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建具(タテグ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

建具たてぐみ)タテグ

デジタル大辞泉だいじせん建具たてぐ」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

たて‐ぐ【建具たてぐ

障子しょうじふすまふすまなど、建物たてもの外部がいぶ、また建物たてもの内部ないぶ仕切しきるためにもうけた開閉かいへいできるもの。
[類語るいご]障子しょうじふすま

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん建具たてぐ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

建具たてぐ (たてぐ)

とびらのように,開口かいこうけて,使用しようしゃ意志いしによって出入でいするものにたい開閉かいへいできる機能きのうをもつものの総称そうしょう出入でいりするものには,にんものあめ空気くうきひかり視線しせんねつおとなどがある。これらの出入でいりを,ある場合ばあいには開口かいこうのように自由じゆうゆるし,ある場合ばあいにはかべなどのように仕切しきるという,相反あいはんするふたつの機能きのう解決かいけつするためのものである。したがって,歴史れきしてきには,障子しょうじふすま,ついたて,屛風のように,うごかせるかべとして,そのふたつの機能きのう解決かいけつをはかる機構きこうのものがおおい。現代げんだいでは,建具たてぐ機能きのうたいする要求ようきゅう多様たようになり,それを解決かいけつする技術ぎじゅつ進歩しんぽしたことから,エアカーテンのように建具たてぐとしてられがたい建具たてぐ出現しゅつげんしている。はめころしガラスまど和風わふう住宅じゅうたくにおける欄間らんま格子こうしなどは,一般いっぱんかべことなるかべであり,建具たてぐしょくによって製作せいさくされることから,建具たてぐ一種いっしゅ解釈かいしゃくされる場合ばあいがあるが,使用しようしゃ意志いしでその出入でいりするものにたい開閉かいへいできないことから建具たてぐとはいいがたい。

 建具たてぐ通常つうじょう可動かどう部分ぶぶんと,それをおさめるわくとからつ。和風わふう建築けんちくにおける障子しょうじ,ふすまなどのわく通常つうじょう存在そんざいしないが,はしら,はりなどをわく兼用けんようしたものと解釈かいしゃくされる。建具たてぐは,歴史れきしてき建物たてもの発生はっせい建物たてものもちいられているが,家具かぐにももちいられ,また,馬車ばしゃ列車れっしゃ自動車じどうしゃふね航空機こうくうきなど人間にんげん生活せいかつのある空間くうかん仕切しきりの一部いちぶには,かなら建具たてぐもちいられている。建物たてもの場合ばあいかべけられる建具たてぐがもっともおおいが,あげぶたしきとびらのようにゆかけられるものもあり,屋根やね天窓てんまどけられるものもある。またひとぶつ出入口でいりぐちけられる建具たてぐのほか,まど建具たてぐのように空気くうきひかりなどの出入でいりにたいして開閉かいへいするものがあり,空調くうちょう吹出ふきでこう空気くうき出入でいりにたいして開閉かいへいできる可動かどうがらりなども建具たてぐ一種いっしゅといってよい。床下ゆかした換気かんきあななどは開口かいこう一種いっしゅであるが,なつふゆおうじて開閉かいへい可能かのうのものは建具たてぐ一種いっしゅといってよい。また,カーテンブラインドすだれなどは,ひかり視線しせんなどの出入でいりにたい開閉かいへい可能かのうであることから,当然とうぜん建具たてぐ一種いっしゅといえる。

建物たてもの主要しゅよう建具たてぐは,にん出入でいりにたいして開閉かいへいする出入口でいりぐちよう建具たてぐ物品ぶっぴん出入でいりにたいして開閉かいへいする収納しゅうのうよう建具たてぐにんもの以外いがいひかり空気くうきなどの出入でいりにたいして開閉かいへいするまどよう建具たてぐ出入口でいりぐちようまどようとを兼用けんようするテラスよう建具たてぐなどに大別たいべつされる。しかし,これら建具たてぐ開閉かいへい対象たいしょう多種たしゅである場合ばあい通常つうじょうであり,出入口でいりぐちよう建具たてぐも,まどよう建具たてぐ同様どうようひかり空気くうきなどの出入でいりにたいしても同時どうじ開閉かいへいする場合ばあいおおい。特殊とくしゅ開閉かいへい対象たいしょう建具たてぐ換気扇かんきせんよう建具たてぐ家畜かちくよう建具たてぐ防潮ぼうちょうよう建具たてぐなどいろいろのものがあり,ひと自由じゆうだがひとふたたれないという,おな出入でいり対象たいしょう区別くべつする建具たてぐ動物どうぶつえん裏門うらもんなどにもうけられる回転かいてんとびら)もある。

