山林さんりんの相続そうぞくとは　手続てつづき、登記とうき、相続そうぞく税ぜい、いらない場合ばあいの対処たいしょ法ほうを解説かいせつ

1. 悩なやんでいる人ひとが多おおい山林さんりんの相続そうぞく

相続そうぞくについての相談そうだんを受うけていると、「亡なくなった親おやの残のこした財産ざいさんのなかに山林さんりんがあるようなのだが、どうすれば良よいか」という悩なやみごとを聞きく機会きかいが少すくなくありません。

農林水産省のうりんすいさんしょうによると、日本にっぽんの森林しんりんの面積めんせきは約やく2500万まんヘクタールで、日本にっぽんの国土こくどの67％、実じつに3分ぶんの2にあたるというのですから、このような相談そうだんをしばしば受うけるのにも理由りゆうがあると言いえるでしょう。

実際じっさい、山林さんりんの相続そうぞくが悩なやみになるという状況じょうきょうには、「どのように相続そうぞくの手続てつづきに対応たいおうすればよいのかがわからない」「遠方えんぽうに住すんでおり管理かんりすることが難むずかしい」「相続そうぞくすることになった不要ふような山林さんりんが処分しょぶんできない」といった事態じたいになりがちだという事情じじょうがあります。

若わかいうちに都会とかいに出でてしまった人ひとが、幼おさないころ、親おやから「このあたりは全部ぜんぶうちの山やまだ」と言いわれていたものの、実際じっさいのところ、どこが相続そうぞく財産ざいさんなのかがまったくわからず、非常ひじょうに困こまったという例れいもありました。また、山林さんりんは、調しらべてみたら「何なん代だいも前まえの先祖せんぞの名義めいぎのままだった」ということや、「何なん十じゅう人にんもの人ひととの共有きょうゆうになっていた」ということもありがちです。

山林さんりんの相続そうぞくにはこれら以外いがいの多おおくの問題もんだいもありますので、以下いかでは、山林さんりんの相続そうぞくについて説明せつめいしていきます。

2. 山林さんりんを相続そうぞくするメリットとデメリット

まずは、山林さんりんを相続そうぞくするメリットとデメリットについて説明せつめいしましょう。

2-1. 山林さんりんを相続そうぞくするメリット｜収益しゅうえきを得えられる可能かのう性せい

山林さんりんも財産ざいさんですので、うまく活用かつようすれば有用ゆうような資産しさんとなります。

山林さんりんに木材もくざいとして価値かちのある樹木じゅもくが生はえていれば、これを売却ばいきゃくすることで利益りえきを得えることができます。

自分じぶんで樹木じゅもくを伐採ばっさいや管理かんりすることができなくても、これを行おこなってくれる業者ぎょうしゃもいますし、地元じもとの自治体じちたいや森林しんりん組合くみあいが主体しゅたいとなって、山林さんりんの管理かんりや樹木じゅもくの伐採ばっさいや売却ばいきゃくをしてくれることもあります。

投資とうしのリスクはありますが、近年きんねんは、山林さんりんに太陽光たいようこう発電はつでん設備せつびを設置せっちして売うれ電でん事業じぎょうをするという事例じれいも見みられるようになりました。

このような利用りようができれば、山林さんりんを相続そうぞくすることにもメリットがあると言いえるでしょう。

2-2. 山林さんりんを相続そうぞくするデメリット｜管理かんり負担ふたんが重おもい

同時どうじに、山林さんりんを相続そうぞくすると、生はえている樹林じゅりんを管理かんりしなければなりませんし、がけ崩くずれなどが起おきないように防止ぼうし策さくをとる必要ひつようもあります。

山林さんりんが多おおくの人ひとによって共有きょうゆうされているという場合ばあいもありますから、そのようなケースでは所有しょゆう者しゃが単独たんどくで管理かんりをすることができない事項じこうもでてきます。

このような管理かんりの負担ふたんを考かんがえると、多少たしょうの利益りえきを生うみ出だすことができたとしても、経済けいざい的てきな負担ふたんのほうが大おおきく、事業じぎょうを収益しゅうえき化かすることも難むずかしい場合ばあいも多おおいでしょう。

