モスクワ襲撃はISか ロシアが標的になる数々の理由とタイミング
モスクワ郊外のコンサート会場が3月22日に武装グループに襲撃されて140人以上が死亡した事件について、米欧では過激派組織「イスラム国」(IS)による犯行との見方が強まっています。ISとロシアの関係や事件の背景について、イスラム過激派の動向に詳しい中東調査会の高尾賢一郎研究主幹に聞きました。
――事件をめぐってはISが犯行声明を出しましたが、ロシア側は背後にウクライナや米欧がいるとの見解を変えていません。事件をどう見ますか。
ロシアによるウクライナ侵攻が続くなかでの事件ではありますが、ウクライナなどの関与はなく、犯行声明を出したISが計画して実行した事件の可能性が高いと見ています。ウクライナが国際的に孤立するISを使ってロシアを攻撃するというのは、欧米諸国の支持が得られません。同じくISと敵対する中東諸国との関係も悪化させることになり、ウクライナの立場を危うくします。完全に悪手です。
ロシア側がなぜウクライナの関与を主張するかといえば、両国は戦争状態にあり、そこでは情報戦も繰り広げられているからです。プーチン政権が戦争を有利に進めるため、モスクワで起きてしまった事件をウクライナ非難に利用して情報戦の材料にしようとしても不思議はありません。
欧米もロシアも「十字軍」
――ISにはロシアで事件を起こす理由があるのでしょうか。
ISは、かねて欧米と同様に…
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- 浪間新太
- 国際報道部
ロシア政治・外交、ウクライナ情勢、国際法