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アジアにおけるエネルギー事業の新たな動き 2005年12月29日 | 大和総研 | 瀬越 雄二

アジアにおけるエネルギー事業じぎょうあらたなうご

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2005ねん12月29にち

  • せらこし 雄二ゆうじ
エネルギー産業さんぎょう変貌へんぼう国際こくさい

近年きんねん、EUの市場いちば統合とうごう前例ぜんれいとして、ひがしアジアの市場いちば緊密きんみつかか政府せいふあいだまたは民間みんかんベースの活動かつどうさかんである。他方たほうアジアには、EU以上いじょうに、国家こっかあいだ経済けいざい格差かくさ政治せいじ体制たいせい地理ちりてき条件じょうけん言語げんご文化ぶんか宗教しゅうきょう歴史れきしとう、さまざまな相違そうい存在そんざいしている。多様たようせいのアジアといわれるゆえんである。

このアジアの多様たようせいにもかかわらず、こくあいだまたは多数たすうこくあいだのFTA、EPA(※1)締結ていけつ域内いきない国際こくさい分業ぶんぎょう経済けいざいはじめとして多方面たほうめんにおける相互そうご依存いぞん関係かんけい緊密きんみつ拍車はくしゃけている。アジアてき多様たようせいは、域内いきない諸国しょこくにおける通商つうしょう関係かんけい緊密きんみつ深化しんかするにつれて、あらたな国際こくさいてき通商つうしょうルールの模索もさくはじめている。これが、ひがしアジアの市場いちば統合とうごうかかうごきであり、2004ねんがつASEANあせあん+3(にちちゅうかん)エネルギー大臣だいじん会合かいごうにおいて提唱ていしょうされた「アジア・エネルギー・パートナーシップ」もこのいちれいといえる(※2)

国際こくさいエネルギーシステムの実現じつげんとわがくにエネルギー産業さんぎょう

資源エネルギしげんえねるぎちょう主催しゅさいする「エネルギー関連かんれん産業さんぎょうのアジア展開てんかいかんする研究けんきゅうかい」(以下いかどう研究けんきゅうかい)のなかあいだ報告ほうこく平成へいせい17ねんがつ30にち公表こうひょう)によると、安定あんていてきでかつ効率こうりつてきなエネルギー供給きょうきゅう基盤きばんである国際こくさいエネルギーシステムをアジアに構築こうちくするには、だいいちに、アジア各国かっこく国益こくえき追求ついきゅうはしるのではなく、政策せいさく協調きょうちょう必要ひつようであり、だいに、市場いちば原理げんりもとづき民間みんかん企業きぎょう主役しゅやくとなり、政府せいふ環境かんきょう整備せいび支援しえんするという官民かんみん協調きょうちょうがたプロジェクトの推進すいしん要請ようせいされている。

事業じぎょう領域りょういきとしては、近年きんねん地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうし観点かんてんからエネルギー問題もんだい環境かんきょう問題もんだい不可分ふかぶんとの認識にんしきもとづき、9分野ぶんや列挙れっきょされている(下表かひょう参照さんしょう)。これらの事業じぎょう領域りょういきはすべて、わがくに技術ぎじゅつノウハウのてんつよみをち、ホストこくにもエネルギー環境かんきょう政策せいさく観点かんてんからいインパクトをあたえ、かつ、わがくににも経済けいざいてきメリットがあるとみとめられるものである。この9事業じぎょう領域りょういき市場いちば規模きぼについてはいまだ公式こうしき試算しさん結果けっかはないが、2)「しょうエネ事業じぎょう」だけでも、アジア7ヵ国かこく(※3)市場いちば規模きぼは5ちょう5,862おくえん試算しさんされている(※4)

従来じゅうらい一部いちぶ例外れいがいのぞき、わがくにのエネルギー産業さんぎょうまたはエネルギー関連かんれん産業さんぎょう国内こくないてき性格せいかくつよ産業さんぎょうであったが、今後こんご、この膨大ぼうだい市場いちばへの進出しんしゅつ期待きたいされている。わが国産こくさん業界ぎょうかい上記じょうき事業じぎょう領域りょういきにおいて活動かつどうするさいには、ホストこくとわがくに双方そうほう有益ゆうえきとなるWIN-WIN関係かんけい構築こうちく不可欠ふかけつとなる。

(※1)FTA:自由じゆう貿易ぼうえき協定きょうてい
EPA:経済けいざい連携れんけい協定きょうてい
(※2) どう会合かいごう指摘してきするアジアが直面ちょくめんしている問題もんだいとは、エネルギー需要じゅよう量的りょうてき拡大かくだい環境かんきょう負荷ふか増大ぞうだい石油せきゆ依存いぞん中東ちゅうとう依存いぞん増大ぞうだい国際こくさい分業ぶんぎょう体制たいせい変化へんかとエネルギー効率こうりつ悪化あっかす。
(※3)日本にっぽん中国ちゅうごく、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
(※4)日本にっぽんは97年度ねんど、それ以外いがいくには02ねんのデータ。


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