土地とちとしての価値かちがあることが明あきらかな土地とちとは違ちがって、山林さんりんは相続そうぞく手続てつづきがなされないままということも多おおいですから、その手続てつづきには非常ひじょうに手間てまや多額たがくの費用ひようがかかるということも少すくなくありません。

3. 山林さんりんを相続そうぞくする際さいの手続てつづき

山林さんりんを相続そうぞくする際さいの手続てつづきを説明せつめいします。通常つうじょうの不動産ふどうさんの登記とうき手続てつづきに加くわえて、市町村しちょうそん長ちょうへの届出とどけでも必要ひつようなことに注意ちゅういしましょう。

3-1. 相続そうぞく登記とうきの申請しんせい

被ひ相続そうぞく人じん（以下いか「亡なくなった人ひと」）から山林さんりんを相続そうぞくしたことを第三者だいさんしゃに主張しゅちょうするためには、相続そうぞく登記とうきをしておく必要ひつようがあります。

この相続そうぞく登記とうきというのは、不動産ふどうさんの所有しょゆう者しゃとして登記とうきされている名義めいぎ人じんを、相続そうぞくによって取得しゅとくした人ひとに変更へんこうする手続てつづきを言いいます。この手続てつづきでは、対象たいしょうとなる山林さんりんの所在地しょざいちを管轄かんかつする法務局ほうむきょくで申請しんせいをする必要ひつようがあります。

不動産ふどうさん登記とうき法ほうが改正かいせいされたため、相続そうぞく登記とうきは2024年ねん（令れい和わ6年ねん）4月がつ1日にち以降いこう、相続そうぞくによって所有しょゆう権けんを取得しゅとくしたことを知しった日ひから3年ねん以内いないにすることが義務ぎむづけられるようになり、正当せいとうな理由りゆうなく手続てつづきをしない場合ばあいには過料かりょうが科かされてしまうことになりましたので、注意ちゅういしましょう。

申請しんせいに必要ひつような書類しょるいは個々ここのケースで異ことなりますが、主おもなものは下記かきのとおりです。

• 亡なくなった人ひとから相続そうぞくしたことがわかる書類しょるい
• 亡なくなった人ひとが登記とうき名義めいぎ人じんだったことがわかる書類しょるい
• 取得しゅとく者しゃの住所じゅうしょがわかる書類しょるい

以下いかではそれぞれの注意ちゅうい点てんなどを解説かいせつします。

【亡なくなった人ひとから相続そうぞくしたことがわかる書類しょるい】
亡なくなった人ひとが生前せいぜん、山林さんりんを相続そうぞくする相続そうぞく人じんなどを決きめていれば、遺言ゆいごん書しょが必要ひつようです。

遺言ゆいごん書しょがなければ、相続そうぞく人じん全員ぜんいんによって作成さくせいされた遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ書しょが必要ひつようになる場合ばあいがあります。遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ書しょは、実印じついんによって押印おういんされている必要ひつようがあり、相続そうぞく人じん全員ぜんいんの印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい書しょを添付てんぷしなければなりません。

さらに、亡なくなった人ひとの相続そうぞく関係かんけいを確定かくていするための書類しょるい、具体ぐたい的てきには、亡なくなった人ひとの出生しゅっしょうから死亡しぼうまでの戸籍こせきや、相続そうぞく人じんそれぞれの現在げんざいの戸籍こせきなどが必要ひつようになります。

【亡なくなった人ひとが登記とうき名義めいぎ人じんだったことがわかる書類しょるい】
亡なくなった人ひとの住民じゅうみん票ひょう除じょ票ひょうや戸籍こせきの附ふ票ひょうなど、その人ひとが登記とうき名義めいぎ人じんだったことがわかる書類しょるいが必要ひつようです。これらの書類しょるいがあれば、いわゆる権利けんり証しょうや登記とうき識別しきべつ情報じょうほうは必かならずしも必要ひつようありません。

一方いっぽう、これらの書類しょるいが取得しゅとくできない場合ばあいや、取得しゅとくできても住所じゅうしょが異ことなる場合ばあいには、別途べっとの書類しょるいが必要ひつようになります。