開閉かいへい方式ほうしき基本きほんは,引戸ひきどひらきである。引戸ひきど日本にっぽん伝統でんとうてき開閉かいへい方式ほうしき中世ちゅうせい以降いこう)で,ひらき欧米おうべい伝統でんとうてき開閉かいへい方式ほうしきである。引戸ひきど開閉かいへいにむだなスペースを必要ひつようとしないが,機構きこうてき気密きみつにするのが困難こんなんである。ひらきはそのぎゃくである。ひらきとびらまたはドアと場合ばあいおおい。引戸ひきどには,枚数まいすうレール本数ほんすう移動いどう方向ほうこうなどによって,かた引戸ひきど引込ひきこめ,引違,3まい引戸ひきど,4まい引戸ひきど一本いっぽん雨戸あまどシャッターなどがある。ひらきには,回転かいてんじく位置いち枚数まいすう移動いどう方向ほうこうなどによってかたひらき自由じゆう,2まいりょうひらき回転かいてん押出おしだし,引倒よこじく回転かいてん可動かどうがらりなどがある。また引戸ひきどひらき開閉かいへい方式ほうしきふくあわしたものに,すべりおりたたみアコーディオンドアなどがある。

手動しゅどうしき電動でんどうしき大別たいべつされる。手動しゅどうしきは,引戸ひきどひらきのように直接ちょくせつ操作そうさするものと,欄間らんま回転かいてんなどのようにひもくさり操作そうさぼうなどをもちいて間接かんせつてき操作そうさするものとがある。電動でんどうしきは,駆動くどう装置そうちにモーターをもちい,しボタンスイッチ操作そうさによるものがふつうであるが,オートドア自動じどう開閉かいへいのシャッターなどのように各種かくしゅ感知かんち装置そうち操作そうさによるものもある。

一般いっぱん建具たてぐは,閉時にかべなどと同様どうよう機能きのう目的もくてきをもつ場合ばあいおおく,防犯ぼうはんぼう気密きみつなどの機能きのう目的もくてきもちいられる反面はんめん格子戸こうしどのようにひと出入でいりのみを遮断しゃだんする機能きのう目的もくてきのものもある。ある機能きのう目的もくてき強化きょうかする目的もくてきでつくられる建具たてぐに,防火ぼうかぼうけむりたい風圧ふうあつ気密きみつサッシュ,防音ぼうおんとびら非常ひじょうとびらなどがある。

木製もくせい建具たてぐはがねせい建具たてぐアルミせい建具たてぐの3しゅ大別たいべつできる。木製もくせい建具たてぐは,和風わふう洋風ようふうかれる。木製もくせい和風わふう建具たてぐは,日本にっぽん伝統でんとうてき建具たてぐいだもので,桟とばん構成こうせいされる雨戸あまど唐戸からとまいりょう鏡板かがみいた格子戸こうしどなど,桟といたおよびかみまたはぬの構成こうせいされるふすま,桟といたおよびかみ構成こうせいされる障子しょうじなどがある。この3しゅふくあわしたものもあり,現代げんだいでは障子しょうじばんかわりにいたガラス,合板ごうはんもちいたものもおおい。木製もくせい洋風ようふう建具たてぐは,桟,合板ごうはんばん,ガラスなどで構成こうせいされ欧米おうべい様式ようしきしたがっている。はがねせい建具たてぐは,スチールサッシュともばれ,鋼板こうはんまたはロール成形せいけいのスチールサッシュバー,鋼板こうはん,ガラスなどで構成こうせいされる。アングル防火ぼうかはがねせいガラス,スチールシャッターなどがある。アルミせい建具たてぐ比較ひかくすれば,さび,加工かこう精度せいどなどのてんにおいておとるが,防火ぼうかせいにおいてまさ特質とくしつをもっている。アルミせい建具たてぐアルミサッシュともいう)は,押出おしだし成形せいけいのアルミサッシュバー,アルミばん,ガラスなどで構成こうせいされる。現在げんざい,ガラスとして,住宅じゅうたく,ビル建築けんちくなどにもっとも多用たようされている。維持いじ管理かんりらくで,加工かこう精度せいどたか気密きみつせいすぐれているが,はがねせい建具たてぐ比較ひかくすれば耐火たいかせいおと欠点けってんをもっている。以上いじょうのほか,ステンレスせい建具たてぐ,ブロンズせい建具たてぐもあり,ガラスまたはプラスチックのみをもちいたガラスドア,アクリルドアなどもある。

