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砂漠(サバク)とは? 意味や使い方 - コトバンク

砂漠さばくみ)サバク英語えいご表記ひょうき)desert

翻訳ほんやくdesert

デジタル大辞泉だいじせん砂漠さばく」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

さ‐ばく【砂漠さばく沙漠さばく

雨量うりょう極端きょくたんすくないため植物しょくぶつがほとんどそだたず、岩石がんせき砂礫されきされきからなる地域ちいきサハラカラハリゴビなど。
[せつ]書名しょめい別項べっこう。→砂漠さばく
[類語るいご]砂原すなはら砂地すなじ砂丘さきゅう砂山すなやま

さばく【砂漠さばく】[書名しょめい

原題げんだい、〈フランス〉Désert》フランスの作家さっかル=クレジオ長編ちょうへん小説しょうせつ。1980年刊ねんかん

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん砂漠さばく」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

さ‐ばく【砂漠さばく沙漠さばく

  1. 名詞めいし
  2. あめ非常ひじょうすくなく、そのため植物しょくぶつなどがほとんどられない、小石こいし砂礫されき地表ちひょうをおおわれた不毛ふもう地形ちけいにより、すな砂漠さばく(エルグ)、つぶて砂漠さばく(レグ)、岩石がんせき砂漠さばく(ハマダ)に大別たいべつされ、また成因せいいんにより、亜熱帯あねったい砂漠さばく海岸かいがん冷涼れいりょう砂漠さばくあめかげ砂漠さばく内陸ないりく砂漠さばく分類ぶんるいされる。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「沙漠さばくせみびんいち風霜ふうそうざんたまがおいち」(出典しゅってんぶんはな秀麗しゅうれいしゅう(818)ちゅうおうあきらくん嵯峨天皇さがてんのう〉)
    2. [その文献ぶんけん]〔曹植‐白馬はくばへん
  3. しょうをいう俗語ぞくご

しゃ‐ばく【砂漠さばく沙漠さばく

  1. 名詞めいし ( 「しゃ」は「すな」「すな」の呉音ごおん ) =さばく(砂漠さばく
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「きた砂漠さばく(シャバク)そと満州まんしゅう・サンタンにいたるまでぞくし」(出典しゅってんかずらんどおり舶(1805)いち)

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)砂漠さばく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

砂漠さばく
さばく
desert

降水こうすいりょうすくないため植物しょくぶつえていないか、まばらなところ南極なんきょくなどの高緯度こういど地域ちいき高度こうどおおきい山地さんちにも乾燥かんそうした荒地あれちがみられ寒冷かんれい砂漠さばくとよばれているが、乾燥かんそう性格せいかくより寒冷かんれい性格せいかくつよく、一般いっぱんてきには「砂漠さばく」にふくめられていないことがおおい。

赤木あかぎさち彦]

用語ようご

研究けんきゅうしゃ中心ちゅうしんに「沙漠さばく(さばく)」という漢字かんじ使用しようするひとおおくなっている。「砂漠さばく」からける「すなさばく」のイメージをけるためである。しかし、「すな」も「すな」もともに「すな」を意味いみする漢字かんじである。「すな」が本字ほんじ、「すな」が俗字ぞくじであり、「砂漠さばく」が当用漢字とうようかんじになるまでは、ほとんど「沙漠さばく」が使用しようされていた。ところで「沙漠さばく」の本来ほんらい意味いみは「すなさばく」であり、中国ちゅうごくではこの意味いみ使用しようされている。「さばく」を意味いみする漢字かんじは「あらばく」である。国語こくご辞典じてんたしかめると、明治めいじ大正たいしょう時代じだい刊行かんこうされた国語こくご辞典じてんはすべて「砂漠さばく」を「すなさばく」と説明せつめいしており、「あらばく」はげていない。大槻おおつき文彦ふみひこ(おおつきふみひこ)編集へんしゅうの『大言たいげんうみ(だいげんかい)』(昭和しょうわ8年版ねんばん)では「すなノミニシテ、流水りゅうすい草木くさきモナキ広大こうだいナル原野げんやしょう。」と説明せつめいしている。地理ちりがく辞典じてんは、1906ねん明治めいじ39)に刊行かんこうされた志賀しが重昂しげたか(しげたか)校閲こうえつの『地理ちり辞典じてん以降いこう、「サバク すなすなばく desert」の項目こうもくもうけ、現在げんざい使用しようされている用法ようほうおなじに説明せつめいしている。「desert」を意味いみする「あらばく」をだれもらなかったためであろう。かずつじ哲郎てつろう(わつじてつろう)が1928ねん昭和しょうわ3)に執筆しっぴつした『風土ふうど』で「desertに相当そうとうする言葉ことばがないので、本来ほんらいは『すなさばく』を意味いみする沙漠さばく使用しようする(要約ようやく)」といているため、一般いっぱんてきには昭和しょうわはじめころから「沙漠さばく」が「さばく」を意味いみするようになり、あたらしく「すな沙漠さばく」が使用しようされるようになったのであろう。

赤木あかぎさち彦]

範囲はんい

砂漠さばく範囲はんいは、どの指標しひょうによって乾燥かんそう地帯ちたい範囲はんいめるか、乾燥かんそうしたところのどの範囲はんい砂漠さばくとするかによってことなる。乾燥かんそう地帯ちたい区分くぶんほうとしては、1953ねんにアメリカの地理ちり学者がくしゃメイグスPeveril Meigs(1903―1979)が、みず収支しゅうし降水こうすいりょうふけ発散はっさん――水分すいぶん十分じゅうぶんあるときのふけ発散はっさんりょう)により乾燥かんそう地帯ちたいごく乾燥かんそう乾燥かんそうはん乾燥かんそう区分くぶんした方法ほうほうひろれられており、このうちまえしゃ砂漠さばくとするのが一般いっぱんてきである。また、1992ねん国連こくれん環境かんきょう計画けいかく(UNEP)が、砂漠さばく発生はっせいする範囲はんいめるために乾燥かんそう地帯ちたい区分くぶんし、降水こうすいりょうふけ発散はっさんったが0.05未満みまん地域ちいきちょう乾燥かんそう、0.05~0.20未満みまん乾燥かんそう、0.20~0.50未満みまんはん乾燥かんそう、0.50~0.65未満みまん乾燥かんそう湿潤しつじゅんとした。そして「乾燥かんそうはん乾燥かんそう乾燥かんそう湿潤しつじゅん地域ちいき発生はっせいする土地とち劣化れっか」を砂漠さばく定義ていぎし、ちょう乾燥かんそう地域ちいき乾燥かんそうしすぎているため砂漠さばく発生はっせいしないと説明せつめいしている。この区分くぶんはメイグスと同様どうようみず収支しゅうし指標しひょうとしているが、計算けいさん簡単かんたんなためひろ使用しようされている。メイグスの砂漠さばく範囲はんい陸地りくちの20.5%(きょく乾燥かんそう4.3%、乾燥かんそう16.2%)であり、UNEPのちょう乾燥かんそうは7.5%・乾燥かんそうは12.1%で、両者りょうしゃくわえた面積めんせきは19.6%となるので、UNEPの区分くぶんでは、この範囲はんい砂漠さばくとするのが適切てきせつである。

赤木あかぎさち彦]

呼称こしょう分類ぶんるい

砂漠さばくはさまざまな指標しひょう区分くぶんされているので、「なに砂漠さばく」とよばれる呼称こしょうがたくさんある。

(1)基本きほんてき指標しひょう――海洋かいよう湿潤しつじゅん地帯ちたいかこまれた地理ちりてき範囲はんいしめ呼称こしょう この場合ばあい砂漠さばく連続れんぞくしていても、たかがけ(がけ)などで降水こうすいりょう気温きおんなどにいちじるしい相違そういがあると、べつ呼称こしょうでよばれている。アフリカ大陸たいりくナミブ砂漠さばくカラハリ砂漠さばくサハラ砂漠さはらさばく・ソマリーチャルビ砂漠さばく、ユーラシア大陸たいりくのアラビア砂漠さばく・イラン砂漠さばくタール砂漠さばくだいインド砂漠さばく)・トルキスタン砂漠さばく・タクリマカン砂漠さばくゴビ砂漠ごびさばく、オーストラリア大陸たいりくのオーストラリア砂漠さばくきたアメリカ大陸あめりかたいりくきたアメリカ砂漠さばくみなみアメリカ大陸あめりかたいりくのペルー砂漠さばくアタカマ砂漠さばく・モンテ砂漠さばく・パタゴニア砂漠さばく以上いじょうの16砂漠さばく基本きほんてき砂漠さばくである。

(2)基本きほん砂漠さばくのうちのすな砂漠さばく部分ぶぶん呼称こしょう アラビア砂漠さばくのルブ・アル・ハーリー砂漠さばく、オーストラリア砂漠さばくのシンプソン砂漠さばくなど。トルキスタン砂漠さばく一部いちぶキジルクム砂漠さばくカラクム砂漠さばくとしている地図ちずちょうがたくさんあるが、「クム」はすな砂漠さばく意味いみする現地げんちのことばである。きたアメリカ砂漠さばくはチワワ砂漠さばく、ソノラ砂漠さばくモハーベ砂漠さばく、グレート・ベースン砂漠さばく区分くぶんされているが、この区分くぶん指標しひょう植生しょくせい相違そういである。