【取得しゅとく者しゃの住所じゅうしょがわかる書類しょるい】
不動産ふどうさん登記とうきには新あらたな所有しょゆう者しゃの住所じゅうしょも登記とうきされますので、不動産ふどうさんを取得しゅとくすることになった相続そうぞく人じんの住民じゅうみん票ひょうの写うつしなどの書類しょるいが必要ひつようになります。

3-2. 市町村しちょうそん長ちょうへの届出とどけで

山林さんりんの相続そうぞく手続てつづきで見落みおとされがちなのは、市町村しちょうそん長ちょうへの届出とどけでです。

森林しんりん法ほうでは、2012年ねん（平成へいせい24年ねん）4月がつ1日にち以降いこう、山林さんりんの所有しょゆう者しゃとなったときは、所有しょゆう者しゃとなった日ひから90日にち以内いないに市町村しちょうそん長ちょうに届とどけ出でることが義務ぎむづけられており、違反いはんには過料かりょうの制裁せいさいもあります。

対象たいしょうとなるのは、都道府県とどうふけんが地域ちいき森林しんりん計画けいかくの対象たいしょうとしている森林しんりんですので、都道府県とどうふけんか市町村しちょうそんの林はやし務つとむ担当たんとう部局ぶきょくに対象たいしょうかどうかを確認かくにんし、対象たいしょうではあればしっかりと手続てつづきをしなければなりません。

届出とどけで書しょのサンプルは、以下いかのとおりです。なお、森林しんりんの土地とちの所有しょゆう者しゃ届とどけ書しょ様式ようしきは林野庁りんやちょうによる「森林しんりんの土地とちの所有しょゆう者しゃ届出とどけで制度せいど」のページで入手にゅうしゅできます。

4. 山林さんりんの登記とうきに関かんする諸しょ問題もんだい

ここでは、山林さんりんを登記とうきする場合ばあいに関かかわるいくつかの問題もんだいについて説明せつめいします。

4-1. 境界きょうかいや位置いちが不ふ明確めいかくな場合ばあいが多おおい

山林さんりんは、隣地りんちとの境界きょうかいがはっきりしない場合ばあいが多おおく、災害さいがいやがけ崩くずれなどで形状けいじょうが変かわってしまっていることもあります。

正確せいかくな測量そくりょうがされていないため、実際じっさいの土地とちの位置いちや形状けいじょう、広ひろさ、隣地りんちとの位置いち関係かんけいが、公おおやけ図ずとは異ことなっていることもあります。

このような場合ばあいであっても、相続そうぞく登記とうきをすること自体じたいはできるのですが、売買ばいばいなどによって処分しょぶんしようというときは、測量そくりょうや境界きょうかいの確定かくていを求もとめられてしまう場合ばあいがあります。

4-2. 未み登記とうきのケースもある

山林さんりんは、価値かちのある宅地たくちなどとは違ちがい、亡なくなった人ひとの名義めいぎのまま登記とうき手続てつづきがされていないことも多おおくあります。

未み登記とうきのままになっているのには、そもそも遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎがされていなかったり、遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎがされていても登記とうき手続てつづきがなされていなかったりするからという事情じじょうがありますが、調しらべてみると何なん代だいも前まえの先祖せんぞの名義めいぎのままだったということもしばしばあります。

注意ちゅういしなければならないのは、上述じょうじゅつのとおり、2024年ねん（令れい和わ6年ねん）4月がつからは、相続そうぞく登記とうきをすることが法的ほうてきな義務ぎむとなることです。

「自己じこのために相続そうぞく開始かいしがあったことを知しり、かつ、相続そうぞくによって所有しょゆう権けんを取得しゅとくしたことを知しった日ひ」から3年ねん以内いないに手続てつづきをする必要ひつようがありますが、遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎが成立せいりつしていなくても、相続そうぞく登記とうきはしなければならないことにも注意ちゅういが必要ひつようです。

