異性愛者いせいあいしゃの仮面かめんをはずせぬ苦くるしさ　高こう2のあなたへ、居場所いばしょは「ある」

臨床りんしょう心理しんり士し・みたらし加奈かな＝寄稿きこう2024年ねん6月がつ24日にち 11時じ00分ふん

写真・図版 — 米べいロサンゼルスのプライドパレード＝2024年ねん6月がつ、みたらし加奈かなさん提供ていきょう

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Re:Ron連載れんさい「みたらし加奈かなの　味方みかたでありたい」第だい9回かい

　【加奈かなさん、はじめまして。高校こうこう2年生ねんせいの女おんなです。

　私わたしは今いままで、男おとこの人ひとは女おんなの人ひとを、女おんなの人ひとは男おとこの人ひとを好すきになるのがあたり前まえという世界せかいの中なかで生いきてきました。いつかみんなみたいに、私わたしにも好すきな男おとこの人ひとができて、結婚けっこんという名なの契約けいやくを交かわし、人生じんせいを共ともにするのだと。

　しかし、いつまでたっても男おとこの人ひとを恋愛れんあい対象たいしょうとして好すきになることはなく、私わたしがもっと知しりたいと思おもう人ひとはいつも女おんなの人ひとでした。心しんのどこかで、私わたしはみんなとは違ちがう世界せかいの住人じゅうにんなのではないかと思おもうようになりました。そんな中なかでとある同性どうせいカップルと出会であい、「女おんなの人ひとが女おんなの人ひとを好すきになることは普通ふつう」ということを知しり、少すこしずつ、女おんなの人ひとが好すきな自分じぶんを受うけ入いれられるようになりました。

　しかし高校こうこうに入学にゅうがくしてから、学校がっこうでは異い性愛せいあいが前提ぜんていの上うえで話はなしを進すすめる人ひと、「ゲイ」「レズ」という言葉ことばを差別さべつや偏見へんけんの意図いとで用もちいる人ひとも多おおく、その現実げんじつに心しんが折おれそうです。「“彼氏かれし”いる？」「どんな“男おとこの人ひと”がタイプ？」と聞きいてくる友達ともだちに複雑ふくざつな念ねんを抱いだくこともあります。あなたは女おんなだから男おとこの人ひとが好すきなんでしょ、と勝手かってに思おもわれる日々ひびが窮屈きゅうくつで、抜ぬけ出だしてしまいたくなります。

　今後こんご、私わたしが誰だれかにカミングアウトすることはないと思おもいますが、本当ほんとうは今いますぐにでもみんなに伝つたえて、楽らくになりたいです。でも、私わたしが同性愛どうせいあい者しゃだと伝つたえたらみんな離はなれていってしまうんじゃないか、本当ほんとうに大切たいせつなものでさえも失うしなってしまうんじゃないか、という不安ふあんに駆かられて、結局けっきょく言いえないままでいます。私わたしはこのまま一生いっしょう、異性愛者いせいあいしゃという仮面かめんをかぶって生いき、死しんでいくのでしょうか。いつか、胸むねを張はって自分じぶんは同性愛どうせいあい者ものだと言いえるような未来みらいはくるのでしょうか】（相談そうだん者しゃ・えま）

　心理しんり職しょくを志こころざしてから、「子こどもは社会しゃかいや大人おとなが守まもるべき存在そんざい」だと、あらゆる場面ばめんで感かんじることがありました。こんなにもご自身じしんと向むき合あわれているえまさんを「子こども」にカテゴライズするのは失礼しつれいだと思おもいますが、それでも高校こうこう2年生ねんせいのえまさんに、「不安ふあんだ」と思おもわせる社会しゃかいを作つくったのは、私わたしたち大人おとなの責任せきにんだと思おもいます。

ごめんなさい。そして、こうしてメッセージをくださり、ありがとうございます。

　まず質問しつもんについて、限定げんてい的てきではありますが、あなたがセクシュアリティーをオープンにできる場所ばしょや、味方みかたがたくさんいる場所ばしょは確たしかに存在そんざいします。ただその場所ばしょは、もしかしたらえまさんにとってはアクセスがしづらいところにあるかもしれない。

　そして近ちかい未来みらいには必かならず、どこでも、胸むねを張はって、自分じぶんのセクシュアリティーを言いえる日ひがやってきます。

【みたらし加奈かなさんへの相談そうだんはこちらから】

「味方みかたでありたい」は、読者どくしゃの皆様みなさまからの悩なやみやメッセージに答こたえるかたちでみたらしさんが考かんがえます。LGBTQ＋の当事とうじ者しゃ、支援しえん者しゃの方ほう、ジェンダーに関かんしての相談そうだんもお待まちしています。

　むしろ、それはこなければおかしいのです。そのために奮闘ふんとうしている大人おとなたちがたくさんいます。

　現状げんじょう、えまさんを取とり巻まく環境かんきょうは「窮屈きゅうくつ」という言葉ことばでは表現ひょうげんしきれないくらい、我慢がまんを強しいられていると思おもいます。相手あいてに悪気わるぎがなかったとしても、想定そうていされていない言葉ことば選えらびは、徐々じょじょに首くびを絞しめていきます。心しんにさざ波なみが起おきて、自分じぶんでバランスを取とらなければいけない瞬間しゅんかんって本当ほんとうにしんどいんですよね。

　さらに今いまは学校がっこうだけではなく、SNSからも情報じょうほうが入はいってくるようになりました。そこには自分じぶんを助たすけてくれるような情報じょうほうだけではなく、ときにはどん底ぞこに突つき落おとすようなコンテンツも簡単かんたんに入はいってくるのです。LGBTQという言葉ことばが広ひろまっていったことで、守まもられるようになった当事とうじ者しゃもいるかもしれない。一方いっぽうで、LGBTQに関かんする話題わだいをマジョリティー側がわが面白おもしろおかしく消費しょうひしていく姿すがたもSNSやメディアなどで見受みうけられることも事実じじつです。