(Translated by https://www.hiragana.jp/)
検断(ケンダン)とは？ 意味や使い方 - コトバンク

検けん断だん（読よみ）ケンダン

デジタル大辞泉だいじせん 「検けん断だん」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご

けん‐だん【検けん断だん】

１ 中世ちゅうせい、侍さむらい所しょ・六ろく波は羅ら探題たんだい・守護しゅご・地頭じとうなどが刑事けいじ上じょうの事件じけんを審理しんりし、判決はんけつする手続てつづき。
２ 「検けん断だん職しょくけんだんしき1」の略りゃく。
３ 大だい庄屋しょうやおおじょうやのこと。

出典しゅってん　小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて　情報じょうほう | 凡例はんれい

精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「検けん断だん」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご

けん‐だん【検けん断だん・&JISEAFC;断だん】

  1. 〘 名詞めいし 〙
  2. ① 中世ちゅうせい法ほう上じょうの言葉ことばで、所ところ務つとむ、雑務ざつむと区別くべつされて、幕府ばくふ侍さむらい所しょ、六ろく波は羅ら探題たんだい、守護しゅご、地頭じとう、または諸しょ寺社じしゃの機関きかん、集会しゅうかいなどが刑事けいじ犯人はんにんを検挙けんきょし、あるいは刑事けいじ事件じけんを審理しんりし、判決はんけつする一連いちれんの手続てつづき行為こういを総称そうしょうしていう。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「無む二に恩おん許もと一いち、殊こと可かレ行くだり二に撿断一いち」(出典しゅってん：吾妻あづま鏡きょう‐建けん暦れき二に年ねん（1212）八はち月がつ二に七なな日にち)
  3. ② ＝けんだんさた（検けん断だん沙汰ざた）①
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「次つぎ検けん断だん事ごと、於二に地頭じとう御家人ごけにん等とう事こと一いち者もの、同どう可かレ注ちゅう二に進之しんの一いち、至いたり二に非職ひしょく之の輩やから一いち者もの、可かレ令れい二に尋ひろ成敗せいばい一いち之これ」(出典しゅってん：入にゅう来院らいいん家か文書ぶんしょ‐貞和さだかず二に年ねん（1346）一いち二に月がつ七なな日にち・鎮西ちんぜい沙汰さた事ごと書しょ并足利あしかが直義ただよし御教書みぎょうしょ案あん)
  4. ③ ＝けんだんさた（検けん断だん沙汰ざた）②
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「検けん断だん事ごと、右みぎ、相そう二に分ぶん其得分ぶん於四よん分ふん一いち、預あずか所しょ壱分いちぶ、〈略りゃく〉惣そう追つい補ほ使し壱分いちぶ可かレ取とレ之これ」(出典しゅってん：高野山こうのやま文書ぶんしょ‐元もと徳とく三さん年ねん（1331）四よん月がつ七なな日にち・関東かんとう下知げじ状じょう)
  5. ④ 犯罪はんざい人じんの家財かざい、土地とちなどを闕所にすること。没収ぼっしゅうすること。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「大だい犯はん三さんケ条かじょう之の罪過ざいか難なんレ遁二に親子おやこ共ども仁ひとし一いち。家内かない雑ざつ具ぐ以下いか悉検断だん畢」(出典しゅってん：鵤いかる荘そう引付ひきつけ‐永えい正一しょういち一いち年ねん（1514）三さん月がつ一いち四よん日にち)
  6. ⑤ 「けんだんしき（検けん断だん職しょく）①」の略りゃく。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「可かレ令れい二に早さ領りょう知ち一いち安芸あき国こく都と宇竹原はら両りょう庄しょう地頭じとう公文こうぶん撿断并竹原たけはら庄しょう惣そう撿挍職しょく」(出典しゅってん：小早川こばやかわ家か文書ぶんしょ‐文ぶん永なが元年がんねん（1264）三さん月がつ一いち二に日にち・将軍家しょうぐんけ政所まんどころ下か文ぶん)
  7. ⑥ ( 戦国せんごく時代じだい以後いご、地頭じとう領主りょうしゅが私的してきに①を行おこなうようになっていったなごりから ) 江戸えど時代じだい、庄屋しょうや（名主なぬし）の上うえにあって数すう村むらを支配しはいした在地ざいちの有ゆう勢ぜい者しゃ。のちの大だい庄屋しょうや(おおしょうや)に当あたる。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「私わたし領りょうには大だい庄屋しょうやと云うんて〈略りゃく〉国こくに依より、割わり本ほん或あるいは惣そう庄しょうや検けん断だん抔と唱る処ところもあり」(出典しゅってん：地方ちほう凡例はんれい録ろく（1794）七なな)

出典しゅってん　精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてんについて　情報じょうほう | 凡例はんれい