土地とちの名義めいぎ人じんの相続そうぞく人じんが非常ひじょうに多おおい場合ばあい、相続そうぞくや遺贈いぞう（死因しいん贈与ぞうよを含ふくむ）で財産ざいさんを取得しゅとくした義務ぎむ者しゃが戸籍こせきを取得しゅとくして相続そうぞく人じんをすべて調査ちょうさし、法定ほうてい相続そうぞくに従したがった登記とうきをすることは過大かだいな負担ふたんとなってしまうおそれがあります。そのため、このような場合ばあいには、「相続そうぞく人じん申告しんこく登記とうき」という方法ほうほうをとることで、この義務ぎむを果はたすことができるようになっています。

ただし、いつまでも亡なくなった人ひとの名義めいぎのままにしておくことは、関係かんけい者しゃにさらなる相続そうぞくが発生はっせいすることで、より権利けんり関係かんけいが複雑ふくざつになってしまうおそれがありますので、お勧すすめできません。なるべく早はやめに対処たいしょをするほうが望のぞましいとは言いえるでしょう。

5. 相続そうぞくした山林さんりんの相続そうぞく税ぜい評価ひょうか額がく

山林さんりんの相続そうぞく税ぜい評価ひょうか額がくを計算けいさんする場合ばあい、その山林さんりんが純じゅん山林さんりん、中間なかま山林さんりん、市街地しがいち山林さんりんのいずれに該当がいとうするかを調しらべます。純じゅん山林さんりんとは市街地しがいちから遠とおく離はなれた場所ばしょにある山林さんりんのことをいい、市街地しがいち山林さんりんは市街地しがいちにある山林さんりんを指さします。また、中間なかま山林さんりんは、その中間ちゅうかんの山林さんりんのことです。

純じゅん山林さんりんと中間なかま山林さんりんについては、その山林さんりんの固定こてい資産しさん税ぜい評価ひょうか額がくに国くにが定さだめる倍率ばいりつをかけて評価ひょうかする倍率ばいりつ方式ほうしきによって、評価ひょうかします。

市街地しがいち山林さんりんについては、比ひ準じゅん方式ほうしきか倍率ばいりつ方式ほうしきによることになります。

この場合ばあいの比ひ準じゅん方式ほうしきとは、市街地しがいち山林さんりんが宅地たくちであるとした場合ばあいの1㎡あたりの価額かがくから、山林さんりんを宅地たくちに転用てんようするとした場合ばあいの1㎡あたりの造成ぞうせい費用ひようを控除こうじょした価額かがくに、山林さんりんの面積めんせきを乗じょうじて計算けいさんするという評価ひょうか方式ほうしきです。

「市街地しがいち山林さんりんが宅地たくちであるとした場合ばあいの1㎡あたりの価額かがく」は、比ひ準じゅん宅地たくち（付近ふきんにある宅地たくち）について路線ろせん価かまたは倍率ばいりつ方式ほうしきによって評価ひょうかした1㎡あたりの価額かがくに、それぞれの較差かくさ割合わりあいを乗じょうじることによって計算けいさんします。

市街地しがいち山林さんりんが「宅地たくちへの転用てんようが見込みこめないと認みとめられる場合ばあい」には、近隣きんりんの純じゅん山林さんりんの評価ひょうか額がくを参考さんこうにして設定せっていした価額かがくをもとに評価ひょうかすることになります。山林さんりんが賃借ちんしゃく権けんや地上ちじょう権けんなどの目的もくてきになっている場合ばあいには、これによる評価ひょうか額がくの調整ちょうせいも必要ひつようになります。

山林さんりん上じょうが森林しんりんになっている場合ばあいには、その森林しんりんも立木たちきとして評価ひょうかする必要ひつようがあります。評価ひょうかの仕方しかたは、スギやヒノキなどの樹き種しゅなどによって異ことなりますから、森林しんりん簿ぼや保安ほあん林りん台帳だいちょうを入手にゅうしゅして森林しんりんの内容ないようを把握はあくし、評価ひょうかする必要ひつようがあります。

