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歳を取るほど若返る?-今後の成長が期待される「アンチエイジング医療」 2005年09月16日 | 大和総研 | 浅野 信久

としるほど若返わかがえる?-今後こんご成長せいちょう期待きたいされる「アンチエイジング医療いりょう

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2005ねん09がつ16にち

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なつちかづくと、ダイエットやフィットネスという言葉ことば新聞しんぶん雑誌ざっしあるいは交通こうつう機関きかんつるし広告こうこくにぎわす。ところが、今夏こんかはどうも様子ようすちがった。「アンチエイジング(こうよわい)」なる言葉ことば登場とうじょうしはじめたのだ。これは、今夏こんかのちょっとした異変いへんである。

そもそも、アンチエイジングとはなに意味いみするのか。そこで、専門せんもんしょさがして、紐解ひもといてみた。日本にっぽんこうよわい学会がっかい(2001ねんから活動かつどう開始かいし)が編集へんしゅうした専門医せんもんい資格しかく取得しゅとくのためのテキスト・「アンチエイジング医学いがく基礎きそ臨床りんしょう」によると、アンチエイジングは、「元気げんき長寿ちょうじゅ享受きょうじゅすること」だと解説かいせつされている。したがって、元気げんき長寿ちょうじゅ実現じつげんさせるのが「アンチエイジング医療いりょう」の目指めざすところとなろう。元気げんき長寿ちょうじゅには、身体しんたい精神せいしん老化ろうかふせぎ、できるだけ若々わかわかしくたもつことが肝要かんようだ。だが、アンチエイジング医療いりょう現状げんじょう維持いじまらず、若返わかがえりにも挑戦ちょうせんする。こうかんがえると、皮膚ひふ美容びよう外科げか領域りょういきから、はたまたフットネス、メンタルヘルス、生活せいかつ習慣しゅうかんびょうとあらゆる医療いりょう領域りょういき包含ほうがんされてくることがイメージされてくる。つまり、アンチエイジングは非常ひじょう幅広はばひろ医療いりょうサービスなのである。アンチエイジングで疲弊ひへいした身体しんたい機能きのう健康けんこうもと状態じょうたい復元ふくげんがはかれることになれば、としるほどよわい状態じょうたいからの若返わかがえりつたかくなる。つまり、としをとるほど、若返わかがえるが実現じつげんできるのである。

現在げんざい利用りよう可能かのうなアンチエイジン医療いりょう代表だいひょうてきなプログラムを列挙れっきょすると、ホルモン療法りょうほう、サプリメント療法りょうほう運動うんどう療法りょうほう食事しょくじ療法りょうほう、リラクセーション、スキンケアなどがある。最近さいきんでは、体内たいない蓄積ちくせきした水銀すいぎんなまり、カドミウムなどの重金属じゅうきんぞくるいあるいは、農薬のうやく、PCBやダイオキシンなどの有害ゆうがい有機物ゆうきぶつ体内たいないから除去じょきょするデトキシケーションも登場とうじょうしている。アンチエイジング医療いりょうは、現在げんざい、そのほとんどが100%自己じこ負担ふたん自由じゆう診療しんりょう医療いりょうである。最新さいしん研究けんきゅう成果せいか安全あんぜんせいには十分じゅうぶん配慮はいりょうえ医師いし裁量さいりょう希望きぼうしゃ応用おうようすることが可能かのう分野ぶんやで、公的こうてき保険ほけん医療いりょうサービスより、研究けんきゅう臨床りんしょう距離きょり比較的ひかくてきみじか領域りょういきであるとえる。実際じっさい、アンチエイジング医療いりょうには、遺伝子いでんし医療いりょう再生さいせい医療いりょうなど最新さいしん先端せんたん医療いりょう成果せいかがいちはや反映はんえいさている。いま話題わだい個人こじんにあった医療いりょうサービスを提供ていきょうするというテーラーメイド医療いりょうのコンセプトの具現ぐげんも、アンチエイジング医療いりょう領域りょういきいちさきんじているかんがある。

