企業きぎょう年金ねんきんにおける不動産ふどうさん投資とうしの位置付いちづけ

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2005年ねん07月がつ26日にち

大藤おおふじ康博やすひろ

昨年度さくねんどの我わが国くに企業きぎょう年金ねんきんの運用うんよう利回りまわりは、5％近辺きんぺんに収おさまり、概おおむね制度せいど上じょう求もとめられる予定よてい利率りりつをクリアーされる水準すいじゅんとなった。また新しん年度ねんどに入はいった4月がつ以降いこうの運用うんよう利回りまわりは1.5％前後ぜんこう（年率ねんりつ約やく6％）であり、良好りょうこうな状況じょうきょうが続つづいている。しかしながら先行さきゆきの運用うんよう環境かんきょうとしては、原油げんゆの高騰こうとうや米国べいこく・中国ちゅうごく景気けいきの先行さきゆき不安ふあんから予断よだんを許ゆるさない状況じょうきょうである。

こうした中なか、各かく企業きぎょう年金ねんきんは、利回りまわり向上こうじょうを図はかる観点かんてんから、この数すう年来ねんらいオルタナティブ（代替だいたい的てき）投資とうしへ踏ふみ切きる先さきが増加ぞうかしている。オルタナティブ投資とうしの中なかでは、ヘッジファンドが代表だいひょう的てきな資産しさんであったが、最近さいきんでは不動産ふどうさんへの投資とうしが着目ちゃくもくを集あつめてきている。

本年ほんねん4月がつ、弊社へいしゃが各かく企業きぎょう年金ねんきん宛あてに実施じっしした(※1)アンケート結果けっかによれば、不動産ふどうさん投資とうしを実施じっししている先さきは17％程度ていどに留とどまっているが、不動産ふどうさん市況しきょうの底入そこいれや国内こくないREIT市場いちばが活況かっきょうを呈ていしていることもあり、検討けんとう中ちゅうまでの先さきを考慮こうりょすれば、今後こんご約やく40％の企業きぎょう年金ねんきんが不動産ふどうさんへ資金しきんをシフトすることが予想よそうされる。また1000億おく円えん以上いじょうの資産しさん規模きぼを有ゆうする企業きぎょう年金ねんきんの不動産ふどうさん投資とうしの実施じっし比率ひりつは38％となっている点てんを鑑かんがみれば、先駆せんく的てきな企業きぎょう年金ねんきんの多おおくは、既すでに不動産ふどうさん投資とうしを実施じっししているものと考かんがえられる。不動産ふどうさん投資とうしの資産しさん全体ぜんたいにおける位置付いちづけについて目めを転てんずれば、各かく企業きぎょう年金ねんきん間あいだで差異さいはあり、先さきのアンケート結果けっかによれば46％の先さきが独立どくりつした資産しさんと位置付いちづけている一方いっぽう、その他たの先さきは国内こくない債券さいけんや株式かぶしきの代替だいたいとしている。

ルタナティブ投資とうしの範疇はんちゅうの中なかで、ヘッジファンドは株式かぶしきや債券さいけんの先物さきもの等とう派生はせい商品しょうひんを利用りようした伝統でんとう的てき資産しさんの延長線えんちょうせん上じょうの商品しょうひんであるのに対たいして、不動産ふどうさんはこれらの有価ゆうか証券しょうけんとは異ことなる実物じつぶつ資産しさんである。金かねや穀物こくもつなど所謂いわゆる商品しょうひんと比較ひかくして一般いっぱん的てきな不動産ふどうさん投資とうしにおいては、定期ていき的てきに配当はいとう（賃貸ちんたい料りょう）が受うけられる点てん、欧米おうべい年金ねんきん市場いちばにおいても恒常こうじょう的てきに一定いっていの比率ひりつ（4～5％）が投資とうしされていることを踏ふまえれば、我わが国くににおいても、独立どくりつした資産しさんと位置付いちづけて良よいものと考かんがえられる。国内こくないREIT市場いちば規模きぼは今後こんご5年ねん後ごには10兆ちょう円えん程度ていどまで拡大かくだいが見込みこまれるが、現状げんじょうは私募しぼ不動産ふどうさんファンドを併あわせても5兆ちょう円えん程度ていどであり（国内こくないREIT：6/末すえ2.4兆ちょう円えん）、当面とうめんの間あいだは流動りゅうどう性せいに注意ちゅういを要ようする必要ひつようがある。

我わが国くににおいては、米国べいこくのような不動産ふどうさん投資とうし状じょう況きょう全般ぜんぱんを網羅もうらし(※2)市場いちば指数しすうは現状げんじょう存在そんざいしないため、運用うんようの評価ひょうかやリスク管理かんりといった面めんは難むずかしいものと思おもわれる。この点てんについては経過けいか的てきに国内こくないREIT指数しすうを用もちいる等とうの対応たいおうも考かんがえられる。現状げんじょうが良好りょうこうな不動産ふどうさん投資とうし環境かんきょうであるが故ゆえに一層いっそう、リスク管理かんり者しゃたる企業きぎょう年金ねんきん関係かんけい者しゃは、資産しさん全体ぜんたいの中なかで定さだめられたウェイトのコントロール、投資とうし商品しょうひんの内容ないよう（投資とうし物件ぶっけん）のチェックを厳格げんかくに行おこなうべきである。

（※1）1920のスポンサーにオルタナティブ投資とうしに関かんするアンケートを送付そうふし、266スポンサー（28.9％）から回答かいとうが得えられた。因ちなみにオルタナティブ投資とうしを既すでに実施じっししている先さきは、56％までに至いたっている。
(※2)NICREIFｲﾝﾃﾞｯｸｽ：全米ぜんべい不動産ふどうさん投資とうし受託じゅたく者しゃ協会きょうかいが四半期しはんき毎ごとに公表こうひょう。米国べいこくの企業きぎょう年金ねんきんの多おおくがベンチマークとしている。

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