6. 山林さんりんを相続そうぞくしたくない場合ばあいの対処たいしょ法ほう

山林さんりんを相続そうぞくすることは、相続そうぞくする人ひとにとっては大おおきな負担ふたんとなることもあります。山林さんりんを相続そうぞくしたくない場合ばあいの対処たいしょ法ほうは主おもに以下いかの2つが挙あげられます。

• ほかの相続そうぞく人じんに相続そうぞくさせる
• 相続そうぞく放棄ほうきをする

6-1. ほかの相続そうぞく人じんに相続そうぞくさせる

山林さんりんを取得しゅとくしたくない場合ばあい、相続そうぞく人じんが複数ふくすういれば、ほかの相続そうぞく人じんに相続そうぞくしてもらえないかどうか話はなし合あいましょう。

ただし、ほかの相続そうぞく人じんにとっても相続そうぞくしたくない場合ばあいがあるでしょうから、そのような場合ばあいには、「負まけの財産ざいさん」として扱あつかい、ほかの相続そうぞく財産ざいさんの取得しゅとく内容ないようを調整ちょうせいするなどして、交渉こうしょうしていくことになります。

6-2. 相続そうぞく放棄ほうきをする

相続そうぞく放棄ほうきをすれば、相続そうぞく人じんではなくなりますので、山林さんりんを取得しゅとくせずに済すみます。相続そうぞく放棄ほうきは、ほかの相続そうぞく人じんの同意どういも必要ひつようありませんので、自分じぶんのみの判断はんだんですることができます。

ただし、この場合ばあいには、ほかの財産ざいさんも取得しゅとくできなくなってしまいますので、どちらの選択せんたくが良よいかについて、しっかりと検討けんとうする必要ひつようがあります。

相続そうぞく放棄ほうきをするためには、原則げんそくとして、自分じぶんが相続そうぞく人じんとなったことを知しった日ひから3カ月かげつ以内いないに、家庭かてい裁判所さいばんしょに申述もうしのべを申もうし立たてる必要ひつようがありますので、ご注意ちゅういください。

2023年ねん（令れい和わ5年ねん）4月がつ以前いぜんは、相続そうぞく人じんは、相続そうぞく放棄ほうきをした場合ばあいにも、ほかの相続そうぞく人じんが相続そうぞく財産ざいさんを管理かんりできるようになるまで、管理かんりしなければならないとされていました。

しかし、民法みんぽうの改正かいせいによって、2023年ねん4月がつ以降いこうは、相続そうぞく放棄ほうきをした人ひとが、その財産ざいさんを現げんに占有せんゆうしていない限かぎり、このような義務ぎむを負おうことはないとされました。そのため、相続そうぞく放棄ほうきの手続てつづきをすれば、相続そうぞく財産ざいさんの管理かんり義務ぎむに関かんする一切いっさいの義務ぎむを負おうことがないことが明文化めいぶんかされました。

ただし、その相続そうぞく財産ざいさんを現げんに占有せんゆうしている場合ばあいには、ほかの相続そうぞく人じんや相続そうぞく財産ざいさん清算せいさん人じんに引ひき渡わたすまで、自己じこの財産ざいさんにおけるのと同一どういつの注意ちゅういをもって保存ほぞんする義務ぎむを負おいますので留意りゅういしてください。

7. いらない山林さんりんを相続そうぞくしてしまったあとの対処たいしょ法ほう

亡なくなった人ひとが所有しょゆうしていたいらない山林さんりんを相続そうぞくしてしまったあとの対処たいしょ法ほうは以下いかの3つであり、それぞれのポイントについて説明せつめいしていきます。

• 相続そうぞく土地とち国庫こっこ帰属きぞく制度せいどを利用りようする
• 売却ばいきゃくや寄付きふをする
• 買取かいとり業者ぎょうしゃに買かい取とってもらう

7-1. 相続そうぞく土地とち国庫こっこ帰属きぞく制度せいどを利用りようする

一定いっていの要件ようけんを満みたした場合ばあいに土地とちを国庫こっこに帰属きぞくさせることができる相続そうぞく土地とち国庫こっこ帰属きぞく制度せいどを利用りようすれば、必要ひつようのない山林さんりんを国くにに引ひき取とってもらうことができます。

