ストック・オプション、次つぎの課題かだい

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2005年ねん03月がつ15日にち

齋藤さいとう純じゅん

ストック・オプションの権利けんり行使こうし益えきは「一時いちじ所得しょとく」か「給与きゅうよ所得しょとく」かで争あらそわれた税務ぜいむ訴訟そしょうに、1月がつ末まつ、最高裁さいこうさい判決はんけつが下くだされた。結果けっかは、国税こくぜい側がわの主張しゅちょうを認みとめ「給与きゅうよ所得しょとく」。一いち審しん判決はんけつで「一時いちじ所得しょとく」と主張しゅちょうする納税のうぜい者しゃ側がわ勝訴しょうその判決はんけつにより、税務ぜいむ訴訟そしょうとしては稀まれに見みる注目ちゅうもくを集あつめた裁判さいばんも、一応いちおうの結末けつまつを迎むかえた。

しかし、ストック・オプションを受うける側がわの所得しょとく区分くぶんが「給与きゅうよ所得しょとく」とされたことで、ストック・オプションの課税かぜい問題もんだいは、法人ほうじん税ぜいにおける取扱とりあつかいに焦点しょうてんが移うつる可能かのう性せいが高たかい。つまり、ストック・オプションの付与ふよ企業きぎょうで、権利けんり行使こうし益えき相当そうとう額がくの損金そんきん算入さんにゅうを認みとめるか否ひかという点てんである。

現行げんこうの法人ほうじん税法ぜいほうでは、別段べつだんの定さだめがあるものを除のぞき、次つぎのものが損金そんきんに該当がいとうするとされている(法人ほうじん税法ぜいほう第だい22条じょう(3))。

・当該とうがい事業じぎょう年度ねんどの収益しゅうえきに係かかる売上うりあげ原価げんか、完成かんせい工事こうじ原価げんか、その他たこれらに準じゅんずる原価げんかの額がく
・当該とうがい事業じぎょう年度ねんどの販売はんばい費ひ、一般いっぱん管理かんり費ひ、その他たの費用ひようの額がく
・当該とうがい事業じぎょう年度ねんどの損失そんしつの額がくで資本しほん等とう取引とりひき以外いがいの取引とりひきに係かかるもの

法人ほうじん税法ぜいほう第だい22条じょうの規定きていからは、ストック・オプションの費用ひようが損金そんきん算入さんにゅう可能かのうなのか判断はんだんがつきにくい。しかし、金銭きんせんによる給与きゅうよが、法人ほうじん税法ぜいほう上じょう、人件じんけん費ひとして損金そんきん扱あつかいされていることに照てらせば、ストック・オプションによる報酬ほうしゅうの取扱とりあつかいも自おのずと明あきらかになってこよう。

因ちなみに、一連いちれんのストック・オプション課税かぜい訴訟そしょうの過程かていで、国税こくぜい側がわは、法人ほうじん税法ぜいほう上じょうの取扱とりあつかいに関かんして、以下いかのような興味深きょうみぶかい主張しゅちょうを行おこなっている。理論りろん的てきには、付与ふよ会社かいしゃにおいて権利けんり行使こうし益えき相当そうとう額がくを損金そんきん算入さんにゅうする余地よちは、十二分じゅうにぶんにあると言いえるだろう。

「ストック・オプションに係かかる付与ふよ法人ほうじん側がわでの損金そんきん算入さんにゅう問題もんだいは、法人ほうじん税法ぜいほう上じょうの問題もんだいで損益そんえきとして認識にんしきしない扱あつかいとしているに過すぎず、実質じっしつ的てきに付与ふよ会社かいしゃに損失そんしつがないとするものではない」(一いち審しん･東京とうきょう地裁ちさい判決はんけつ文ぶんより抜粋ばっすい)

もっとも、損金そんきん算入さんにゅうを認みとめることとなれば税収ぜいしゅうの減少げんしょうにつながる。税収ぜいしゅう減げんという高たかいハードルをいかにクリアするかが今後こんごの課題かだいとなるだろう。

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