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独占(ドクセン)とは? 意味や使い方 - コトバンク

独占どくせんみ)ドクセン英語えいご表記ひょうき)monopoly

翻訳ほんやくmonopoly

デジタル大辞泉だいじせん独占どくせん」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

どく‐せん【独占どくせん

(スル)
自分じぶんひとりだけのものにすること。ひとりじめ。「人気にんき独占どくせんする」
特定とくてい資本しほん競争きょうそうしゃ排除はいじょし、生産せいさん市場いちば支配しはいしている状態じょうたい
[類語るいご]専有せんゆうひとにぎさえるせいする掌握しょうあく確保かくほ保持ほじ占有せんゆう手中しゅちゅうおさめるものにする・支配しはい

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん独占どくせん」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

どく‐せん【独占どくせん

  1. 名詞めいし
  2. 他人たにんはいしてひとりで占有せんゆうすること。ひとりじめにすること。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「有名ゆうめいなるターナーは最後さいご一室いっしつ独占どくせん(ドクセン)してますが」(出典しゅってん園遊会えんゆうかい(1902)〈国木田独歩くにきだどっぽさん)
    2. [その文献ぶんけん]〔軾‐かずあきら七出守湖州詩〕
  3. 経済けいざいで、特定とくてい資本しほん競争きょうそうしゃ排除はいじょして市場いちば支配しはいし、利益りえき占有せんゆうすること。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「独占どくせんがある以上いじょう民有みんゆうとするのが当然とうぜんだ」(出典しゅってん社会しゃかい百面相ひゃくめんそう(1902)〈内田魯庵うちだろあん鉄道てつどう国有こくゆう)

ひとり‐うらない‥うらなひ独占どくせん

  1. 名詞めいし うらないしゃちからによらず、自分じぶん自身じしんうらなうこと。また、その方法ほうほうについてしるした書物しょもつ
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「ヒュースケンの使つかいのこしの薬液やくえきと、ウンシンの使つかいいにしえしの機械きかいとで独占どくせん(ヒトリウラナヒ)をおくように自修じしゅう自得じとくすすめつつ」(出典しゅってん江戸えどから東京とうきょうへ(1923)〈矢田挿雲やだそううんはち)

ひとり‐じめ【独占どくせん

  1. 名詞めいし そのもののすべてをひとりで保有ほゆうしてひとゆずらないこと。どくせん。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「天下てんか果報かほう一人ひとり(ヒトリ)じめ」(出典しゅってんわかじも(1892)〈樋口ひぐち一葉かずはいち)

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん独占どくせん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

独占どくせん (どくせん)
monopoly

地理ちりてき範囲はんいおよび商品しょうひん性質せいしつ限定げんていされる一定いってい市場いちばでの取引とりひきを,いち企業きぎょういちにぎることを独占どくせんという。ただし現実げんじつにはいち企業きぎょうによる市場いちば支配しはいという文字もじどおりの独占どくせんすくなく,比較的ひかくてき少数しょうすう企業きぎょう市場いちば支配しはいする寡占かせん(その特殊とくしゅ形態けいたいふくうらない)がおおい。多数たすう企業きぎょうからなる競争きょうそうてき市場いちばからの乖離かいり(かいり)をして,すなわち寡占かせんふく独占どくせんという語句ごくもちいられることもおおい。また,市場いちば売手うりてがわ独占どくせんしょうじることがおおいので,経済けいざいがく売手うりて独占どくせん分析ぶんせきすることがおおかったが,最近さいきんでは買手かいて独占どくせんにも関心かんしんがもたれている。

一定いってい商品しょうひん地理ちりてき限定げんていされた市場いちばにおける独占どくせんりょく独占どくせんりょく基礎きそてき概念がいねんであり,この独占どくせんりょく発揮はっきする目的もくてきカルテルトラストという形態けいたい独占どくせん形成けいせいされる。法律ほうりつてき独立どくりつ複数ふくすう企業きぎょう協定きょうていつうじて,生産せいさん投資とうし顧客こきゃくなどをあてて,価格かかく固定こていして,競争きょうそう制限せいげんすることをカルテルという。協定きょうていによらず,企業きぎょうあいだ暗黙あんもく合意ごういによってカルテルと同様どうよう効果こうかあらわれることもある。企業きぎょうあいだでコスト条件じょうけん生産せいさん能力のうりょく販売はんばい能力のうりょく乖離かいりなどの利害りがいことにする事態じたいいたると,カルテルはしばしば崩壊ほうかいするので,独占どくせん形態けいたいとしては不完全ふかんぜんである。これにたいして,トラストは典型てんけいてき場合ばあい合併がっぺいによってしょ企業きぎょうひとつの企業きぎょうたい統合とうごうするので,トラストによる競争きょうそう制限せいげんはカルテルによるそれよりはるかに強力きょうりょくかつ持続じぞくてきである。

 ひとつの市場いちばでの独占どくせんりょくをてこに,企業きぎょうべつ市場いちばでも独占どくせんりょくをふるうことがある。経営けいえい多角たかくによって多数たすう市場いちば活動かつどうするコングロマリット企業きぎょうグループ場合ばあいひとつの市場いちば独占どくせんりょくゆうすれば,相互そうご取引とりひきつうじて市場いちばでもその独占どくせんりょく発揮はっきできる。だい2大戦たいせんまえ日本にっぽん財閥ざいばつのようなコンツェルン独占どくせんりょくはこのたね独占どくせんりょくもとづいている。

市場いちば独占どくせん形成けいせいされるのには,さまざまな原因げんいんがある。だい1に,市場いちば活発かっぱつ競争きょうそうおこなわれ,製品せいひん開発かいはつ販売はんばい政策せいさく組織そしき革新かくしんなどにすぐれた経営けいえい手腕しゅわん発揮はっきした企業きぎょう市場いちば占有せんゆうりつマーケット・シェア)をしだいにたかめ,独占どくせん状態じょうたい形成けいせいされることがある。市場いちば経済けいざいではこのような現象げんしょうけがたく,かつ,このたね独占どくせん経済けいざい厚生こうせいてんからは問題もんだいすくない。また,独占どくせん形成けいせい寄与きよした経営けいえい優秀ゆうしゅうさが消滅しょうめつすれば,シカゴ学派がくは経済けいざい学者がくしゃ強調きょうちょうするように,時間じかん経過けいかにつれて独占どくせん状態じょうたいはしだいに解消かいしょうされる傾向けいこうがある。

 しかし,経営けいえい優秀ゆうしゅうさが独占どくせん唯一ゆいいつ原因げんいんではない。下位かい企業きぎょう市場いちばから排除はいじょする略奪りゃくだつてきしょう慣行かんこうだい規模きぼ合併がっぺいなど,上位じょうい企業きぎょう独占どくせんてき行為こうい独占どくせん形成けいせい維持いじすることもある。とくに合併がっぺい影響えいきょうおおきく,たとえば19世紀せいきまつから20世紀せいき初頭しょとうと1920年代ねんだいの2かいだい合併がっぺい運動うんどうで,アメリカの主要しゅようだい企業きぎょう成立せいりつしたし,日本にっぽんヨーロッパでも1960年代ねんだい合併がっぺい産業さんぎょうさい編成へんせい衝撃しょうげきおおきかった。合併がっぺいによって誕生たんじょうした独占どくせんは,市場いちば優劣ゆうれつ判定はんていたものでないので,経済けいざい厚生こうせいてんからは問題もんだいおおい。

