目次もくじ

  1. 1. 原本げんぽん還付かんぷとは?
    1. 1-1. 原本げんぽん還付かんぷのメリット
  2. 2. 相続そうぞく登記とうき原本げんぽん還付かんぷ
    1. 2-1. 原本げんぽん還付かんぷ原本げんぽん返却へんきゃくされる書類しょるいは?
    2. 2-2. 原本げんぽん還付かんぷができない書類しょるいは?
  3. 3. 原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅう方法ほうほう
    1. 3-1. 返却へんきゃくしてもらいたい書類しょるいのコピーをとる
    2. 3-2. コピーの余白よはく部分ぶぶんに「原本げんぽん相違そういありません」と記載きさいし、申請しんせいじん署名しょめい捺印なついん
    3. 3-3. 登記とうき申請しんせいしょにコピーをごうつづり(ホチキスめ)し、原本げんぽんもあわせて提出ていしゅつ
    4. 3-4. 登記とうき完了かんりょう申請しんせいしたから1~2週間しゅうかん)に原本げんぽん
    5. 4. 相続そうぞく関係かんけい説明せつめい提出ていしゅつすれば原本げんぽん還付かんぷ可能かのう
  4. 4. まとめ

相続そうぞく手続てつづきをすすめるさい役所やくしょ法務局ほうむきょく金融きんゆう機関きかんなど様々さまざま窓口まどぐち様々さまざま書類しょるい提出ていしゅつします。おも戸籍こせき抄本しょうほん住民じゅうみんひょう印鑑いんかん証明しょうめいしょなどの書類しょるい提出ていしゅつしますが、それらはかく窓口まどぐち共通きょうつうして必要ひつようとなる場合ばあいおおいです。

そこで利用りようできる便利べんり制度せいどが「原本げんぽん還付かんぷ」です。原本げんぽん還付かんぷは、原本げんぽんとそのうつし(コピー)をセットで窓口まどぐち提出ていしゅつすることで原本げんぽん返却へんきゃくしてもらう仕組しくみです。

原本げんぽん還付かんぷ書類しょるい原本げんぽんかえしてもらうことには、おおきく3つのメリットがあります。

(1)交付こうふ手数料てすうりょう節約せつやく
たとえば、東京とうきょう埼玉さいたま土地とち所有しょゆうし、きのえ銀行ぎんこうおつ銀行ぎんこうへい信用金庫しんようきんこ預金よきん口座こうざっているほうくなった場合ばあいには、合計ごうけい5かしょ窓口まどぐち法務局ほうむきょく2かしょ金融きんゆう機関きかん3かしょ)で手続てつづきをおこな必要ひつようがあります。

そしてすべての窓口まどぐち大体だいたいおなじような書類しょるい提出ていしゅつもとめられるので、単純たんじゅんかんがえるとおな書類しょるいがそれぞれ5つうずつ必要ひつようになるわけです。戸籍こせき謄本とうほんとう証明しょうめいしょ交付こうふしてもらうさいには手数料てすうりょうがかかるため、5ばい費用ひようがかかってしまいます。戸籍こせき謄本とうほん戸籍こせき全部ぜんぶ事項じこう証明しょうめいしょ)であれば1つうにつき450えん交付こうふ手数料てすうりょうがかかるので、5ばいとなると2250えんもかかることになります。

そこで原本げんぽん返却へんきゃくしてもらうと、一度いちど取得しゅとくした書類しょるいかえ使つかうことができるので交付こうふにかかる手数料てすうりょう大幅おおはば節約せつやくすることができます。

(2)おな書類しょるいなん取得しゅとくする手間てまはぶける
相続そうぞく手続てつづきにまり相談そうだんきたられる相続そうぞくじんほうからよくみみにするのが、苦労くろうして戸籍こせき謄本とうほん取得しゅとくしたあとに、追加ついかおな戸籍こせき謄本とうほん必要ひつようとなり、再度さいど役所やくしょ出向でむくことになったというおはなしです。「原本げんぽん還付かんぷ」という制度せいどっていれば、役所やくしょなんあしはこ労力ろうりょく必要ひつようなくなります。

(3)重要じゅうよう書類しょるい手元てもと保管ほかんできる
遺言ゆいごんしょ遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎしょなど、1つうしか存在そんざいしない書類しょるい提出ていしゅつもとめられた場合ばあい原本げんぽん還付かんぷ制度せいど利用りようしておかないと、窓口まどぐち手続てつづきをおこなうことができなくなるという弊害へいがいしょうじます。さらにこれらの書類しょるいは、まんいち後日ごじつ税務ぜいむ調査ちょうさ相続そうぞく人間にんげん紛争ふんそう発生はっせいした場合ばあいにおいて重要じゅうよう証拠しょうこ書類しょるいにもなります。原本げんぽん還付かんぷをすれば相続そうぞく手続てつづきがわったあとも重要じゅうよう書類しょるい手元てもとのこしておくことができるので安心あんしんです。

