中期ちゅうき的てきな方向ほうこう性せいを失うしなう韓国かんこく経済けいざい

韓国かんこく経済けいざいが2つの意味いみで進すすむべき中期ちゅうき的てきな方向ほうこう性せいを見失みうしなっている。ひとつは、引ひき続つづき輸出ゆしゅつ主導しゅどう型がたの経済けいざい成長せいちょうを目指めざすのか、内需ないじゅ主導しゅどう型がたへの構造こうぞう転換てんかんを図はかるのかという点てんが定さだまっていない。もうひとつは、日本にっぽん・中国ちゅうごくというアジアの2経済けいざい大国たいこくの狭間はざまでどういう役割やくわりを演えんじていくつもりなのかが不透明ふとうめいである。韓国かんこく政府せいふが推進すいしんする「東北とうほくアジアのビジネスハブ」構想こうそうには無理むりがあるし、そのために不可欠ふかけつな外資がいし導入どうにゅうに対たいする国民こくみんの間あいだのコンセンサスも成熟せいじゅくしていない。

筆者ひっしゃは、2004年ねんの韓国かんこく経済けいざいは5％台だいの成長せいちょう率りつまで回復かいふくすると予想よそうしている(2003年ねんは+3.1％予想よそう)。しかしながら、それは多分たぶんに輸出ゆしゅつ拡大かくだいという外需がいじゅ主導しゅどうによるものであり、韓国かんこく国内こくないに暮くらす人々ひとびとの景況けいきょう感かんはGDP成長せいちょう率りつほど回復かいふくしないだろう。また、経済けいざい回復かいふくの持続じぞく性せいにも疑問ぎもんが残のこる。グローバルITサイクルに大おおきく左右さゆうされる外需がいじゅが再ふたたび下落げらくに転てんじた場合ばあい、主要しゅようエレクトロニクス輸出ゆしゅつ製品せいひんへの依存いぞん度どの高たかまっている韓国かんこく経済けいざいは再ふたたび減速げんそくする可能かのう性せいが高たかい。早はやければ2005年ねん中ちゅうにも経済けいざい再さい減速げんそくとなるリスクが高たかい。

韓国かんこく経済けいざいは日本にっぽんが90年代ねんだいに苦くるしんだ経済けいざい構造こうぞう的てきな課題かだいに直面ちょくめんしているのだ。高こう貯蓄ちょちく率りつを続つづけながら持続じぞく的てきな高こう成長せいちょうを達成たっせいするためには企業きぎょうによる旺盛おうせいな投資とうしが必要ひつようとなる。日本にっぽんもバブル経済けいざいが崩壊ほうかいするまではそうして高こう成長せいちょうを維持いじしてきたし、韓国かんこくの経済けいざい危機きき前まえの高こう成長せいちょうも同おなじメカニズムであった。しかし、高度こうど成長せいちょう期きが終了しゅうりょうした両国りょうこくでは企業きぎょうの投資とうし余地よちは縮小しゅくしょうする。先行せんこう投資とうしをすれば後ごから必かならず需要じゅようがついてきた時代じだいは終おわり、企業きぎょうは投資とうし収益しゅうえき率りつを事前じぜんに慎重しんちょうに吟味ぎんみしなければならなくなった。韓国かんこくの経済けいざい活動かつどう人口じんこうの成長せいちょう率りつは年とし1％程度ていどまで鈍化どんかしてきており、先進せんしん国こく化かにともない今後こんごは労働ろうどう生産せいさん性せい上昇じょうしょうスピードも低下ていかが避さけられない。これらは、まさに日本にっぽんがバブル経済けいざい崩壊ほうかい後ごに直面ちょくめんし、未いまだに解決かいけつできていない課題かだいである。「経済けいざい成長せいちょう＝付加ふか価値かちの増加ぞうか」は「資本しほん投入とうにゅう量りょうの増加ぞうか」×「労働ろうどう投入とうにゅう量りょうの増加ぞうか」×「生産せいさん性せい上昇じょうしょう」で説明せつめいできるが、「労働ろうどう投入とうにゅう量りょう」と「生産せいさん性せい」に期待きたいできない現状げんじょうでは「資本しほん投入とうにゅう量りょう」を増ふやすしかないと言いえる。

「資本しほん投入とうにゅう量りょうの増加ぞうか」のために韓国かんこくが目指めざすべき方向ほうこう性せいは、(1)内需ないじゅ主導しゅどう型がたへの経済けいざい構造こうぞう転換てんかんと(2)外国がいこく資本しほん・人材じんざいの導入どうにゅうである。内需ないじゅ主導しゅどう型がたへの経済けいざい構造こうぞう転換てんかんか外資がいし導入どうにゅうが成功せいこうしない限かぎり、韓国かんこく経済けいざいは世界せかいITサイクルの波間なみまをただよう小船こぶねのように、ITサイクル次第しだいで大おおきな好こう不調ふちょうの波なみを繰くり返かえすことになろう。しかし、不幸ふこうなことに、政治せいじ的てき基盤きばんが弱よわく余裕よゆうのない現げん政権せいけんは大局たいきょく観かんに立たった経済けいざい運営うんえいができていない。中長期ちゅうちょうき的てきな実現じつげん可能かのうな経済けいざいビジョンを作つくることより、来年らいねん4月がつの総そう選挙せんきょで如何いかにして国会こっかい議席ぎせき数すうを伸のばすかどうかが、盧武鉉のむひょん大統領だいとうりょうにとってはより喫緊きっきんの課題かだいだからである。総そう選挙せんきょ後ごには、与党よとうの勝利しょうり・敗戦はいせんにかかわらず、盧武鉉のむひょん政権せいけんが持続じぞく的てきな消費しょうひ刺激しげき策さくに積極せっきょく的てきに取とり組くむことを期待きたいしたい。