 潜在せんざいてき競争きょうそうしゃ競争きょうそう圧力あつりょくから既存きそん企業きぎょう隔離かくりする参入さんにゅう障壁しょうへきも,独占どくせん形成けいせい維持いじする重要じゅうよう要因よういんである。市場いちば規模きぼにくらべ効率こうりつてき工場こうじょう規模きぼおおきすぎ,参入さんにゅう価格かかく暴落ぼうらく必至ひっしであったり,効率こうりつてき規模きぼ工場こうじょう建設けんせつ資金しきん膨大ぼうだいで,潜在せんざいてき参入さんにゅうしゃ資金しきん調達ちょうたつ能力のうりょくえる場合ばあい,すなわち規模きぼ経済けいざいせいいちじるしい場合ばあいは,既存きそん企業きぎょう潜在せんざいてき参入さんにゅう脅威きょういからまもられ,独占どくせん利潤りじゅん享受きょうじゅしつづける。また,おおくの消費しょうひざい産業さんぎょうで,顧客こきゃく誘引ゆういん手段しゅだんとしてもちいられる宣伝せんでん広告こうこくやモデル・チェンジの費用ひようが,弱小じゃくしょう企業きぎょう潜在せんざいてき参入さんにゅうしゃには過大かだい負担ふたんとなり,既存きそんだい企業きぎょう市場いちば占有せんゆうりつ上昇じょうしょうつづける傾向けいこうがみられる。これを製品せいひん差別さべつといい,市場いちば規模きぼ拡大かくだいした今日きょうでは,参入さんにゅう障壁しょうへき形成けいせい要因よういんのうちでもとくに重要じゅうようたかまった。

独占どくせんりょくをもつ企業きぎょうは,競争きょうそうてき環境かんきょうかれた企業きぎょうとはことなるさまざまな行動こうどうをとる。もっともありふれた独占どくせんてき行動こうどうは,カルテルなどによって競争きょうそう制限せいげんし,価格かかく高水準こうすいじゅん固定こていする価格かかく固定こていprice-fixingである。品目ひんもくごとに詳細しょうさい価格かかくひょう用意よういする古典こてんてき価格かかくカルテルをはじめ,企業きぎょうあいだ暗黙あんもく合意ごういのみにその基礎きそプライス・リーダーシップ全国ぜんこくいずこの工場こうじょう生産せいさんされたかにかかわりなく,業界ぎょうかいない設定せっていした基準きじゅん地点ちてんでの工場こうじょうわた価格かかく輸送ゆそう加算かさんした販売はんばい価格かかく設定せっていして競争きょうそう制限せいげんする基準きじゅん地点ちてん価格かかくせいbasing point pricingなど,さまざまな形態けいたい価格かかく固定こていがある。

 商品しょうひん性質せいしつじょう転売てんばい困難こんなん商品しょうひん独占どくせんてき売手うりて価格かかく差別さべつおこな傾向けいこうがある。同種どうしゅ欲求よっきゅう充足じゅうそくする商品しょうひんもしくはその供給きょうきゅうさきにもたない買手かいて需要じゅようは,そうでない買手かいて需要じゅようにくらべ,弾力だんりょくせいひくい。この2種類しゅるい買手かいてたがいに商品しょうひん転売てんばいしたりすることが不可能ふかのうならば,独占どくせんてき売手うりて同一どういつ価格かかくをこの両者りょうしゃ適用てきようせずに,需要じゅよう弾力だんりょくてき買手かいててい価格かかくを,弾力だんりょくてき買手かいてこう価格かかく適用てきようして,利潤りじゅん増加ぞうかさせることができる。貨物かもつ輸送ゆそうをはじめ各種かくしゅのサービスぎょうで,価格かかく差別さべつ発生はっせいすることがおおい。

 独占どくせん企業きぎょうはまた,市場いちば分割ぶんかつ顧客こきゃく割当わりあてによってたがいに競争きょうそう抑制よくせいすることがある。とくにだい2大戦たいせんまえには,染料せんりょう火薬かやくなどの分野ぶんやで,欧米おうべい企業きぎょう国際こくさいカルテル結成けっせいして世界せかい市場いちば分割ぶんかつ独占どくせんしたことがあった。

 こうした独占どくせんてき行動こうどうのほかに,垂直すいちょくてき統合とうごう経営けいえい多角たかくすすめただい企業きぎょう競争きょうそう相手あいてはげしい攻撃こうげきくわえる強圧きょうあつてき行動こうどうばれる企業きぎょう行動こうどうがある。たとえば,多角たかくによっていち部門ぶもん損失そんしつ(ほてん)をおこなえるだい企業きぎょうは,市場いちばでの規律きりつ回復かいふく競争きょうそう相手あいて排除はいじょ目的もくてきとして,一定いってい期間きかんコストれのてい価格かかくをつける略奪りゃくだつてき価格かかく引下ひきさげpredatory pricingをおこなうことがある。製品せいひん最終さいしゅう販売はんばいまでを統合とうごうした企業きぎょうがたとえば原料げんりょう部門ぶもん独占どくせんてき地位ちい確立かくりつしているとき,企業きぎょうへの原料げんりょう供給きょうきゅう価格かかくをつりあげ,加工かこう部門ぶもんとくした企業きぎょう打撃だげきあたえる行動こうどうは,価格かかく圧縮あっしゅくprice squeezeとばれる。そのほか,企業きぎょう取引とりひきしないとの条件じょうけんをつける排他はいたてき取引とりひきや,相互そうご取引とりひき抱合だきあわ販売はんばいなど,個別こべつ企業きぎょうあいだでは有利ゆうり取引とりひきであっても,競争きょうそう相手あいてにとっては実質じっしつてき競争きょうそう制限せいげん効果こうかをもつしょう慣行かんこうおおい。

独占どくせん経済けいざい効果こうかとしてもっとひろみとめられているのは,供給きょうきゅう制限せいげん価格かかく引上ひきあげにかかわるものである。独占どくせん状態じょうたいから出発しゅっぱつして,独占どくせん経済けいざいてきロスをてみよう。独占どくせん企業きぎょう限界げんかい費用ひようMC)と限界げんかい収入しゅうにゅうMR)を一致いっちさせる数量すうりょうQm)を供給きょうきゅうし,価格かかくPm高水準こうすいじゅん設定せっていする。独占どくせん解体かいたいされると価格かかくMCひとしいPc下落げらくし,供給きょうきゅうりょうQc増加ぞうかする。すなわち,独占どくせん供給きょうきゅう制限せいげんによって価格かかくげ,独占どくせん利潤りじゅんPmABPc)を獲得かくとくするとともに,ABC相当そうとうする資源しげん配分はいぶんじょうのロスallocative lossが発生はっせいする。このロスは現実げんじつにはかなりちいさいのではないかという疑問ぎもん提出ていしゅつされたが,1964ねんライベンシュタインHarvey Leibenstein(1922-94)により,競争きょうそう状態じょうたいからはなれるほどコストの上昇じょうしょうをもたらすというX(エツクス)効率こうりつX-inefficiencyの概念がいねん提示ていじされた。競争きょうそう状態じょうたいから隔離かくりされた独占どくせんてきだい企業きぎょうでは,経営けいえいしゃ労働ろうどうしゃ最大さいだい効率こうりつ追求ついきゅう動機どうきをもたず,組織そしき効率こうりつ低下ていかしがちである。X効率こうりつ考慮こうりょして,完全かんぜん競争きょうそう限界げんかい費用ひようMCt(<MC)であるとすると,価格かかくPct供給きょうきゅうりょうQctとなる。つまり,独占どくせんによるほんとうのロスは,X効率こうりつPcBEPct)と資源しげん配分はいぶんじょうのロス(ABC)と拡大かくだいされた資源しげん配分はいぶんじょうのロス(BCGE)の合計ごうけいになる。このようにX効率こうりつ考慮こうりょれると,独占どくせんによる経済けいざい厚生こうせいのロスはけっしてちいさくない,というかんがかた一般いっぱんてきである。