(3)基本きほんてき砂漠さばく一部いちぶ地方ちほうたいする地域ちいきてき名称めいしょう サハラ砂漠さはらさばくのリビア砂漠さばくきたアメリカ砂漠さばくのグレート・ソルト・レーク砂漠さばくなど。

 以上いじょう砂漠さばくには範囲はんいがあるが、つぎ指標しひょう具体ぐたいてき場所ばしょとは関係かんけいのない分類ぶんるいである。

(4)成因せいいんによる分類ぶんるい詳細しょうさい後述こうじゅつ参照さんしょう) 亜熱帯あねったい砂漠さばくあめかげ砂漠さばく冷涼れいりょう海岸かいがん砂漠さばく大陸たいりく内部ないぶ砂漠さばく内陸ないりく砂漠さばく
(5)地表ちひょう特性とくせい基準きじゅんとした分類ぶんるい 岩石がんせき砂漠さばくつぶて(れき)砂漠さばくすな砂漠さばく粘土ねんど砂漠さばく
 以上いじょうがおもな分類ぶんるいであるが、このほかにもさまざまな指標しひょう分類ぶんるいされた砂漠さばくめいがある。

赤木あかぎさち彦]

成因せいいん

砂漠さばく成因せいいんにより、以下いかよっつに分類ぶんるいされる。

(1)亜熱帯あねったい砂漠さばく 亜熱帯あねったいだかあつたいでは下降かこう気流きりゅう発達はったつしているため、大陸たいりく東側ひがしがわのぞ乾燥かんそう地帯ちたいとなっている。大陸たいりく東側ひがしがわ降雨こううがあるのは、だい洋上ようじょうにある高気圧こうきあつから貿易ぼうえきふうとモンスーンのためである。

(2)冷涼れいりょう海岸かいがん砂漠さばく 沖合おきあいを寒流かんりゅうながれており、しかも深海しんかい冷水れいすいがわきがっているところでは、このつめたい海水かいすいじょう大気たいきあたたかい陸上りくじょう移動いどうしても降水こうすいをもたらすことはできない。

(3)あめかげ砂漠さばく 恒常こうじょうふう(つねに一定いってい方向ほうこういているかぜ)の風上かざかみがわたか山脈さんみゃくさえぎられているところは、山脈さんみゃくえるさい降水こうすいをもたらし、風下かざしもがわにはかわいたふうりてきて乾燥かんそう地帯ちたいとなる。

(4)内陸ないりく砂漠さばく おおきな大陸たいりく内部ないぶ風上かざかみがわ顕著けんちょ山脈さんみゃく存在そんざいしなくても、うみからのふう途中とちゅう湿気しっけとしてしまうために乾燥かんそうしている。

 世界せかいのおもな砂漠さばく以上いじょうにあげた成因せいいんふたつないしみっつの組合くみあわせにより形成けいせいされていることがおおい。その面積めんせきがもっともひろサハラ砂漠さはらさばくは、亜熱帯あねったい砂漠さばくであると同時どうじに、内陸ないりく内陸ないりく砂漠さばく大西洋たいせいようがん沿いはカナリア海流かいりゅう影響えいきょうける冷涼れいりょう海岸かいがん砂漠さばくである。トルキスタン砂漠さばくからゴビ砂漠ごびさばくにかけてのユーラシア内陸ないりく内陸ないりく砂漠さばくであり、同時どうじヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃくだいきょうやすみね(だいこうあんれい/ターシンアンリン)山脈さんみゃくなどによるあめかげ砂漠さばくである。きたアメリカ大陸あめりかたいりく砂漠さばく面積めんせきひろくないが成因せいいん多様たようである。バハ・カリフォルニア冷涼れいりょう海岸かいがん砂漠さばくである。みなみのソノラ砂漠さばくなつ亜熱帯あねったいだかあつ砂漠さばくふゆあめかげ砂漠さばく性格せいかくをもつ。きたのグレート・ベースン砂漠さばく内陸ないりくおよびあめかげ砂漠さばくである。アタカマ砂漠さばく世界せかいでもっとも乾燥かんそうしているのは、亜熱帯あねったいだかあつたい位置いちし、沖合おきあいをペルー海流かいりゅうながれ、風上かざかみがわアンデス山脈あんですさんみゃく位置いちしているためである。

赤木あかぎさち彦]

気候きこう

砂漠さばく降水こうすい特色とくしょくりょうすくないことと不規則ふきそくなことである。そして降水こうすいりょうすくなくなるほど不規則ふきそくせいおおきくなる。冷涼れいりょう海岸かいがん砂漠さばく降水こうすいりょうすくなく、とし平均へいきん降水こうすいりょうが50ミリメートル以下いかところひろ範囲はんいめる。アタカマ砂漠さばく中心ちゅうしん位置いちするイキケのとし平均へいきん降水こうすいりょうは2ミリメートルであるが、連続れんぞく14ねん降水こうすい記録きろくしたことがある。ペルーのリマのとし平均へいきん降水こうすいりょうやく10ミリメートルであるが、最大さいだいねん降水こうすいりょうは1524ミリメートルである。のもうひとつの特色とくしょくはしばしば局地きょくちてき豪雨ごううとなることである。そのため平坦へいたん(へいたん)な砂漠さばくでは局地きょくち降雨こうう移動いどうしてゆくのを目撃もくげきすることがある。ワジwadiの河床かしょう砂地すなじとなっているためにキャンプとして好適こうてきであるが、上流じょうりゅうった豪雨ごううにより溺死できし(できし)しゃることもある。

 温度おんどとの関係かんけいにより相違そういがあるが、一般いっぱんてきにはとし平均へいきん降水こうすいりょうが20~30ミリメートル以下いかところでは植生しょくせいはほとんどみられなくなる。反対はんたい降水こうすいりょう増大ぞうだいすると草地くさちとなる。あめおおいオーストラリア砂漠さばくはもっともかわいたところでもやく125ミリメートルの降水こうすいりょうがあり、地下水ちかすい利用りようして牧場ぼくじょうとなっており、降水こうすいりょうおおところには砂漠さばくカシなどのはやしがみられる。植生しょくせいすくなく、快晴かいせいおお砂漠さばく世界せかいでもっとも高温こうおん温度おんど変化へんかおおきい地域ちいきである。夏季かきには45℃前後ぜんこうになるのはまれではなく、最高さいこう気温きおんはイラクのバスラで記録きろくされた58.8℃である。地表ちひょうめん温度おんどはさらにたかく、紅海こうかい付近ふきん最高さいこう83℃を記録きろくしている。冬季とうき内陸ないりく砂漠さばく低温ていおんとなり、カザフスタンのアルマトイでは零下れいか34℃を記録きろくしている。にち変化へんか一般いっぱんてきには17~22℃程度ていどであるが、アメリカ、カリフォルニアの「たに(デス・バリー)」では41℃を記録きろくしている。とし変化へんかとしてはスーダンでの55℃から零下れいか2℃まで低下ていかした記録きろくがある。冷涼れいりょう海岸かいがん砂漠さばく亜熱帯あねったい位置いちしているが、なつにも高温こうおんとはならず、40℃をえることはほとんどない。

赤木あかぎさち彦]

地形ちけい

地形ちけい隆起りゅうき運動うんどう断層だんそう運動うんどうなど、地球ちきゅう内部ないぶから作用さようする内的ないてき営力と風化ふうか作用さよう侵食しんしょく作用さようなどの外的がいてき営力により形成けいせいされる。砂漠さばく成因せいいん気候きこうであるが、気候きこう外的がいてき営力だけに作用さようするため、内的ないてき営力がつよはたらいている造山つくりやまたいよわ安定あんていりくかたまり地形ちけいでは、おな砂漠さばく気候きこう位置いちしていてもおおきなちがいがある。造山つくりやまたいでは機械きかいてき風化ふうか作用さよう卓越たくえつしている。機械きかいてき風化ふうか作用さようしゅ営力としては、おおきな温度おんど変化へんかによる日射にっしゃ風化ふうか塩類えんるい侵入しんにゅうし、結晶けっしょう温度おんど変化へんかにより増大ぞうだいして、その圧力あつりょく破壊はかいする塩類えんるい風化ふうかがあげられる。砂漠さばくとし平均へいきん降水こうすいりょう湿潤しつじゅん地域ちいき比較ひかくするとはるかにすくないが、しばしば豪雨ごううとなり、しかも植生しょくせいすくないために侵食しんしょく運搬うんぱんりょくつよく、地形ちけい形成けいせいするしゅ営力となっている。山地さんち斜面しゃめんきゅう勾配こうばい(こうばい)であり、地形ちけい発達はったつ初期しょきには多量たりょう砂礫されき(されき)が生産せいさんされるため、その前面ぜんめんにバハダbahadaとよばれる連続れんぞくした扇状地せんじょうち形成けいせいされる。山地さんち斜面しゃめんはその勾配こうばいえずに侵食しんしょくされ後退こうたいするので、その前面ぜんめんペディメントpedimentとよばれる侵食しんしょくなる斜面しゃめん拡大かくだいし、やがてインゼルベルクInselberg(ドイツ)とよばれる孤立こりつおかとなり、最後さいごには孤立こりつおか消滅しょうめつし、広大こうだい平坦へいたん地形ちけいとなる。降水こうすいりょうより可能かのう蒸発じょうはつりょうのほうがはるかにおおきい砂漠さばくでは、しばしば流水りゅうすいうみまで到達とうたつしない内陸ないりく流域りゅういきがみられ、そのもっともひくところにはプラヤplayaとよばれる、降雨こうう一時いちじてきみずがたまる非常ひじょう平坦へいたん地形ちけいがみられる。

