SteamとEpic Games Storeでアーリーアクセス
版が
配信中の
「Hades II」は,2020
年に
登場したインディーゲームの
名作「Hades」の
続編となるアクションゲームだ。
2024
年5
月7
日に
配信が
始まり,
大きな
話題となったことでご
存じのゲームファンは
多いだろう。Supergiant Gamesにとって
初の
続編展開となる「Hades II」は,Steamでは
配信から2
日ほどで
1万5000件を超えるユーザーレビューが
寄せられ,
「圧倒的に好評」のステータスを
獲得している(2024
年5
月9
日15:00
時点)。
そんな“
話題作”と
呼ぶにふさわしいスタートダッシュっぷりを
見せている
本作だが,
実際どのようなゲームになっているのか。さっそくアーリーアクセス
版をプレイして
確かめたので,1
作目を
踏まえつつ
なにが変わり,どこがパワーアップしているのかを
伝えていこう。
そもそもHadesってどういうゲームだった?
まず
最初に,そもそも「Hades」とはどういうゲームなのか,1
作目を
通して
説明しておこう。
「Hades」は,ギリシャ
神話を
題材としたクォータービューのローグライクアクションゲームだ。
主人公は,
冥界の
神ハデスの
息子ザグレウス。
不死の
力を
備えたザグレウスは,
何度も
死んではもといた
場所に
戻りながらも,とある
理由で
地上を
目指して
冥界からの
脱出に
挑む。
そんなザグレウスの
物語のテーマは,
冥界からの
“家出”と
言っても
過言ではないだろう。
ザグレウスが
脱出を
図る
冥界は,
ランダム生成のダンジョンとして
表現されている。
ザグレウスは,
出発時に
近接武器の
剣,
槍,
盾,
拳,
遠隔武器の
弓,
電磁砲という6
種類の
武具から1つを
選択し,
挑戦するたびに
構造が
変わる
冥界のダンジョンを
進んでいく。
基本のアクションは
移動と
回避(ダッシュ),そして
攻撃のみ。
攻撃手段は
通常攻撃,
特殊攻撃,
回収型の
遠距離攻撃である
魔弾,ゲージを
溜めて
使用する
祈りの4
種類あるが,
複雑な
操作は
求められない。
ダンジョンはいくつもの
部屋があるかのようにエリアで
分かれており,エリアでの
戦闘が
終了すると
神々からの
祝福(功徳)や
素材などを
獲得でき,それによってザグレウスがパワーアップする。これらの
成長要素と
武具の
特性を
組み
合わせて,プレイヤーは
自分だけの
戦闘スタイルをカスタマイズするのだ。
死んでしまうとスタート
地点からやり
直しとなり,ダンジョンの
構成も
変化する。
迷宮で
得た
素材で“
自身の
能力を
永続的に
強化する”システムが
存在し,これによってゲームを
始めてすぐのときは
突破できなかった
難関も
超えられるようになる。
このように「Hades」は,
何度も死んではまたトライするという“死んで覚える”タイプのゲームだ。
HP
回復手段の
少なさや
被弾時のダメージの
高さ,そして
初見殺しの
多さゆえ,「
少しプレイすればクリアできるようなゲーム」ではない。ローグライクならではの
プレイヤー自身の知識と経験値がとても
重要かつ,ランダム
要素や
武具ごとの
戦闘スタイルの
違いもあり,リプレイ
性が
非常に
高い
作品だ。
一方,
基本はシンプルな
操作で,
死ぬたびに
能力が
強化される
ゴッドモードがあるなど,アクションが
苦手な
人やストーリー
重視でプレイしたい
人でも
楽しめるような
間口の
広さのある
設計にもなっている。
そういった,
素早くスムーズでありながら
状況に
応じた
戦略性が
求められる
戦闘を
気軽に,そして
深く
楽しめるアクションはもちろん,ギリシャ
神話を
元にしたストーリーやキャラクターデザイン,そして
美しいアートスタイルと
音楽も
高く
評価されている。
名作ローグライクアクションの続編は,なにが変わり,どこがパワーアップしたのか?
