谷崎潤一郎の処女作から着想、兼島拓也×河井朗「刺青 / TATTOOER」日英で上演
2024年7月8日 12:00
2 ステージナタリー編集部
兼島拓也が脚本、ルサンチカの河井朗が演出を手がける「刺青 / TATTOOER」が、9月に東京・アトリエ春風舎、10月にイギリス・チャリングクロス劇場で上演される。
「刺青 / TATTOOER」は、梅田芸術劇場とチャリングクロス劇場が共同で演劇作品を制作する日英プロジェクトの一環として上演されるもの。谷崎潤一郎の処女作「刺青」を下敷きに、清吉という評判の高い若手刺青師(ほりものし)の物語が描かれる。清吉の長年の願いは「美女の肌に己の魂を彫り込む事」だったが、理想の相手に出会えずにいた。ある日、清吉のもとに理想の女性がやって来て……。
日本公演は9月20日から23日まで、イギリス公演は10月14日から26日まで。イギリス公演のうち、14日から16日までがプレビュー公演、18日から26日までが本公演となる。なお本作のイギリス公演は、同じく日英プロジェクトの一環として制作される加藤拓也作・演出「One Small Step」と連続で上演される。
兼島と河井のコメントは以下の通り。
兼島拓也コメント
谷崎が描いた、刺青を彫る人と彫られる人の間の秘匿的で閉じた関係。実はそのなかにあちこち穴が空いていて、不意に外部と繋がってしまう。作品を読み返すうちに、そんな「広がり」が垣間見えたような気がしました。刺青は単なる模様ではなく、皮膚にあいた穴から外部が流し込まれ、同時に内部が皮膚の外に漏れ出してしまう、そんな現象のことをいうのではないか。外部の侵入を許し、あるいは自己が漏れ出てしまう。その脆弱さ故に自他の境界が曖昧になる。そこに刺青の妖艶な魅力があるのではないか。
谷崎の筆に便乗し、強硬な支配 / 被支配関係とそれが反転する快楽に執着した先には、他者と結びついて溶け合ってしまう契機が見出されるのではないかと思っています。
河井朗コメント
刺青は針で皮膚を傷つけ、そこに色を入れていく行為です。傷も彩られると芸術と呼ばれます。そのひと針ひと針には、様々な思いが込められていることでしょう。決して後戻りできない瞬間の連続を委ねることができるのは信頼できるアーティストと、大切にしたい気持ちがあってこそだと思うのです。日本では秘匿を美徳と考える人がいます。日本でお会いした彫り師の方は、着物の袖からチラッと見える刺青が粋なんだと教えてくれました。それは、誇らしいからこそ自分だけのものにしたいという欲なのだと私は考えています。皆さんがこれまでの人生で獲得した「傷」に、私たちがインクを垂らすこ
とができたらどんな絵が浮かび上がるのでしょうか。あなたの体に宿る芸術はどんな姿なのでしょうか。楽しみにしています。
刺青 / TATTOOER
2024年9月20日(金)~2024年9月23日(月・振休) ※公演終了
東京都 アトリエ春風舎
2024年10月14日(月)~2024年10月26日(土) ※公演終了
イギリス チャリングクロス劇場
スタッフ
脚本:兼島拓也
演出:河井朗
※イギリスでのプレビュー公演は10月14日から16日まで、本公演は18日から26日まで。
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