独占どくせん効果こうか価格かかく供給きょうきゅうりょうだけでなく,研究けんきゅう開発かいはつ広告こうこく活動かつどうにもあらわれる。研究けんきゅう開発かいはつ経済けいざい進歩しんぽ不可欠ふかけつであるが,それに必要ひつよう科学かがく技術ぎじゅつ水準すいじゅん飛躍ひやくてき上昇じょうしょうにより,天才てんさいてき個人こじんよりも企業きぎょう,とくにだい企業きぎょう研究けんきゅう開発かいはつめんでの役割やくわりおおきくなってきた。研究けんきゅう開発かいはつ資金しきん調達ちょうたつ研究けんきゅう開発かいはつのもたらす利潤りじゅんによる動機どうきづけのいずれのめんでも,独占どくせんてきだい企業きぎょう研究けんきゅう開発かいはつ活動かつどうをリードする十分じゅうぶん根拠こんきょがあるとするのが,シュンペーター=ガルブレース仮説かせつである。この仮説かせつには異論いろんおおく,おおくの実証じっしょう研究けんきゅうによれば,若干じゃっかん例外れいがいてき産業さんぎょうのぞけば,競争きょうそう要素ようそとぼしい分野ぶんやでは研究けんきゅう開発かいはつ活動かつどう活発かっぱつでないことがおおい。また,市場いちば独占どくせんされると,価格かかく競争きょうそう回避かいひされる一方いっぽう広告こうこくやモデル・チェンジなどの価格かかく競争きょうそう激化げきかし,販売はんばい膨張ぼうちょうするという懸念けねんつよい。

 このほか,独占どくせんによって価格かかく下方かほう硬直こうちょくせいつよまり,一般いっぱんてき物価ぶっか騰貴とうき原因げんいんになりはしないかという管理かんり価格かかくインフレ,独占どくせん価格かかく伸縮しんしゅくせい生産せいさん雇用こよう大幅おおはば変動へんどうをもたらさないか,独占どくせん企業きぎょう経営けいえいしゃあたえられる自由じゆう裁量さいりょうけんが,従業じゅうぎょういん採用さいようさいして女性じょせい少数しょうすう民族みんぞく差別さべつてき行使こうしされないかといったしょ問題もんだいにも,関心かんしんがもたれるにいたった。

独占どくせん規制きせい必要ひつようこえ経済けいざいがくそのものとおなじほどふる歴史れきしをもつ。今日きょうではほぼ3種類しゅるい独占どくせん対策たいさくこうじられている。そのだい1は,規模きぼ経済けいざいせい市場いちば経済けいざい機能きのうさまたげない産業さんぎょう分野ぶんやに,カルテルやトラスト,公正こうせい取引とりひき方法ほうほうなどをきんじた独占どくせん禁止きんしほう適用てきようすることである。独占どくせん禁止きんし法制ほうせいには各国かっこくでかなりの差異さいがあるが,1970年代ねんだいには発展はってん途上とじょうこくでも独占どくせん禁止きんしほう制定せいていうごきがあった。

 だい2は,私企業しきぎょう活動かつどう免許めんきょせい料金りょうきん認可にんかせいによって政府せいふ直接ちょくせつ規制きせいする方法ほうほうである。通信つうしん交通こうつう金融きんゆうなどおおくの分野ぶんや直接ちょくせつ規制きせいくわえられていたが,70年代ねんだい以降いこうアメリカを中心ちゅうしん規制きせい緩和かんわうごきが目立めだつ。最後さいごに,私企業しきぎょう活動かつどうになじまない分野ぶんやではおおやけ企業きぎょう設立せつりつして,独占どくせん弊害へいがいふせぐこともある。

 このほかに,政府せいふ資材しざい調達ちょうたつ国際こくさい貿易ぼうえき政策せいさく特許とっきょ制度せいどなど市場いちばでの競争きょうそう直接ちょくせつ影響えいきょうおよぼす政策せいさくがあるが,それらの本来ほんらい目的もくてき独占どくせん対策たいさく以外いがいにあることがおおい。
執筆しっぴつしゃ

多数たすう資本しほんとはかけはなれただい規模きぼ資本しほん企業きぎょうまたは企業きぎょうグループ)が,単独たんどくまたは少数しょうすうで,関連かんれんする分野ぶんや生産せいさん流通りゅうつう金融きんゆうなどに支配しはいてき影響えいきょうりょくおよぼす状態じょうたいをいう。また,その状態じょうたいにある資本しほん独占どくせん資本しほん)そのものをすこともある。〈自由じゆう競争きょうそう〉という言葉ことば対比的たいひてきもちいられるが,資本しほん主義しゅぎてき私企業しきぎょうあいだ競争きょうそうのありかたわるということであって,一般いっぱん競争きょうそうがなくなるわけではない。つまり,主要しゅよう産業さんぎょう分野ぶんや独占どくせん成立せいりつすると,それまで多数たすう小規模しょうきぼ企業きぎょうによる自由じゆう競争きょうそう一般いっぱんてきだった段階だんかいでみられたのとはことなる特徴とくちょうが,資本しほん主義しゅぎ経済けいざい全体ぜんたいてきうごきのうえにあらわれるようになる,ということである。

19世紀せいき末葉まつよう以後いご後期こうき資本しほん主義しゅぎが,それ以前いぜん自由じゆう主義しゅぎ時代じだいとの対比たいひにおいて,まさにそのような特徴とくちょうしめすものであった。当時とうじおくれて資本しほん主義しゅぎしたドイツやアメリカが,しだいにイギリス対抗たいこうするようになるが,それらのくにでは重化学じゅうかがく工業こうぎょうなど巨大きょだい設備せつびようする産業さんぎょうが,個人こじん企業きぎょう自己じこ蓄積ちくせきにかわる株式会社かぶしきがいしゃ組織そしきだい企業きぎょうによって推進すいしんされ,また,イギリスがた商業しょうぎょう銀行ぎんこう業務ぎょうむとはことなる産業さんぎょう金融きんゆう重要じゅうよう役割やくわりたすことになり,産業さんぎょう金融きんゆう融合ゆうごうによる少数しょうすう独占どくせんたい経済けいざいりょく集中しゅうちゅうされていった。それとともに,資本しほん主義しゅぎ世界せかい経済けいざい動向どうこうには,イギリスを〈世界せかい工場こうじょう〉としていた時代じだいとはことなる種々しゅじゅあたらしい現象げんしょうあらわれてくる。その代表だいひょうてきなものが景気けいき循環じゅんかん発現はつげんのしかたの変化へんかであった。また,経済けいざい政策せいさくめんでは,それまでの自由じゆう放任ほうにん主義しゅぎレッセ・フェール)の傾向けいこう転換てんかんし,帝国ていこく主義しゅぎ時代じだいむかえることになった。つまり,独占どくせんちからは,経済けいざい活動かつどうのなかで発揮はっきされるだけではなく,政治せいじ領域りょういきでも発揮はっきされて,経済けいざい政策せいさくはもちろん,外交がいこう軍事ぐんじにまでも影響えいきょうおよぼしたのであった。この状況じょうきょう今日きょうでも基本きほんてきにはつづいているといってよいが,2世界せかい大戦たいせん主要しゅようこく政治せいじ状況じょうきょうわったため,独占どくせんちから制限せいげんする政策せいさく重要じゅうようせいし,それが経済けいざい動向どうこうおおきな影響えいきょうをもたらすようになっている。