 安定あんていりくかたまりでは地盤じばん長期間ちょうきかん安定あんていしているため侵食しんしょく作用さよう終末しゅうまつにあり、地形ちけい岩石がんせき特性とくせいゆるやかな地殻ちかく運動うんどう特性とくせい反映はんえいしている。サハラ砂漠さはらさばく地形ちけいは、中央ちゅうおうだいさん噴出ふんしゅつ長期間ちょうきかん侵食しんしょくけてきたアハガルとティベスティのりょう山地さんち以外いがいは、基盤きばんゆるやかに起伏きふくしている地形ちけいである。この起伏きふくする基盤きばんひくところにはすなじりのつぶてそうすなうみ堆積たいせき(たいせき)しており、たかまったところには、ところどころ基盤きばん露出ろしゅつし、かぜはこばれたすな侵食しんしょくされたハマダがみられる。また、水平すいへい地層ちそうかた岩石がんせき分布ぶんぷするところでは、侵食しんしょくからのこされた台地だいち地形ちけい散在さんざいしている。オーストラリア砂漠さばく地形ちけいは、エーア付近ふきん中心ちゅうしんとするゆるやかなみやつこ盆地ぼんち運動うんどうけているが、エーア流入りゅうにゅうする河川かせんはこばれたシルト(つぶみち0.004~0.06ミリメートルのつぶみち粒子りゅうし)・粘土ねんど堆積たいせきするため、平坦へいたん地形ちけいとなっている。中央ちゅうおうからインド洋いんどようにかけては、長期間ちょうきかん侵食しんしょくにより形成けいせいされた侵食しんしょく平原へいげんである。この堆積たいせき平原へいげん侵食しんしょく平原へいげんひくところにはシンプソン砂漠さばくなどのすな砂漠さばく発達はったつしており、ところどころにマクドネル山脈さんみゃく、フリンダーズ山脈さんみゃくなどが散在さんざいしている。これらの山脈さんみゃく褶曲しゅうきょく(しゅうきょく)した非常ひじょうかた岩石がんせきが、長期間ちょうきかん侵食しんしょく抵抗ていこうしてのこっている地形ちけいであり、褶曲しゅうきょく構造こうぞうがそのまま山脈さんみゃく形態けいたいあらわれている。

 ふうによる侵食しんしょく作用さようとしては、かたゆいほそつぶぶつばされるデフレーションdeflationと、すなふうによりけられて研磨けんまするアブレーションablationがある。前者ぜんしゃによって形成けいせいされるおもな地形ちけいとしては砂漠さばく窪地くぼち(くぼち)やデザート・ペーブメントdesert pavement、後者こうしゃによる地形ちけいとしてはヤルダンyardangがある。ふうによる堆積たいせき地形ちけいとしては、すなゆか砂丘さきゅうがある。すなゆかはその表面ひょうめん風紋ふうもんがみられるだけのまったく平坦へいたん平原へいげんであり、すなあつさは50センチメートル程度ていどのこともあり、その面積めんせきは10まん平方へいほうキロメートルちかくにたっすることもある。おもな砂丘さきゅうとしては三日月みかづきじょう平面へいめんをもつバルハンbarchan、風向ふうこう直交ちょっこうする横列おうれつ砂丘さきゅう風向ふうこう平行へいこうするせんじょう砂丘さきゅうがある。すなゆか砂丘さきゅうをあわせたところがすな砂漠さばくであるが、そのほとんどは安定あんていりくかたまり分布ぶんぷしており、造山つくりやまたい位置いちしている南北なんぼくりょうアメリカ大陸あめりかたいりく砂漠さばくではともに砂漠さばく全体ぜんたいの1%以下いかである。安定あんていりくかたまりゆるやかなていところにはすなあつめられ、そのだい部分ぶぶんは3まん平方へいほうキロメートル以上いじょう面積めんせきすなうみとよばれており、最大さいだいすなうみは65まん平方へいほうキロメートルのルブ・アル・ハーリー砂漠さばくである。なお、サハラ砂漠さはらさばくすな砂漠さばくめる面積めんせき割合わりあいやく20%、アラビア砂漠さばくやく30%、オーストラリア砂漠さばくやく40%であるが、オーストラリア砂漠さばく固定こてい砂丘さきゅうである。安定あんていりくかたまり位置いちしていない中国ちゅうごくで、すな砂漠さばくやく40%をめる原因げんいんは、タクリマカン砂漠さばくだい部分ぶぶんすな砂漠さばくであるためと、基盤きばん平坦へいたんゴビ砂漠ごびさばくにもすな砂漠さばく発達はったつしているためである。

赤木あかぎさち彦]

みず

砂漠さばく最大さいだい可能かのう蒸発じょうはつりょう降水こうすいりょうの500ばい以上いじょうであり、砂漠さばく絶対ぜったいてき水不足みずぶそく地域ちいきとなっている。しかし、特定とくてい場所ばしょでは大量たいりょうみずられる。

(1)砂漠さばく最大さいだい水源すいげんはナイルがわやコロラドがわなどの外来がいらい河川かせんであり、アスワン・ハイ・ダムの建設けんせつにより、エジプトの耕地こうちは60%増加ぞうかした。

(2)安定あんていりくかたまり地下ちかには大量たいりょうあつ地下水ちかすい存在そんざいし、サハラ砂漠さはらさばくにはナイルがわ年間ねんかん流量りゅうりょうの800ばいみずがあると推定すいていされている。この地下水ちかすい塩分えんぶん濃度のうどうすそうには1000メートルをふか井戸いど掘削くっさくされ、灌漑かんがい(かんがい)に利用りようされている。

(3)造山つくりやまたい盆地ぼんち堆積たいせきしている砂礫されきそうなかには自由じゆう地下水ちかすい存在そんざいしている。アリゾナしゅう南西なんせいのソノラ砂漠さばくでは、福岡ふくおかけん水田すいでん相当そうとうする面積めんせきがこの地下水ちかすい耕地こうちされており、また人口じんこうやく100まんにんトゥーソン都市としけん(アリゾナしゅう)で使用しようされるみずもすべてこの地下水ちかすい依存いぞんしている。

(4)イランから中国ちゅうごく西部せいぶにかけてなどの山脈さんみゃくには地形ちけいせい降水こうすいがあり、山麓さんろく(さんろく)に発達はったつする扇状地せんじょうちでは伏流ふくりゅうすいとなっている。この伏流ふくりゅうすいふるくから地下水ちかすいどうにより地上ちじょう導水どうすいされ利用りようされてきた。シルク・ロードはこのオアシスをむす交易こうえきであった。

 だい世界せかい大戦たいせんだい規模きぼダムの建設けんせつや、多数たすうふか井戸いど掘削くっさくにより砂漠さばく急速きゅうそく開発かいはつされてきた。しかし、この人工じんこうオアシスによる開発かいはつおおきなマイナスもともなった。アスワン・ハイ・ダムはだい規模きぼ耕地こうちをもたらしたが、反面はんめん肥料ひりょうぶんとなっていたシルトがダムのそこ堆積たいせきすることにより肥料ひりょうぶん不足ふそくしたこと、河床かしょう低下ていかし、デルタの先端せんたん沿岸えんがんりゅう侵食しんしょくされだしたことなどである。また地下水ちかすい、とくに塩分えんぶんふくあつ地下水ちかすい灌漑かんがい塩害えんがいをおこしやすく、各地かくち放棄ほうきされた耕地こうちがみられる。

赤木あかぎさち彦]

観光かんこう

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく南西なんせい乾燥かんそう地帯ちたい国立こくりつ公園こうえんがもっともおお地方ちほうである。変化へんかんだだい峡谷きょうこくつづく「ザイオン」、砂漠さばくにすむ多様たよう動植物どうしょくぶつ保護ほごしている「サグアロ」、先住民せんじゅうみん住居じゅうきょあと保存ほぞんしている「カサグランデ遺跡いせき国定こくてい公園こうえん」など、さまざまな特色とくしょくをもった国立こくりつ公園こうえん国定こくてい公園こうえんおおく、なつ観光かんこうシーズンには予約よやくしていないと宿やどがとれないこともあるほど訪問ほうもんきゃくおおい。ナイルがわ沿いの古代こだいエジプト文明ぶんめい遺跡いせき砂漠さばく代表だいひょうする観光かんこうであるが、サハラ砂漠さはらさばく中西部ちゅうせいぶ高地こうち位置いちするタッシリ・ナジェールの岸壁がんぺきには、うしうま・ラクダなどがえがかれており、サハラの乾燥かんそうしめ証拠しょうことして関心かんしんがもたれている。これらの観光かんこうのほかにも、オーストラリア砂漠さばく平原へいげんじょうにそびえるたかさ335メートルの巨岩きょがんウルル(エアーズ・ロック)、ふうつよさのちがいでその形態けいたい刻々こくこく変化へんかさせるだい砂丘さきゅうぐんと2000ねん生存せいぞんする植物しょくぶつ奇想天外きそうてんがいウェルウィッチア)」でられるアフリカ南西なんせいのナミブ砂漠さばく、ペルー砂漠さばくのナスカの地上ちじょうみどりだい平原へいげんだけでなにもないことが日本人にっぽんじんをひきつけているモンゴルのゴビ砂漠ごびさばくなど、砂漠さばくにもおおくの観光かんこうがある。

