｢ビデオゲーム｣には現代げんだい社会しゃかいの論点ろんてんが映うつり込こむ 『フェミニスト､ゲームやってる』書評しょひょう

フェミニスト、ゲームやってる（近藤こんどう銀河ぎんが 著ちょ／晶文社しょうぶんしゃ／1980円えん／320ページ）

［著者ちょしゃプロフィル］近藤こんどう銀河ぎんが（こんどう・ぎんが）／アーティスト、美術びじゅつ史家しか、ライター。1992年ねん生うまれ。中学生ちゅうがくせいの頃ころにME／CFSという病気びょうきを発症はっしょう、以降いこう車くるまいすで生活せいかつ。2023年ねんから東京芸術大学とうきょうげいじゅつだいがく博士はかせ課程かてい在籍ざいせき。主おもに「女性じょせい同性愛どうせいあいと美術びじゅつの関係かんけい」を研究けんきゅうし、ゲームエンジンやCGを用もちいた作品さくひんを発表はっぴょうする。

子こどもの頃ころ、任天堂にんてんどうのファミコンで『スーパーマリオブラザーズ』を初はじめて遊あそんだとき、ここには小説しょうせつや漫画まんがや映画えいがとは違ちがう新あたらしい世界せかいがあると思おもった。ビデオゲーム（以下いか、ゲーム）は一言ひとことでいえば体験たいけんの芸術げいじゅつであり、遊あそんだ人ひとを独自どくじの世界せかいに没入ぼつにゅうさせる力ちからに長たけた娯楽ごらくだ。

ゲームは現代げんだい日本にっぽん文化ぶんかの屋台骨やたいぼねの1つとなり、今いまでは世界中せかいじゅうにゲーム文化ぶんかが広ひろがっている。そして、体験たいけんの設計せっけいに優すぐれたゲームは、マイノリティーを含ふくめ、世界せかいのあらゆる人々ひとびとにとっての多様たような表現ひょうげんの手段しゅだんとなっている。

遊あそびながら多角たかく的てきに評価ひょうか

本書ほんしょは、美術びじゅつ史し研究けんきゅう者しゃでありアーティストである著者ちょしゃが、多おおくのゲームを遊あそびながら綴つづり（つづ）ったゲーム評ひょうである。フェミニストかつパンセクシュアル（性愛せいあいの対象たいしょうを限定げんていしない人ひと）で、障害しょうがい者しゃでもある著者ちょしゃは、現代げんだいの国内外こくないがいのゲームに含ふくまれるさまざまな要素ようそを自身じしんの視点してんで読よみ解といていく。