 経済けいざいがく抽象ちゅうしょうモデルでは,市場いちば売手うりてまたは買手かいてとして文字もじどおりひとりめの独占どくせんを,売手うりて買手かいてふたつのふくうらないみっ以上いじょう寡占かせん区別くべつすることもあるが,歴史れきしじょうひろおこなわれてきた用語ようごほうでは単一たんいつ場合ばあいだけに限定げんていされない。〈独占どくせん禁止きんしほう〉のような用例ようれいもこのような伝統でんとうによるものである。ただし,最近さいきんでは,おな意味いみあらわすのに寡占かせんという言葉ことば多用たようされるようになっている。資本しほん主義しゅぎ初期しょきにも,19世紀せいきまつ以降いこうとはことなった意味いみ独占どくせんおおきな役割やくわりたした。経済けいざいじょう競争きょうそう制限せいげん意味いみでこの言葉ことばひろもちいられるようになったのはこの時代じだいであり,国王こくおう諸侯しょこうによって個人こじん団体だんたいあたえられる,特定とくてい商品しょうひん特定とくてい地域ちいき貿易ぼうえきなど特定とくてい経済けいざい活動かつどうかんする排他はいたてき特権とっけん意味いみするものであった。これらの独占どくせんは,前期ぜんきじゅうしょう主義しゅぎ政策せいさく一環いっかんとして,おう諸侯しょこう財政ざいせいをうるおしただけでなく,初期しょき資本しほん蓄積ちくせきおおいに貢献こうけんしたが,やがて弊害へいがいつよまり,イギリスでは17世紀せいき後半こうはんに,また大陸たいりくヨーロッパでも18世紀せいきちゅう廃止はいしかった。19世紀せいきまつ以後いご独占どくせんは,政治せいじ権力けんりょくによってあたえられたものではなく,資本しほん主義しゅぎ自生じせいてき発展はってんのなかから経済けいざいりょくそのものとしてされたものであり,そのちからによってぎゃく政治せいじ権力けんりょく左右さゆうするようにもなったのである。

自由じゆう競争きょうそうおこなわれていると,市場いちば取引とりひきされる商品しょうひん価格かかくりょう個々ここ売手うりて買手かいて意図いとてき操作そうさすることはできない。しかし独占どくせん場合ばあいには,そのような操作そうさがある程度ていど可能かのうになる。このようなちから市場いちば支配しはいりょくぶ。市場いちば支配しはいりょくによって売手うりてたか維持いじしている価格かかく独占どくせん価格かかくである。取引とりひき相手あいて状況じょうきょうをみて価格かかく差別さべつもうけることもある。売手うりてとしてたか価格かかくを,買手かいてとしてやす価格かかくいるほか,リベート,付帯ふたいサービス,商品しょうひんとの抱合だきあわせなど,種々しゅじゅ条件じょうけんいることによっても利益りえきたかめることが可能かのうであり,自由じゆう競争きょうそうのもとで実現じつげんされるであろう利潤りじゅんよりもおおきい,いわゆる独占どくせん利潤りじゅん獲得かくとくする。取引とりひき相手あいてたいして,このように自分じぶんとの取引とりひき自分じぶん有利ゆうりおこなわせるというだけでなく,さらに,自分じぶん以外いがいとの取引とりひき干渉かんしょうすることによって,自分じぶん競争きょうそう相手あいて同業どうぎょう企業きぎょう)の販路はんろざしたり調達ちょうたつ困難こんなんにしたりもする。このようなことは,商品しょうひん売買ばいばいさいしてだけでなく,運輸うんゆ金融きんゆうめんでもおこなわれて,競争きょうそう相手あいてたおし,市場いちば支配しはいりょくをいっそうたかめる手段しゅだんになるのである。

 単独たんどく十分じゅうぶん市場いちば支配しはいりょく発揮はっきできない場合ばあいには,複数ふくすうだい資本しほん共同きょうどう行為こういによってこれを実現じつげんしようとする。価格かかく生産せいさんりょう協定きょうていするカルテルや,すすんで共同きょうどう販売はんばい機関きかんもうけるシンジケートなどがそのれいである。法律ほうりつ共同きょうどう行為こういきんじられている場合ばあいには,プライスリーダーシップなど共謀きょうぼう証拠しょうこのこさない方法ほうほうがとられる。しかし,協定きょうてい違反いはんしゃ制裁せいさいくわえることができなくなるから,協定きょうていそのものを無用むようにするような単一たんいつだい規模きぼ企業きぎょうみちがいっそう重要じゅうようせいす。だい規模きぼは,新規しんき拡張かくちょうによらなくとも既存きそん企業きぎょうとの結合けつごうによって急速きゅうそく実現じつげんされる。合併がっぺいによって名実めいじつともにどういち企業きぎょうになるほか,多数たすう企業きぎょう議決ぎけつけんかぶ信託しんたくさせるトラストや持株もちかぶ会社かいしゃによる支配しはい(コンツェルン)も有力ゆうりょく手段しゅだんである。よりゆるやかな結合けつごうを,株式かぶしき持合もちあいや重役じゅうやく派遣はけん業務ぎょうむ提携ていけいなどによって実現じつげんしている企業きぎょう集団しゅうだん存在そんざいも,ことにかたちでの結合けつごう違法いほうとされているような場合ばあいにはいっそう重要じゅうようである。このような結合けつごう方式ほうしきおおくはひとつの産業さんぎょう分野ぶんや活動かつどう限定げんていされないから,独占どくせんちからは,多面ためんてき生産せいさん流通りゅうつう金融きんゆうしょ分野ぶんやにわたって発揮はっきされうるものとなり,少数しょうすう巨大きょだいグループが経済けいざいかい全体ぜんたい支配しはいてき影響えいきょうりょくをもつようになる。だい2大戦たいせんまえ日本にっぽん財閥ざいばつは,つよ結合けつごうたい代表だいひょうてきれいであるが,戦後せんご財閥ざいばつ解体かいたいて,よりゆるやかな企業きぎょう集団しゅうだんとしてさい編成へんせいされてきた。

