「アナウンサーたちの戦争せんそう」森田もりた剛つよしの芝居しばいを安田やすだ顕あらわが絶賛ぜっさん「内臓ないぞうから出でてくるような芝居しばい」

NHKスペシャル「アナウンサーたちの戦争せんそう」の取材しゅざい会かいが本日ほんじつ8月がつ4日にちに東京とうきょう・NHK放送ほうそうセンターで行おこなわれ、キャストの森田もりた剛つよし、橋本はしもと愛あい、高良こうら健吾けんご、安田やすだ顕あらわ、演出えんしゅつを担当たんとうした一木いちき正恵まさえが出席しゅっせきした。

戦時せんじ中ちゅうの日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかいとそのアナウンサーたちの活動かつどうをもとにした本ほん作さくは、放送ほうそうと戦争せんそうの知しられざる関かかわりを描えがく物語ものがたり。日本にっぽん国民こくみんにとって、太平洋戦争たいへいようせんそうはラジオの開戦かいせんニュースで始はじまり、玉音ぎょくおん放送ほうそうで終おわった。両方りょうほうに関かかわったのが、天才てんさいと呼よばれた和田わだ信しん賢けんアナと新進しんしん気鋭きえいの館野たての守男もりおアナだ。和田わだを森田もりた、彼かれの妻つま・実枝子みえこを橋本はしもと、館野たてのを高良こうらが演えんじ、“電波でんぱ戦士せんし”として前線ぜんせんのマニラ放送ほうそう局きょくに派遣はけんされた和田わだの恩人おんじん・米よね良忠よしただ麿まろに安田やすだが扮ふんした。

森田もりたは演えんじた和田わだについて「自分じぶんで調しらべて自分じぶんの言葉ことばで表現ひょうげんする人ひと。そこに魅力みりょくを感かんじましたし、僕ぼくの仕事しごとにも通つうじると思おもいました」と述のべ、「学徒がくと出陣しゅつじんのシーンは、その前まえに学徒がくとの方ほうとコミュニケーションを取とる場面ばめんがあって、余計よけいグッとくるものがありました。何なにより、現実げんじつにもとづいていることが大おおきい。本当ほんとうにあったこと、経験けいけんした人ひとがいること。今いまの若者わかものが観みたらどう感かんじてくれるのか？ 考かんがえる機会きかいになればいいなと思おもいます」と願ねがいを込こめる。橋本はしもとは「実枝子みえこは女性じょせいのアナウンサーとして初はじめて入局にゅうきょくした人ひと。女性じょせいの立場たちばが今いまより弱よわい時代じだいにそれでも強つよく生いきている女性じょせいを演えんじられて幸福こうふくでした」と語かたり、「和田わださんは心しんから尊敬そんけいできる方ほうで、そんな人ひとを見守みまもることができたのも幸しあわせでした。彼かれの人生じんせいを左右さゆうできるのは自分じぶんだけなんじゃないか、そういった責任せきにんもあって。信念しんねんを持もって演えんじるべき女性じょせいだと思おもっていました」と言葉ことばに力ちからを込こめた。

「戦争せんそうを題材だいざいにした作品さくひんは必要ひつよう」と話はなす高良こうらは「この作品さくひんに参加さんかできたことは自分じぶんにとっても意味いみがあることです」と真摯しんしに伝つたえ、「俳優はいゆうなので台本だいほんに書かいてあることを読よむことが多おおいんです。そしてその読よむということに難むずかしさを感かんじています。この時代じだいのアナウンサーも、書かいてあることを読よんでいた。日本にっぽんを信しんじて、それがどういう結果けっかになるかはわかっていなかった。戦争せんそうの恐おそろしさを感かんじました」と述懐じゅっかい。安田やすだは「戦争せんそうが始はじまったら、アジテートしない自信じしんはありますか？と。あります！と答こたえられる発信はっしん者しゃはどれぐらいいるのか？ 胸むねに突つき刺ささります」と続つづく。

