鵜山仁演出、こまつ座「連鎖街のひとびと」に高橋和也「少し震える想いでいます」
2023年9月6日 16:28
8 ステージナタリー編集部
こまつ座「連鎖街のひとびと」が、11月9日から12月3日まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA、10日に山形・東ソーアリーナ、22日に群馬・昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館) 小ホールで上演される。
「連鎖街のひとびと」は、2000年に初演された作品。今回は初演と同じく鵜山仁が演出を担い、昭和20年の旧満州国大連市を舞台に、通訳将校歓迎会の台本作りという使命を課された劇作家たちの姿が描かれる。出演者には高橋和也、千葉哲也、加納幸和、鍛治直人、西川大貴、朴勝哲、石橋徹郎、霧矢大夢が名を連ねた。
鵜山は「過去を検証し、自らのあるべき姿を問い直して、未来への展望を開く。もしかしたら演劇は、そのために、何かの役に立つのか……芝居なんてものが、荒廃した現実を、再生させる手掛かりになるのか……これはいつの世にも共通する、われわれ演劇人に対する、大事な問いかけです。初演以来23年を経て、『連鎖街』に連なる志を、もう一度手繰り寄せたいと思っています」とコメント。
また高橋は「『連鎖街のひとびと』は私が初めて井上作品と出会った忘れられない作品です」と言い、「あれから23年の月日が経ち、今回は私が辻萬長さんの演じた役をやらせていただく事になりました。新劇の作者で物語をリードしていく、愛情深い人物です。井上先生の分身とも言える役を自分が演じる事になり、少し震える想いでいます」と胸の内を明かした。そのほかのキャストたちからのメッセージは以下の通り。
鵜山仁コメント
1945年8月。ロシア軍が満州に侵攻、関東軍は逃亡。身を守るすべもない日本人が置き去りにされた街、大連。
市内の目抜通り「連鎖街」の一角にある、がらんとした地下室。ここで台本を書き、稽古をし、芝居を作り、初日の幕を開けることになった登場人物たち。
過去を検証し、自らのあるべき姿を問い直して、未来への展望を開く。
もしかしたら演劇は、そのために、何かの役に立つのか……芝居なんてものが、荒廃した現実を、再生させる手掛かりになるのか……
これはいつの世にも共通する、われわれ演劇人に対する、大事な問いかけです。初演以来23年を経て、「連鎖街」に連なる志を、もう一度手繰り寄せたいと思っています。
高橋和也コメント
「連鎖街のひとびと」は私が初めて井上作品と出会った忘れられない作品です。私は31歳で生意気な頃だったと思います。辻萬長さんや木場勝己さんといったベテランの舞台俳優の先輩方に囲まれて一番若い役を演じていました。あれから23年の月日が経ち、今回は私が辻萬長さんの演じた役をやらせていただく事になりました。新劇の作者で物語をリードしていく、愛情深い人物です。井上先生の分身とも言える役を自分が演じる事になり、少し震える想いでいます。
千葉哲也コメント
今年で還暦。
演劇は実に体力である。しかし、体力で乗り切れる歳もそろそろ終盤。
今の自分は乗り切れてるのか、それともずっこけてるのか……。
そして感じるのは、俳優としてはまだまだ道半ば……。
それでいながら、色んな意味でのチャレンジ精神は益々旺盛。
だが、やりたい事とやれる事のギャップに、驚愕とショックをうけながらの毎日の日々。
それでも、この度3度目のこまつ座に、喜びと悲鳴を感じながら、焦らず、ゆっくり、一歩ずつ……。
加納幸和コメント
念願の「こまつ座」です。ドンピシャの「ひょっこりひょうたん島」世代、井上ひさし氏との最初の接点はそこ。続いては、昭和47年、NHKで放映された「金壺親父恋達引」。同じ人形劇でも、本格的な新作文楽もお書きになれるのか、と仰天しました(こちらは12の生意気なガキですが/苦笑)。
初演再演と「陳鎮中」をお演りになった松熊信義氏は、大学で演技を教わった先生で、御縁を感じます。深刻な状況をカジュアルなお芝居に仕立ててしまう、ひさし氏の世界!にどっぷり浸らせて頂きます!
鍛治直人コメント
此の度初めてこまつ座公演に出演いたします。
憧れのこまつ座さんにいつ声をかけて頂けるかと首を長く長くして待っておりました。
さて、今回私は作品の舞台となる今西ホテルの支配人、今西錬吉を演じます。
出演舞台の95%が“赤毛もの”の私にとって久しぶりの日本人役でございます。
バラエティに富んだ素晴らしい共演者の方々との稽古も今から楽しみですが、井上ひさしさんの“美しい日本語”を自分が話すと思うとワクワクします。
東京公演だけでなく年末から来年の2月にかけて山形、群馬、中部北陸地方にも伺います。
どうぞご期待ください!
西川大貴コメント
こまつ座さん、井上ひさしさんの作品に初めて出演させていただきます。
とても光栄ですし、随分前から稽古が始まる日を楽しみにしています!
先輩方の足を引っ張らぬよう、かつ、なるべく自然体でいられるよう努めたいと思います。
演出の鵜山さんとは2作品目です。「自分からのノートは勘違いして受け取ってもらうくらいが丁度いい」という言葉がとても印象に残っています。
またご一緒出来て嬉しいです。
11月より様々な劇場にお邪魔します。皆様の御来場お待ちしております!
朴勝哲コメント
21年ぶりの、再再演。
初演から同じ役の崔青年……。不安です……。まあ頭の中身はあんまり変わっていませんので、せめて軽やかに動けるよう精進しようと思います。自分のこと以外、今回の皆さんとこの舞台に立てることは楽しみでしかありません! よろしくお願いします!
石橋徹郎コメント
今もこの地球にはミサイルが飛んでいる。誰もが憎んでいるのにも関わらず。でもそれは、考えたくもないが、ある人にとっては生きていくために必要なものなのかもしれない、現時点では。なぜ生きたいのだろう。なくなることのない不安、何をたよりに生きていけばよいのか。そもそも何が生きがいなのか。嬉しいことがあるから生きる。自分を証明するために生きる。嬉しいことってなんだ。どうしたら自分を確認できる。今ここで一緒に生きている仲間に気づくことだろうか。例えば劇場という現実で。
霧矢大夢コメント
初めてこまつ座の舞台に出演させて頂きます。
演劇に携わる者としては憧れの世界でした。喜びと緊張とワクワクが止まりません。
「連鎖街のひとびと」。
台本を読んだ第一印象は、「連鎖街の変なひとびと」「連鎖街の愉快なひとびと」などなど……タイトルはこうなのでは?と思う程、どの人物もちょっと変で一生懸命で、混沌とした時代背景でもどこか能天気で、とても愛おしいと感じました。
私は満州国の女優ハルビン・ジェニイ(日本人)役。私事ですが、この10年で満州の女優役はこれで3回目。「満州の女優」って、数奇な運命だったりどことなくミステリアスなイメージがありませんか。しかし今まで演じた2回共、ちょっと変わった役でした。笑
さてジェニイはどうでしょうか。やっぱり……?
※初出時、会場名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
※2023年11月29日追記:11月29・30日公演は公演関係者の体調不良により中止になりました。
BAR宵 (バー宵 ) @bar_yoi
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