってん 株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ百科ひゃっか事典じてんマイペディアについて 情報じょうほう
普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり 「喜捨きしゃ」の読よみ・字形じけい・画数かくすう・意味いみ 【喜捨きしゃ】きしや 浄財じょうざいを寄附きふする。字じ通どおり「喜き」の項目こうもくを見みる。 出典しゅってん 平凡社へいぼんしゃ「普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり」普及ふきゅう版ばん 字じ通どおりについて 情報じょうほう
世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん(旧版きゅうばん)内うちの喜捨きしゃの言及げんきゅう 【イスラム】より …イバーダートは文字もじどおりには神かみへの奉仕ほうしであり,宗教しゅうきょう学がくでいう儀礼ぎれいに相当そうとうする。後のちに五ご柱はしら(ごちゆう)として定型ていけい化かされたところから信仰しんこう告白こくはく(シャハーダshahāda)を除のぞいた,礼拝れいはい,喜捨きしゃ(ザカート),断食だんじき,巡礼じゅんれいのほか,コーランではジハードがとくに強調きょうちょうされている。ムアーマラートは文字もじどおりには行動こうどうの規範きはん,なかでも信者しんじゃ同士どうしの人間にんげん関係かんけいであり,これには姦淫かんいんをしないこと,孤児こじの財産ざいさんをむさぼらないこと,契約けいやくを守まもること,秤ばかりをごまかさないことといった倫理りんり的てきなおきてのほか,婚姻こんいん,離婚りこん,遺産いさん相続そうぞく,ハッド(犯罪はんざい)に関かんする規定きていから利子りしの禁止きんし,孤児こじの扶養ふようと後見こうけん,賭かけ矢やや豚肉ぶたにくを食たべることの禁止きんし,日常にちじょうの礼儀れいぎ作法さほうの心得こころえまでを含ふくむ。… 【乞食こじき】より …富とめる者ものは再さい分配ぶんぱいの義務ぎむを負おうが,貧まずしい者ものは施ほどこしを受うけ,その代かわりに富とめる者もののために祈いのるという関係かんけいは,どの宗教しゅうきょうにおいても普遍ふへん的てきにみられるものだといえる。ヨーロッパにおいてはこのような関係かんけいのうえにキリスト教きりすときょうの教義きょうぎが形成けいせいされ,現世げんせいにおける最大さいだいの善行ぜんこうのひとつとして喜捨きしゃが位置いちづけられ,そのためにこじきの存在そんざいがキリスト教きりすときょう倫理りんりの前提ぜんていとされていた。中世ちゅうせいにおいてはこじきは現代げんだいと違ちがって社会しゃかい的てきに容認ようにんされた存在そんざいであり,こじきの仲間なかま団体だんたいすら結成けっせいされていた。… 【サダカ】より …〈喜捨きしゃ〉を意味いみするアラビア語ごで,イスラム法ほうに定さだめるムスリムの義務ぎむとしてのザカートに対たいし,自発じはつ的てきな喜捨きしゃを意味いみし,それが自発じはつ的てきであることを強調きょうちょうするために,とくにサダカ・アッタタッウーṣadaqa al‐taṭawwu‘(自発じはつのサダカ)ということもある。コーランでは,ザカートもサダカも自発じはつ的てき喜捨きしゃを意味いみした。… ※「喜捨きしゃ」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつの一部いちぶを掲載けいさいしています。 出典しゅってん|株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ「世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん(旧版きゅうばん)」