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ヘッジファンドの解約の留意点 2005年10月12日 | 大和総研 | 大藤 康博

ヘッジファンドの解約かいやく留意りゅういてん

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2005ねん10がつ12にち

  • 大藤おおふじ 康博やすひろ
今年度こんねんど企業きぎょう年金ねんきん運用うんよう利回りまわりは、株式かぶしき市場いちば上昇じょうしょう為替かわせえんやすともない、上半期かみはんきだけで8%前後ぜんこうまでにたっしている。2000ねんから3ねん連続れんぞくしてマイナス利回りまわりを記録きろくし、3年間ねんかん累積るいせき利回りまわりは平均へいきんで▲25%までんだが、2003年度ねんど以降いこう利回りまわ回復かいふく今年ことし度度たびたび実績じっせきふくめ)により、ようやくこのマイナスぶん払拭ふっしょくし、水面すいめん近辺きんぺん(0%)にまで回復かいふくしたものとかんがえられる。

上記じょうきとおり、かく企業きぎょう年金ねんきん資産しさん残高ざんだかについても2000ねん3がつまつ水準すいじゅんにまで回復かいふくしたものとかんがえられるが、その資産しさん配分はいぶんおおきな変化へんか見受みうけられる。とく株式かぶしき資産しさん外国がいこく株式かぶしきふくむ)は、2000ねん3がつまつ時点じてんでは55%ちかめ、資産しさん全体ぜんたいの1/2をえる比率ひりつであったものの、今年度こんねんど3がつまつ時点じてんでは43%まで低下ていかした。この背景はいけいとしては、市場いちば環境かんきょう悪化あっかくわえ、代行だいこう返上へんじょう退職たいしょく給付きゅうふ会計かいけい導入どうにゅうにより、大手おおて企業きぎょう年金ねんきん中心ちゅうしんにリスク抑制よくせいがたのポートフォリオにシフトしたことによる要因よういんおおきいものとおもわれる。

一方いっぽうこのあいだ債券さいけん比率ひりつ外国がいこく債券さいけんふくむ)は29%から34%に上昇じょうしょうし、債券さいけん株式かぶしきぞくさないその資産しさんが6%上昇じょうしょうした(1%→7%)。おそらくその資産しさんほとんどは、ここすうねんあいだで、おおくの企業きぎょう年金ねんきんあらたに投資とうし開始かいししたオルタナティブ資産しさんであることが推測すいそくされる。ちなみに企業きぎょう年金ねんきん全体ぜんたいでは1/3程度ていどすで実施じっしっており、その組入くみい比率ひりつ資産しさん全体ぜんたい平均へいきん8%程度ていどであり、大宗たいそうはヘッジファンドだ。組入くみい比率ひりつ増加ぞうかした要因よういんは、株式かぶしき市場いちば低迷ていめい金利きんり上昇じょうしょう懸念けねんとうから、利回りまわ改善かいぜん企図きとしたものとかんがえられる。運用うんよう実績じっせき個別こべつファンドごと格差かくさはあるものの、足元あしもと5年間ねんかん程度ていどでは良好りょうこう実績じっせき(5~10%)をげていたが、昨年度さくねんどあたりから、マイナス利回りまわりとなるファンドも散見さんけんされた。このためヘッジファンドの見直みなおしをおこなう機運きうんしょうじているが、このさい注意ちゅういようするてんとしては、ヘッジファンドの解約かいやくともな現金げんきんまでの期間きかんげられる。

企業きぎょう年金ねんきんおおくは、従来じゅうらい新規しんき組入くみいれることに注力ちゅうりょくしたため、組入くみい当初とうしょ運用うんよう機関きかんから説明せつめいけていたものの、案外あんがい解約かいやく条件じょうけんとうはなおざりにされているケースが見受みうけられる。一般いっぱんてきにヘッジファンドを解約かいやくする場合ばあい株式かぶしきマーケットニュートラルやロングショートなど所謂いわゆるシングルファンドの現金げんきんは、1~3ヶ月かげつ程度ていど可能かのうである。他方たほう複数ふくすうのファンドに投資とうしおこなうファンド・オブ・ファンズ(FOF)は、現金げんきんまで3ヶ月かげつ以上いじょう商品しょうひんおおく、解約かいやくもうれたタイミングによっては、半年はんとしちか期間きかんようする場合ばあいもある。この結果けっか企業きぎょう年金ねんきんあらたな有望ゆうぼうかんがえる投資とうしさきたいして、投資とうしタイミングがおくれ、運用うんよう効率こうりつ悪化あっかする可能かのうせいもありうる。

これまではさきとおり、企業きぎょう年金ねんきんはヘッジファンドにたい新規しんき投資とうしおこなうことがおもであり、にゅうがえはさほどおこなわれなかったことが実態じったいであろう。今後こんご保有ほゆうヘッジファンドの見直みなおしは、既存きそん保有ほゆう株式かぶしき債券さいけんファンド同様どうよう実践じっせんすることを余儀よぎなくされることは必至ひっしである。企業きぎょう年金ねんきんは、再度さいど保有ほゆうファンドの定性ていせい定量ていりょう評価ひょうかくわえて、解約かいやく条件じょうけんとう基本きほんてき事項じこうについても認識にんしきすべきものとかんがえる。

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