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人口減少は始まったか~決め手は生産性~ 2005年12月05日 | 大和総研 | 鈴木 準

人口じんこう減少げんしょうはじまったか~生産せいさんせい

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2005ねん12月05にち

  • 調査ちょうさ本部ほんぶ 常務じょうむ執行しっこう役員やくいん リサーチ担当たんとう 鈴木すずき じゅん
人口じんこう動態どうたい統計とうけい速報そくほうによると、2005ねん1~6がつ累計るいけい自然しぜん増加ぞうかすう(=出生しゅっしょうすう死亡しぼうすう)は▲31,034にんだった。このことが8がつ下旬げじゅん報道ほうどうされて以降いこう、「今年ことし前半ぜんはん人口じんこうは3まんにんった」「人口じんこう減少げんしょう政府せいふ予測よそくより2ねんはやはじまった」といういいまわしが、人口じんこう問題もんだい話題わだいにする論考ろんこう会合かいごうでの枕詞まくらことばとなっている。

ただし、今年ことし春先はるさき特殊とくしゅ要因よういんによって死亡しぼうすううえれた。また、なつには死亡しぼうすう減少げんしょうするぶしせいがあり、例年れいねんなつからあきにかけては自然しぜん増加ぞうかすう年間ねんかん累計るいけい徐々じょじょ改善かいぜんするパターンを辿たどる。実際じっさい公表こうひょうみの9がつぶんまでをみると、2005ねん1~9がつ累計るいけい自然しぜん増加ぞうかすうは8,065にん増加ぞうかてんじている。国際こくさいてき人口じんこう移動いどうである社会しゃかい増減ぞうげんもプラスとみれば、今年ことしから人口じんこうはじめたかくりつひくい。

そもそも、統計とうけい推計すいけいには誤差ごさがつきものである。なんねん人口じんこうのピークとなるかをろんじることにほとんど意味いみはない。人口じんこう減少げんしょうという歴史れきしてき転換てんかんてん付近ふきん我々われわれっていることは確実かくじつなのだから、それが1~2ねん前後ぜんごしたことをあげつらうのではなく、人口じんこう減少げんしょう社会しゃかいをいかにのりこえていくかを建設けんせつてき議論ぎろんすべきだろう。

あかるい人口じんこう減少げんしょう高齢こうれい社会しゃかい実現じつげんするためには、いくつかの課題かだいがある(ご関心かんしんのあるほうは、原田はらだやすし鈴木すずきじゅんちょ人口じんこう減少げんしょう社会しゃかいこわくない』日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、2005ねん12月刊げっかん参照さんしょうされたい)。なかでも、重要じゅうようなのは生産せいさんせい向上こうじょうである。巷間こうかんでは「生産せいさん年齢ねんれい人口じんこう減少げんしょうすると経済けいざい供給きょうきゅうりょく当然とうぜん低下ていかする」「人口じんこう減少げんしょうすると消費しょうひ需要じゅよう確実かくじつ縮小しゅくしょうする」というおもみがあるようである。しかし、生産せいさん消費しょうひがマクロではもちろん、人口じんこう1にんたりで増加ぞうかした(生活せいかつ水準すいじゅんたかまった)のは、生産せいさんせい向上こうじょうし、また、需要じゅよう中身なかみ価値かちたかいものにえてきたからである。

は、世界せかい122カ国かこくの1980~2003ねんについて、労働ろうどう生産せいさんせい変化へんかよこじくに、就業しゅうぎょうしていないひとふくめた人口じんこう1にんたりGDPの変化へんかたてじくにとったものである。傾向けいこうせんかたむきはほぼ1だから、労働ろうどう生産せいさんせいが1%上昇じょうしょうする経済けいざいでは、人口じんこう1にんたりGDPも1%増加ぞうかする関係かんけいしめされている。また、回帰かいきしき説明せつめいりょくあらわ決定けってい係数けいすうやく0.95だから、人口じんこう1にんたりGDPの変化へんか労働ろうどう生産せいさんせい変化へんかによって95%が説明せつめいできるということを意味いみする。生活せいかつ水準すいじゅん向上こうじょう生産せいさんせいであり、労働ろうどうりょく人口じんこうといった頭数とうすうではないのである。

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