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放火(ホウカ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

放火ほうかみ)ホウカ

デジタル大辞泉だいじせん放火ほうか」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

ほう‐か〔ハウクワ〕【放火ほうか

(スル)火事かじこす目的もくてきで、をつけること。火付ひつけ。
[類語るいご]火付ひつ

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん放火ほうか」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

ほう‐かハウクヮ放火ほうか

  1. 名詞めいし 火事かじこすために、をつけること。つけび。ひつけ。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「うしこくさくひらもんみぎ衛門えもん陣屋じんや放火ほうかよしうえひかり禁獄きんごく」(出典しゅってん日本にっぽんりゃくてんのべさんねん(975)いちいちがついちよんにち)
    2. 秋田あきたじょうかい信忠のぶただりゃくじんゑさせられ、城下じょうかことごと放火ほうかなされ」(出典しゅってん信長のぶながこう(1598)いち〇)
    3. [その文献ぶんけん]〔ちょうせきりょうはた

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん放火ほうか」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

放火ほうか (ほうか)

戦時せんじ平時へいじ故意こい居宅きょたく財物ざいぶつくこと。戦術せんじゅつとしての放火ほうか焼打やきうちともばれた。

やま大兄たいけいおう(やましろのおおえのおう)と蘇我入鹿そがのいるか軍事ぐんじてき衝突しょうとつをしたとき,斑鳩いかるみや(いかるがのみや)がかれ,蝦夷えぞ征討せいとう過程かてい村落そんらくはらわれ,平将門たいらのまさかどらんのときともるいらの居宅きょたくしょう掃されたごとく,軍事ぐんじ作戦さくせん一環いっかんとして放火ほうかおこなわれたが,政治せいじてき緊張きんちょうがたかまった状況じょうきょうで,不満ふまんをもつもの放火ほうかにはしることがめずらしくなかった。平安京へいあんきょうない宮殿きゅうでん貴族きぞく邸宅ていたくがしばしば焼落やけおちしているが,不満ふまんをもつもの放火ほうかによる場合ばあいおおく,任国にんごく百姓ひゃくしょう受領じゅりょう(ずりよう)の屋敷やしき放火ほうかすることもあった。政治せいじてき陰謀いんぼう起因きいんする放火ほうかもあり,866ねんさだかん8)のおうてんもん炎上えんじょうは,大納言だいなごんばん善男よしお(とものよしお)が左大臣さだいじん源信みなもとのまこと(みなもとのまこと)を失脚しっきゃくさせる目的もくてきで,放火ほうかしたのであった。8世紀せいき後半こうはんから9世紀せいきにかけて神火しんか(じんか)としょうされるくにぐんせいくらそん事件じけんがしきりにこっているが,それはきょおさめその不正ふせい隠蔽いんぺいするため,くに郡司ぐんじらが放火ほうかしたひとによるものが大半たいはんであった。りつではざつりつ放火ほうか禁止きんしする規定きていがあり,やきかん廨舎じょうでは,かん私家しかしゃたくないし財物ざいぶつやきすると(ず)3ねんしょすとしている。
執筆しっぴつしゃ