 このような独占どくせん資本しほんを,だい産業さんぎょう資本しほんだい銀行ぎんこう資本しほん融合ゆうごうというてん着目ちゃくもくして,金融きんゆう資本しほんともぶ。ふたつの言葉ことばがほぼおな対象たいしょうしてもちいられているわけであるが,ニュアンスとしては,経済けいざいりょく集中しゅうちゅう焦点しょうてんわせたのが前者ぜんしゃ結合けつごう組織そしきにおける金融きんゆう役割やくわり焦点しょうてんわせたのが後者こうしゃといえよう(用語ようご学説がくせつ反映はんえいしている場合ばあいもある)。独占どくせんちからは,当然とうぜん政治せいじ領域りょういきでも行使こうしされ,産業さんぎょう政策せいさく通商つうしょう政策せいさくなど,自己じこ有利ゆうり経済けいざい政策せいさくもとめられるだけでなく,海外かいがいでの勢力せいりょくけん確保かくほ国家こっか権力けんりょく動員どういんし,権益けんえき擁護ようごのための海外かいがい派兵はへい列強れっきょうによる植民しょくみん支配しはい公然こうぜん正当せいとうされる。こうして,外交がいこうてき対立たいりつから戦争せんそう不可避ふかひせいたかまる。独占どくせん要請ようせいする国家こっか政策せいさく体系たいけい帝国ていこく主義しゅぎばれて,時代じだい特徴とくちょうづけるものとなった。

独占どくせんによる収奪しゅうだつは,取引とりひき競争きょうそう相手あいてになる中小ちゅうしょう企業きぎょう農民のうみん,あるいは消費しょうひしゃから,当然とうぜん非難ひなん対象たいしょうとされる。はん独占どくせん運動うんどう高揚こうよう立法りっぽう措置そちもっとはやくとられたくにはアメリカで,1890ねんシャーマンほう成立せいりつしている。民主みんしゅ主義しゅぎてき政治せいじ制度せいど定着ていちゃくしており,しかも東部とうぶだい資本しほんによって不利ふり取引とりひきいられる農民のうみん中小ちゅうしょう企業きぎょうぬし開拓かいたくあたらしい政治せいじてき地盤じばんをつぎつぎに形成けいせいできたからである。ヨーロッパや日本にっぽんのように,資本しほん主義しゅぎ発展はってんとともに近代きんだい国家こっかへのみちあゆみつつも,伝統でんとうてき権力けんりょく機構きこう十分じゅうぶん解体かいたいされていなかった国々くにぐにでは,その機構きこうがむしろ独占どくせん有利ゆうり利用りようされることになって,大衆たいしゅうてき基礎きそはん独占どくせん政策せいさく重要じゅうよう政策せいさくスローガンになるような条件じょうけんいていた。アメリカでも,独占どくせんは,選挙せんきょ左右さゆうすることまではできないにしても,実質じっしつてき政府せいふうごかすちからはもっていたから,はん独占どくせん運動うんどう特別とくべつ高揚こうようのぞけば,はんトラストほう適用てきよう骨抜ほねぬきにし,むしろ法文ほうぶんじょうの〈取引とりひき制限せいげんのための共謀きょうぼう〉をだい企業きぎょう共同きょうどう行為こういにではなく労働ろうどう組合くみあい適用てきようして弾圧だんあつ道具どうぐにするというような露骨ろこつ逆用ぎゃくよう頻繁ひんぱんおこなわれた。しかし,りょう大戦たいせんて,民主みんしゅ主義しゅぎかかげる連合れんごうこくがわ勝利しょうりし,しかも,そと社会しゃかい主義しゅぎけん成立せいりつ拡大かくだいない軍事ぐんじ動員どういん必要ひつよう戦後せんご混乱こんらん沈静ちんせい必要ひつようから,労働ろうどうしゃ農民のうみんなどの経済けいざいてき弱者じゃくしゃたいしても政治せいじじょう権利けんり経済けいざいじょう保障ほしょうあたえる方向ほうこう政治せいじのありかたわらざるをえなかった。アメリカ以外いがい主要しゅよう資本しほん主義しゅぎこくも,独占どくせん資本しほん露骨ろこつちから行使こうし制限せいげんする政策せいさくをとるようになった。そのなかで通常つうじょうはん独占どくせん政策せいさくはしらかんがえられているのは競争きょうそう制限せいげんてき行為こうい公正こうせい取引とりひきまるための独占どくせん禁止きんしほうである。もっとも,このいわゆるどくきん政策せいさく中途半端ちゅうとはんぱなものにならざるをえない。この政策せいさく理論りろんてき根拠こんきょひとつは,競争きょうそう条件じょうけん回復かいふくによる経済けいざい効率こうりつ上昇じょうしょうということであるが,競争きょうそうそのもののなか資本しほんだい規模きぼ競争きょうそう企業きぎょう淘汰とうた可能かのうせい内包ないほうされているから,だい規模きぼへの傾向けいこう制限せいげんくわえることが資本しほん活力かつりょくをそぐというかたち経済けいざい効率こうりつせいそこなう可能かのうせい否定ひていできないのである。また,企業きぎょう活動かつどう種々しゅじゅ制約せいやくくわえられるだい資本しほんは,その政治せいじてき影響えいきょうりょく行使こうしして,たえずどくきん政策せいさく形骸けいがいしようとする。さらに,法律ほうりつ性質せいしつじょう独占どくせんそのものよりも,中小ちゅうしょう企業きぎょう共同きょうどう行為こういのほうがあみにかかりやすいといった問題もんだい無視むししえない。
執筆しっぴつしゃ


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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)独占どくせん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

独占どくせん
どくせん
monopoly 英語えいご
monopole フランス語ふらんすご
Monopol ドイツ

独占どくせんとは、その語源ごげんが「唯一ゆいいつ」を意味いみするギリシアはっすることからもあきらかなように、ある企業きぎょう(ないし企業きぎょうぐん)が、その市場いちばないし産業さんぎょうせんいちてき支配しはいしている状態じょうたいをいう。

内島うちじま敏之としゆき

近代きんだい経済けいざいがくからみた独占どくせん

近代きんだい経済けいざいがくにおいては、しゅとして機能きのうてき側面そくめんから独占どくせん分析ぶんせきする。1人ひとりのときを供給きょうきゅう独占どくせん1人ひとりのときを需要じゅよう独占どくせんがともに1人ひとりのときを双方そうほう独占どくせんというが、近代きんだい経済けいざいがく独占どくせんというときは、独占どくせんをさすとかんがえてよい。

 独占どくせんがなぜ存在そんざいするかの理由りゆうとしてはつぎみっつがあげられる。

(1)規模きぼ経済けいざいのため、おおくの企業きぎょうよりもいち企業きぎょう生産せいさんしたほうが費用ひようやすくなるという理由りゆう電気でんき、ガス、鉄道てつどう電話でんわ航空こうくうなどの公益こうえき事業じぎょう妥当だとうする。規模きぼ経済けいざいのために独占どくせん形成けいせいされる場合ばあい自然しぜん独占どくせんnatural monopolyという。

(2)希少きしょう資源しげんいち企業きぎょう完全かんぜん支配しはいしているために独占どくせん存在そんざいする。希少きしょう資源しげんには、鉱山こうざん温泉おんせんなどの天然てんねん資源しげん原材料げんざいりょうなどのほか、特許とっきょなどの知識ちしきふくまれる。

(3)生産せいさんぶつ唯一ゆいいつである権利けんりくにあるいは企業きぎょう免許めんきょかたちあたえられるために独占どくせん存在そんざいする。たばこは専売せんばい公社こうしゃから民営みんえいされたとはいえ、独占どくせん企業きぎょうであるてんでこのれいふくまれる。