赤木あかぎさち彦]

砂漠さばく生活せいかつ

砂漠さばくみん遊牧ゆうぼく狩猟しゅりょう採集さいしゅうの2種類しゅるい生業せいぎょう形態けいたいのどちらかを選択せんたくして環境かんきょう適応てきおうしている。後者こうしゃはきわめてすくなく、現在げんざいではカラハリ砂漠さばくのサンじん俗称ぞくしょう「ブッシュマン」)があげられるくらいである。前者ぜんしゃはたいへんおおく、中央ちゅうおうアジアのトルクメンじんアラビア半島はんとうベドウィンサハラ砂漠さはらさばくのトゥアレグじんなどが有名ゆうめいである。遊牧民ゆうぼくみんにも狩猟しゅりょう採集さいしゅうみんにも共通きょうつうするのは移動いどうである。前者ぜんしゃ食物しょくもつすなわちうし、ラクダ、うま、ヤギ、ひつじとともに移動いどうし、後者こうしゃ食物しょくもつすなわち野生やせい動物どうぶつ果樹かじゅ根茎こんけいもとめて移動いどうする。牧草ぼくそう野生やせい動物どうぶつられる場所ばしょ、そしてなによりもみずのある場所ばしょあたらしいキャンプをつくるのである。こうした場所ばしょのうち、いつもみずられるところがオアシスとよばれ、砂漠さばく生活せいかつ拠点きょてんとなってきた。オアシスでは農耕のうこう可能かのうであり、実際じっさいそこに定着ていちゃくして農耕のうこうおこな人々ひとびともいた。オアシスはまた交易こうえき中心ちゅうしんでもあり、しばしばさまざまな民族みんぞく文化ぶんか交流こうりゅうてんになったのである。

 このように砂漠さばく人々ひとびとといえども、けっして孤立こりつしてきてきたのではなく、つねに定住ていじゅう農耕のうこうみんとの交易こうえき戦争せんそうという関係かんけいとおして存在そんざいしてきたのである。またときには遊牧民ゆうぼくみん定住ていじゅうして農耕のうこうみんになったり、そのぎゃくのプロセスがしょうじることもある。

 砂漠さばく人々ひとびと社会しゃかい組織そしき定住ていじゅう農耕のうこうみん同様どうよう多様たようである。サンじん社会しゃかいでは家族かぞく唯一ゆいいつ恒久こうきゅうてき社会しゃかい単位たんいであり、平均へいきん10家族かぞくあつまってキャンプをつくるが、頻繁ひんぱん離合りごう集散しゅうさんする。遊牧民ゆうぼくみん社会しゃかい首長しゅちょうせい発達はったつさせることもおおく、ときには中央ちゅうおうアジアやきたアフリカにおいて歴史れきしじょう重要じゅうようだい帝国ていこくをも建設けんせつした。遊牧民ゆうぼくみんにおける政治せいじてき統合とうごう度合どあいは人口じんこう密度みつどと、したがって究極きゅうきょくてきにはみず牧草ぼくそう豊富ほうふさに依存いぞんしている。しかしかれらに共通きょうつうするのは、集団しゅうだん離合りごう集散しゅうさん構成こうせいいんわる流動りゅうどうせいである。

 砂漠さばくみん固有こゆう宗教しゅうきょうあるいは世界せかいかん存在そんざいするかというのはむずかしい問題もんだいである。民族みんぞく学者がくしゃシュミットは遊牧ゆうぼくてき文化ぶんかけん農耕のうこうてき文化ぶんかけん対置たいちさせて、前者ぜんしゃ男性だんせいしんによる一神教いっしんきょうむすき、後者こうしゃ原始げんしははしんてき信仰しんこうむすくと主張しゅちょうした。こうした傾向けいこうがみられることは事実じじつだが、同時どうじおおくの疑問ぎもん提出ていしゅつされている。また最近さいきんでは定住ていじゅう農耕のうこうみん特徴とくちょうてき妖術ようじゅつ(ようじゅつ)の観念かんねん移動いどうみんには希薄きはくであるという指摘してきもなされている。

加藤かとう やすし

植生しょくせい

砂漠さばく特徴とくちょうづける環境かんきょう条件じょうけんは、とし降水こうすいりょう200~250ミリメートル以下いか過度かど地表ちひょうめん蒸発じょうはつおよびとし単位たんいでのおおきな気温きおん較差かくさなどである。これらはいずれも植物しょくぶつ生育せいいくにとっては過酷かこく条件じょうけんであるが、植物しょくぶつ土壌どじょう空気くうき乾燥かんそう、およびてい高温こうおん条件じょうけんと、その変化へんかにいろいろなかたち適応てきおうして生育せいいくしていく。砂漠さばくえるいぬいせい植物しょくぶつ一般いっぱん極端きょくたんちいさいか、退化たいかして蒸散じょうさんおさえたり、多肉たにくかたとなってみずたくわえる。またあついクチクラそう陥没かんぼつしたへこみのそこ気孔きこうをもって、蒸散じょうさんらしている。さらに、細胞さいぼうえきちゅうとう濃度のうど乾期かんきちかづくと増大ぞうだいし、細胞さいぼう吸水きゅうすいりょく組織そしき保水ほすいりょくをあげて、なが乾期かんきちゅう蒸散じょうさん抵抗ていこうたかめている。一方いっぽう乾期かんきはいるとやわ組織そしきから多量たりょうあぶらしずくたり、表皮ひょうひ細胞さいぼうえき胞にシュウさんカルシウムしおなどが集積しゅうせきされ、ねつ乾燥かんそうから植物しょくぶつ保護ほごしている。アカシアぞくやヘリオトロピュームぞく、ブロムスぞくなどの肥厚ひこうして、デンプンや水分すいぶん貯蔵ちょぞう器官きかん役割やくわりをするなど、けい水分すいぶん欠乏けつぼうたいする適応てきおう形態けいたいをもっている。

 砂漠さばく植生しょくせいには大陸たいりくによっていちじるしいがある。アジアではハロキシロンぞくやサルソラぞくきたアフリカではアカシアぞくやプロソピスぞくきたアメリカではラレアぞく、オーストラリアではユーカリぞくやアカシアぞく、アリゾナ・メキシコ・ペルーなどではハシラサボテン代表だいひょうてき植物しょくぶつとなる。

大賀おおが宣彦のぶひこ

動物どうぶつしょう

砂漠さばく生息せいそくする動物どうぶつは、そのたねすう個体こたいすうともほかの地域ちいき比較ひかくして貧弱ひんじゃくである。これは、動物どうぶつ飼料しりょうとなる植物しょくぶつ貧弱ひんじゃくさとみず欠乏けつぼう原因げんいんしている。また、急激きゅうげき気温きおん変化へんか砂漠さばく動物どうぶつ生息せいそくしにくい原因げんいんとなっている。そのため、砂漠さばく生息せいそくする動物どうぶつたちのおおくに、砂漠さばく環境かんきょうたいするなんらかの生理せいりてき形態けいたいてき、あるいは生態せいたいてき適応てきおうをみることができる。また、砂漠さばくにはほかの地域ちいきには生息せいそくしない特有とくゆう動物どうぶつたちがみられる。大形おおがた動物どうぶつではラクダがその典型てんけいてきれいである。ラクダは、砂地すなじてきした扁平へんぺい(へんぺい)なあし砂塵さじん(さじん)をふせぐための自由じゆう開閉かいへいする鼻孔びこうながいまつげ、1週間しゅうかん以上いじょうみずがなくてもごせる生理せいりてき機構きこうなどをそなえている。現生げんなまのラクダは2しゅおり、ヒトコブラクダはサハラ、アラビアの砂漠さばく地帯ちたいに、フタコブラクダ中国ちゅうごくゴビ砂漠ごびさばくに、いずれも家畜かちくとして分布ぶんぷしている。サハラにすむトビネズミぞくJaculusには、つぎのような生態せいたいてき特徴とくちょうがある。(1)ひるあなかく夜間やかんすずしいあいだ活動かつどうする。(2)尿にょう濃度のうど調節ちょうせつによって体内たいないみず保持ほじをする。(3)とくにつつみ水量すいりょうおお植物しょくぶつしゅ摂取せっしゅする。(4)降雨こううこう環境かんきょう迅速じんそく生殖せいしょく活動かつどうはいる。このように乾燥かんそうへの適応てきおうてき特性とくせいゆうしている。このトビネズミに類似るいじ形態けいたいをしたものに、きたアメリカに生息せいそくするカンガルーネズミぞくDipodomysや、オーストラリアに生息せいそくするハネネズミぞくhopping mouse/Notomysがあり、この両者りょうしゃはまったくべつぞくではあるが、ともに乾燥かんそうへの適応てきおう進化しんかげ、よく形態けいたいになったものである。

 砂漠さばく生息せいそくする捕食ほしょく動物どうぶつ水分すいぶんをそのえさ(えさ)となる動物どうぶつから摂取せっしゅすることができる。カラハリ砂漠さばくでは、セグロジャッカルやブチハイエナがシロアリを大量たいりょう捕食ほしょくして水分すいぶん摂取せっしゅしている。鳥類ちょうるいではサケイ(すなにわとり)のように砂漠さばく特有とくゆうのものもいるが、ワシタカるいおおくは砂漠さばく隣接りんせつするサバナやステップとの共通きょうつうしゅであることがおおい。チョウ、ゴミムシダマシなどの昆虫こんちゅう、サソリ、ムカデなどは、砂漠さばくにわずかにおとずれる雨期うきによく発生はっせいする。