中世ちゅうせいにおいては,多様たよう形態けいたい放火ほうか広範囲こうはんい存在そんざいした。夜討ようちようち)にはかなら放火ほうかがともなうし,通常つうじょう合戦かっせんにおいても侵入しんにゅうぐんは,相手方あいてがた集落しゅうらく城下じょうかなどをはらうのがつねであった。また強盗ごうとう犯行はんこうそのいえはなれいもしばしばみられる。そのほか,討死うちじに覚悟かくごした武将ぶしょう自邸じていをつけて自刃じじんする慣行かんこう将軍しょうぐん反抗はんこうして本国ほんごくかえ大名だいみょうが,自分じぶん屋形やかたをかける〈やき没落ぼつらく〉など種々しゅじゅ放火ほうかかたちがある。鎌倉かまくら幕府ばくふは,《成敗せいばい式目しきもく》で,放火ほうかじんたいする刑罰けいばつ盗賊とうぞく準拠じゅんきょさだめるのみであるが,《結城ゆうきしん法度はっと結城ゆうき法度はっと)》など戦国せんごくほうでは放火ほうかとく重犯じゅうはんとしてはりつけ(はりつけ)けいしょすことをさだめており,このような放火ほうか重罪じゅうざいかん江戸えど幕府ばくふほうにも継承けいしょうされていく。おそらく,このようなほうながれの背後はいごには,中世ちゅうせい社会しゃかいにおけるしょう(ややき)が,殺人さつじんぬすみとならんで最大さいだい重犯じゅうはんざいかんがえられ,これらの犯罪はんざい当時とうじだいはんさん箇条かじょう(だいぼんさんかじよう)〉としょうしていたという,放火ほうかたいする特別とくべつ観念かんねん存在そんざいしたものとおもわれる。このような特異とくいいえたいする放火ほうか観念かんねんは,刑罰けいばつとしての住宅じゅうたく放火ほうかによくあらわれている。荘園しょうえん領主りょうしゅ荘内そうない領民りょうみん刑罰けいばつとしてもっと一般いっぱんてきなものは,荘内そうないからの追放ついほう土地とちをもっていればその没収ぼっしゅうと,犯人はんにん住宅じゅうたくけんふうやぶ却,焼却しょうきゃくとをわせたものであった。この住宅じゅうたくたいする処置しょち本来ほんらいてきなかたちは,住宅じゅうたく放火ほうかであり,放火ほうか対象たいしょうは,犯人はんにん住宅じゅうたくのみならず,寄宿きしゅくさき,さらにはその縁者えんじゃいえにまで拡大かくだいすることがあった。このような住宅じゅうたく放火ほうか追放ついほうわせた刑罰けいばつは,サモア諸島しょとうなどポリネシア民族みんぞくにもかつて存在そんざいしたことがられ,この放火ほうか意味いみについては,いえくことにより,いえ先祖せんぞかえすというきょう犠説がとられている。日本にっぽん刑罰けいばつとしての放火ほうかも,逃亡とうぼう百姓ひゃくしょう自分じぶんいえをこわして逃亡とうぼうする〈逃毀(にげこぼち)〉の慣行かんこう大名だいみょうやき没落ぼつらくれいなどとかんがえあわせるときょう犠の意味いみがあったといえるが,同時どうじに,犯罪はんざいけがれ除去じょきょし,領内りょうないわざわいをたつというはらい(はらい)=刑罰けいばつとしての観念かんねん存在そんざいしたようにおもわれる。
執筆しっぴつしゃ

戦国せんごく時代じだいには焼打やきうちやき頻繁ひんぱんおこなわれたが,太平たいへいうつるとこれらはごくまれになった。江戸えど時代じだい放火ほうか火付ひつき(ひつけ)あるいは付火つけび(つけび)としょうし,重大じゅうだい犯罪はんざいひとつとされていた。消防しょうぼうりょく発達はったつ当時とうじにあって,いったん火災かさい発生はっせいすれば,ことに都市としにおいては甚大じんだい被害ひがいがもたらされたから,失火しっか放火ほうか防止ぼうし社会しゃかいてき課題かだいであった。しかるに人口じんこう集中しゅうちゅうにより,都市とし内部ないぶ多数たすう貧民ひんみんをかかえることになって,物取ものと目的もくてき放火ほうか衝動しょうどうてき放火ほうか相次あいついだ。江戸えどにおける名高なだかいものに八百屋やおやしち(1683処刑しょけい)の放火ほうかおよび目黒めぐろ行人こうじんざか(ぎようにんざか)の大火たいか(1772)がある。前者ぜんしゃ小説しょうせつ浄瑠璃じょうるり歌舞伎かぶきにとりげられ伝説でんせつした事件じけんであり,後者こうしゃあかりれき大火たいか(1657)にだい火災かさい明和めいわ大火たいか)であった。あかりれき大火たいかについても放火ほうかせつ存在そんざいする。このような放火ほうかたいし,幕府ばくふ強力きょうりょく取締とりしまりと厳重げんじゅう処罰しょばつをもってのぞんだ。まず捜査そうさ裁判さいばん機関きかんとしては火付ひつき盗賊とうぞくあらため(ひつけとうぞくあらため)があり,町奉行まちぶぎょうとはべつ江戸えど町方まちかたとその周辺しゅうへん取締とりしまりにあたった。民衆みんしゅうには犯人はんにん逮捕たいほ申告しんこく奨励しょうれいされ,褒美ほうびほうび)もくだされた。これは火付ひつきさつばれる高札こうさつ(こうさつ)のしめすところで,常時じょうじ高札こうさつじょうかかげられていた。一方いっぽう公事こうじかたじょうしょ(くじかたおさだめがき)》によれば,放火ほうかはんには引廻しのうえ,ざい(かざい)(あぶ(ひあぶり))の厳刑げんけいせられた。ただしけてもえたなかった場合ばあいには,引廻しのうえ死罪しざいとし,またひとたのまれ放火ほうかしたもの死罪しざい,その依頼人いらいにんを引廻しのうえざいしょした。放火ほうか証拠しょうこすくない犯罪はんざいであるゆえにその審理しんり難事なんじとされ,冤罪えんざいもままあったようである。
執筆しっぴつしゃ

