インフルエンザが流行りゅうこうすると新春しんしゅんの株価かぶかは下落げらく～背景はいけいに行動こうどうファイナンスの考かんがえ～

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2005年ねん01月がつ14日にち

吉野よしの貴晶たかあき

1月がつ入いりとなり、毎年まいとし恒例こうれいのインフルエンザの季き節ぶしを迎むかえる。宮城みやぎ県けんは2004年ねん12月16日にち、石巻いしのまき地域ちいきに15日にち付づけでインフルエンザ注意報ちゅういほうを発令はつれいしたと発表はっぴょうした。注意報ちゅういほう発令はつれいは今こんシーズン、国内こくない初はつとみられる。一昨年いっさくねんは重症じゅうしょう急性きゅうせい呼吸こきゅう器き症候群しょうこうぐん（ＳＡＲＳ）への不安ふあんからインフルエンザの予防よぼう接種せっしゅ希望きぼう者しゃが急増きゅうぞうし、ワクチンの在庫ざいこ不足ふそくが社会しゃかい問題もんだいにまでなった。冬ふゆ本番ほんばんを控ひかえて、今後こんごのインフルエンザの動向どうこうには大おおいに注意ちゅういが必要ひつようである。

今回こんかい、インフルエンザをテーマに取とり上あげたのは、近年きんねん注目ちゅうもくされる行動こうどうファイナンスが根底こんていにある。従来じゅうらいのファイナンス理論りろんでは、投資とうし家かは合理ごうり的てきな意思いし決定けっていのみを行おこなうと考かんがえる。しかし、人間にんげんの行動こうどうは本当ほんとうに合理ごうり的てきなのだろうか？例たとえば、仕事しごとの遅おくれをビクビクしながら上司じょうしに報告ほうこくした際さい、意外いがいに怒おこられずに拍子抜ひょうしぬけした、といった経験けいけんが読者どくしゃにも少すくなからずあるのではないか。ところがこの理由りゆうは、単たんに上司じょうしの気分きぶんが良よかっただけ、というものだったりする。このように、人間にんげんの行動こうどうは気分きぶんによっても大おおいに左右さゆうされると考かんがえられ、こうした人間にんげんの心情しんじょうを積極せっきょく的てきに取とり込こんでモデル化かするものが行動こうどうファイナンスである。

高橋たかはし・加藤かとう［2004］(※1)は、人間にんげんの気分きぶんを左右さゆうする重要じゅうようなファクターとして天気てんきを取とり上あげ、天気てんきと株価かぶかの関係かんけいを分析ぶんせきした。これは「天気てんきが良よい→投資とうし家かの気分きぶんが良よい→投資とうしに積極せっきょく的てき→株価かぶかが上昇じょうしょう」という仮説かせつを検定けんていしたものであるが、ここでは投資とうし家かの気分きぶんを決きめるファクターとしてインフルエンザを取とり上あげた。「インフルエンザで体調たいちょうが悪わるいと気分きぶんが暗くらくなるため、インフルエンザ流行りゅうこうの局面きょくめんでは株価かぶかが調整ちょうせいする」との仮説かせつを立たて、実際じっさいに過去かこのインフルエンザの流行りゅうこうとその年としの株価かぶかの傾向けいこうを調しらべた。結果けっか、爆発ばくはつ的てきな大だい流行りゅうこうを引ひき起おこすＡ型がたインフルエンザとＴＯＰＩＸの相関そうかん係数けいすうは▲0.53であった。なお、インフルエンザの流行りゅうこうは毎年まいとし１月がつに集中しゅうちゅうするため、この時期じきに特とくに注目ちゅうもくしたところ、年初ねんしょから１ヵ月かげつ間あいだのＴＯＰＩＸ騰落とうらく率りつとインフルエンザとの間あいだには▲0.14の逆ぎゃく相関そうかんが見みられた。相関そうかん係数けいすうでとらえると高たかいとは言いい切きれないが、インフルエンザと１月がつの株価かぶかにある程度ていど連動れんどうした傾向けいこうが見みられたことは注目ちゅうもくできる。これらの結果けっかは、インフルエンザの流行りゅうこうが投資とうし家か心理しんりに何なんらかの影響えいきょうを与あたえ、株かぶ安やすとなるつながりを示唆しさしているようだ。

では、今冬こんとうのインフルエンザの流行りゅうこうはどうなるだろうか？インフルエンザは低ひくい気温きおんと乾燥かんそうを好このむため、実じつは暖冬だんとうでは流行りゅうこうが弱よわまる傾向けいこうがある。したがって、暖冬だんとうが予想よそうされる新春しんしゅんは流行りゅうこうが比較的ひかくてき小規模しょうきぼにとどまる可能かのう性せいが高たかい。インフルエンザに悩なやまされる暗くらい気分きぶんの投資とうし家かが少すくないことで、株かぶ高だかを期待きたいしたい。

(※1) 参考さんこう文献ぶんけん：加藤かとう英明ひであき著ちょ『天気てんきと株価かぶかの不思議ふしぎな関係かんけい』東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、2004

●インフルエンザ報告ほうこく数すうとＴＯＰＩＸの関係かんけい

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