アンチエイジング医療いりょうは、経営けいえい手法しゅほうめんでも注目ちゅうもくすべきてんがある。医療いりょう経営けいえいモデルとしては、斬新ざんしんなビジネスモデルが登場とうじょうしている。ベンチャービジネスとしても注目ちゅうもく領域りょういきである。たとえば、銀座ぎんざ紀尾井町きおいちょうなどいち等地とうちで、日本にっぽん有力ゆうりょくアンチエイジングドクターの主宰しゅさいするクリニックの運営うんえい支援しえんするベンチャーであるアンチエイジング ドクターズ㈱が今春こんしゅん誕生たんじょうし、いま9がつにはエビデンスを充実じゅうじつさせるため、研究所けんきゅうじょ発足ほっそくさせている。また、バイオベンチャー・㈱LTTバイオファーマとSMOのベンチャーである㈱アイロムは共同きょうどうでアンチエイジングに主眼しゅがん医療いりょうモールに運営うんえいする企業きぎょう設立せつりつする計画けいかくした。バイオベンチャーのバイオマスターは神奈川かながわけん申請しんせいちゅう病院びょういん特区とっく高度こうど美容びよう整形せいけい外科げかクリニックの株式会社かぶしきがいしゃ経営けいえい計画けいかくちゅうである。自由じゆう診療しんりょう範疇はんちゅうひろいアンチエイジング医療いりょうは、既存きそん医療いりょう分野ぶんやくらべて、企業きぎょう参入さんにゅうはかりやすい分野ぶんやでもある。

アンチエイジング医療いりょう需要じゅようけてみよう。2007ねんから大量たいりょう退職たいしょく時代じだいむかえる団塊だんかい世代せだい(いわゆる1947ねんから1949ねんまれの団塊だんかい世代せだい・683まんにん)は、健康けんこう増進ぞうしんにも関心かんしんたか世代せだいでもある。PETなど最新さいしん画像がぞう診断しんだん機器ききそなえた高級こうきゅう会員かいいんせい健康けんこう管理かんり倶楽部くらぶやフイットネスクラブなどの中高年ちゅうこうねん利用りようしゃびている。アンチエイジング医療いりょう積極せっきょくてきれていくだろう。この世代せだい費用ひようたい効果こうかにも敏感びんかん知的ちてき世代せだいでもあるので、アンチエイジング医療いりょうかんするエビデンスの蓄積ちくせきとその浸透しんとうはかられれば、需要じゅようのさらなるたかまりが期待きたいできよう。アンチエイジング医療いりょうは、成長せいちょう産業さんぎょうであることはまず間違まちがいなさそうである。

日本にっぽん女性じょせい平均へいきん寿命じゅみょうは85.59さいで、男性だんせいが78.64さいである。世界一せかいいち長寿ちょうじゅこくである。日本にっぽん長寿ちょうじゅ要因よういんたいする世界せかい関心かんしん非常ひじょうたかい。じつは、日本にっぽんもっとほこれるものは自動車じどうしゃ半導体はんどうたいなどではなく、「長寿ちょうじゅ」であることをわすれてはならない。慶応大学けいおうだいがく医学部いがくぶ眼科がんか教授きょうじゅ日本にっぽんこうよわい学会がっかい理事りじつとめる坪田つぼた教授きょうじゅは、前述ぜんじゅつのテキストのなかで、「・・・日本にっぽん健康けんこう平和へいわくにというイメージが存在そんざいする。このイメージがえないうちに、日本にっぽんからアンチエイジング医学いがく関連かんれんする製品せいひん輸出ゆしゅつできるようになっていくことが重要じゅうようだ。」との提言ていげんつよ印象いんしょうのこる。あらたな成長せいちょう産業さんぎょうとしてのアンチエイジング医療いりょう発展はってんねがってやまない。

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