以上いじょうのことから、原本げんぽん還付かんぷ可能かのう書類しょるいはしっかり還付かんぷ請求せいきゅうおこなうことがのぞましいです。相続そうぞく登記とうきかぎらず、どんな手続てつづきであっても原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅうするさい原本げんぽんうつしの両方りょうほう必要ひつようとなります。

しかし、うつしを用意よういするのが申請しんせいするがわなのか受理じゅりするがわなのか(銀行ぎんこうなどの金融きんゆう機関きかんでは窓口まどぐち担当たんとうしゃ原本げんぽんあずかりそのでコピーをとってくれることがおおいです)、還付かんぷ請求せいきゅうさい署名しょめい押印おういんよう原本げんぽん返却へんきゃくのタイミングなど請求せいきゅう方法ほうほうにおいてことなる部分ぶぶんがあります。今回こんかいは、相続そうぞく登記とうきにおける原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅう法務局ほうむきょくでの原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅう)について以下いかくわしく記載きさいします。

相続そうぞく原因げんいんとする所有しょゆうけん移転いてん登記とうき、いわゆる相続そうぞく登記とうき申請しんせいするさい法務局ほうむきょく提出ていしゅつする書類しょるい原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅうによって還付かんぷ対象たいしょうとなる(原本げんぽんかえしてもらえる)書類しょるいについてつぎれい参考さんこう解説かいせつします。

前提ぜんてい
不動産ふどうさん所有しょゆうしゃAが死亡しぼうし、その法定ほうてい相続そうぞくじん配偶はいぐうしゃBとABあいCの2めいである。
BおよびCは本件ほんけん不動産ふどうさんについてはBが単独たんどく相続そうぞくするむね合意ごういした(遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ成立せいりつした)。

夫Aがなくなり、妻Bが不動産を単独で相続することになりました
おっとAがなくなり、つまBが不動産ふどうさん単独たんどく相続そうぞくすることになりました

提出ていしゅつ書類しょるい

  1. 登記とうき申請しんせいしょ
  2. Aの出生しゅっしょうから死亡しぼうまでの戸籍こせき除籍じょせき謄本とうほんあらためせいげん戸籍こせきとう
  3. Aの住民じゅうみんひょうじょひょう
  4. BおよびCの戸籍こせき抄本しょうほん
  5. 遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎしょ(BおよびCが署名しょめい実印じついんにて捺印なついんしたもの)
  6. Cの印鑑いんかん証明しょうめいしょ(Bについては添付てんぷしなくてもよい)
  7. Bの住民じゅうみんひょう
  8. 評価ひょうか証明しょうめいしょ

上記じょうき提出ていしゅつ書類しょるいのうち、一般いっぱんてき相続そうぞく登記とうきだと、(1)登記とうき申請しんせいしょ以外いがいすべての書類しょるいについて原本げんぽん返却へんきゃくしてもらえます(ただし、(8)については法務局ほうむきょくからの交付こうふ依頼いらい発行はっこうされたものをのぞく)。

原本げんぽん還付かんぷ可能かのう書類しょるい法令ほうれい先例せんれいとう規定きていされていますが、「登記とうきのためだけに作成さくせいされた書類しょるい原本げんぽん還付かんぷできない」というのが基本きほんてきかんがかたです。「登記とうきのためだけに作成さくせいされた書類しょるい」というとイメージしづらいかもしれませんが、たとえば、上記じょうき事例じれいにおいてBが司法しほう書士しょし相続そうぞく登記とうき依頼いらいした場合ばあいには、提出ていしゅつ書類しょるいとしてBから司法しほう書士しょしへの委任いにんじょう追加ついかされますが、この委任いにんじょうは「登記とうきのためだけに作成さくせいされた書類しょるい」とえるので原本げんぽん還付かんぷはできません。つまり、登記とうき手続てつづ以外いがいにも使用しようすることがある書類しょるいは、原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅうおこなうことで原本げんぽん返却へんきゃくしてもらえるということです。

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では、法務局ほうむきょくたいする原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅうはどのようにおこなうのでしょうか。以下いか手順てじゅんをまとめました。