 木製もくせい建具たてぐは,建具たてぐによって現場げんばわせて製作せいさくされけられる場合ばあいおおい。アルミせい建具たてぐはがねせい建具たてぐは,工場こうじょう生産せいさんされ,わくとが一体いったいぐみ部品ぶひんとして製作せいさくされけられる。それらには住宅じゅうたくようサッシュのようなレディメード部品ぶひん,ビルようサッシュのようなオーダーメード部品ぶひん,その中間ちゅうかんのイージーオーダーメード部品ぶひん製品せいひんがある。

わくをつなぎ開閉かいへい動作どうさたすける部品ぶひんに,引戸ひきどには戸車とぐるま,レールがあり,ひらきにはたてわくとをつなぐちょうつがい,うえわくおよびしたわくをつなぐじくつり金物かなものがある。引戸ひきどでは,戸車とぐるま省略しょうりゃくされたり,レールがわく一体化いったいかされたりするものもおおい。手動しゅどう直接ちょくせつ操作そうさ建具たてぐでは,引戸ひきどには引手ひきてひらきには,押板などの部品ぶひんもうけられる。開閉かいへいのスピードを調整ちょうせいする部品ぶひんに,ドアクローザー,フロアヒンジ,クローザーヒンジなどがある。開閉かいへい位置いち調整ちょうせいする部品ぶひんとしては,各種かくしゅストッパー金物かなものがある。手動しゅどう間接かんせつ操作そうさ建具たてぐには,ハンドルなどの直接ちょくせつ操作そうさ部品ぶひんくさり回転かいてんぼうなどの伝達でんたつ部品ぶひんが,また電動でんどう建具たてぐには,駆動くどう部分ぶぶん伝達でんたつ部分ぶぶん操作そうさ部分ぶぶん各種かくしゅ部品ぶひんもうけられる。開閉かいへい管理かんり必要ひつよう建具たてぐには,じょうもうけられ,管理かんり目的もくてき開閉かいへい方式ほうしき操作そうさ方式ほうしきなどにおうじた各種かくしゅじょう製品せいひんされている。

防犯ぼうはん防寒ぼうかんしょうエネルギーなどの要求ようきゅうがきびしい場合ばあいには,2じゅう,3じゅう建具たてぐもちいる。住宅じゅうたくでも,雨戸あまど網戸あみど,ガラス,カーテンまたはブラインドと4じゅうもちいることが現代げんだいでは常識じょうしきになってきている。
執筆しっぴつしゃ

