アニサキス･アレルギー､意外いがいに知しらないカラクリ ｢アニサキス症しょうとは別物べつもの｣､発作ほっさ抑おさえる魚さかなの選えらび方かた

さば（右上みぎうえ）、かつお（左上ひだりうえ）、にしん（右みぎ下か）、さんま（左下ひだりした）などがアニサキス・アレルギーの人ひとには要注意ようちゅういの魚さかなだ（写真しゃしん：なべすん、youji、kikisoraisido、midori_chan／PIXTA）

刺身さしみや寿司すしなどを食たべたとき、魚さかなの身みの中なかにいた寄生虫きせいちゅうのアニサキスが、生いきたまま人間にんげんの胃いの中なかに入はいり込こんで内側うちがわから胃壁いへきにかみつき、激痛げきつうに見舞みまわれる。新聞しんぶんや雑誌ざっしの報道ほうどうで今いまやすっかり有名ゆうめいになった「アニサキス症しょう」と呼よばれる症状しょうじょうで、病院びょういんに行いって内視鏡ないしきょうで除去じょきょしてもらう人ひとが大勢おおぜいいる。アニサキスによる食中毒しょくちゅうどくである。

これにぶつかった経験けいけんはないが、同おなじアニサキスが原因げんいんの「アニサキス・アレルギー」というやつにやられて、過去かこに約やく9年間ねんかん、苦労くろうしたことがある。

魚さかなを食たべた後のち、私わたしの体からだに起おきた大だい異変いへん

三方さんぽうが海うみの高知こうち県けんの生うまれで、子供こどものころから無類むるいの魚さかな好すきだった。かつお、さば、ぶりなど、魚さかなばかり食くってきた。ところが、今いまから18年ねん前まえの2004年ねん9月がつ、さばを食たべて、1～2時じ間あいだ後ごに体からだ中ちゅうに赤あかいぶつぶつが出でた。その後ごも2～3カ月かげつに1度ど、魚さかなを食たべて、同おなじことが起おきた。さらに翌よく2005年ねん7月がつ、夕食ゆうしょくのひらめの刺身さしみで大だい異変いへんに遭遇そうぐうした。

食たべ終おわって3時じ間あいだ後ご、体からだ中ちゅう、あっちもこっちも猛烈もうれつにかゆくなる。血ちの中なかがかゆいという感かんじで、ぼりぼりかきむしった。赤あかみを帯おびた湿疹しっしんが、5ミリの厚あつさの赤あかい皮かわをかぶったようにはれ上あがり、くっつき合あって、腹はらも背中せなかも手足てあしも世界せかい地図ちずみたいになった。

腹痛はらいたと吐はき気けもすごかった。息苦いきぐるしくなり、ベッドの上うえでのたうち回まわった。「下しも唇くちびるが膨ふくれ上あがり、2センチくらい突つき出でている。あんこうか、おにおこぜみたい」と女房にょうぼうが言いう。「救急きゅうきゅう車しゃ、呼よぼうか」という話はなしになったが、その晩ばんは何なにとか収おさまった。

放はなっておけないと思おもい、都内とないの大おおきな病院びょういんのアレルギー科かを訪たずねた。血液けつえき検査けんさの結果けっか、1項目こうもくだけ異常いじょうに高たかい数値すうちが出でていて、一発いっぱつでアニサキス・アレルギーと診断しんだんされた。

アニサキスは海うみの魚さかなの寄生虫きせいちゅうで、魚さかなの中なかに残のこったアニサキスの成分せいぶんを摂取せっしゅし過すぎたため、体内たいないに蓄積ちくせきされたアニサキスのアレルギー源げんが許容きょよう量りょうを超こえ、さらに摂取せっしゅしたときに反応はんのうして発作ほっさを引ひき起おこす。呼吸こきゅうが苦くるしくなったり、急激きゅうげきに血圧けつあつが低下ていかしたりするなどのアナフィラキシー・ショック（アレルゲン摂取せっしゅ後ごに表あらわれる呼吸こきゅう困難こんなんや意識いしき障害しょうがい）に襲おそわれることも、というのが医師いしの説明せつめいだった。