掛かけ布ぬの雅之まさゆき「新しん外国がいこく人じんのゴメスがダメなら先発せんぱつ陣じんが崩くずれる」

　来らいシーズンに向むけての各かくチームの戦力せんりょく補強ほきょうも、いよいよ大詰おおづめとなってきました。阪神はんしんも韓国かんこくリーグから三星みつぼしライオンズの呉ご昇のぼる桓〈オ・スンファン〉、そしてメジャーからナショナルズのマウロ・ゴメスという外国がいこく人じん2人にんを獲得かくとくしました。

　これは、補強ほきょう課題かだいであった4番ばん候補こうほと抑おさえ投手とうしゅの獲得かくとくがかなった形かたち。金本かなもと知とも憲けん、藤川ふじかわ球児きゅうじというかつて阪神はんしんの柱はしらであった人材じんざいの穴埋あなうめに乗のり出だしたわけです。

　呉ご昇のぼる桓は韓国かんこくで通算つうさん277セーブをあげた、いわばNO1ストッパー。前ぜん評判ひょうばんも折おり紙付がみつきの投手とうしゅです。

　問題もんだいは、もう一方いっぽうのゴメスです。彼かれの実力じつりょくはまだまだ未知数みちすう。メジャー時代じだいの成績せいせきだけでは、日本にっぽんのプロ野球やきゅうに通用つうようするかどうかは正直しょうじきわかりません。加くわえて彼かれは外角がいかくへのボールの見極みきわめがあまりよくない。これは助すけっ人と外国がいこく人じんとしてはとても不安ふあんな要素ようそです。

　というのも、メジャーは日本にっぽんに比くらべ、外そとのストライクゾーンがボール1個こ分ぶん大おおきい。そのため、日本にっぽんに来きた外国がいこく人じん選手せんしゅがまず苦くるしむのが外角がいかくの対応たいおう。ゴメスもシーズンが始はじまると、その壁かべにぶつかってしまう可能かのう性せいは非常ひじょうに高たかいのです。

　ただ、その一方いっぽうで彼かれがバレンティンのようなホームラン打者だしゃに化ばける可能かのう性せいだって捨すてきれない。彼かれが本当ほんとうに阪神はんしんの4番ばんとなりうるのかどうか。これは、とにかくオープン戦せんでの彼かれの活躍かつやくぶりを見みてみるしかありません。

　ただ、私わたしがゴメス以上いじょうに心配しんぱいしているのは、先発せんぱつ陣じんの不在ふざいです。今こんシーズンは能見のうみ篤史あつし、スタンリッジ、メッセンジャー、藤浪ふじなみ晋すすむ太郎たろうという先発せんぱつ三さん本ほん柱ばしら＋αあるふぁというローテで、12球団きゅうだんでトップの防御ぼうぎょ率りつを叩たたき出だしました。しかしながらこの秋あき、柱はしらの一本いっぽんであったスタンリッジ、先発せんぱつへの再さい転向てんこうが期待きたいされていた久保くぼの退団たいだんが決きまり、阪神はんしんの投手とうしゅ力りょくは確実かくじつにダウンしてしまっています。

　当然とうぜん、来らいシーズンは能見のうみ、メッセンジャー、藤浪ふじなみに加くわえて秋山あきやま拓たく巳み、榎田えのきだ大樹だいきの2人ふたりが先発せんぱつローテを担になうしかありません。けれど、彼かれらは1年間ねんかんローテを守まもった経験けいけんはないわけですから、シーズン途中とちゅうにスタミナ切きれを起おこしやすい。そう考かんがえると、来らいシーズンに向むけて阪神はんしんは打撃だげきを中心ちゅうしんとしたチーム作づくりをするべきなのです。

　秋山あきやま、榎田えのきだの調子ちょうしを考慮こうりょすれば、1試合しあい平均へいきんとして最低さいてい3点てんをあげなければ勝かちにはつながらない。そこで重要じゅうようとなってくるのが、先さきほどあげたゴメスの実力じつりょくです。

　彼かれにはすでに球団きゅうだんも4番ばんの席せきを用意よういしていますし、彼かれが4番ばんに座すわることを予想よそうしているファンは少すくなくないでしょう。けれど、伝統でんとうある阪神はんしんの4番ばんがそう簡単かんたんに務つとまるわけではありません。広島ひろしまから移籍いせきしてきたばかりの金本かなもとも、いきなりの4番ばん抜擢ばってきに「いや、それは」と断ことわったほどの重責じゅうせきがのしかかるのです。

　だからこそ、ゴメスの成績せいせきしだいで先発せんぱつ陣じんに大おおきな影響えいきょうが出でてしまうのも確かくか。彼かれが点てんを稼かせげないようなことがあれば、先発せんぱつ陣じんが軒並のきなみ崩くずれてしまう危険きけん性せいもあるのです。幸さいわい、阪神はんしんには打撃だげき陣じんでは西岡にしおか剛つよし、鳥谷とりたに敬たかし、マートンといった脇役わきやくは豊富ほうふにいます。来らいシーズンの阪神はんしんの戦たたかいぶりは、このゴメスという4番ばんがしっかりと打順だじゅんにハマれるかどうかが鍵かぎになってくるでしょう。