フワちゃんを社会しゃかい的てきに抹殺まっさつした我々われわれの逆鱗げきりんの正体しょうたい 信用しんよう経済けいざいならぬ｢不信ふしん経済けいざい｣はいかに形成けいせいされたか

（画像がぞう左ひだり：本人ほんにんの公式こうしきXより・画像がぞう右みぎ：Michael Reaves／Getty Images Sport）

フワちゃんのSNSへの不適切ふてきせつ投稿とうこうが波紋はもんを呼よんだが、ここには信用しんよう経済けいざいの対極たいきょくにある “不信ふしん”経済けいざいとも呼よべるような作用さようが働はたらいている。

感情かんじょう的てきな負債ふさいが蓄積ちくせきして爆発ばくはつしたようなものであり、いわゆる世間せけんとのずれを売うりにするキャラクターがかえって裏目うらめに出でた面めんがある。人々ひとびとは関心かんしんや興味きょうみのある事物じぶつをただ漫然まんぜんと消費しょうひしているのではなく、無意識むいしきに“格付かくづけ”しているようなところがあるのだ。

その“格付かくづけ”の判断はんだん基準きじゅんになるのが「世間せけん」というモノサシなのである。これが信用しんようと不信ふしんのポテンシャルに多大ただいな影響えいきょうを与あたえている。

「世間せけん」の逆鱗げきりんに触ふれると“抹殺まっさつ”されかねない

「世間せけん」が共有きょうゆうする暗黙あんもくの了解りょうかいへの挑戦ちょうせんが「笑わらい」の要素ようそになっていると、なおさら炎上えんじょうした際さいに激はげしい怒いかりを呼よび起おこしやすい。

ここで重要じゅうようなのは、歴史れきし学者がくしゃの阿部あべ謹也きんやが世間せけんとは、「『非ひ言語げんご系けいの知ち』の集積しゅうせき」であるとして、対象たいしょう化かすることが急務きゅうむだと述のべていたことだ（『「世間せけん」とは何なにか』講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ）。つまり、「世間せけん」の逆鱗げきりんに触ふれると、法的ほうてきな制裁せいさいどころではない社会しゃかい的てきな制裁せいさいが発動はつどうして、“抹殺まっさつ”されかねないからである。

このような事態じたいが発生はっせいする社会しゃかい的てきな背景はいけいは、パリ五輪ごりんで問題もんだい化かした選手せんしゅに対たいするバッシングにも関かかわってくる非常ひじょうに厄介やっかいな性質せいしつを持もっている。