内島うちじま敏之としゆき

独占どくせん企業きぎょう価格かかく決定けってい

の(1)のように完全かんぜん独占どくせんりょくゆうする独占どくせん需要じゅよう曲線きょくせんDDみぎがりである。利潤りじゅん最大さいだい目的もくてきとする独占どくせん企業きぎょうは、限界げんかい収入しゅうにゅうMR限界げんかい費用ひようMCとがひとしくなる生産せいさんりょうQm選択せんたくする。これに対応たいおうして価格かかくPm決定けっていされる。価格かかく生産せいさんりょうせきである販売はんばい収入しゅうにゅうOPmMQmである。平均へいきん費用ひよう曲線きょくせんACであると、生産せいさんりょう平均へいきん費用ひようせきしめされる生産せいさん費用ひようOGFQmとなる。販売はんばい収入しゅうにゅう生産せいさん費用ひようとのPmMFGとなるが、これが独占どくせん企業きぎょう利潤りじゅんしめす。需要じゅよう条件じょうけん費用ひよう技術ぎじゅつ条件じょうけん変化へんかしないと、新規しんき参入さんにゅう可能かのうせいがまったくないので、この利潤りじゅん独占どくせん企業きぎょう享受きょうじゅつづけることができる。

 いま、この産業さんぎょう完全かんぜん競争きょうそうてきであるとすると、完全かんぜん競争きょうそう産業さんぎょう供給きょうきゅう曲線きょくせん限界げんかい費用ひよう曲線きょくせんMCである。このとき、価格かかくイコール限界げんかい費用ひよう成立せいりつするので、完全かんぜん競争きょうそうかいてんCしめされ、価格かかくPc産出さんしゅつりょうQcとなる。独占どくせんかいてんMとこのてんC比較ひかくすると、独占どくせん場合ばあいには、価格かかくたかく、産出さんしゅつりょう水準すいじゅんひくくなることがわかる。社会しゃかい全体ぜんたい見地けんちからするとのぞましい産出さんしゅつりょう水準すいじゅんQcであるが、独占どくせんのもとではQmしか生産せいさんされない。したがってQcQmとの対応たいおうするだけの設備せつび利用りようされておらず、独占どくせんのもとでは過剰かじょう生産せいさん能力のうりょく存在そんざいしている。資源しげん効率こうりつてき配分はいぶんされていないのである。

内島うちじま敏之としゆき

自然しぜん独占どくせん

規模きぼ経済けいざい存在そんざいすると、なぜ完全かんぜん競争きょうそうではなく独占どくせん形成けいせいされるのかをみてみよう(の(2))。

 規模きぼ経済けいざいは、平均へいきん費用ひよう曲線きょくせんACみぎがりであることを意味いみする。つまり、たくさん生産せいさんするほどいち単位たんいあた費用ひようやすくなる。このとき、限界げんかい費用ひよう曲線きょくせんMCはつねに平均へいきん費用ひよう曲線きょくせんAC下方かほう位置いちする。独占どくせんかいてんMであり、価格かかくPm産出さんしゅつりょうQmであり、利潤りじゅんうすあか部分ぶぶんしめされる。限界げんかい費用ひよう曲線きょくせんMC需要じゅよう曲線きょくせんDD交点こうてんCは、完全かんぜん競争きょうそうかいかんがえてよいであろうか。てんCでは、価格かかくCQc平均へいきん費用ひようGQcとなる。平均へいきん費用ひよう価格かかくGCだけ上回うわまわっている。このため完全かんぜん競争きょうそう企業きぎょうは、つねに赤字あかじすことになる。価格かかくイコール限界げんかい費用ひようのルールにしたがって操業そうぎょうする企業きぎょうは、プラスの利潤りじゅんをあげることはできないので、てんC完全かんぜん競争きょうそうかいかんがえることはできない。

 このように規模きぼ経済けいざい作用さようする経済けいざいでは、完全かんぜん競争きょうそう達成たっせいされず、独占どくせん存在そんざいすることになる。しかし、社会しゃかいてきにみてのぞましい産出さんしゅつりょうは、てんC対応たいおうする産出さんしゅつりょうQcである。独占どくせん社会しゃかいてき見地けんちからするとすくなすぎる産出さんしゅつりょうQmしか生産せいさんしない。独占どくせん企業きぎょう産出さんしゅつりょうQc生産せいさんするように政府せいふ規制きせいするケースがかんがえられる。てんC操業そうぎょうすると、独占どくせん企業きぎょう産出さんしゅつりょういち単位たんいあたりについてGCだけ損失そんしつこうむるから、GCぶん政府せいふ補助ほじょきんでカバーすればよい。このたねのタイプの自然しぜん独占どくせん規制きせい鉄道てつどうぎょうにおいてよくみられるが、「限界げんかい費用ひよう価格かかく形成けいせい原理げんり」にもとづく規制きせいである。もうひとつのタイプは「平均へいきん費用ひよう価格かかく形成けいせい原理げんり」にもとづく規制きせいである。これは価格かかくPb平均へいきん費用ひようひとしくなるよう規制きせいするものであり、独占どくせんてんB需要じゅよう曲線きょくせん平均へいきん費用ひよう曲線きょくせんとの交点こうてん)に対応たいおうする産出さんしゅつりょうQbえらぶ。このとき独占どくせん利潤りじゅんはゼロとなる。このような規制きせいける企業きぎょう産出さんしゅつりょうは、社会しゃかいてきにみてのぞましい産出さんしゅつりょうQcよりちいさいが、規制きせいがないときの産出さんしゅつりょうQmよりおおきい。計算けいさんしにくい限界げんかい費用ひようではなく、計算けいさんしやすい平均へいきん費用ひようもとづくこのタイプの独占どくせん規制きせいのほうが、より合理ごうりてきであると、しばしば主張しゅちょうされている。

内島うちじま敏之としゆき

マルクス経済けいざいがくからみた独占どくせん

資本しほん主義しゅぎ体制たいせい市場いちば経済けいざい体系たいけい基本きほんてきにとらえる近代きんだい経済けいざいがくによるさまざまな市場いちば形態けいたい比較ひかく機能きのうろんたいして、元来がんらい歴史れきしてき視点してん強調きょうちょう経済けいざい社会しゃかい構造こうぞうてき分析ぶんせき特徴とくちょうとするマルクス経済けいざいがく立場たちばでは、よりひろ視角しかくから「独占どくせん」をかんがえる。

