五ご街道かいどう（読よみ）ゴカイドウ

江戸えど幕府ばくふが直轄ちょっかつした主要しゅような五いつつの陸上りくじょう交通こうつう路ろ。江戸えどを起点きてんとして四方しほうに達たっする道みちで，東海道とうかいどう，中山道なかせんどう，甲州こうしゅう道中どうちゅう，日光にっこう道中どうちゅう，奥州おうしゅう道中どうちゅうをいう。名称めいしょうは1716年ねん（享とおる保ほ1）に幕府ばくふが公称こうしょうを一定いっていしたが，民間みんかんでは中山道なかせんどうを中仙道なかせんどう，木曾きそ街がい（海うみ）道みちといい，甲州こうしゅう道中どうちゅうを甲州こうしゅう街道かいどうということも慣用かんようされた。東海道とうかいどうは江戸えどより京都きょうとまでの間あいだに53宿しゅくあるので五ご十じゅう三さん継つぎ（次つぎ）という。また大津おおつから大坂おおさかまでも東海道とうかいどうとして，間あいだに4宿しゅくある。中山道なかせんどうは江戸えどから上野うえの，信濃しなのなどを通とおり，近江おうみの草津くさつで東海道とうかいどうに接続せつぞくし，間あいだに67宿しゅくある。甲州こうしゅう道中どうちゅうは甲府こうふを経へて中山道なかせんどうの下諏訪しもすわ宿やどに接続せつぞくし，間あいだに45宿しゅくがある。日光にっこう道中どうちゅうは日光にっこう東照宮とうしょうぐうに至いたるもので23宿しゅくあり，奥州おうしゅう道中どうちゅうはその途中とちゅうの宇都宮うつのみやから分わかれて陸奥みちのくの白河しらかわまでで，宇都宮うつのみやまで17宿しゅく，それ以北いほくが10宿しゅくである。甲州こうしゅう道どう中ちゅう，日光にっこう道どう中ちゅうには2宿しゅく以上いじょうが交代こうたいで継立つぎたて業務ぎょうむを執とる所ところがあったから，旅行りょこうに際さいしての人馬じんば継立つぎたて場所ばしょは少すくなくなった。五ご街道かいどうに付属ふぞくして，美濃みの路ろ，佐屋さた路ろ，本ほん坂道さかみち（ほんさかみち）（姫ひめ街道かいどう），山崎やまざき街道かいどう，日光にっこう御ご成道じょうどう，壬生みぶ通どおり，日光にっこう例幣れいへい使し道みち，水戸みと・佐倉さくら道みち（一部いちぶ）などがあって，幕府ばくふの直轄ちょっかつになった。幕府ばくふではこれらを管理かんりするために1659年ねん（万まん治ち2）に道中どうちゅう奉行ぶぎょうを置おき，大目おおめ付づけ1名めいに兼かねさせ，98年ねん（元禄げんろく11）勘定かんじょう奉行ぶぎょうの1名めいにも兼かねさせ，以来いらい2名めいとなった。街道かいどうの改修かいしゅう，整備せいび，架橋かきょう，渡船とせん，並木なみき，宿駅しゅくえき，助じょ郷さと，人馬じんば賃銭ちんせんに関かんすることなどは，幕まく領りょう・私わたし領りょうを問とわず道中どうちゅう奉行ぶぎょうが管轄かんかつした。東海道とうかいどうが最もっとも重視じゅうしされたので，宿駅しゅくえきの設備せつび等とうもよく整備せいびされ，中山道なかせんどうがこれに次ついだ。諸しょ街道かいどうには関所せきしょが置おかれて人ひと改あらためなどをしたほか，1712年ねん（正徳しょうとく2）には東海道とうかいどうの品川しながわ・府中ふちゅう・草津くさつ，中山道なかせんどうの板橋いたばし・洗馬せば（せば）に荷物にもつ貫目かんめ改あらため所しょ（かんめあらためしよ）を置おいて，旅人たびびとの荷物にもつの重量じゅうりょう超過ちょうかを取とり締しまった。改あらため所しょは後のちに千住せんじゅ，宇都宮うつのみや，内藤ないとう新宿しんじゅく，甲府こうふ，追分おいわけの各かく宿やどにも設もうけられた。公用こうよう旅行りょこう者しゃや御用ごよう荷物にもつを優先ゆうせんさせる宿駅しゅくえき制度せいどであったが，街道かいどうの整備せいびにつれて庶民しょみんの旅行りょこうも安楽あんらくになり，物資ぶっしの流通りゅうつう，通信つうしんの発展はってんのほか，文化ぶんかの伝播でんぱ（でんぱ）にも大おおきな役目やくめを果はたした。
→街道かいどう
執筆しっぴつ者しゃ：児玉こだま 幸みゆき多た