では,その
続編となる「Hades II」はというと,
基本的なゲームの流れは変わらず,
死を経験して強くなっていくシステムももちろん健在だ。
本作の
主人公は,
暗黒の
魔術を
操る
冥府の
王女メリノエ。
彼女もザグレウスと
同じく
不死の
力を
備えており,これまた
前作同様,
前置きなしでいきなり1
周目に
放り
込まれる。
チュートリアルなんてものは
存在しないし,「とりあえず,いっぺん
死んでこい!」という
感じで,このあたりもHadesらしい。
メリノエは前作主人公のザグレウスと比べると,礼儀が正しくていい子な印象
|
ストーリーは,オリュンポスを
戦火に
包んだ
因縁の
相手である
時の
巨神・クロノスを
討つというものだ。
不死の
力を
持つメリノエは,クロノスに
対抗するための
拠点である
辻の
郷の
代表として,その
大役を
任されることになる。
登場するキャラクターたちのほとんどがクロノスに
恨みを
持っており,メリノエはときに
励まされ,
助力を
得るという,
団結感のあるストーリーになっている。
前作のキャラクターが
一部登場したり,
前作とのつながりを
感じさせられたりする
要素はあるが,
ストーリーは単体でも楽しめるものとなっているので,
続編とはいえいきなり
本作から
始めても
問題なさそう。
と
言っても「
知ってるキャラが
出て
嬉しい!」みたいな
楽しさはあるので,
本作で
初めてHADESに
触れる
人は,これを
機に1
作目もプレイしてみるといいだろう。
こちらはストーリー中の回想シーンで登場する幼少期のメリノエ。これが無邪気でめちゃくちゃかわいいっ
|
武具を
選んで
迷宮に
潜り,
道中で
敵と
戦い,メリノエを
強化しながら
奥へと
進む。
死んだら
持ち
帰った
素材でメリノエを
強化。そしてまた
武具を
選んで
迷宮へと
旅立つ……このとおり,
基本的なゲームの
流れは
変わらないのは
先ほどお
伝えしたとおり。
一方で
戦闘システムは
大きく
変化している。
前作にはない
要素として,
マナというリソースが
追加された。
マナはエリア
移動をするたびに
回復する
仕様で,
後述する
チャージ攻撃を
使うときなどに
消費される。
初期状態では
自然回復しないが,マナに
関連するパワーアップなどを
行うことで
回復が
可能となる。
そして
魔弾はなくなり,
代わりに
魔陣という
魔法陣を
設置するアクションが
追加された。
魔陣は
範囲内の
敵を
足止めする
効果があり,またチャージすることでダメージを
与える
効果を
追加できる。
前作に比べて近接戦闘のリスクが高い敵がけっこう多い印象。それだけに「魔陣」は,それらの敵の対抗手段として重要なものとなりそうだ
|
マナを
消費するチャージ
攻撃は,
通常攻撃,
特殊攻撃,
魔陣のすべてに
存在する。
通常攻撃,
特殊攻撃の
挙動は
選んだ
武具によって
違うが,たとえば
初期武具である
魔女の杖では,
通常攻撃が
近距離攻撃だが,チャージすると
遠距離まで
届く
直線の
魔法攻撃になる。
前作のスピード
感あるバトルを
知る
人であれば,「チャージなんてしてるヒマなくない?」と
思うかもしれないが,
永続的な
強化要素である
魔札の1つに「チャージ
中は
自分以外の
動きが
遅くなる」という
効果がある。
これがかなりいい
調整になっており,
反射神経に
自信がない
筆者としては,チャージ
攻撃主体のビルドをすることで,
敵の
攻撃をじっくり
見ながら
対応でき,
前作にない
本作ならではの
楽しさを
感じられた。
チャージ中,敵の動きがスローモーションのようにゆっくりに……プレイしやすさはもちろん“強い技が発動する感”もあってカッコいい
|
もちろん,
前作同様にスピード
感ある
戦闘を
楽しめる
武具もある。
姉妹刃がその
代表で,ダガーとショーテルを
合わせた
双剣スタイルなのだが,チャージした
通常攻撃で
敵の
背後に
瞬間移動する
切りつけ
攻撃を
行う。
スピード
感ある
動きがスタイリッシュで
爽快かつ,
優れた
攻撃力を
持つものの
近距離戦ゆえのハイリスクさもあるというところもまたカッコいい。
前作の
祈りのような
必殺技にあたるものは,
降月術という
名の
新しい
技になった。
敵の
近くでマナを
消費したときにゲージが
溜まり,
最大になると
使用できるという,これまたマナが
関わっている。
初期状態では
使用することができず,
上向きの
三日月模様のエリアにいる
セレネから
教わることで
使えるようになる。
どれも
強力かつ
個性的な
効果を
持っているので,
強敵や
難関に
挑むときに
活用できるのはもちろん,
戦闘にアクセントを
加えてくれる
要素にもなっている
印象だ。
基本のアクションは
移動+ダッシュで
前作とほぼ
同じ
仕様だが,ダッシュボタンを
長押しすることで
疾走という
高速移動ができるようになった。
敵と
距離を
取りたいときに
便利であり,また
敵によっては
疾走を
使わないと
避けづらい
攻撃もあるので,
使用する
場面は
少なくないだろう。
前作のように
刻むようにダッシュを