大澤おおさわ秀行ひでゆき

『ロー・テートちょ古賀こがただしどう監修かんしゅう砂漠さばくきる動物どうぶつ』(1972・つる書房しょぼう)』『S・レオポルド解説かいせつ奈須なす紀幸のりゆきやく砂漠さばく改訂かいていばん(1974・タイムライフブックス・ライフ・ネーチュアー・ライブラリー)』『J・C・トンプソンちょ小原おはら秀雄ひでお監修かんしゅう砂漠さばく生命せいめい』(1977・講談社こうだんしゃ)』赤木あかぎさち彦著『沙漠さばく自然しぜん生活せいかつ』(1990・じん書房しょぼう)』赤木あかぎさち彦著『沙漠さばくガイドブック』(1994・丸善まるぜん)』田中たなか二郎じろうちょ最後さいご狩猟しゅりょう採集さいしゅうみん』(1994・どうぶつしゃ)』『ミランダ・マッキュイティちょ加藤かとう珪訳『ビジュアル博物館はくぶつかん51 砂漠さばく』(1995・同朋どうほうしゃ出版しゅっぱん)』赤木あかぎさち彦著『図説ずせつ 沙漠さばくへの招待しょうたい』(1998・河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ)』篠田しのだ雅人まさとちょ砂漠さばく気候きこう』(2002・成山なりやまどう書店しょてん)』赤木あかぎさち彦著『沙漠さばくとその対策たいさく――乾燥かんそう地帯ちたい環境かんきょう問題もんだい』(2005・東京とうきょう大学だいがく出版しゅっぱんかい)』恒川つねかわ篤史あつしへん乾燥かんそう科学かがくシリーズ』ぜん5かん(2007~2010・古今ここん書院しょいん)』小堀こぼりいわおちょ沙漠さばく――のこされた乾燥かんそう世界せかい』(NHKブックス)』


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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん砂漠さばく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

砂漠さばく (さばく)

降水こうすいりょうすくなく,植生しょくせいられないかすくなく,人間にんげん活動かつどう制約せいやくされている地域ちいき乾燥かんそう地域ちいきおな意味いみ使用しようされることもあるが,一般いっぱんてきには乾燥かんそう地域ちいきのうち,より乾燥かんそうした部分ぶぶん使用しようされている。英語えいごdesertはラテン語らてんごのdesero(見捨みすてる)に由来ゆらいするもので〈見捨みすてられた土地とち〉という。その範囲はんい現在げんざいもっとひろ引用いんようされているメグズP.Meigsの乾燥かんそう地域ちいき分布ぶんぷのうち,ごく乾燥かんそう地域ちいき乾燥かんそう地域ちいき狭義きょうぎの)に相当そうとうする。南極なんきょくなどの高緯度こういど地域ちいき高山たかやま地域ちいきにも乾燥かんそうした地域ちいきられ,寒冷かんれい砂漠さばくばれているが,この地域ちいき乾燥かんそう地域ちいき特性とくせいよりも寒冷かんれい地域ちいき特性とくせいほういちじるしいことから〈砂漠さばく〉にふくめられないことがおおい。

砂漠さばく成因せいいんにより分類ぶんるいすると,亜熱帯あねったい砂漠さばく海岸かいがん冷涼れいりょう砂漠さばくあめかげ砂漠さばく大陸たいりく内部ないぶ砂漠さばくよっつにけられる。世界せかい砂漠さばくはこれらの成因せいいんふたつないしみっかさなったものがおおい。(1)亜熱帯あねったい砂漠さばく ほぼ緯度いどみなみきた30°を中心ちゅうしんとした地域ちいき亜熱帯あねったいだかあつたいとなっており,下降かこう気流きりゅう発達はったつしているために,あめりにくく,砂漠さばくしょうじる。ただし,大陸たいりく東側ひがしがわにはだい洋上ようじょう高気圧こうきあつからかぜによる降雨こううがあり,砂漠さばくられない。北半球きたはんきゅうではサハラ砂漠さはらさばくからインドのタール砂漠さばくにかけて,南半球みなみはんきゅうではカラハリ砂漠さばく,オーストラリア砂漠さばくがこの地域ちいき位置いちしている。(2)海岸かいがん冷涼れいりょう砂漠さばく 大陸たいりく西岸せいがんには高緯度こういど地方ちほうからの寒流かんりゅうながれており,しかも地球ちきゅう自転じてん影響えいきょうにより亜熱帯あねったい深海しんかい冷水れいすいがわきがっている。そのため,この地域ちいき海上かいじょう空気くうき冷却れいきゃくされており,それが陸上りくじょう移動いどうして温度おんど上昇じょうしょうしても,降水こうすいをもたらすことはなく,世界せかいもっと乾燥かんそうした砂漠さばくとなっている。サハラ砂漠さはらさばく西端せいたん南部なんぶアフリカのナミブ砂漠さばく,オーストラリア砂漠さばく西端せいたんみなみアメリカのアタカマ砂漠さばくがここに位置いちしている。(3)あめかげ砂漠さばく ふう山脈さんみゃくえるとき風上かざかみがわ斜面しゃめん降雨こううをもたらす。そのため風下かざしもがわ乾燥かんそうする。山脈さんみゃく高度こうどおおきいほど降雨こううりょうおおいためにだい山脈さんみゃく風下かざしもがわ砂漠さばく形成けいせいされる。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのシエラ・ネバダ山脈さんみゃくとロッキー山脈さんみゃくにはさまれたグレート・ベースン砂漠さばく偏西風へんせいふうけるアンデス山脈あんですさんみゃく東側ひがしがわ位置いちするパタゴニア砂漠さばくとうである。(4)大陸たいりく内部ないぶ砂漠さばく おおきな大陸たいりく内部ないぶうみからの距離きょりおおきいため,風上かざかみがわとくおおきい山脈さんみゃく位置いちしていなくてもうみからの水分すいぶん途中とちゅう蒸発じょうはつあるいは降水こうすいとしてうしなわれ乾燥かんそうする。ユーラシア大陸たいりく内部ないぶはヒマラヤ,だいきょうやすみねなどのだい山脈さんみゃくあめかげ砂漠さばくであると同時どうじ大陸たいりく内部ないぶ砂漠さばくである。以上いじょう砂漠さばくのうち(1)(3)(4)は海岸かいがん冷涼れいりょう砂漠さばくたい内陸ないりく砂漠さばくばれることもある。

砂漠さばく気候きこう特徴とくちょうひとつは降水こうすいりょうすくないだけでなく,不規則ふきそくなことである。平均へいきんねん降水こうすいりょう気温きおんとの関係かんけい一定いっていしていないが,亜熱帯あねったい砂漠さばくでは250~300mm以下いか範囲はんいである。非常ひじょう乾燥かんそうしているアタカマ砂漠さばく中心ちゅうしんは3mm程度ていどであり,サハラ砂漠さはらさばく内部ないぶでは,たいていのところが25mm以下いかである。反対はんたいあめおおいオーストラリア砂漠さばくでは,もっと乾燥かんそうしたところでも125mm程度ていど降水こうすいがある。降水こうすい不規則ふきそくせい平均へいきんねん降水こうすいりょうすくなくなるほどおおきくなり,アルジェリアのイン・サラーでは10年間ねんかんにわたって降水こうすいがなく,つぎとしに20mmの降水こうすいがあったことがある。砂漠さばく気温きおんもっとたかくなるところであり,温度おんど変化へんかおおきい。なつ気温きおんは45℃前後ぜんこうになるのはまれでなく,最高さいこう気温きおんはリビアのアジザで記録きろくされた58℃である。にち変化へんか一般いっぱんてきには20℃程度ていどであり,カリフォルニアのデス・バレーでは41℃を記録きろくしている。最大さいだい可能かのう蒸発じょうはつりょうおおく,降水こうすいりょうおおところではやく10ばいすくないところでは500ばいすことがある。相対そうたい湿度しつどおおくの砂漠さばくで15~30%であるが,海岸かいがん冷涼れいりょう砂漠さばくでは非常ひじょうたかく100%になるところもある。

植生しょくせいがまばらで気温きおん変化へんかおおきいため,機械きかいてき風化ふうか作用さようさかんである。また,平均へいきんねん降水こうすいりょうすくないがしばしば豪雨ごううとなり,しかも植生しょくせいすくないため,運搬うんぱんりょくおおきい流水りゅうすいられる。そのためきゅう勾配こうばい稜線りょうせんするど山地さんち山地さんち前面ぜんめん発達はったつするへいたん砂漠さばく地形ちけい特色とくしょくとなっている。また降水こうすいりょうより蒸発じょうはつりょうほうおおいため,河川かせんうみまで到達とうたつしない内陸ないりく流域りゅういきひろ範囲はんいめており,そのさいそこしょにはプラヤばれる,降雨こうう一時いちじてきみずうみとなるへいたん位置いちしている。砂漠さばくふうはたらきがもっとつよくなる地域ちいきでもある。ふうによる地形ちけいはヤルダンやブロー・アウトなど小規模しょうきぼ地形ちけいかぎられる。堆積たいせき地形ちけいには砂原すなはら砂丘さきゅうがあり,ともにだい規模きぼ地形ちけいとなることがある。