この制度せいどを利用りようすれば、相続そうぞく放棄ほうきをしなくても、必要ひつような財産ざいさんだけを相続そうぞくし、必要ひつようのない財産ざいさんを国くにに引ひき取とってもらうことができるようになります。

ただし、すべての山林さんりんでこの制度せいどが利用りようできるわけではなく、建物たてものがあったり、境界きょうかいが不ふ明確めいかくであったりする土地とちなどあれば対象たいしょうになりませんし、がけ地ちなどの管理かんりや処分しょぶんに過分かぶんの費用ひようがかかるような土地とちは対象たいしょうにならない可能かのう性せいがあります。さらに、土地とちの種目しゅもくごとに定さだめられた負担ふたん金きんも納おさめる必要ひつようがあり、この負担ふたん金きんは、「その管理かんりに要ようする十じゅう年ねん分ぶんの標準ひょうじゅん的てきな費用ひようの額がくを考慮こうりょして政令せいれいで定さだめる」とされています。

森林しんりんについては、面積めんせきに応おうじて負担ふたん金きんを算定さんていする方式ほうしきが定さだめられていて、これによって計算けいさんされた金額きんがくの負担ふたんをする必要ひつようもあります。

7-2. 売却ばいきゃくや寄付きふをする

山林さんりんを第三者だいさんしゃに売却ばいきゃくするという方法ほうほうが考かんがえられますが、利用りよう価値かちの乏とぼしい山林さんりんを買かい取とってくれる相手あいてを見みつけるのは難むずかしいと言いえます。

そのため、無償むしょうで引ひき取とってもらうことも視野しやに入いれる必要ひつようがありますが、まずは地元じもとの住民じゅうみんやほかの共有きょうゆう者しゃなどにあたることになるでしょう。

引ひき取とってくれる相手あいてが見みつからない場合ばあいは、無償むしょうで引ひき取とる物件ぶっけんについてのマッチングサイトもありますので、それを利用りようしてみることも一ひとつの方法ほうほうです。自治体じちたいや森林しんりん協会きょうかいに寄附きふするという手段しゅだんもありますが、利用りよう価値かちがないのであれば、これらの団体だんたいが引ひき取とってくれることはあまり期待きたいできない点てんは認識にんしきしておく必要ひつようがあります。

7-3. 買取かいとり業者ぎょうしゃに買かい取とってもらう

山林さんりんがどうしても処分しょぶんできない場合ばあいには、費用ひようを支払しはらって、買取かいとり業者ぎょうしゃに買かい取とってもらうという方法ほうほうもあります。

ただし、その費用ひようはある程度ていどの額がくになってしまうことや、このような業者ぎょうしゃであっても買取かいとりの対象たいしょうとできない山林さんりんもあることにも注意ちゅういしましょう。

8. いらない山林さんりんの相続そうぞくでよくある質問しつもん

相続そうぞく財産ざいさんにいらない山林さんりんが含ふくまれている場合ばあいに、よくある質問しつもんと回答かいとうをまとめました。

9. まとめ

以上いじょうのとおり、山林さんりんの相続そうぞくについて説明せつめいしてきました。

相続そうぞく財産ざいさんに山林さんりんが含ふくまれている場合ばあいには、山林さんりんを相続そうぞくするには問題もんだいもありますので、場合ばあいによっては、そもそも相続そうぞくをするのかどうかというところから慎重しんちょうに検討けんとうしていく必要ひつようがあります。

いらない山林さんりんを相続そうぞくすることになってしまった場合ばあいにも、その山林さんりんを処分しょぶんする方法ほうほうはあるものの、その方法ほうほうが利用りようできるかどうかがわからないという面めんと、利用りようができたとしても一定いっていの負担ふたんがあるという面めんにも注意ちゅういが必要ひつようです。

山林さんりんの相続そうぞくに関かんして判断はんだんに迷まよったときは、相続そうぞくに詳くわしい弁護士べんごしなど専門せんもん家かに相談そうだんするのがお勧すすめです。

（記事きじは2023年ねん6月がつ1日にち時点じてんの情報じょうほうに基もとづいています）

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