岸田きしだ文雄ふみお「次つぎは『伝つたえる力ちから』が求もとめられる」まだ総裁そうさい選せんへ意欲いよくに自民党じみんとう閣僚かくりょう経験けいけん者しゃが「は？ 今いまさら？」

　アメリカのバイデン大統領だいとうりょうに対たいして、11月の大統領だいとうりょう選せんから撤退てったいするよう求もとめる動うごきが、身内みうちであるはずの民主みんしゅ党内とうないから噴出ふんしゅつしている。６月ろくがつ27日にちのテレビ討論とうろん会かいでの応対おうたいを見みる限かぎり、とてもあと４年間ねんかんも大統領だいとうりょうを務つとめるのは無理むりだと、リベラル派はの米べい紙しニューヨーク・タイムズからも酷評こくひょうされたことを受うけたものだが、日本にっぽんでも同おなじことが言いえる。９月くがつの自民党じみんとう総裁そうさい選せんで再選さいせんを目指めざす、岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうのことである。

　報道ほうどう各社かくしゃの６月がつの世論せろん調査ちょうさを見みてみると、「支持しじする」が前月ぜんげつ比ひで下さがった７社しゃのうち、NHKは21％、読売新聞よみうりしんぶんは23％と、政権せいけん発足ほっそく後ご最低さいてい、または最低さいていタイを記録きろくした。「支持しじしない」は毎日新聞まいにちしんぶんの77％をはじめ、時事通信じじつうしんを除のぞく７社しゃが60％を超こえた。

　にもかかわらず、バイデン大統領だいとうりょうと同様どうよう、岸田きしだ首相しゅしょう本人ほんにんは再選さいせんへの意欲いよくを持もっている。７月しちがつ５日にち発売はつばいの月刊げっかん誌し「Voice」のインタビューで、６月がつ29日にちに発足ほっそくから1000日にちを超こえた政権せいけん運営うんえいについて語かたった中なかで、これまでは「聞きく力ちから」や「決きめる力ちから」を意識いしきしてきたが、「次つぎの段階だんかいとして決きめたものを国民こくみんに『伝つたえる力ちから』が求もとめられている」と強調きょうちょうした。さらには「少すこしずつだが政治せいじ家かとして進化しんかしようと精進しょうじんしているところだ」とも述のべている。

　これを読よんだ自民党じみんとうのある閣僚かくりょう経験けいけん者しゃは、

「開ひらいた口くちがふさがらない。国民こくみんに伝つたえる力ちからは『次つぎの段階だんかい』ではなく、政権せいけん発足ほっそく当初とうしょから求もとめられているのに、岸田きしだ首相しゅしょうには説明せつめい不足ふそくが常つねにつきまとい、今いまさら『進化しんかしよう』と言いっても遅おそい」

　そう吐はき捨すてるように酷評こくひょうするのだ。

　焦点しょうてんはバイデン大統領だいとうりょうと同おなじく、誰だれが岸田きしだ首相しゅしょうに退陣たいじんに向むけた「鈴すず」をつけるか、だ。バイデン大統領だいとうりょうのジル夫人ふじんは、再選さいせんすべきと中央ちゅうおう突破とっぱ論ろんを唱となえているが「（撤退てったいを説得せっとくする）最後さいごの望のぞみはジル夫人ふじんだけだ」と言いわれている。岸田きしだ首相しゅしょうの場合ばあいも、裕子ゆうこ夫人ふじんが「現実げんじつを直視ちょくしして下ください」とアドバイスするしかないのかもしれない。

（田中たなか紘ひろし二に／政治せいじジャーナリスト）