繰り
返すプレイングに
加え,ダッシュに
疾走を
織り
交ぜた
動きも
戦略的に
重要となりそうだ。
ダンジョンには
ドレスという
新要素も
追加されている。
ドレスはその
周回のみ
有効となるアイテムで,
数値分のアーマーとバフを
獲得できるというものだ。アーマーは
追加HPとして
表示されるのだが,アーマーが
破壊(
数値がゼロ)されるとドレスのバフ
効果も
消滅する。
バフはないがアーマーの
数値がとても
高い,アーマーの
数値がとても
低い
代わりに
強力なバフ
効果をもつなど,“
顧客のニーズ”に
合わせた
豊富な
種類のドレスが
用意されているので,メリノエのパワーアップの
進め
方やプレイスタイルに
合わせて
着飾ってみよう。
ランダムに選ばれた3つから1つを選択できる。戦闘に自身がない人はアーマー効果が高いものやHP回復効果があるもの,マナを使った特殊な攻撃をよく使う人はマナの回復や効率化に関する効果のあるものに……といった感じで,なにを強化するかを考えてドレスを選ぼう
|
永続的にメリノエを
強化してくれる
要素の1つ,
魔札についてももう
少し
詳しく
説明したい。
魔札は
前作でいうところの
冥夜の
鏡に
当たる
強化要素で,
決められたコストの
中でデッキを
組むような
感覚でメリノエにさらなる
特性を
与えられる。
マナを
自然回復させるものや,
通常攻撃を
強化するものなど,こちらもまた
自分のプレイスタイルに
合ったカスタマイズができるという
楽しさがある。
装備品やアクセサリのようなアイテムでキャラクターを
強化する
賜物は,
前作とほぼ
同様の
仕様だ。
迷宮に
入る
前に1つを
選んで
装備するとその
効果が
得られ,NPCにネクタルを
贈ると
獲得できるというのも
変わらず。ただ,マナという
新しいリソースが
追加されたぶん,
効果は
多様化したように
感じられた。
賜物は使い続けるとランクアップし,効果が上昇していく
|
|
ダンジョン
探索の
新たな
要素が
採集だ。
これは
迷宮内で
鉱石の
採掘や
種を
採取をするというもので,それらの
素材を
拠点に
持ち
替えることで,
新たな
武具を
開放したり,
畑を
耕したりといったことができる。
素材は
主に
調合で
使用することになり,
調合を
進めていくことで
迷宮探索をサポートしてくれる
要素が
追加されていく。
前作のプレイヤーであれば,
宮大工のようなものと
伝えると
分かりやすいかもしれない。
鉱石を
掘りたいなら
三日月のつるはしを,
種を
集めるなら
銀の
鋤(すき)を,
釣りをするなら
釣り
竿を……といったように,
特定の
素材の
採集には
採集装備が
必要になる。
武具とは
別で1つ
装備できるので,
集めたい
素材を
考えて
選択しよう。
“Hadesらしさ”みたいなものはあまりないかもしれないが,ダンジョン探索の定番の要素という感じ。攻略に役立つことにつながるので,忘れず素材を集めよう
|
前作からかなりの進化。でもこれからさらに進化する!? HADES IIの今後のアップデートにも期待
あらためて
全体的な
感想を
伝えると,
前作の良い部分を踏襲しつつ,さらに戦略性が高くなったと
感じた。
魔陣による
敵の
足止め,マナの
管理,チャージ
攻撃追加による
攻撃の
多様化,ダッシュと
疾走の
使い
分けなど,
状況に応じてどう戦うかが前作以上に重要になった印象だ。
ローグライクにおけるリプレイ
性の
高さと,リアルタイムな
戦略性を
求められる
高難度アクションの
相性の
良さを
証明した
前作から,さらに
深みを
持たせて
正統進化を
遂げたといって
差し
支えないだろう。
当然,アートワークや
音楽についても
素晴らしい
出来で,
前作から
大きくパワーアップしていると
感じた。
とくにグラフィックスについては,Hades
特有の
世界観や
雰囲気を
崩さず,それでいて
細かなところまでしっかり
描かれており,ゲームの
没入感を
高めてくれている。
個性的で
魅力的なキャラクターデザインもしっかりと
確認できたし,ビジュアル
面でも
前作に
続く
名作として
後世に
名を
残すゲームになりそうだ。
個人的な推しキャラはカオスとネメシス。どちらも美しく,そしてカッコいい
|
|
さらに
言えば,
本作はまだアーリーアクセスが
始まったばかり。これから
正式リリースに
向けて,
我々プレイヤーの
声を
反映しながら
完成度を
高めていくとのことなので,
期待は
高まるばかりだ。
新たな
機能やキャラクターの
追加を
含む
大型アップデートも
予定されているということで,どのような
進化を
見せるかも
非常に
楽しみなところ。
プレイ
時間的にまだまだ
見られていないところもたくさんあるので,
今後のアップデートを
待ちつつ,
現在の
環境でもゲームをたっぷり
楽しみたいと
思う。
前作にハマった
人はもちろん,「
高難度のローグライクアクション」や「
死にゲー」というワードにピンときた
人,ギリシャ
神話モチーフの
物語や
個性的で
美しいビジュアルに
興味がわいた
人にもぜひプレイしてほしい。