遵行状じょう（読よみ）ジュンギョウジョウ

南北なんぼく朝あさ時代じだい以後いご室町むろまち時代じだいを通つうじ，幕府ばくふより出だされる命令めいれいをうけて守護しゅごが下位かいに向むけて発はっした文書ぶんしょ。幕府ばくふより御教書みぎょうしょ（みぎようしよ）あるいは奉書ほうしょの様式ようしきで守護しゅごあてに命令めいれいが伝つたえられ（施行しこう状じょう（しぎようじよう）），これをうけて新あらたに守護しゅごのもとで守護しゅご代だいにあてて作成さくせいされた文書ぶんしょが遵行状じょうである。ときにはこれを受うけ取とった守護しゅご代だいが現地げんちの役人やくにんに向むかって発はっする文書ぶんしょも同おなじく遵行状じょうということがある。これに対たいし遵行状じょうをうけて当事とうじ者しゃへあてる文書ぶんしょを打だ渡わたり状じょう（うちわたしじよう）という。幕府ばくふ（施行しこう状じょう）→守護しゅご（遵行状じょう）→守護しゅご代だい（遵行状じょう）→現地げんちの役人やくにん（打だ渡わたり状じょう）→当事とうじ者しゃと図式ずしき化かされよう。遵行状じょうの一いち例れいをつぎにあげておく。〈東寺とうじ雑ざつ掌てのひら申もうす山城やましろ国こく拝師はやし荘内そうない恵田えた菟うさぎ田た里さと壱いち町まちの事こと，去月きょげつ廿にじゅう一いち日にち御教書みぎょうしょ之の旨むねに任まかせ，地下ちか人じん等とうの違たがえ乱らんを止とめ，寺務じむを全まっとうせらるべきの状じょう，件けん（くだん）のごとし　応おう永なが七なな年ねん十じゅう月がつ三さん日にち　（花押かおう）（守護しゅご結城ゆうき満みつる藤ふじ）　小泉こいずみ越前えちぜん入道にゅうどう殿どの（守護しゅご代だい）〉（《東寺とうじ文書ぶんしょ》）。
執筆しっぴつ者しゃ：高橋たかはし 正彦まさひこ