韓国かんこく政府せいふが強力きょうりょくな不動産ふどうさん投機とうき抑制よくせい策さくを発表はっぴょう

8月がつ31日にち、韓国かんこく政府せいふは強力きょうりょくな不動産ふどうさん対策たいさくを発表はっぴょうした。日本にっぽんの80年代ねんだい後半こうはんのバブルのような全国ぜんこく的てきな不動産ふどうさん価格かかくの上昇じょうしょうは見みられないが、2005年ねんに入はいってからソウル市内しないや周辺しゅうへん都市としの一部いちぶにおいて住宅じゅうたく不動産ふどうさんの価格かかくが約やく2～4割わり上昇じょうしょうしている。今回こんかいの不動産ふどうさん対策たいさくの主おもな目的もくてきは、(1)資金しきんの流入りゅうにゅうで上昇じょうしょうしている不動産ふどうさん価格かかくに歯止はどめをかけること、(2)不動産ふどうさん価格かかく上昇じょうしょうによって阻害そがいされてきた低てい所得しょとく者しゃがより容易よういに住宅じゅうたく取得しゅとくできるようにすることである。不動産ふどうさん価格かかく抑制よくせいの手段しゅだんとしては、不動産ふどうさん保有ほゆう税ぜい、譲渡じょうと税ぜいなど幅広はばひろい不動産ふどうさん税制ぜいせいの改正かいせい（引ひき上あげ）が盛もり込こまれた。2006年ねんから2008年ねんにかけて税率ぜいりつの引ひき上あげや課税かぜい標準ひょうじゅんの引ひき上あげが施行しこうされ、投機とうき目的もくてきでの高こう所得しょとく層そうの不動産ふどうさん所有しょゆう者しゃの実質じっしつ的てきな税ぜい負担ふたんは大幅おおはばに増加ぞうかする。一方いっぽう、低てい所得しょとく者しゃへの住宅じゅうたく供給きょうきゅうに関かんしては、再さい開発かいはつや公団こうだん物件ぶっけんの整備せいびで、比較的ひかくてき間取まどりの狭せまい物件ぶっけんを安価あんかで供給きょうきゅうすることや、低てい所得しょとく者しゃ向むけの不動産ふどうさん購入こうにゅうの際さいの金利きんり優遇ゆうぐうなど金融きんゆう面めんでの支援しえん、などが盛もり込こまれている。

強力きょうりょくな価格かかく抑制よくせい政策せいさくにより政府せいふが狙ねらっている不動産ふどうさん価格かかくの抑制よくせいは実現じつげんできるであろう。不動産ふどうさん価格かかくは、税ぜい負担ふたんの増加ぞうかによる投機とうき需要じゅようの萎縮いしゅく、安価あんかな低てい所得しょとく者しゃ向むけ住宅じゅうたくの供給きょうきゅう増加ぞうかにより、需給じゅきゅうのバランスは崩くずれ、今後こんご2～3年ねんは価格かかくの下落げらくを招まねくと予想よそうする。実際じっさい、2003年ねん10月がつの不動産ふどうさん規制きせい策さく（今回こんかいと似にたいような不動産ふどうさん投機とうき抑制よくせい策さく。税率ぜいりつ引ひき上あげなど大だい部分ぶぶんの施策しさくは2005年ねんから施行しこうされた）により、2004年ねんの不動産ふどうさん市場いちばは軟調なんちょうとなった。今回こんかいの対策たいさくは、2住宅じゅうたく以上いじょう保有ほゆう者しゃを譲渡じょうと益えき重じゅう課税かぜい対象たいしょうとするなど、前回ぜんかいよりも更さらに徹底てっていした投機とうき抑制よくせい内容ないようとなっており、不動産ふどうさんセクターの冷却れいきゃく期間きかんは長ながめになりそうだ。

筆者ひっしゃは、一部いちぶで期待きたいされている不動産ふどうさん市場いちばから株式かぶしき市場いちばへの資金しきん還流かんりゅう観測かんそくには疑問ぎもんを持もっている。不動産ふどうさん資産しさん価格かかくの下落げらく時じに富裕ふゆう層そうは積極せっきょく的てきに代替だいたい資産しさんへ投資とうしを振ふり向むけることになるだろうか。韓国かんこくでは長期ちょうき金利きんり（国債こくさい3年ねん物ぶつ）が4%程度ていどまで下落げらくするなど超ちょう低てい金利きんり時代じだいに突入とつにゅうしているが、不動産ふどうさん価格かかく下落げらくにより投資とうしセンチメントや景気けいきセンチメントが悪化あっかすれば、株式かぶしき市場いちばに不動産ふどうさん市場いちばからの個人こじんマネーが流ながれることは考かんがえにくい。不動産ふどうさん景気けいき冷却れいきゃくによる建設けんせつ景気けいき、消費しょうひなどへの悪影響あくえいきょうも心配しんぱいである。

今回こんかいの不動産ふどうさん政策せいさくは、日本にっぽんのような不動産ふどうさんバブルになる前まえに不動産ふどうさん価格かかくを抑おさえた政策せいさくという評価ひょうかを得えるだろうが、反面はんめん、遅おくれがちな韓国かんこく経済けいざいの回復かいふくに一段いちだんのブレーキをかけるリスク要因よういんにもなりかねない。