 砂漠さばく地形ちけい地質ちしつてきすな砂漠さばくつぶて(れき)砂漠さばく岩石がんせき砂漠さばく区分くぶんできる。すな砂漠さばく起伏きふくすくない広大こうだいないわばすな海原うなばらで,サハラ砂漠さはらさばく西部せいぶもちいられているエルグergのかたり一般いっぱん使つかわれる。エルグの平均へいきんてき面積めんせきやく20まんkm2で,アラビア半島はんとうのルブー・アルハーリー・エルグは56まんkm2以上いじょうめる。すな砂漠さばくは,風紋ふうもん以外いがいには起伏きふくのまったくられないへいたんな砂原すなはらすなゆか(さしよう)sand sheet。すなかいともいう)と砂丘さきゅう堆積たいせき地形ちけいからなる。一般いっぱん砂漠さばくといえば,このすな砂漠さばく想像そうぞうしがちであるが,その分布ぶんぷすくなく,きたアメリカの砂漠さばくでは1%,サハラ砂漠さはらさばくでは20%以下いかもっとおおいアラビア砂漠さばくで30%である。そのだい部分ぶぶんめる岩石がんせき砂漠さばくはおもに岩石がんせき露出ろしゅつしている砂漠さばくで,山岳さんがく高原こうげん内陸ないりく盆地ぼんちなどに発達はったつし,インゼルベルク,ペディメント,ヤルダン,ブロー・アウトなど種々しゅじゅ乾燥かんそう地形ちけいられる。岩石がんせき砂漠さばくはハマダhamada(サハラ砂漠さはらさばくられる高原こうげん砂漠さばくのアラビアhammadaに由来ゆらい)といわれ,すななどでこすりみがかれた岩石がんせきゆか露出ろしゅつする場合ばあいと,岩石がんせきゆかうえつぶていわくずがおおうつぶて砂漠さばく場合ばあいとがある。つぶてきつめたように集中しゅうちゅうして堆積たいせきしている地面じめんは,デフレーションにより砂塵さじんばされてつぶていわかたまりなどがのこった結果けっかしょうじたもので,デザート・ペーブメントdesert pavement,オーストラリアではギバー・プレーンgibber plainという。しょうつぶて土壌どじょうじょう堆積たいせきしているデザート・ペーブメントはサハラ西部せいぶではレグreg,東部とうぶではセリールserirとばれている。このためレグ,ハマダのかたりつぶて砂漠さばく同義語どうぎごとしても使用しようされることがおおい。

乾燥かんそうした砂漠さばくにおいてみずられる場所ばしょ,すなわちオアシスかぎられているため,それにともな人間にんげん活動かつどう範囲はんい限定げんていされてくる。みず自然しぜん状態じょうたいであるいはひとちからだけでられるところふるくから人間にんげん生活せいかつ場所ばしょとなっていた。あつ地下水ちかすい湧出ゆうしゅつしたり,ワジ沿って地下水ちかすいあさところにあるいずみせいオアシス,ナイルがわやティグリス・ユーフラテスがわなどの外来がいらい河川かせん沿いのオアシス,イランのザーグロス山脈さんみゃくきたアフリカのアトラス山脈さんみゃくなど地形ちけいせい降水こうすいのあるたか山地さんち山麓さんろくには,しばしば恒常こうじょう河川かせんがあり,山麓さんろくオアシスが形成けいせいされている。この水源すいげんから地下水ちかすい建設けんせつして平野へいやまでみず誘導ゆうどうして利用りようしているのがカナートである。以上いじょうの3種類しゅるいのオアシスにおける産業さんぎょう中心ちゅうしん灌漑かんがい農業のうぎょうである。砂漠さばく気温きおんてんでは一番いちばんめぐまれた地域ちいきであるために,みずられれば収穫しゅうかくりょうおおく,集約しゅうやくてき農業のうぎょうおこなわれている。オアシスの規模きぼちいさいほど自給じきゅうてき性格せいかくつよくなり,栽培さいばい作物さくもつはムギ,雑穀ざっこく,ナツメヤシなどの主食しゅしょくよう作物さくもつ中心ちゅうしんとなる。オアシスの規模きぼおおきくなるとともに綿花めんか,タバコ,果樹かじゅなどの商品しょうひん作物さくもつ栽培さいばいされるようになる。さらに規模きぼおおきくなると,都市としてき機能きのうをもつようになり,商業しょうぎょう交通こうつう運輸うんゆぎょうなどがおおきな役割やくわりになうようになる。かつてひがしアジアとヨーロッパをむすんだシルクロードは,天山あまやま山脈さんみゃくみなみふもとこん崙(こんろん)山脈さんみゃくきたふもと山麓さんろくせいオアシス集落しゅうらくむすんで発達はったつしたものである。世界せかい最大さいだい砂漠さばくであるサハラもいずみせいオアシスの存在そんざいとラクダの導入どうにゅうによりふるくから横断おうだん可能かのうとなり,きた地中海ちちゅうかい沿岸えんがんと〈くろいアフリカ〉スーダンとのあいだ交易こうえきさかんであった。ラクダは1週間しゅうかん以上いじょうみずまなくてもあるくことができるため,オアシスをむすんでだい規模きぼ隊商たいしょう移動いどうした。しかし道筋みちすじみずじょうれていたため2000にん隊商たいしょう全員ぜんいんかわきのために死亡しぼうする悲劇ひげききたことがある。最近さいきんでは自動車じどうしゃ使用しよう増加ぞうかし,ラクダの比重ひじゅう急速きゅうそく低下ていかしている。

 きゅう大陸たいりく砂漠さばく生活せいかつはオアシス農業のうぎょう中心ちゅうしんであるのにたいし,比較的ひかくてきあめおおいアメリカ西部せいぶとオーストラリアの砂漠さばくでは牧畜ぼくちくさかんである。造山つくりやまたい位置いちするアメリカ西部せいぶ砂漠さばくのオアシスは規模きぼちいさく,インディアンによるオアシス農業のうぎょうとく発達はったつしなかった。1800年代ねんだいちゅうごろ,アングロ・アメリカじんにより肉牛にくぎゅうだい規模きぼ導入どうにゅうされ牧畜ぼくちくさかんになったが,うし頭数とうすうおおすぎたため,放牧ほうぼくとなった時期じきがあった。オーストラリア砂漠さばくもっと乾燥かんそうしたところでも平均へいきんねん降水こうすいりょうやく125mmのため,たけみじか草地くさちとなっており,みずられるところ牧場ぼくじょうとなっている。だい鑽井盆地ぼんちではふかさ1000mをえる深井ふかいかれてうし飲用いんようすいとして利用りようされている。中央ちゅうおうではディンゴの被害ひがいけるためひつじ放牧ほうぼくされていない。

砂漠さばく開発かいはつには灌漑かんがいによる農地のうち開発かいはつ地下ちか資源しげん開発かいはつがある。砂漠さばく横切よこぎだい河川かせん砂漠さばくちかくをながれる河川かせんから用水路ようすいろいたり,地下水ちかすい揚水ようすいだい規模きぼ耕地こうち開発かいはつおこなわれている。コロラドがわみず利用りようしたインペリアル・バレーの開発かいはつ,アスワン・ハイ・ダムの建設けんせつカスピ海かすぴかいアラル海あらるかいとのあいだ開発かいはつなどがその代表だいひょうてき実例じつれいである。しかしだい規模きぼ灌漑かんがいはしばしば耕地こうち塩類えんるい集積しゅうせきをもたらし,地下水ちかすい揚水ようすい地盤じばん沈下ちんか地下水ちかすい枯渇こかつこすことがあり,これらの被害ひがいをいかにしてくいめるかが最大さいだい問題もんだいとなっている。他方たほう,アタカマ砂漠さばくチリ硝石ちりしょうせきどうてつ,オーストラリア砂漠さばく西部せいぶてつ,サハラから中東ちゅうとうにかけての石油せきゆ天然てんねんガスとう砂漠さばく地下ちかにも大量たいりょう地下ちか資源しげん埋蔵まいぞうされており,開発かいはつがすすんでいる。地下ちか資源しげん開発かいはつはじまると,それまで不毛ふもうであった土地とちに,ときにはすうひゃくkmをえる遠方えんぽうからみずかれ,都市とし建設けんせつはじまる。砂漠さばく地球ちきゅうのこされた最大さいだい開発かいはつ可能かのう地域ちいきである。砂漠さばくはまた,観光かんこう保養ほようでもある。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく砂漠さばくは,比較的ひかくてき降水こうすいりょうおおいため植生しょくせいおおく,特色とくしょくのある地形ちけいられるので観光かんこうとしての性格せいかくももっている。そのため,グランド・キャニオン,サワロ・サボテン,ホワイト・サンズなどおおくの国立こくりつ公園こうえんがある。また,冬季とうき温暖おんだん気候きこうのため,はやくから避寒ひかんきゃくおおあつめているが,最近さいきんはフェニックスやトゥーソンなどの砂漠さばく都市とし精密せいみつ工業こうぎょう発達はったつし,サン・ベルト地帯ちたいとして脚光きゃっこうをあびている。

