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3月6日(日)、名古屋入管が収容していたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんを見殺しにしてからちょうど1年になります。
この日、全国8か所(札幌、仙台、東京、浜松、名古屋、京都、大阪、高知)で、追悼のデモやスタンディングがおこなわれました。「3.6ウィシュマさん一周忌全国一斉追悼アクション」と題して、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合の呼びかけでおこなわれた行動です。
私は、このうち大阪でのデモに参加してきました。デモ出発前に扇町公園でおこなわれた集会で、お話する時間をいただいたので、以下のようなスピーチをしました。インターネットに配信された動画から文字起こししたものです。じっさいは「えー」とか「あのー」とかいっぱい言ってるんですが、そこは割愛してます。
こんにちは。永井といいます。10年ぐらい、面会の活動なんかをしてきました。
今日は、ウィシュマさんが亡くなって1周忌ということで、追悼の行動ということで私たち呼びかけさせてもらったんですけども、この事件、何だったのかということを考えたときに、さっき弁護士の先生たちからもそういう話ありましたけれど、「医療体制の不備」の問題じゃないんですよ、これ。
先月のすえに入管庁の有識者会議ていうのが「提言」という報告書をまとめました。そこでなに言ってるかというと、これがほんとふざけた内容で、医療体制に不備があったからこれを改善しましょう、具体的には常勤の医者を増やしましょうとかね、そういうことを言ってるんです。
でも、当時の医療の体制でもウィシュマさんの命は救えたんです。
入管には車があります。車を運転できる職員もいます。担架もあります。車いすもあります。病院に運べたんですよ。
で、電話もあるんですよ、入管には。だから救急車をよべたんです、119番して。
それをやらなかったからウィシュマさんは死んだんです。これは、「医療体制の不備のせいで救おうとした命が救えなかった」んじゃなくて、見殺しにしたんですよね。
これは犯罪です。これは人殺しで、さきほどからいろんな人が言ってますけども、収容する、送還する、そのことを人命よりも優先させた。そのことで見殺しにしたんです。
それは、入管庁の指示のもとで起こったことです。
だから、人殺しには責任とらせなきゃいけない、ということだと私は思ってます。
だから、追悼ということでさっきも黙祷したんですけども、この現状のもとでは、ウィシュマさんうかばれないと思います。だから、責任追及する、で、入管庁の幹部、入管庁の長官、法務大臣、この人たちを罪人としてきちんと責任追及するっていうことこそ、やらなきゃならないことだと思います。
なので、静かに追悼するということも、さっき私も黙祷しましたけれど、気持ちとしては怒りの声をあげたい。怒りの気持ちをもってみなさんと歩きたいと思っています。
以上です。ありがとうございます。
大阪での集会・デモは、たぬき御膳さんとIWJさんが動画配信してくれております。つぎのリンク先で見ることができます。
3.6ウィシュマさん大阪一周忌追悼アクション / たぬき御膳のたぬキャス
ライブ #723439788 / IWJ・エリアCh6
3・6 ウィシュマさん大阪一周忌追悼アクション デモ / IWJ・エリアCh6
ちなみに、奇しくもウィシュマさんの亡くなる1日前にあたる2021年3月5日、当時の法務大臣上川陽子は、閣議後の記者会見でつぎのような発言をしています。
2点目の収容期間の上限を設けるということについてでありますが,収容期間の上限を設けますと,送還をかたくなに忌避し,収容期間の上限を経過した者全員の収容を解かざるを得なくなるということになります。また,収容を解かれることを期待しての送還忌避を誘発するおそれもあるということでありまして,適当ではないと考えたところでございます。(法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要)
収容期限の上限を設定していない(理論上は10年でも20年でも永久に収容できる)いまの入管制度について、国連などから国際人権規約に違反しているとの指摘があるわけですが、そうした指摘を反映させて制度を見直す考えはないのかというような意味の記者の質問をうけての上川の答えが、これなのです。
この上川発言については、このブログでこれまでもコチラの記事などで問題にしています。
上川は、入管収容施設で「送還をかたくなに忌避し」ている人たちの「収容を解かれることを期待」する気持ちを打ちくために、収容期限に上限をもうけないのだと、そうはっきり明言したわけです。希望をうばう、絶望させる、そのために「閉じ込める」「自由をうばう」という暴力をもちいているのだ、と。
悪いことはこっそりやっても悪いし、かくさず堂々とやっても悪いことにかわりないのですが。しかし、収容や送還という暴力を使うことを法律によって認められた組織のトップが、「われわれの言うことを聞かせるために収容所に閉じ込めるのだ」「そのさい、『出られるかも』なんて期待をいだかせないように収容期間の上限はきめないのだ」などと、記者会見で堂々と悪びれもせずにしゃべっている。そういう組織が人を殺さないわけがないのです。さきほどこの上川発言が「奇しくも」ウィシュマさんの亡くなる前日になされたということを書いたのですけれど、こんな組織が運営する組織で人が職員に見殺しにされて命をうばわれるのは、ある意味で「不思議ではない」ということも言える。
で、もうひとつ言わなければならないのは、悪事がかくされずにおおっぴらにおこなわれるのは、悪いことをやっても「他人からとめられない」と思われているからでもあるということです。だから、入管の職員でない私たちにも責任がある。私たちはとめなければならないし、こんなことをくりかえさせてはいけない。そういう責任はやはり負っているのだと思います。
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外国人も同じ人間 ウィシュマさん一周忌 真相を求め法要やデモ | 毎日新聞 2022/3/6 19:00(最終更新 3/6 22:08)
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