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　全ぜん小中学生しょうちゅうがくせいに1人ひとり1台だいの端末たんまつを配布はいふし、学校がっこうの通信つうしん環境かんきょうを整ととのえる「GIGAスクール構想こうそう」が、本格ほんかくスタートして4年ねん目めになった。授業じゅぎょうも校こう務つとむも改革かいかくする学校がっこうがある一方いっぽうで、コロナ禍か前まえと変かわらず、アナログな学校がっこうもある。格差かくさが広ひろがる中なか、早はやくも端末たんまつの更新こうしん時期じきを迎むかえ、「Next　GIGA」の時代じだいへ。各地かくちで次つぎのステージへの模索もさくが始はじまっている。

　5月がつ下旬げじゅん、大阪おおさか府ふ枚方ひらかた市しの会議かいぎ室しつで、小中学校しょうちゅうがっこうの教諭きょうゆや管理かんり職しょく、臨床りんしょう心理しんり士し、不ふ登校とうこうの子こを支援しえんするNPO職員しょくいんらが議論ぎろんを交かわしていた。1人ひとり1台だいの端末たんまつ更新こうしんに向むけ、同市どうし教育きょういく委員いいん会かいが設もうけた「意見いけん聴取ちょうしゅ会かい（第だい8回かい）」だ。

　同市どうしでは2020年度ねんどに、約やく3万まん5千せん台だいのiPad（LTE通信つうしんモデル）を全ぜん小中学生しょうちゅうがくせいに配布はいふした。国くにからの補助ほじょ金きんに加くわえ、約やく30億おく円えんの市し独自どくじ予算よさんをつけて、学校がっこうの通信つうしん環境かんきょうも完備かんびした。毎日まいにち家庭かていへも持もち帰かえって活用かつようすることにしている。

　それらの端末たんまつは、来夏らいかに更新こうしん予定よていで、今年ことし9月がつの市議会しぎかい定例ていれい会かいまでに機種きしゅなどを決きめなければならない。

　市し教委きょういの担当たんとう者しゃが、各種かくしゅ端末たんまつの価格かかくや標準ひょうじゅん装備そうびの比較ひかく表ひょうのほか、文部もんぶ科学かがく省しょうが昨年さくねん末まつに示しめした目標もくひょう「KPI（重要じゅうよう達成たっせい度ど指標しひょう）」=図ず=や同市どうしの実態じったいデータ、実際じっさいの学校がっこうでの活用かつよう例れいなどを示しめして意見いけんを求もとめると、次々つぎつぎと声こえがあがった。

　「個々ここの特性とくせいにあわせた学まなびができる環境かんきょうづくりが重要じゅうよう」「探究たんきゅう的てきな学まなびができる形かたちに」「不ふ登校とうこうの子こが、自宅じたくでもiPadで学習がくしゅうできることは大切たいせつ」「メタバース（仮想かそう現実げんじつ）などで国内外こくないがいとつながる」

必要ひつようなのは、LTE、動画どうが編集へんしゅう、メタバース、翻訳ほんやく…

　複ふく数すう回かいの議論ぎろんを重かさね、必要ひつような機能きのうを整理せいりした。1つ目めは、屋外おくがいでの使用しようを前提ぜんていとした「LTE通信つうしんモデル」だ。体育たいいくの授業じゅぎょうで児童じどう生徒せいと同士どうしが動うごきを撮影さつえいし合あって共有きょうゆうし、改善かいぜんする。校外こうがい学習がくしゅうで情報じょうほう共有きょうゆうしたり、QRコードを読よみ込こんで動画どうが視聴しちょうしたりできる。通信つうしん環境かんきょうが整ととのわない家庭かていでも、調しらべ学習がくしゅうや友達ともだちとの共同きょうどう編集へんしゅうができるようにし、虐待ぎゃくたいなど外部がいぶへの「SOS発信はっしん」にもつなげたい。端末たんまつ紛失ふんしつの際さい、場所ばしょの特定とくていや遠隔えんかくでロックできる便利べんりさもある。

　2つ目めは、動画どうが編集へんしゅうや音楽おんがく制作せいさく、メタバース（仮想かそう現実げんじつ）やAR（拡張かくちょう現実げんじつ）などができる「高度こうどな機能きのう」。プログラミングの他ほかにも、学校がっこうの紹介しょうかい動画どうがを作成さくせいして海外かいがいの学校がっこうへ送おくったり、問題もんだいの解説かいせつ動画どうがを作成さくせいして共有きょうゆうしたりできる。メタバース空間くうかんでの交流こうりゅうや創作そうさくも求もとめられている。

　さらに、「支援しえん機能きのう」も重要じゅうようになる。外国がいこくにルーツを持もつ児童じどう生徒せいとが増ふえる中なか、翻訳ほんやくアプリを活用かつようした学習がくしゅうや、コミュニケーションは必須ひっす。読よみ書かきなどに困難こんなんがあり支援しえんが必要ひつような子このために、文字もじ起おこし、音声おんせい入力にゅうりょく、音声おんせい読よみ上あげ機能きのうも欠かかせない。

　必要ひつよう項目こうもく別べつに、iPad、Windows、Chromebookの比較ひかく表ひょうも作つくった。更新こうしんした端末たんまつは、5年ねん程度ていどは使つかう。その間あいだに、次期じき学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうでの授業じゅぎょうも始はじまる。

　聴取ちょうしゅ会かいの座長ざちょうで、各地かくちのICTアドバイザーを務つとめる野中のなか健次けんじさんは「授業じゅぎょうをどう変かえていくかの視点してんが一番いちばん重要じゅうよう。プロジェクトベースの学まなびも行おこない、持続じぞく可能かのうな社会しゃかいの担にない手てを作つくらなければ。国くにも端末たんまつだけでなく、学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうと標準ひょうじゅん授業じゅぎょう時数じすうの弾力だんりょく化かもセットで改革かいかくしてほしい」と話はなす。

　一方いっぽう、端末たんまつの活用かつようは自治体じちたい・学校がっこう・教師きょうし間あいだで格差かくさが広ひろがっている。枚方ひらかた市しの取とり組くみが、各地かくちの教育きょういく委員いいん会かい関係かんけい者しゃらの集あつまりで紹介しょうかいされると、ため息いきがもれた。「うちの自治体じちたいは大たいした議論ぎろんもなく前回ぜんかいと同おなじになった」「価格かかくが抑おさえられれば何なにでもいい感かんじ」「小学校しょうがっこうはまだしも、中学ちゅうがくでは定期ていき試験しけんや高校こうこう入試にゅうしがあるからと言いわれ、端末たんまつをほとんど使つかわない先生せんせいもいて、更新こうしんへの意見いけんなんてとても聞きけない」……。

■1台だい5万まん5千せん円えん、都道府県とどうふけんで…