日本にっぽん住居じゅうきょにおける建具たてぐのようすがややあきらかになるのは奈良なら時代じだい以降いこうである。このころの住宅じゅうたく内部ないぶ間仕切まじきがなく,1むね1しつてき使つかわれほうであったらしい。屋内おくないしゅとしてよるごすためのものであったから閉鎖へいさてきくらく,開口かいこうには防犯ぼうはんのためのがんじょうなとびらがはめられていた。平安へいあん時代じだい寝殿造しんでんづくり基本きほんてきには1むね1しつで,必要ひつようおうじて〈舗設(しつらい)〉とばれる屛風,ついたて,几帳きちょうなどで室内しつない仕切しきっていた。外回そとまわにもかべはほとんどなく,出入でいりのための妻戸つまど(つまど)(とびら)のほかははんしとみ(はじとみ)(しとみ(しとみど))がおおもちいられた。はんしとみ特徴とくちょうはきわめて開放かいほうてき空間くうかんられることであり,これによって室内しつない庭園ていえんとを一体化いったいかする日本にっぽんてきすまいの基本きほんかたちづくられることになった。内部ないぶにも生活せいかつじょう要求ようきゅうしたがってしだいにあいだ仕切じきりがえはじめ,前述ぜんじゅつの舗設のほかにふすま多用たようされるようになる。ふすまは引ちがいの形式けいしきがふつうで,これはじく中心ちゅうしん開閉かいへいする妻戸つまどしとみのような回転かいてんしき建具たてぐとはことなり,あたらしい機構きこうをもつものであった。軽量けいりょう開閉かいへい容易よういであり,またその表面ひょうめんえがくことによって室内しつないはなやかに演出えんしゅつする要素ようそともなった。引戸ひきど形式けいしきそとかい建具たてぐにも応用おうようされ,平安へいあん時代じだい末期まっきには寝殿しんでん北面ほくめんなどの私的してき空間くうかん中心ちゅうしんに,まいりょう(まいらど)形式けいしき遣戸やりど(やりど)が使用しようされはじめる。またあか障子しょうじ,つまり現在げんざい障子しょうじ登場とうじょうするのも平安へいあん末期まっきである。これはとおる遣戸やりど(すきやりど)またはとおる障子しょうじ(すきしようじ)とばれる引ちがいの格子戸こうしど片面かためんに,和紙わしまたはうすきぬをはったものから発達はったつしたとおもわれるが,ひかりとおすがふう外気がいき遮断しゃだんするという,従来じゅうらい建具たてぐにはなかったまったくあたらしい機能きのうによって屋内おくない生活せいかつおおきな変革へんかくをもたらした。しかし,儀式ぎしきなどハレの空間くうかんとして使用しようされる寝殿しんでん南面なんめんなどでは,相変あいかわらずしとみ主流しゅりゅうめていた。引違建具たてぐ全面ぜんめんてき展開てんかいをみせるのは室町むろまち時代じだい以降いこうで,近世きんせい完成かんせいされた書院造しょいんづくりでは内部ないぶをふすまによってあいだ仕切じきり,外回そとまわりには障子しょうじれて,あめふせぐためのふかのきとともに開放かいほうてき空間くうかんをつくりした。書院造しょいんづくり原形げんけいとする日本にっぽん伝統でんとうてき住宅じゅうたくでは,欧米おうべい住宅じゅうたくことなりかべがきわめてすくなく,内外ないがいともに障子しょうじやふすま,板戸いたどなどの引違建具たてぐしゅたる間仕切まじきり装置そうちである。これらの建具たてぐ古代こだいにおける舗設とおなじように,空間くうかんをゆるやかに仕切しきり,限定げんていせい融通ゆうずうせいんだ独特どくとく空間くうかんをつくりしている。
執筆しっぴつしゃ

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)建具たてぐ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

建具たてぐ
たてぐ

障子しょうじなど部屋へやをくぎるためあるいは開口かいこう開閉かいへいするためにもうけるもの。

 日本にっぽんでは弥生やよい(やよい)時代じだい遺跡いせきから発見はっけんされているいちまいばんでできたひらが、建具たてぐとして発見はっけんされているもっともふるいものであろう。古墳こふん時代じだいになると、うちひらきのひらをつけていた軸受じくうけのこしている埴輪はにわ(はにわや)が美園みその遺跡いせきから発見はっけんされているほかに、佐味田さみた宝塚たからづか古墳こふん出土しゅつど家屋かおくぶんきょうえがかれた竪穴たてあな(たてあな)住居じゅうきょや、東大とうだい寺山てらやま古墳こふん出土しゅつどけん(つか)につけられた竪穴たてあな住居じゅうきょがたかざりに、げる形式けいしき建具たてぐがみられる。飛鳥あすか(あすか)時代じだい奈良なら時代じだいには、住宅じゅうたく寺院じいん神社じんじゃいずれもひら使つかわれていた。法隆寺ほうりゅうじ金堂こんどうでは、弥生やよい時代じだい同様どうよういちまいばんからじくけずしたそとびらきのがみられ、この時代じだいまでいちまいばんからけずしたものがひろ使つかわれていたとかんがえられる。つづ奈良なら時代じだい以降いこうとびら構造こうぞう変化へんかがみられ、唐招提寺とうしょうだいじ(とうしょうだいじ)金堂こんどうでははばせまいたうらよこ桟のあるうちひらきの使つかわれ、また、よこ桟の両面りょうめんからたてばんち、上下じょうげはしくえをつけたひらたてばんはしくえめたひらも、奈良なら時代じだいから平安へいあん時代じだいにかけてひろ使つかわれている。平安へいあん時代じだいにはひらのほかに、上部じょうぶつるし(つ)りもととしてうちまたはそとげるしとみ(しとみど)が使つかわれている。しとみいたひょう格子こうし内側うちがわなどでかざることがおおい。