百科ひゃっか事典じてんマイペディア 「検けん断だん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

検けん断だん【けんだん】

非違ひいを検察けんさつし，断罪だんざいすること。統治とうちし裁判さいばんする検けん断だん職しょくをもいう。平安へいあん末期まっき，諸国しょこくは国衙こくが(こくが)と荘園しょうえん領主りょうしゅ（本所ほんじょ），京都きょうとは検非違使けびいし(けびいし)庁ちょうが検けん断だん権けんを有ゆうしたが，前者ぜんしゃは鎌倉かまくら時代ときよ以降いこう早はやい時期じきに守護しゅご(しゅご)・地頭じとう(じとう)の手てに移うつり，後者こうしゃも14世紀せいき末まつには武家ぶけに吸収きゅうしゅうされる。検けん断だんには財産ざいさん没収ぼっしゅう（検けん断だん得分とくぶん）が付随ふずいしたので，検けん断だん権けんの所在しょざいを巡めぐり本所ほんじょ側がわと武家ぶけ方かたとでしばしば相そう論ろんが起おきた。なお鎌倉かまくら幕府ばくふ・室町むろまち幕府ばくふとも侍さむらい所しょ(さむらいどころ)が全国ぜんこく的てきな刊かん事ごと裁判さいばんを行おこなった。戦国せんごく期きには戦国せんごく大名だいみょうが領内りょうないで強力きょうりょくな検けん断だんを行使こうしした。また中世ちゅうせいの惣そう(そう)村むらでは，惣そう掟おきてを定さだめ，これによって成員せいいんを検けん断だんする自じ検けん断だんが行使こうしされた。江戸えど時代じだい，一部いちぶ地域ちいきで村役人むらやくにんの称しょうを検けん断だんといった。
→関連かんれん項目こうもく菅浦すがうら｜大だい犯はん三さん箇条かじょう｜和佐わさ荘そう

出典しゅってん　株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ百科ひゃっか事典じてんマイペディアについて　情報じょうほう

ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてん 「検けん断だん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

検けん断だん
けんだん

鎌倉かまくら時代じだい中期ちゅうき以降いこうに現あらわれる，幕府ばくふ訴訟そしょう制度せいどの一いち系統けいとうで，刑事けいじ上じょうの罪つみを検察けんさつ，断罪だんざいすること。刑事けいじ犯人はんにんの検挙けんきょ，裁判さいばんおよびその執行しっこうは検けん断だん沙汰ざたといった。鎌倉かまくら幕府ばくふは，鎌倉かまくらの検けん断だんは侍さむらい所しょ，京都きょうとでは六波羅検断方，地方ちほうでは各国かっこくの守護しゅご，地頭じとうの任務にんむとした。謀反むほん，夜討ようち，強盗ごうとう，窃盗せっとう，山賊さんぞく，殺害さつがい，放火ほうか，打擲ちょうちゃく（ちょうちゃく）などの犯罪はんざいがあった場合ばあい，検けん断だんに処しょせられる規定きていであった。検けん断だん沙汰さた手続てつづきの内容ないようは所ところ務つとむ沙汰さたに準じゅんじるが，訴訟そしょう受理じゅりの官かん司しが，京都きょうとでは検けん断頭だんとう人じん，鎌倉かまくらでは侍さむらい所しょであること（守護しゅごは管かん国こくの荘園しょうえんに検けん断だん犯罪はんざいがあったとき，その犯罪はんざい人じんが凡下ぼんげ，非ひ御家人ごけにんについて引ひき渡わたしを求もとめ事件じけんを取とり扱あつかった），引付ひきつけの合議ごうぎのみで判決はんけつが確定かくていすること，判決はんけつの文書ぶんしょ形式けいしきがやや軽かるく，引付ひきつけ頭あたま人じん，奉行ぶぎょう人じん連判れんばんの下知げじ状じょうの形式けいしきをとることなどが異ことなる。これは，主しゅとして『沙汰さた未練みれん書しょ』の記載きさいに基もとづいた説せつであるが，そうであれば，当該とうがい手続てつづきは弾劾だんがい主義しゅぎによって貫つらぬかれていたことになる。しかし，謀反むほん，殺害さつがいなどは，守護しゅごが職権しょっけんをもって訴追そついすべきものであったから，かかる幕府ばくふ政治せいじの基礎きそを脅おびやかす犯罪はんざいについては，別べつに糾問きゅうもん主義しゅぎ的てき手続てつづきが存在そんざいしたはずであるが，その内容ないようは明あきらかでない。

出典しゅってん　ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてんブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてんについて　情報じょうほう

日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「検けん断だん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