1968-73ねんのサハラみなみえんでのだいかんばつを契機けいき世界せかい各地かくち砂漠さばく注目ちゅうもくあつめている。砂漠さばく砂漠さばく周辺しゅうへん砂漠さばくにおける砂漠さばくてき現象げんしょう拡大かくだいである。おもなものとしては植生しょくせい悪化あっかすな移動いどう塩類えんるいがある。植生しょくせい悪化あっかとく多年生たねんせい草木くさき枯死こしにより決定的けっていてきとなる。植生しょくせい減少げんしょうすると,雨水あまみず流失りゅうしつのピークがおおきくなるため,土壌どじょう浸食しんしょくおおきくなり,だい規模きぼなガリー(あめきれ)も発達はったつしてくる。植生しょくせい減少げんしょうはまた,固定こてい砂丘さきゅうさい移動いどうをもたらす。塩類えんるい灌漑かんがいおおられる。みず供給きょうきゅうすくないと毛管もうかん現象げんしょうにより,おおすぎるとたたえすいによって塩類えんるい集積しゅうせきする。

 砂漠さばく原因げんいん降水こうすい減少げんしょう人為じんいふたつがあげられる。人為じんいによる原因げんいんとしてはだい1に放牧ほうぼくがあげられる。サハラみなみえんではなんねんかおきにかんばつを経験けいけんするが,1968-73ねん被害ひがいおおきかったのは,人口じんこう増加ぞうかによる放牧ほうぼく燃料ねんりょうように灌木を多量たりょう伐採ばっさいしたことがおおきな原因げんいんであったと指摘してきされている。また乾燥かんそう開発かいはつもその方法ほうほうをまちがえると砂漠さばく原因げんいんとなる。家畜かちく飲料いんりょうすいよう井戸いどおおりすぎた場合ばあい牧草ぼくそう生産せいさんりょう以上いじょう家畜かちくあつまり植生しょくせい悪化あっかをもたらす。また,排水はいすい設備せつび不十分ふじゅうぶん灌漑かんがいおこなわれたさいしょうじる塩類えんるいなどがそのれいである。
乾燥かんそう地形ちけい
執筆しっぴつしゃ

都市とし農村のうそん生活せいかつ自然しぜん克服こくふくしてつのにたいして,遊牧民ゆうぼくみんのそれは,自然しぜん従属じゅうぞくしたものとかんがえられがちである。だが定住ていじゅうゆるそうとしない過酷かこく自然しぜん条件じょうけんもとで,家畜かちくともなってはいり,人間にんげんじゅう空間くうかんをきりびら拡大かくだいしたこと自体じたい遊牧ゆうぼくみんせる人間にんげん知恵ちえ適応てきおうりょくのすばらしさ,たくましさをしめなによりの証拠しょうこえよう。ここでは西にしアジア・アラブ世界せかいにおける遊牧民ゆうぼくみんベドウィン)の生活せいかつ中心ちゅうしんに,砂漠さばく生活せいかつ文化ぶんかについてべることにする。

 砂漠さばくといっても地質ちしつてきには多様たよう砂地すなじだけでなく,岩地いわちもあれば砂利じゃり溶岩ようがん台地だいちもあり,こうした地質ちしつ遊牧民ゆうぼくみん気質きしつ経済けいざいりょく要因よういんにもなっている。また高低こうてい地域ちいきによってことなり,見渡みわたかぎりのへいたんな地域ちいきもあれば,起伏きふくはげしい地域ちいきもあり,水平すいへい遊牧ゆうぼく垂直すいちょく遊牧ゆうぼく形態けいたい相違そういにも関係かんけいしている。したがって,砂漠さばくあらわすアラビア多様たようであり,もっともよくられているのはサフラーṣaḥrā’で,サハラ砂漠さはらさばく呼称こしょうはこれに由来ゆらいする。またベドウィンの語源ごげんであるバドウbadwはハダルḥaḍar(定住ていじゅう都市とし)とたいをなす概念がいねんである。

 そうじて定住ていじゅう不向ふむきな広大こうだい土地とち利用りようすべく家畜かちくってせいおくっているからには,日常にちじょう生活せいかつきびしいのは必然ひつぜんである。みずじょうまき確保かくほは,死活しかつ問題もんだいであった。おとこたちは遊牧ゆうぼく従事じゅうじすると同時どうじに,部族ぶぞくとして結束けっそくし,生命せいめいって領地りょうち拡大かくだい財産ざいさんである家畜かちくかずやすのにつとめた。てき部族ぶぞく襲撃しゅうげき盗賊とうぞく略奪りゃくだつおおかみなど野獣やじゅうからの家畜かちく保護ほごなどにもおこたりなく警戒けいかいし,つねっていなければならなかった。

 また女性じょせいにとっては,てい住民じゅうみんおなじようなこまごまとした日課にっかのほかに,機織はたおりみずみ,ちちいん家畜かちく世話せわ夕方ゆうがた家畜かちくへの給水きゅうすい搾乳さくにゅうとう々そのほとんどの労力ろうりょく原始げんしそのままのみずからのちからでなさねばならない。遊牧民ゆうぼくみんのテントをおとずれ,握手あくしゅわすとき,おとこやわらかい感触かんしょくくらべ,女性じょせいのそれはあらくごつごつとして意外いがいかんたれる。それだけ砂漠さばく女性じょせい過酷かこく労働ろうどうとたくましさが実感じっかんされる。きびしい生活せいかつ順応じゅんのうさせるためもあろう,男女だんじょちがいに関係かんけいなく,どもにとっくみいをさせたり,ちからくらべをさせて周囲しゅうい大人おとな注視ちゅうししている光景こうけいもよくある。

 だがきびしい生活せいかつなかにも,ときおりのたのしみはある。かこんでちゃやコーヒーをすすりながらのよるかたらい(夜会やかい,サマルsamar)がまずあげられる。かたらいにきょうればぎんじられ,うたくちずさまれ,おどりまです。遊牧民ゆうぼくみんおおくは雄弁ゆうべん詩人しじんである。来訪らいほうしゃがあれば最大限さいだいげんにもてなす。まったくらずのものたいしても,たいせつな家畜かちくの1とうをほふってもてなすのもまれではない。かまどのおおきさやはいおおさなど,もてなしのよさは,その人物じんぶつとくたかさ,寛大かんだいさの指標しひょうとなるからである。代償だいしょうなにもとめるわけではないが,未知みち世界せかい,たどってきたみちすがらのことや牧草ぼくそうみずじょうなどの情況じょうきょうかせてもらっては,今後こんご移動いどう参考さんこうにする。また通過つうか儀礼ぎれいさい祝祭しゅくさい,とくに男児だんじ誕生たんじょう女児じょじ誕生たんじょう伝統でんとうてきこのまれなかった),割礼かつれい結婚けっこんなどのさいには,部族ぶぞくによっては競馬けいばもよおすこともあった。

 砂漠さばく四季しきのうつろいもまたたのしみとなる。乾燥かんそう地帯ちたい春秋しゅんじゅうみじかく,なつふゆかのいずれかがながいのが普通ふつうである。中東ちゅうとうではなつながく,この意味いみでも9がつからくもて,つかのあきのちにやってくる雨季うきは,テント生活せいかつには難渋なんじゅうであっても,飲料いんりょうすい牧草ぼくそう確保かくほにはまたとないめぐみのぶしとなる。そして,ひとあめごとにくさ芽吹めぶき,はなみだれる砂漠さばく景観けいかん驚異きょういであり,砂漠さばくせいけたものにとっては至福しふくときとなる。地域ちいきによってことなったれをつくって野生やせいのアネモネ,チューリップ,ヒナゲシをもとめ,花見はなみかけ,また地表ちひょうのキノコだけでなく,地中ちちゅうにジャガイモにもたカマエ(松露しょうろ一種いっしゅ)をりに一家いっか総出そうでするたのしみもっている。砂漠さばく生活せいかつけっして過酷かこくだけのものでないことが理解りかいされよう。
執筆しっぴつしゃ

植物しょくぶつ生態せいたいがくてき区分くぶんとしては砂漠さばく荒原こうげんばれる。これはさらに乾燥かんそう寒冷かんれい移動いどう海岸かいがん岩上いわかみいわすきかく荒原こうげん細分さいぶんされるが,日常にちじょう砂漠さばくにあたるのはこのうちの乾燥かんそう荒原こうげんである。砂漠さばくでは,きびしい環境かんきょう状況じょうきょうのため,どう植物しょくぶつ種類しゅるいかずかぎられる。砂漠さばく生物せいぶつ克服こくふくしなければならない最大さいだい課題かだいは,乾燥かんそう高温こうおんおよび昼夜ちゅうや温度おんどである。しかし砂漠さばくといえどもまったくあめらないわけではなく,雨季うきにはかなりの降水こうすいられる。また高温こうおんにしてもにちちゅうあいだだけのことで,夜間やかんはむしろ,地域ちいきよりもはるかに低温ていおんになる。

 砂漠さばくきるために生物せいぶつがとるだい1の方法ほうほうは,このような環境かんきょう変化へんか時間じかんてき変動へんどう生活せいかつわせることである。いちねんくさみじか雨季うきあいだ大急おおいそぎで一斉いっせいはなひらいて種子しゅしをつくる。かたからまもられた種子しゅし高温こうおん乾燥かんそうえて雨季うき到来とうらいをじっといきをひそめてつ。多年草たねんそうでも,乾季かんき地上ちじょうれはてさせ,地下茎ちかけい球根きゅうこん休眠きゅうみんするものがおおい。ちいさなむしたちも食物しょくもつ豊富ほうふ雨季うき一挙いっきょ繁殖はんしょくし,きびしい乾季かんきたまごやさなぎのかたちきぬくのである。これら植物しょくぶつ種子しゅし地下茎ちかけい昆虫こんちゅうたまごなどは,乾季かんきにおける砂漠さばく動物どうぶつ重要じゅうよう栄養えいようげんとなっている。