 まず、独占どくせん資本しほん主義しゅぎてき市場いちば経済けいざい一定いってい歴史れきしてき発展はってん過程かてい登場とうじょうするものとみる。本来ほんらい資本しほん主義しゅぎ体制たいせいは、なか近世きんせい政治せいじ権力けんりょくむすいた特権とっけんてき商業しょうぎょう資本しほんにかわって、市場いちばでの自由じゆう競争きょうそうとおして最大限さいだいげん利潤りじゅん獲得かくとくしようとする近代きんだい産業さんぎょう資本しほん市場いちば競争きょうそう体制たいせいとして発生はっせいした。しかし自由じゆう競争きょうそうは、一方いっぽう利潤りじゅん獲得かくとくざしての個別こべつ企業きぎょう競争きょうそうてき規模きぼ拡大かくだい資本しほん蓄積ちくせき)を、他方たほう競争きょうそうやぶれた弱小じゃくしょう企業きぎょう吸収きゅうしゅう合併がっぺい資本しほん集中しゅうちゅう)をうながし、生産せいさん資本しほん少数しょうすう巨大きょだい企業きぎょう独占どくせん資本しほん)へのたか集中しゅうちゅうをもたらした。資本しほん主義しゅぎ自由じゆう競争きょうそうから独占どくせん段階だんかいへの発展はってん転化てんかといわれる過程かていがこれである。たとえば、大蔵省おおくらしょうげん財務省ざいむしょう)の調査ちょうさによれば、1996ねん平成へいせい8)時点じてんでわがくに法人ほうじん企業きぎょう総数そうすうのわずか0.21%をめるにすぎない資本しほんきん10おくえん以上いじょうだい企業きぎょう5114しゃは、ぜん法人ほうじん企業きぎょうそう資産しさん合計ごうけいがくの43.6%、資本しほんきんの63.0%、従業じゅうぎょういんの19.8%をめ、売上うりあげだかの37.8%、営業えいぎょう利益りえきの56.8%をめている。この少数しょうすう巨大きょだい企業きぎょうへの経済けいざい活動かつどう高度こうど集中しゅうちゅう傾向けいこうは、現代げんだい先進せんしんてき資本しほん主義しゅぎ経済けいざい共通きょうつうしてみとめられる現実げんじつである。少数しょうすう巨大きょだい企業きぎょうへの経済けいざい一般いっぱんてき集中しゅうちゅうとともに、特定とくてい産業さんぎょうでのだい企業きぎょうぐん)への生産せいさん集中しゅうちゅう出荷しゅっか集中しゅうちゅう)もある。公正こうせい取引とりひき委員いいんかい調査ちょうさによれば、1994ねん平成へいせい6)の日本にっぽん主要しゅよう産業さんぎょうべつ上位じょうい3しゃ累積るいせき出荷しゅっか集中しゅうちゅう単純たんじゅん平均へいきんは、輸送ゆそうよう機械きかい器具きぐ製造せいぞうぎょうの78.8%を最高さいこうに、金属きんぞく製品せいひん69.5%、電気でんき機械きかい器具きぐ66.0%、一般いっぱん機械きかい器具きぐ64.9%、食品しょくひん64.4%などとなっており、そうじて製造せいぞうぎょうのほうが製造せいぞうぎょう34業種ぎょうしゅ平均へいきん54.0%よりじゅうすうポイントほどたかくなっている。

 現代げんだい独占どくせんは、このような少数しょうすう巨大きょだい企業きぎょうへのたか生産せいさん資本しほん集中しゅうちゅうにとどまらない。これら巨大きょだい企業きぎょう多数たすう子会社こがいしゃ系列けいれつ企業きぎょう傘下さんかにもち事業じぎょう活動かつどうおこなっている。さき大蔵省おおくらしょう調査ちょうさによれば、ぜん法人ほうじん企業きぎょうの0.005%をめるにすぎない最大さいだい100しゃ資産しさん集中しゅうちゅう19.4%)が50%以上いじょう株式かぶしき所有しょゆうする関係かんけい会社かいしゃは4075しゃのぼり、これら関係かんけい会社かいしゃふくめるとそう資産しさん集中しゅうちゅうで23.7%となっている。つまり巨大きょだい企業きぎょう経済けいざい支配しはいりょくは、生産せいさん流通りゅうつうしょ段階だんかいにまたがる関連かんれん子会社こがいしゃ系列けいれつ会社かいしゃへの影響えいきょうりょく行使こうしとおしても発揮はっきされる。しかし、これらの集中しゅうちゅうは、1986~1996ねんの10年間ねんかんで7ポイントほど低下ていかしている。

 さて、以上いじょうのような独占どくせんてき企業きぎょう結合けつごうは、生産せいさんぶつやサービス取引とりひきめんとともに、株式かぶしき発行はっこう資金しきん融資ゆうしさらには役員やくいん相互そうご派遣はけんといった資金しきんてき人的じんてき結合けつごう関係かんけいによってもささえられる。歴史れきしてきにみて独占どくせんてききょだい企業きぎょう企業きぎょう結合けつごうたい形成けいせい有力ゆうりょく手段しゅだんとなったのは株式会社かぶしきがいしゃ制度せいどであった。この制度せいどによって社会しゃかい遊休ゆうきゅうしている莫大ばくだい(ばくだい)な資金しきん動員どういんして、利潤りじゅんなどの内部ないぶ資金しきん限界げんかいえた企業きぎょう規模きぼ拡大かくだい可能かのうとなり、他方たほうでは株式かぶしき所有しょゆう分散ぶんさんともなって少数しょうすう株式かぶしき所有しょゆうによる企業きぎょう支配しはい(これを支配しはい集中しゅうちゅうという)が可能かのうとなったからである。そして資金しきん社会しゃかいてき動員どういんにな株式かぶしき発行はっこう業務ぎょうむになきょだい銀行ぎんこう影響えいきょうりょく増大ぞうだいする。かつてドイツ社会しゃかい民主党みんしゅとう理論りろんR・ヒルファーディングは「銀行ぎんこう管理かんり産業さんぎょう使用しようする資本しほん」を金融きんゆう資本しほんとよび、以来いらいマルクス経済けいざいがく伝統でんとうでは、巨大きょだい産業さんぎょう巨大きょだい銀行ぎんこうとを統一とういつてき支配しはいする金融きんゆう資本しほんこそ、独占どくせん独占どくせん資本しほん主義しゅぎ支配しはいする資本しほん形態けいたいとみなしている。しかし、現代げんだい先進せんしん資本しほん主義しゅぎでの主要しゅようだい株式かぶしき所有しょゆうは、個人こじん株主かぶぬしからはなれ、巨大きょだい保険ほけん会社かいしゃ銀行ぎんこう巨大きょだい産業さんぎょう企業きぎょうといった機関きかん所有しょゆうしゃによってめられている(日本にっぽん場合ばあい機関きかん所有しょゆうは70%前後ぜんこうであり、その割合わりあい徐々じょじょたかまっている。個人こじん株主かぶぬしは27%前後ぜんこう)。

 以上いじょうのように生産せいさん資本しほん高度こうど集中しゅうちゅう土台どだい株式かぶしき所有しょゆう人的じんてき交流こうりゅうとおして経済けいざい活動かつどう支配しはいする巨大きょだい企業きぎょう独占どくせんてき企業きぎょう結合けつごうたいが、マルクス経済けいざいがくでの独占どくせんのもっとも基本きほんてき形態けいたいである。そして独占どくせん金融きんゆう資本しほんてき支配しはい体制たいせいとしての独占どくせん資本しほん主義しゅぎ独占どくせんしょ形態けいたいは、
(1)どういち産業さんぎょうでの横断おうだんてき企業きぎょう結合けつごうによる生産せいさん価格かかくめんでの協調きょうちょう行動こうどう特徴とくちょうとするカルテル
(2)共同きょうどう企業きぎょうによる独占どくせんてき購入こうにゅう販売はんばい機関きかん形式けいしきをとるシンジケートまたはトラスト
(3)産業さんぎょうにまたがっての企業きぎょう金融きんゆう資本しほんてき支配しはい特徴とくちょうとするコンツェルン(だい世界せかい大戦たいせんまえ財閥ざいばつ現代げんだいにおける企業きぎょう集団しゅうだん
などが区別くべつされる。独占どくせんは、その巨大きょだい経済けいざいりょく利用りようして独占どくせん価格かかくとおして消費しょうひしゃ中小ちゅうしょう企業きぎょう搾取さくしゅ収奪しゅうだつするにとどまらず、国家こっか政治せいじ政策せいさくへの影響えいきょうりょく行使こうしし、原料げんりょう市場いちば獲得かくとくざして海外かいがいにもその独占どくせんりょく拡大かくだいする。また、独占どくせんはその支配しはいりょく安住あんじゅう経済けいざい進歩しんぽへの活力かつりょくき、資本しほん主義しゅぎ経済けいざい停滞ていたい腐朽ふきゅう原因げんいんとなるものとしてきびしく批判ひはんされる。しかし現代げんだいきびしい国際こくさい競争きょうそうかんがえると、こうしたいちこく主義しゅぎてき独占どくせん規定きていさい検討けんとうもとめられている。

