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　日本にっぽん三景さんけいの一ひとつ、天橋立あまのはしだて（京都きょうと府ふ宮津みやづ市し）を望のぞむ丘おかに、600本ほんを超こすオリーブの木々きぎが広ひろがっている。育そだてているのは、大阪おおさかから移住いじゅうした40代だいの夫婦ふうふ。荒あれ果はてた耕作こうさく放棄ほうき地ちを少すこしずつ開墾かいこんし、地元じもと住民じゅうみんとともに、絶景ぜっけいを見渡みわたせる憩いこいの場ばづくりをめざしている。

　天橋立あまのはしだて駅えきから車くるまで15分ふんほど。天橋立あまのはしだての見みえる山やますそにあるオリーブ園えん「MAEDA　OLIVE　FARM」に4月がつ13日にち、京都きょうと府ふの内外ないがいから35人にんの家族かぞく連づれが集あつまった。園えんを営いとなむ前田まえだ純じゅんさん（44）、直子なおこさん（42）夫妻ふさいが初はじめて開ひらく植樹しょくじゅの体験たいけん会かいだ。土どを丁寧ていねいに掘ほり起おこし、腰こしほどの高たかさの苗なえ14本ほんを次々つぎつぎに植うえていった。「2人ふたりで開墾かいこんしたの？」と尋たずねられると笑顔えがおで応こたえていた。

　純じゅんさんは大阪おおさか府ふ枚方ひらかた市しの電気でんき通信つうしん工事こうじ会社かいしゃで約やく20年ねん働はたらいた。朝あさ4時半じはんに家いえを出でて、帰かえりは夜よる8時じ。幼おさない子こども2人にんの寝顔ねがおしか見みられない生活せいかつに疲つかれ、4年ねん前まえ、直子なおこさんの祖父そふの家いえがある宮津みやづ市し府中ふちゅう地区ちくに転居てんきょした。天橋立あまのはしだてに近ちかい海沿うみぞいの街まちだ。

オリーブを特産とくさん品ひんに

　宮津みやづ市しでは高齢こうれい化かなどの影響えいきょうで、作物さくもつを作つくらなくなった耕作こうさく放棄ほうき地ちが増加ぞうか。市しは新あらたな特産とくさん品ひんにしようと、オリーブの産地さんち化かをめざし、2014年ねんに試験しけん栽培さいばいを始はじめた。そのうち市民しみんが耕作こうさく放棄ほうき地ちを開墾かいこんしてオリーブを植うえるようになり、市しは17年度ねんどから生産せいさん者しゃに補助ほじょ金きんを出だして後押あとおしした。

　直子なおこさんの父ちちもオリーブ作づくりに加くわわり、300本ほんのオリーブを植うえていた。「純じゅんさん、オリーブを一緒いっしょに育そだててみーひんか？」。義父ぎふの誘さそいを受うけ、農業のうぎょうが未経験みけいけんだった純じゅんさんも直子なおこさんも「ここで自分じぶんたちの時間じかんを取とり戻もどしたい」と、オリーブ農家のうかになることを決きめたという。

　近所きんじょでパワーショベルを借かりて開墾かいこんし、畑はたけで杉すぎや竹たけを根ねこそぎ抜ぬいた。ひたむきに作業さぎょうする姿すがたに、周囲しゅういの住民じゅうみんからは「自分じぶんの田畑たはたも開墾かいこんしてほしい」と声こえがかかった。

　その一人ひとり、今井いまい美好みよしさん（8…