明治めいじ以降いこう産業さんぎょう発達はったつ都市とし進展しんてんにつれて火災かさい件数けんすう漸増ぜんぞうしている。そのうち放火ほうか件数けんすうについてみると,だい2大戦たいせんまえには昭和しょうわ初期しょききょうえつづけ,1932ねんに1463けんぜん火災かさい件数けんすうの7.9%)とピークたっした。戦後せんご混乱こんらんには放火ほうかすくなく,なか安定あんてい回復かいふくするにつれてえはじめ,京都きょうと金閣寺きんかくじ火災かさい(1950),東京とうきょう谷中たになか五重塔ごじゅうのとう火災かさい(1957)などがあった。放火ほうかによる大火たいかとしては720むねき,焼損しょうそん面積めんせき5まん1800m2たっした八戸はちのへ大火たいか(1961)がある。

 放火ほうか原因げんいんとしては怨恨えんこん憤怒ふんぬによるものがもっとおおく,犯罪はんざい証拠しょうこ湮滅いんめつをねらうものもむかしからあったが,保険ほけんきん詐取さしゅ目的もくてきとする放火ほうか現代げんだい特徴とくちょうである。また近年きんねん特徴とくちょうとして,火災かさい件数けんすうめる放火ほうか割合わりあい上昇じょうしょう傾向けいこうにあり(1982ねんには7381けんぜん火災かさいの12.2%),とくに都市としでその傾向けいこうつよいこと,放火ほうか自殺じさつしゃが1960~70年代ねんだいくら大幅おおはばえていること(1966-74ねん平均へいきんくらべ82ねんは4.4ばい)などがあげられる。

ぜん206ねん項羽こうう焼打やきうちされ3ヵ月かげつえつづけたといわれるしん阿房宮あぼうきゅうや,64ねん暴君ぼうくんネロの放火ほうかつたえられるローマの大火たいかをはじめ,歴史れきしてき放火ほうか事件じけん数多かずおおい。ナポレオンの侵入しんにゅう対抗たいこうした放火ほうかによるモスクワ大火たいか(1812)は世界せかい五大ごだい大火たいか(ロンドン1666,エジンバラ1700,コンスタンティノープル1782,シカゴ1871)のひとつにかぞえられている。政治せいじてき陰謀いんぼうがらみではドイツ国会こっかい議事堂ぎじどう放火ほうか事件じけん(1933)も現代げんだい史上しじょういっすることができない。放火ほうか公共こうきょう社会しゃかいたいしきわめて重大じゅうだい危険きけんしょうじさせるので,たんなる財産ざいさんたいする侵害しんがいとしてではなく,公共こうきょう危険きけんざいとして各国かっこくとも厳罰げんばつをもってのぞんでいるのが特徴とくちょうである。
放火ほうかざい
執筆しっぴつしゃ

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち放火ほうか言及げんきゅう

火事かじ】より

火事かじとは,建造けんぞうぶつ山林さんりん原野げんや輸送ゆそうよう機器ききとう放火ほうかふく意図いとせざる原因げんいんによってえ,自力じりき拡大かくだいしていく状態じょうたいにあるものをいうが,人間にんげんにとって有用ゆうようなものが被災ひさいするというてんからは,火災かさいぶ。《消防しょうぼう白書はくしょ》(消防庁しょうぼうちょうへん)は,火災かさい燃焼ねんしょう対象たいしょうぶつにより,建物たてもの火災かさい林野りんや火災かさい車両しゃりょう火災かさい船舶せんぱく火災かさい航空機こうくうき火災かさいおよびその火災かさい(空地くうち土手どてなどの枯草かれくさ看板かんばんなどの火災かさい)に分類ぶんるいする。…

盗賊とうぞく】より

…またせきはちしゅうなどでは,ばくち常習じょうしゅう無宿むしゅくたる博徒ばくと集団しゅうだん強盗ごうとうれいられた。江戸えど時代じだいにはぬすみとならんで放火ほうか多発たはつしたが,放火ほうかぬすみを目的もくてきとしておこなわれる場合ばあいもしばしばられた。なお武士ぶしによる盗犯とうはんもなかったわけではない。…

あぶ】より

日本にっぽんでは,中国ちゅうごくりつ継受けいじゅしたこともあって,ひさしくえていたが,戦国せんごく時代じだい復活ふっかつし,江戸えど時代じだい初期しょきにはキリシタン弾圧だんあつ多用たようされた。のち,もっぱら放火ほうかはんたいする刑罰けいばつとなり,幕府ばくふの《公事こうじかたじょうしょ(くじかたおさだめがき)》は,付火つけび(つけび)したもの,およびひとたのんで付火つけびさせたものにのみざいした。つみしゅうはまずまわされ,江戸えどならば小塚原こづかはら(こづかつぱら)または鈴ヶ森すずがもり刑場けいじょういたる。…

焼打やきうち】より

戦法せんぽうひとつで焼討やきうちともき,城砦じょうさい在家ざいけ(民家みんか)などに放火ほうかし,敵陣てきじん攻略こうりゃくすること。市街しがいせんなどではこの焼打やきうち常套じょうとう手段しゅだんとされた。…

※「放火ほうか」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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