吉家きつか清次せいじ

『P・A・サムエルソンちょ都留つる重人しげとやく経済けいざいがく原書げんしょだい11はん)』ぜん2さつ(1981・岩波書店いわなみしょてん)』妹尾せのおあきらへん現代げんだい日本にっぽん産業さんぎょう集中しゅうちゅう』(1983・日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ)』『『経済けいざい構造こうぞう変化へんか産業さんぎょう組織そしき』(1992・公正こうせい取引とりひき委員いいんかい)』『『財政ざいせい金融きんゆう統計とうけい月報げっぽう』544ごう(1997・大蔵省おおくらしょう)』『『公正こうせい取引とりひき委員いいんかい年次ねんじ報告ほうこくかくとしばん公正こうせい取引とりひき委員いいんかい)』奥野おくの正寛まさひろちょ『ミクロ経済けいざいがく入門にゅうもん』(日経にっけい文庫ぶんこ)』『R・ヒルファーディングちょ岡崎おかざき次郎じろうやく金融きんゆう資本しほんろん』(岩波いわなみ文庫ぶんこ)』『レーニンちょ副島そえじまたねてんやく帝国ていこく主義しゅぎろん』(大月書店おおつきしょてん国民こくみん文庫ぶんこ)』


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百科ひゃっか事典じてんマイペディア独占どくせん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

独占どくせん【どくせん】

ある商品しょうひんひとつの企業きぎょうだけによって供給きょうきゅうされ,競争きょうそう相手あいてがいない状態じょうたい近代きんだい経済けいざいがくはこれを不完全ふかんぜん競争きょうそうび,1人ひとり売手うりて買手かいて多数たすうしゃ取引とりひきする単純たんじゅん独占どくせん,2しゃまたは少数しょうすうしゃたい多数たすうしゃふくうらないまたは寡占かせんける。→独占どくせん禁止きんしほう
関連かんれん項目こうもく市場いちば失敗しっぱい独占どくせん価格かかく

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普及ふきゅうばん どおり独占どくせん」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

独占どくせん】どくせん

ひとめ。そう軾〔しょうななあつし)のでてみずうみしゅうもりたるにす、しゅ りょう卮(りやうし)(はい)のはるしゅしんうらやむにへたり ひとうらないむ、ひと(じんかん)そとさかえ

どおりどく」の項目こうもく

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん独占どくせん」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

独占どくせん
どくせん
monopoly

一般いっぱん特定とくてい単一たんいつないし少数しょうすう資本しほん生産せいさん市場いちば支配しはいしている状態じょうたい,またはこのような資本しほんそのものをいう。経済けいざいがくでいう狭義きょうぎ独占どくせんは,買手かいてたいして売手うりて単一たんいつであるような市場いちば構造こうぞうをいう。また売手うりてたいして買手かいて単一たんいつである場合ばあいには買手かいて独占どくせんないし需要じゅよう独占どくせんという。独占どくせんしゃ供給きょうきゅうする商品しょうひんにほかの代替だいたいぶつのない場合ばあい完全かんぜん独占どくせんとなる。しかし現実げんじつてきには主要しゅよう産業さんぎょうかく分野ぶんやごとに,いくつかの巨大きょだい企業きぎょう存在そんざいする寡占かせん状態じょうたい普通ふつうである。 (→産業さんぎょう組織そしきろん )  

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栄養えいよう生化学せいかがく辞典じてん独占どくせん」の解説かいせつ

独占どくせん

 市場いちばで,供給きょうきゅうしゃ需要じゅようしゃ,もしくはその両方りょうほう単一たんいつ場合ばあい

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち独占どくせん言及げんきゅう

【モノポリー】より

…アメリカで人気にんきのあるボードゲーム。モノポリーは〈独占どくせん〉の意味いみ。ゲームの発明はつめいしゃ失業しつぎょうちゅう電気でんき技師ぎしチャールズ・ダロウといわれ,1930年代ねんだいだい不況ふきょうのとき,パーカー・ブラザーズという玩具おもちゃ会社かいしゃがその権利けんりいとりだいヒットさせた。この会社かいしゃ宣伝せんでんによるとおよそはん世紀せいきあいだ世界中せかいじゅうで8おくセットをったという。ゲームは2人ふたり以上いじょう8にんまでいちにプレーすることができる。かくプレーヤーは2のさいころのによって自分じぶんこますすめていき,その升目ますめにあたる土地とち権利けんりしょいとる。…

価格かかく】より


価格かかく制度せいど限界げんかい
 価格かかく制度せいどはたらきの説明せつめいわるにあたって,この制度せいど限界げんかい簡単かんたんにふれておく。とくに重要じゅうようなのは公共こうきょうざい独占どくせんである。公共こうきょうざいは,ある経済けいざい主体しゅたいによるその消費しょうひが,経済けいざい主体しゅたいによるその同時どうじてき消費しょうひ排除はいじょしないざいとサービスと定義ていぎされ,国防こくぼう公園こうえんとう代表だいひょうてきれいである。…

競争きょうそう】より

以下いかでは市場いちば形態けいたいしゅとしてそこに参加さんかする主体しゅたい(とりわけ企業きぎょう)のかず依拠いきょしていくつかに区別くべつしてみよう(おもて参照さんしょう)。 まず,ひとつの市場いちば存在そんざいする企業きぎょうかずが1の場合ばあい独占どくせんであり,それは当面とうめん企業きぎょう生産せいさんぶつ供給きょうきゅうしゃであるか需要じゅようしゃであるかにしたがって供給きょうきゅう独占どくせんあるいは需要じゅよう独占どくせん区別くべつされる。また両者りょうしゃとも単一たんいつ企業きぎょうである場合ばあい双方そうほう独占どくせんという。…

不完全ふかんぜん競争きょうそう】より

…そこで不完全ふかんぜん競争きょうそうとは,いち企業きぎょうがたんに〈いちてき〉でないか,市場いちばが〈大海たいかい〉でないか,どちらかの状態じょうたいであるといえる。前者ぜんしゃ極端きょくたんれいとしては,市場いちばにただいち企業きぎょうしか存在そんざいしない独占どくせん場合ばあいがあげられる。企業きぎょうでしばらくまねのできないような画期的かっきてきしん製品せいひん発売はつばいした企業きぎょうとか専売せんばい会社かいしゃ場合ばあいなどがそれにあたる。…

※「独占どくせん」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

出典しゅってん株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばん)」

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