 すうねん以上いじょう寿命じゅみょうをもつ生物せいぶつおおくは,またちがった方法ほうほうによって乾燥かんそう高温こうおんえるためのくふうをこらしている。砂漠さばく植物しょくぶつ一般いっぱんいぬいなま植物しょくぶつぶことができるが,その特徴とくちょうとしてはつぎのようなてんがあげられる。(1)蒸散じょうさん抑制よくせいのために,表面積ひょうめんせき縮小しゅくしょう気孔きこう陥没かんぼつ表皮ひょうひのクチクラやコルク断熱だんねつてきしろや蠟による被覆ひふくなどがられること。(2)蒸散じょうさん抑制よくせいもさることながら,受精じゅせい媒介ばいかいする昆虫こんちゅう夜間やかんにしか活動かつどうしないため,よる開花かいかするものがおおいこと。(3)とぼしい水分すいぶん効率こうりつよく利用りようするため,雨季うき大量たいりょうみず一時いちじ吸収きゅうしゅうできるようあさ広範囲こうはんいにめぐらしたり(たとえばアリゾナ砂漠さばくのサグアロCarnegiea giganteaは,たけの2ばい直径ちょっけい範囲はんいをはっている),乾季かんき地下水ちかすいるため地中ちちゅうふかろしたり(たとえばメスキートProsopis glandulosa地中ちちゅうすうじゅうmまでばしている)すること。(4)乾季かんきそなえての貯水ちょすい組織そしきがよく発達はったつしている(サボテンなど多肉植物たにくしょくぶつ)こと,などである。

 砂漠さばく動物どうぶつしょう一般いっぱん貧弱ひんじゃくであるが,その主力しゅりょくはアリや甲虫かぶとむしるい,バッタるいなどのしょう昆虫こんちゅう,クモ,ダニ,サソリなどの脊椎動物せきついどうぶつである。これらしょう動物どうぶつおおくも,乾燥かんそうには活動かつどう停止ていしして休眠きゅうみんするものがおおい。脊椎動物せきついどうぶつなかもっともよく砂漠さばく適応てきおうした動物どうぶつぐんはトカゲ,ヘビ,リクガメなどの爬虫類はちゅうるいで,とりわけガラガラヘビるいは,砂地すなじおよぐように移動いどうできる特殊とくしゅ構造こうぞう発達はったつさせている。哺乳類ほにゅうるいはラクダをのぞけば小型こがたかじるいがほとんどである。これらの動物どうぶつ高温こうおんこう濃度のうど尿にょうたいするたいせい皮膚ひふ呼吸こきゅう減少げんしょうといった生理せいりてき適応てきおうをもってはいるが,しゅとして行動こうどうてき適応てきおうによってきびしい環境かんきょう対処たいしょしている。ほとんど例外れいがいなく,昼間ひるまいわかげ地中ちちゅうあなひそんであつさをえ,すずしくなった夕方ゆうがたからようやく活動かつどう開始かいしする。鳥類ちょうるいでもこの原則げんそくわらないが,〈わたり〉という手段しゅだん使つかって,乾季かんきけるものもいる。哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるいとも乾季かんきはい食物しょくもつ性質せいしつじょう種子しゅししょく昆虫こんちゅうしょくのものが圧倒的あっとうてきである。
執筆しっぴつしゃ

風土ふうどてき地理ちりてき表象ひょうしょうとしての砂漠さばくなかに,まったく独自どくじ宗教しゅうきょうてき意味いみいだし,砂漠さばく文学ぶんがく展開てんかいしたのは古代こだいイスラエルじんである。旧約きゅうやく聖書せいしょによると,ヘブライにおける砂漠さばく表示ひょうじミドバールは,耕地こうち反対はんたい表示ひょうじである以上いじょうのろわれた土地とちであり,悪霊あくりょう生息せいそくであった。砂漠さばくは〈あめ豊饒ほうじょうやさしいふう〉のとどけかないかわいた荒野あらのであり,〈熱風ねっぷうれ〉,〈へびさそり(さそり)がいる〉,〈いししおあなだらけ〉の荒地あれちにはちがいないが,それ以上いじょうに,悪霊あくりょう生息せいそくするかげ死者ししゃたちのくに呪詛じゅそだというのである。このことは,砂漠さばく本来ほんらい砂漠さばくだったのではなく,かみのろいの結果けっかとして砂漠さばくとなった,あるいはなりつつあるという観念かんねん結合けつごうしている。このことに関連かんれんして,砂漠さばく意味いみするイスラエルじんのもうひとつの表示ひょうじシェマーマーの独特どくとく用法ようほうれておく必要ひつようがある。シェマーマーは,名詞めいしとしては荒野あらの意味いみし,ミドバールと同義語どうぎごであるが,動詞どうしとしては〈麻痺まひする〉を意味いみし,人間にんげん霊魂れいこんがなえて活動かつどう不能ふのうおちいった状態じょうたいあらわしているからである。それは,イスラエルじんにとって霊魂れいこん悪霊あくりょうり憑(つ)かれた状態じょうたいにほかならなかった。こうした人間にんげん内部ないぶ荒廃こうはいを〈つみ〉という言葉ことばえると,砂漠さばく=シェマーマーの表示ひょうじする現実げんじつは,人間にんげんにおけるつみ現実げんじつということになる。罪人ざいにんとは,さながら砂漠さばくのように荒廃こうはいした人間にんげんをいう。イスラエルじんが,なぜに癩病らいびょうじん精神病せいしんびょうしゃ身体しんたいじょう障害しょうがいしゃ戦慄せんりつをもってたかは,ここにその理由りゆうがある。事実じじつ,こうした病気びょうきかれた人間にんげんまち追放ついほうされてすみつくところは,無人むじん廃墟はいきょ砂漠さばく墓場はかば以外いがいにはなかったのである。しかしそうであればこそ,ヤハウェの救済きゅうさい行為こういは,砂漠さばく一瞬いっしゅんにして,サフランがはなき,みずみどり沃野よくやえることだというモティーフが,旧約きゅうやく文学ぶんがくうつくしいイメージとなって結晶けっしょうしたのである。〈荒野あらのと,かわいたとはたのしみ,砂漠さばくよろこびてはなき,サフランのように,さかんにはなき,かつよろこたのしみ,かつうたう……〉(《イザヤしょ》35:1以下いか)。
執筆しっぴつしゃ

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん砂漠さばく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

砂漠さばく
さばく
desert

降水こうすいりょうすくないが蒸発じょうはつりょうおおく,乾燥かんそうのため草木くさきがほとんど生育せいいくせず,砂礫されき基盤きばん岩石がんせき露出ろしゅつしている地域ちいき砂礫されきおおわれている砂漠さばくすな砂漠さばく基盤きばん岩石がんせき露出ろしゅつしている砂漠さばく岩石がんせき砂漠さばくという。サハラ砂漠さはらさばくシャルキーヤ砂漠さばくカラハリ砂漠さばくなど,おおくは亜熱帯あねったいだかあつたいした分布ぶんぷするが,ゴビなど大陸たいりく奥地おくちモハーベ砂漠さばくなどたか山脈さんみゃくにさえぎられた地域ちいきアタカマ砂漠さばくなどつよ寒流かんりゅうながれる海岸かいがんちかくにも形成けいせいされる。気温きおんとし較差かくさ気温きおん較差かくさおおきいため物理ぶつりてき風化ふうか作用さよう(→風化ふうか作用さよう)がさかんで,岩石がんせき急速きゅうそく破壊はかいされ,つぶてすななどのほそつぶ物質ぶっしつになるが,生物せいぶつてき化学かがくてき風化ふうか作用さよう不振ふしんなため土壌どじょう生成せいせいはあまりおこなわれない。

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砂漠さばく【さばく】

沙漠さばくともく。植物しょくぶつがほとんど生育せいいく不能ふのうなほど雨量うりょうすくない不毛ふもう土地とち乾燥かんそう盆地ぼんち,インゼルベルク(島山しまやま),砂丘さきゅう,ワジなどの乾燥かんそう地形ちけい発達はったつし,特有とくゆう乾燥かんそう土壌どじょう砂漠さばく)や干上ひあがったしお堆積たいせきそうなどがみられ,オアシスだけが例外れいがいてきみどり景観けいかんしめす。緯度いど15°〜30°の熱帯ねったい砂漠さばく(サハラ,アラビア,タールなどの砂漠さばく),ちゅう緯度いどだかあつたいにあるなか緯度いど砂漠さばく(トルキスタン,タクラマカン,ゴビなどの砂漠さばく,オーストラリア西部せいぶ砂漠さばくなど),寒冷かんれいなため植物しょくぶつ生育せいいくできない寒冷かんれい砂漠さばく(グリーンランドなどの氷雪ひょうせつ砂漠さばく,またはツンドラ地帯ちたいなど)にかれる。風食ふうしょくいちじるしく岩石がんせき露出ろしゅつしている場合ばあい岩石がんせき砂漠さばくといい,とくいわくず(がんせつ)でおおわれているものをいしつぶて(せきれき)砂漠さばくという。砂丘さきゅうからなるものはすな砂漠さばくという。世界せかいてきにみれば砂漠さばく面積めんせきなか以上いじょう岩石がんせき砂漠さばくめられる。
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