原則げんそくとしてすべてのページを原寸げんすんだいでコピーします。遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎしょにおける預貯金よちょきん記載きさいなど登記とうき関係かんけいのない部分ぶぶんはその部分ぶぶんのぞいたコピーでもかまいません。しかし、どの部分ぶぶん登記とうき必要ひつようかを判断はんだんするのは簡単かんたんではないのでぜんページをコピーするのが無難ぶなんです。

コピーの余白よはく部分ぶぶんに「原本げんぽん相違そういありません」と記載きさいし、申請しんせいじん署名しょめい捺印なついんする
住所じゅうしょ記載きさい不要ふようです。申請しんせいしょ押印おういんしたものと同一どういつ印鑑いんかん捺印なついんします(実印じついんである必要ひつようはありません)。コピーした書類しょるいふくすうまいあるときには、1まい上記じょうき処理しょりおこなのこりの書類しょるいのつづりごとに割印わりいん契印けいいん)します。

原本げんぽん還付かんぷ請求せいきゅうていかた割印わりいん見本みほん

紛失ふんしつ防止ぼうしのためにも原本げんぽんすべてクリップでめる、クリアファイルにれるとう方法ほうほうでまとめておくといでしょう。

登記とうき完了かんりょうするまでは原本げんぽん返却へんきゃくしてもらえないので、原本げんぽん手続てつづきでも使用しようしたい場合ばあいには注意ちゅうい必要ひつようです。法務局ほうむきょく窓口まどぐちでのりか郵送ゆうそうでのりを選択せんたくすることができますが、郵送ゆうそうでのりを希望きぼうする場合ばあいには申請しんせいしょに「送付そうふ方法ほうほうにより原本げんぽん還付かんぷ書類しょるい返却へんきゃく希望きぼうする」と記載きさいし、返信へんしんよう封筒ふうとう切手きって貼付ちょうふ)をつけておく必要ひつようがあります。

相続そうぞく関係かんけい説明せつめいとは、くなったほう相続そうぞくじん)がだれで、その法定ほうてい相続そうぞくじんだれ何人なんにんいるのか、相続そうぞくじん相続そうぞくじん続柄つづきがらなになのか(親子おやこなのか兄弟きょうだいなのか)をしめしたです。家系かけいによくていますが、いえ歴史れきし辿たどるものではなく、くなったほうについてその相続そうぞく関係かんけいのみを図示ずしするものです(相続そうぞく関係かんけいのない親族しんぞく登場とうじょうしません)。

相続そうぞく関係かんけい説明せつめい提出ていしゅつすると戸籍こせき抄本しょうほん除籍じょせき謄本とうほんあらためせいげん戸籍こせきふくむ)についてはコピーを提出ていしゅつしなくても原本げんぽん還付かんぷ可能かのうになります。さきほどの事例じれいでいうと提出ていしゅつ書類しょるい(1)~(8)のうち、(2)および(4)についてコピーが不要ふようになります。

相続そうぞくじんだい人数にんずう場合ばあい相続そうぞくじんなかにすでに死亡しぼうしているほうがいる場合ばあいだいかさね相続そうぞく数次すうじ相続そうぞく場合ばあい)には、添付てんぷする戸籍こせき謄本とうほんつうすうなんじゅうつうにもなることがあります。そのような場合ばあいにコピーをとったり割印わりいん契印けいいん)をしたりする手間てまはぶくことができます。
戸籍こせき謄本とうほんつうすう膨大ぼうだいになる相続そうぞく登記とうき申請しんせいする場合ばあいには、相続そうぞく関係かんけい説明せつめい作成さくせいするとよいでしょう。

相続そうぞく手続てつづきのたびに、戸籍こせき謄本とうほんとうたば提出ていしゅつし、原本げんぽん還付かんぷかえすことは面倒めんどうです。法定ほうてい相続そうぞく情報じょうほう証明しょうめい制度せいど活用かつようすれば、1まい証明しょうめいしょ戸籍こせきたばわりになります。くわしくは、法定ほうてい相続そうぞく情報じょうほう証明しょうめい制度せいどとは 1まい証明しょうめいしょ手続てつづ効率こうりつ! 交付こうふまでのながれ、活用かつようほう解説かいせつをごらんください。

原本げんぽん還付かんぷ上手じょうず利用りようすると、戸籍こせき謄本とうほんとう取得しゅとくにかかる費用ひよう手間てま最小限さいしょうげんおさえることができます。相続そうぞく登記とうきかぎらず相続そうぞく手続てつづ全般ぜんぱんにおいて、原本げんぽん還付かんぷ可能かのう書類しょるいかなら還付かんぷ請求せいきゅうして原本げんぽん返却へんきゃくしてもらうことをおすすめします。

記事きじは2024ねん6がつ1にち時点じてん情報じょうほうもとづいています)