 平安へいあん時代じだいなかごろ以降いこう建具たてぐとしての障子しょうじ格子こうしのように敷居しきい鴨居かもい(かもい)をもちいた使つかわれるようになる。障子しょうじには構造こうぞう表面ひょうめん(は)る材料ざいりょうによってふすま(ふすま)障子しょうじ唐紙からかみ(からかみ)障子しょうじあきら(あかり)障子しょうじなどの種類しゅるいがあった。鎌倉かまくら時代じだいにはあらたに大陸たいりくからつたえられた建築けんちく様式ようしきである唐様からよう(からよう)や天竺てんじくさま(てんじくよう)とともに桟唐(さんからど)が伝来でんらいした。ひらとして使つかわれた桟唐は、わくんだなかいたをはめた構造こうぞうで、平安へいあん時代じだいまでのいたとびらくらべて軽量けいりょうであった。平安へいあん時代じだいまでは、いたとびら構造こうぞうざいである長押なげし(なげし)にけられていたが、桟唐場合ばあいにはわら(わらざ)とよばれる軸受じくうけつらぬけ(ぬき)にけている。この桟唐はおもに寺院じいん建築けんちく使つかわれている。平安へいあん時代じだいすえから、外回そとまわりの建具たてぐとして、はしらあいだ(はしらま)ごとにひょうよこ桟のある板戸いたどである遣戸やりど(やりど)(まいりょう(まいらど)ともいう)まいちがいにもちい、明障子あかりしょうじいちまいわせた三枚さんまいきがひろもちいられている。そのほかに比較的ひかくてきうすすぎばんかまち(かまち)をつけた杉戸すぎとが、しゅとしていれがわ区画くかく使つかわれるようになった。室町むろまち時代じだいころには、明障子あかりしょうじ腰板こしいたのついた腰障子こししょうじや、した半分はんぶん遣戸やりどとなりじょう障子しょうじ縦桟たてざん間隔かんかくせまくなった腰高こしだか障子しょうじなどがあらわれた。

 表面ひょうめんうるししょく(しっくい)で仕上しあげたひら防火ぼうか目的もくてき土蔵どぞうしろおよび土蔵どぞうづくり町家まちや使つかわれている。

 普段ふだんあまり使つかわない建物たてもの保護ほごするために、雨戸あまどとよばれた板戸いたど桃山ももやま時代じだいころから使つかわれている。この雨戸あまどは、茶室ちゃしつのようなちいさな建物たてものではのきにかけ、おおきな建物たてものでは軒下のきした仮設かせつしたはしらあいだにはめんだりちがいにてたりしている。江戸えど時代じだいはいると、二条城にじょうじょうまる大広間おおひろまみなみおよび西にしめんにみられるような、戸袋とぶくろ収納しゅうのうされ一筋ひとすじ敷居しきい鴨居かもいもちいるどおしの雨戸あまど使つかわれるようになる。町家まちやひょう場合ばあいには、雨戸あまどいちあいだおきにてられたはしらあいだよことしまれ、うえげられて鴨居かもいうえ収納しゅうのうされるのが普通ふつうである。そのほか、近世きんせいには、まどうちにかける障子しょうじや、けんどんの構造こうぞうをもった障子しょうじやふすまも使つかわれ、さらに、いつごろから使つかわれるようになったかわからないが、便所べんじょとびらなどにちいさなひじつぼ(ひじつぼ)をもちいたひら使つかわれている。

 日本にっぽん以外いがい地域ちいきでは、ひら主流しゅりゅうであるが、比較的ひかくてきあたらしくまど回転かいてんまど使つかわれるようになっている。はほとんど使つかわれず、あってもほとんどがうえ構造こうぞうである。

