不振ふしん、不振ふしんと言いわれた8月がつを「12本塁打ほんるいだ＆15盗塁とうるい」で終おえたドジャースの大谷おおや翔しょう平たいら。メジャー史上しじょう6人にん目めの「40-40」をあっさりと達成たっせいし、誰だれも足あしを踏ふみ入いれたことがない領域りょういき（44本塁打ほんるいだ＆46盗塁とうるい）までその数字すうじを伸のばしている。 　もはや「50-50」ですら通過つうか点てんに思おもえるほどだが、先月せんげつ31日にち（現地げんち時間じかん、以下いか同どう）のダイヤモンドバックス戦せんで今季こんき44号ごうが飛とび出だしてから、大谷おおやのバットからは快音かいおんが聞きかれず。8月が“偽いつわりの不振ふしん”だったとすれば、9月は“偽いつわりなき不振ふしん”と呼よべるかもしれない。 　大谷おおやにとって3～4日にちに行おこなわれたエンゼルスとの2試合しあいは特別とくべつな時間じかんだった。23歳さいという若わかさで海うみを渡わたった大谷おおやが昨季さくきまで6シーズンにわたってホームと呼よんでいたエンゼル・スタジアムでの2連戦れんせんは、大谷おおやにとって文字通もじどおりの凱旋がいせん試合しあいだった。 　ところが、3日にちの初戦しょせんこそ三塁打さんるいだを1本ほん放はなったが、2試合しあい合計ごうけいで8打数だすう1安打あんだ、3三振さんしん。約やく1年ねんぶりに姿すがたを見みせたエンゼル・スタジアムで打棒だぼう爆発ばくはつとはいかなかった。 　これで9月がつ1日にちの試合しあいから、大谷おおやは4試合しあい連続れんぞくでアーチなし。オールスター以降いこう、4試合しあいに1本ほんは必かならず本塁打ほんるいだを記録きろくしていた大谷おおやだが、これで後半こうはん戦せんの自己じこワーストを更新こうしんしてしまった形かたちだ。 　繰くり返かえしになるが、大谷おおやが今季こんき44号ごうを放はなったのは先月せんげつ31日にちの第だい1打席だせき。その試合しあいの第だい2打席だせきから4日にちの最終さいしゅう打席だせきまで、実じつに24打席だせき連続れんぞくで柵しがらみ越こえがない。並なみの打者だしゃなら何なんの変哲へんてつもない数字すうじだが、後半こうはん戦せんに入はいって本塁打ほんるいだを量産りょうさんしてきた大谷おおやなら心配しんぱいの種たねといえるだろう。 　また、その間あいだの成績せいせきが20打数だすう3安打あんだ（打率だりつ.150）で、打率だりつも低迷ていめい。まさに今季こんき初はつのスランプ状態じょうたいといってもいいかもしれない。 　ただ、打撃だげきの調子ちょうしがどれだけ悪わるくても、他たの方法ほうほうでチームに貢献こうけんできるのが大谷おおやのすごいところ。「足あしにスランプはない」という野球やきゅう界かいの格言かくげん通どおり、盗塁とうるいの数かずは着実ちゃくじつに増ふやしている。 　11-6でダイヤモンドバックスに打うち勝かった2日にちの試合しあいで、大谷おおやは4度ど出塁しゅつるいし、3盗塁とうるいを記録きろく。この時点じてんで今季こんきの盗塁とうるい数すうが本塁打ほんるいだ数すうを逆転ぎゃくてんした。大谷おおやとすれば、この3盗塁とうるいで、50盗塁とうるいクリアの感触かんしょくを得えたはずだ。ただ、本塁打ほんるいだの数かずが後おくれを取とったことで、大谷おおやの潜在せんざい意識いしきに若干じゃっかんの変化へんかが生しょうじた可能かのう性せいがある。 　その後ごの大谷おおやの打撃だげきを見みる限かぎり、これまで以上いじょうに本塁打ほんるいだへの意識いしきが出でている感かんが否いなめない。 　本来ほんらいの大谷おおやの持もち味あじは、強引ごういんに引ひっ張ぱらずともセンターから左ひだり方向ほうこうへ楽々らくらくと柵しがらみ越こえを連発れんぱつできるパワーだ。時ときには高たかめのボール球だまを強振きょうしんしてスタンド上段じょうだんに突つき刺さすこともあれば、低ひくめの変化球へんかきゅうに泳およげがされながら右手みぎて一本いっぽんで打球だきゅうをスタンドに運はこぶことも——。 　160km/hを超こえる剛つよし速球そっきゅうでも、鋭するどく落おちる変化球へんかきゅうでも、バットの芯しんを大おおきく外はずしさえしなければ、自みずからの力ちからで歩あるいてホームに返かえることができる。それが打者だしゃ・大谷おおやの最大さいだいの強つよみである。 　ところが、そんな大谷おおやもここ数すう試合しあいで引ひっ張ぱる意識いしきが見みえ隠かくれ。44号ごうを放はなった次じ打席だせき以降いこうの結果けっかを羅列られつすると、以下いかの通とおり。 中ちゅう犠飛ぎひ、一いちゴロ、二にゴロ、見み三振さんしん、右みぎ直じき、空そら三振さんしん、空そら三振さんしん、三さん邪よこしま飛とべ、見み三振さんしん、右みぎ安やす、二にゴロ、四球しきゅう、右みぎ安やす、四球しきゅう、見み三振さんしん、一いちゴロ、右みぎ三塁打さんるいだ、見み三振さんしん、空そら三振さんしん、敬遠けいえん、三さん飛ひ、中ちゅう飛ひ、空そら三振さんしん、三さん飛ひ。 　三振さんしんの多おおさは平常へいじょう運転うんてんだが、やはり右みぎ方向ほうこうへの凡打ぼんだが目立めだっている。