キャストたちの熱ねつのこもった言葉ことばを聞きいていた一木いちきは「ハードな作品さくひんです。資料しりょうを作つくって、ラブレターを渡わたすように信しんじた方々かたがたに1人ひとりひとりオファーしていきました。ただ現場げんばでは、本当ほんとうにこれで人ひとの生々なまなましさを表現ひょうげんできているのだろうかと模索もさくするのに必死ひっしで、お芝居しばいを味あじわう余裕よゆうはなかったんです。改あらためて、すごい出演しゅつえん者しゃたちだった、ありがたかったなと思おもっています」と感謝かんしゃした。

イベント中盤ちゅうばんには森田もりたとの共演きょうえんをキャストが振ふり返かえる場面ばめんも。橋本はしもとは「本読ほんよみの段階だんかいから、森田もりたさんのお芝居しばいに圧倒あっとうされて。信しん賢けんさんの壮絶そうぜつな姿すがたを一番いちばん近ちかくで見みられたのは幸しあわせだと思おもいました」と回想かいそうし、「この作品さくひんに参加さんかしている間あいだにだいぶやられてしまって……癒いやされない傷きずがあります。森田もりたさんが本気ほんきでぶつかっている姿すがたに、この痛いたみは間違まちがいではない、逃にげてはいけないと思おもいました」と涙なみだながらに吐露とろした。高良こうらは「現場げんばでも常つねに森田もりたさんはすごいなと思おもっていたんですが、完成かんせいされた作品さくひんの中なかではさらに何なん倍ばいも輝かがやいていて。どうしたら自分じぶんはここまでやれるだろうか？って、自分じぶんの中なかで会話かいわをしました」と明あかす。また安田やすだは「学徒がくと出陣しゅつじんのシーンは森田もりたさんの内臓ないぞうから出でてくるような芝居しばいですごかったです」と絶賛ぜっさんした。

最後さいごに一木いちきは「きちんと残のこった歴史れきしじゃなく、1回かい隠かくしたけど、人々ひとびとが口くちで語かたったような歴史れきしです。自分じぶんごととして観みていただきたい」と、高こう良りょうも「自分じぶんも発信はっしん者しゃだからこそ、言葉ことばについて考かんがえることが増ふえました。体力たいりょくと気持きもちを90分ふん使つかって、この時代じだいに、自分じぶんごとのように観みていただけたら」とコメント。安田やすだは「最近さいきんは本当ほんとうみたいな嘘うそがある。でもこの物語ものがたりは、嘘うそみたいな本当ほんとう。ぜひ観みていただきたいです」とアピールする。

そして橋本はしもとは「実枝子みえこは誰だれよりも言葉ことばを信しんじて、ラジオを愛あいして、ラジオによって人ひとを救すくえると信しんじていました。でもそうではなくなってしまった。ラジオが夢ゆめの機械きかいじゃなく、悪魔あくまの拡声かくせい器きになってしまったことは、とても重おもい事実じじつです。発信はっしん者しゃとして言葉ことばが社会しゃかいを変かえてしまうかもしれないという恐おそろしさを考かんがえるとともに、受うけ取とる側がわとしても、真実しんじつと嘘うそを見極みきわめる力ちからを研鑽けんさんしていかなきゃいけないと感かんじました。それぞれに作品さくひんを受うけ取とってくだされば幸さいわいです」と呼よびかけ、森田もりたは「今いまの時代じだいだから意味いみがある作品さくひんだと信しんじています。より多おおくの人ひとに届とどけたいです」と語かたりかけた。

「アナウンサーたちの戦争せんそう」は、8月がつ14日にち22時じからNHK総合そうごうで放送ほうそうされる。ドラマ「PICU 小児しょうに集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつ」の倉光くらみつ泰子やすこが脚本きゃくほんを手てがけた。

アナウンサーたちの戦争せんそう

NHK総合そうごう 2023年ねん8月がつ14日にち（月つき）22:00～23:29
※NHKプラスで8月がつ21日にち（月つき）まで配信はいしん