検けん断だん
けんだん

不法ふほうを糾断し非違ひいを検察けんさつする意い。平安へいあん後期こうきから中世ちゅうせいを通つうじて、犯人はんにん処刑しょけい、刑事けいじ裁判さいばん、警察けいさつ権けん行使こうしなどの治安ちあん維持いじ機能きのうを総称そうしょうする。また統治とうちし裁判さいばんする職しょく（『日にち葡(にっぽ)辞書じしょ』）も意味いみした。もともと検けん断だん権けんは朝廷ちょうていに属ぞくするが、地方ちほうでは国衙こくが(こくが)、また不入ふにゅう権けんをもつ荘園しょうえん(しょうえん)では荘園しょうえん領主りょうしゅが行使こうしするようになり、検けん断だん所しょ、検けん断だん沙汰さた人じん(さたにん)などが置おかれた。鎌倉かまくら期き以降いこうは諸国しょこく守護しゅご権けんに基もとづいて幕府ばくふが掌握しょうあくし、侍さむらい所しょ(さむらいどころ)、六ろく波は羅ら(ろくはら)探題たんだい検けん断だん方かた、守護しゅご、地頭じとう(じとう)などがこれを行使こうしした。検けん断だんに付随ふずいする没収ぼっしゅう財産ざいさんを荘園しょうえん領主りょうしゅ3分ぶんの2、地頭じとう3分ぶんの1に分わけ取とることもあった。室町むろまち以降いこう、検けん断だん権けんは守護しゅご大名だいみょう、戦国せんごく大名だいみょうの手てに移うつった。また畿内きない(きない)や周辺しゅうへんの郷ごう村むらで自治じち的てきに行おこなうものに自じ検けん断だんがあった。江戸えど時代じだい、東日本ひがしにっぽんの村役人むらやくにんの名称めいしょうに検けん断だん肝煎きもいり(きもいり)などがある。

［羽下はねした徳彦とくひこ］

出典しゅってん　小学館しょうがくかん　日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)について　情報じょうほう | 凡例はんれい

山川やまかわ 日本にっぽん史し小しょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱん 「検けん断だん」の解説かいせつ

検けん断だん
けんだん

中世ちゅうせいで，今日きょうの刑事けいじ的てき事件じけんについての取締とりしまりと犯人はんにんに対たいする断罪だんざい。鎌倉かまくら時代じだいには朝廷ちょうていのほか荘園しょうえん領主りょうしゅや幕府ばくふも検けん断だん権けんをもち，幕府ばくふの検けん断だん権けんは六ろく波は羅ら探題たんだい・守護しゅご・地頭じとうらによっても行使こうしされ，御家人ごけにんのなかには国衙こくが(こくが)の検けん断だん権けんを継承けいしょうした者ものもあった。室町むろまち時代じだい以降いこう検けん断だん権けんは守護しゅご大名だいみょう・戦国せんごく大名だいみょうの手てに移うつった。その間あいだ畿内きない近国きんごくの惣そう村むら(そうそん)では，自じ検けん断だんとよんで自治じち的てきに検けん断だんを行おこなう場合ばあいもあった。江戸えど時代じだいには大だい庄屋しょうやを検けん断だんとよぶ地域ちいきもあった。

出典しゅってん　山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ「山川やまかわ 日本にっぽん史し小しょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱん」山川やまかわ 日本にっぽん史し小しょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱんについて　情報じょうほう

旺文社おうぶんしゃ日本にっぽん史し事典じてん 三さん訂てい版ばん 「検けん断だん」の解説かいせつ

検けん断だん
けんだん

中世ちゅうせい，刑事けいじ犯人はんにんに対たいする検察けんさつ・断罪だんざいのこと
平安へいあん末期まっき，検けん断だん権けんは国衙こくが (こくが) か荘園しょうえん領主りょうしゅにあったが，鎌倉かまくら時代じだいには，侍さむらい所しょ (さむらいどころ) ・守護しゅご・地頭じとうが分有ぶんゆうして行使こうしした。守護しゅごの検けん断だん権けんは一般いっぱんに大だい犯はん (だいぼん) 三さん箇条かじょうと呼よばれている。

出典しゅってん　旺文社おうぶんしゃ日本にっぽん史し事典じてん 三さん訂てい版ばん旺文社おうぶんしゃ日本にっぽん史し事典じてん 三さん訂てい版ばんについて　情報じょうほう

関連かんれん語ごをあわせて調しらべる

今日きょうのキーワード

マイナ保険ほけん証しょう

マイナンバーカードを健康けんこう保険ほけん証しょうとして利用りようできるようにしたもの。マイナポータルなどで利用りよう登録とうろくが必要ひつよう。令れい和わ3年ねん（2021）10月がつから本格ほんかく運用うんよう開始かいし。マイナンバー保険ほけん証しょう。マイナンバーカード健康けんこう保険ほけん証しょう。...

マイナ保険ほけん証しょうの用語ようご解説かいせつを読よむ

コトバンク for iPhone

AppStore

コトバンク for Android

GooglePlay