 近代きんだいになると、金属きんぞく使つかってさまざまな形式けいしき建具たてぐ考案こうあんされた。うごきからおおきく分類ぶんるいすると、平行へいこう移動いどうする形式けいしき回転かいてんする形式けいしきけられ、その組合くみあわせもみられる。平行へいこう移動いどう形式けいしきには日本にっぽん障子しょうじ・ガラスなどとまどなどがあり、回転かいてん形式けいしき欧米おうべいしきのドアやまどがおもなものである。組合くみあわせには、すべまど、アコーディオンドアなどがある。そのほかシャッターのようにうえげる形式けいしきもある。また、さまざまな目的もくてきから気密きみつせいをもたせたもの、遮音しゃおん要求ようきゅうされるものもつくられている。

平井ひらい きよし


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百科ひゃっか事典じてんマイペディア建具たてぐ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

建具たてぐ【たてぐ】

障子しょうじなど建築けんちくぶつ出入口でいりぐちまどなどの開口かいこう開閉かいへいするもの。ひとつの空間くうかん空間くうかんをつなぐと同時どうじ空間くうかん仕切しきるというふたつの相反あいはんする機能きのうをもつ。盗難とうなん火災かさい騒音そうおんねつひかり景観けいかん遮蔽しゃへい(しゃへい)とう目的もくてきにより形式けいしき多様たようで,唐戸からと(からど),まいりょう(まいらど),ふすま(ふすま)とうのほかガラス・てつ・アルミとう材料ざいりょう使用しようしたシャッターサッシュブラインドひとしつくられている。

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん建具たてぐ」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

建具たてぐ
たてぐ

まど出入口でいりぐちあいだ仕切じきりなどに取付とりつけるふすま障子しょうじなどの総称そうしょうまど出入口でいりぐちなどの外気がいきめんするものは,ふうあめねつおとなどを遮断しゃだんする性能せいのう必要ひつようで,まどもちいるものは採光さいこうのためにガラスりのものがおおい。あいだ仕切じきりや部屋へや廊下ろうかあいだもちいるものは,おと遮断しゃだん要求ようきゅうされる場合ばあいがある。建具たてぐ開閉かいへい方法ほうほうには,よこき,たてき (まどなど) ,よこびらき (かたひらきと両開りょうびらきがある) ,たてびらき (回転かいてん突出つきだしなど) のほか,あいだ仕切じきりにはりたたみしき (アコーディオンドアなど) がある。建具たてぐ材料ざいりょうには,木材もくざいのほか,てつ,アルミニウム,プラスチックがもちいられ,とくてつやアルミニウムせいのものは建具たてぐわく一緒いっしょにして,いわゆる金属きんぞくサッシとして標準ひょうじゅんされた寸法すんぽうのものが市販しはんされている。

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リフォーム用語ようごしゅう建具たてぐ」の解説かいせつ

建具たてぐ

建築けんちくぶつ開口かいこうもうけられる開閉かいへい機能きのうあいだ仕切じきりのことおもに、かべ開口かいこうけられてとびらまどとしてもちいられることおおい。用途ようとは、出入口でいりぐち通風つうふうこう採光さいこう遮音しゃおん防犯ぼうはんなど様々さまざまで、それぞれ色々いろいろなタイプのものがもちいられている。

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いえとインテリアの用語ようごがわかる辞典じてん建具たてぐ」の解説かいせつ

たてぐ【建具たてぐ

建物たてもの部屋へや開口かいこうけて開閉かいへいする、障子しょうじふすま(ふすま)などの総称そうしょう

出典しゅってん 講談社こうだんしゃいえとインテリアの用語ようごがわかる辞典じてんについて 情報じょうほう

世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち建具たてぐ言及げんきゅう

家具かぐ】より

家具かぐ意味いみするドイツメーベルMöbel,フランス語ふらんすごムーブルmeuble,イタリアモビリオmobilioなどは,ラテン語らてんごのモビリスmobilis(〈うごかすことができるもの〉の)に由来ゆらいする。一方いっぽう英語えいごのファーニチャーfurnitureは中世ちゅうせいフランス語ふらんすごフルニールfurnir(設備せつびする)に由来ゆらいし,暖炉だんろまどとびらなど建物たてものつくりつけの建具たてぐまでふくむ。さらに街路がいろにみられるポスト,電話でんわボックス,街灯がいとうなどもストリート・ファーニチャーとよばれている。…

※「建具たてぐ」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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