「旅行の総合的満足度ランキング」で、全国順位が前年度の2位から9位に降下した沖縄。その理由のひとつに挙げられるのが、交通の不便さだ。沖縄の交通渋滞は三大都市圏を上回る、全国でも最悪レベルといわれており、それには県民の車依存が大きく関係している。
観光客の交通手段はモノレール、レンタカー、路線バスのみで、郊外や中部から北部に足を伸ばす場合はレンタカーかバスを利用するしかない。沖縄県内では那覇市や空港を発着点とした路線バスのほか、読谷や名護、北谷などから空港を往復するリムジンバスも運行している。
リムジンバスは主要ホテルを経由するため、観光で県内を回る場合は路線バスを利用するのが一般的である。しかし、
「路線バスは時間通りに来ることがほとんどない」
として次のように語るのは、県内に住む男性だ。
「沖縄のバスは15分や20分、遅れるのが当たり前です。なにしろバスレーンが那覇~浦添間のごく一部にしかなく、渋滞が起こるとバスも巻き込まれてしまうから。支払いに使えるのは『OKICA』という県内限定のICカードだけ。県内の人は持っていますが、旅行者は持っていないことが多いので、現金で払うしかありません。小銭を持っていない場合は両替しないといけないので、余計に時間がかかる。そんなやりとりを何十回もしていたら、さらに遅延しますよね」
渋滞が起こる理由は他にもあった。レンタカーを利用する観光客が、県内の道路や渋滞に慣れず、戸惑うからだ。先の男性が続ける。
「旅行者が特に面食らうのが、天候の急変です。沖縄では突然、雨が降ることが多い。すると霧がかかって何も見えなくなることがあります。県内の人は急な天候に対応できますが、旅行者は怖いと感じるのでしょう。天候が崩れた日には、女の子が乗っているレンタカーが国道沿いで止まっているのを見かけることもあります」
道路交通事情に加えて、旅行者も一因となってさらに悪化する渋滞。解消するにはそれ相応の施策が必要になる。(つづく)
(東堂遼)