脇わき往還おうかん（読よみ）ワキオウカン

五ご街道かいどう以外いがいの街道かいどう。脇わき街道かいどう、脇道わきみちなどともいう。五ご街道かいどうに準じゅんじるような街道かいどうから、地域ちいき間あいだの街道かいどうに至いたるまでその範囲はんいは広ひろく、主要しゅよう脇わき往還おうかんとしては伊勢路いせじ(いせじ)、中国ちゅうごく路ろ（山陽さんよう道どう）、佐渡さど路ろ、長崎ながさき路ろ、北国きたぐに(ほっこく)路ろ、松前まさき道みち(まつまえみち)（奥州おうしゅう道どう中ちゅう(おうしゅうどうちゅう)の延長えんちょう）、羽はね州しゅう(うしゅう)街道かいどうなどがある。とくに関東平野かんとうへいやは縦横じゅうおうに脇わき往還おうかんが走はしり、おもなものに、近世きんせい初期しょきに重要じゅうような地位ちいを占しめた中原なかはら街道かいどう、東金とうがね(とうがね)街道かいどうはじめ、大山おおやま(おおやま)、成田なりた(なりた)、川越かわごえ(かわごえ)街道かいどうなどがある。幕末ばくまつには沿岸えんがん防備ぼうびのため、房総ぼうそう(ぼうそう)、三浦半島みうらはんとう沿岸えんがんの街道かいどうが重視じゅうしされた。運賃うんちんの規定きていはあったものの、物資ぶっし輸送ゆそう組織そしきは整備せいびされていない場合ばあいが多おおかった。

［山本やまもと光正みつまさ］

『中国新聞社ちゅうごくしんぶんしゃ編へん『山陽さんよう路ろ四よん十じゅう八はち次じ』（1973・新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ）』▽『藤沢ふじさわ晋すすむ著ちょ『近世きんせい封建ほうけん交通こうつう史しの構造こうぞう的てき研究けんきゅう』（1977・福武書店ふくたけしょてん）』▽『山本やまもと光正みつまさ著ちょ『成田なりた街道かいどう』（1987・聚海書林しょりん）』▽『笹沼ささぬま正巳まさみ他た著ちょ『川越かわごえ街道かいどう』（1986・聚海書林しょりん）』▽『古島こじま敏雄としお著ちょ『江戸えど時代じだいの商品しょうひん流通りゅうつうと交通こうつう』（1951・御茶おちゃの水みず書房しょぼう）』▽『桑原くわばら孝たかし著ちょ『三さん国こくの歴史れきし』（1966・野島のじま出版しゅっぱん）』▽『風間かざま観かん静しず著ちょ『改訂かいてい増補ぞうほ奥州おうしゅう街道かいどう宿駅しゅくえき制せいの研究けんきゅう』（1966・巖いわお南堂みなみどう）』▽『飯沼いいぬま寅治とらじ著ちょ『改訂かいてい増補ぞうほ奥州おうしゅう宿駅しゅくえき街道かいどうの時代じだい的てき変遷へんせん』（1966・巖いわお南堂みなみどう）』▽『長井ながい政太郎まさたろう著ちょ『山形やまがた県けん交通こうつう史し』（1976・不ふ二に出版しゅっぱん）』