(Translated by https://www.hiragana.jp/)
日本版ISAは普及するのか 2010年04月13日 | 大和総研 | 鳥毛 拓馬

日本にっぽんばんISAは普及ふきゅうするのか

RSS

2010ねん04がつ13にち

3月31にちに2010年度ねんど改正かいせい税法ぜいほう公布こうふされた。金融きんゆう証券しょうけん税制ぜいせいかんしては、いわゆる日本にっぽんばんISA(※1)非課税ひかぜい口座こうざない少額しょうがく上場じょうじょう株式かぶしきとうかか配当はいとう所得しょとくおよ譲渡じょうと所得しょとくとう非課税ひかぜい措置そち)の詳細しょうさい明記めいきされ、上場じょうじょう株式かぶしき配当はいとうなどや譲渡じょうとえきなどにたいする税率ぜいりつ現在げんざいの10%から20%にげられる2012ねんに、導入どうにゅうされることとなった。

日本にっぽんばんISAとは、証券しょうけん会社かいしゃなどに開設かいせつされた非課税ひかぜい口座こうざ管理かんりされている上場じょうじょう株式かぶしき公募こうぼ株式かぶしき投資とうし信託しんたくなどのうち、非課税ひかぜい口座こうざ開設かいせつしたとしから10ねんない支払しはらいける配当はいとう分配ぶんぱいきん譲渡じょうとえきかんして、非課税ひかぜいとなる制度せいどである。

非課税ひかぜい口座こうざ開設かいせつできるのは、まん20さい以上いじょうものであり、2012ねんから2014ねんまでの3年間ねんかんにわたって、1にんにつき年間ねんかん口座こうざを、毎年まいとしことなる金融きんゆう機関きかん開設かいせつできる。

取得しゅとくがく合計ごうけいが100まんえんたっするまでの新規しんき投資とうしたいして非課税ひかぜいとなる。したがって、3年間ねんかん最大さいだい300まんえんまでの新規しんき投資とうし非課税ひかぜいとなることになる。

日本にっぽんばんISAは、すでぜん政権せいけん公表こうひょうした2009年度ねんど税制ぜいせい改正かいせい大綱たいこう明記めいきされていたものであり、そこでは非課税ひかぜい投資とうし限度げんどがくについて2012 ねんから5 年間ねんかん合計ごうけい500まんえんとされていた。

しかし、改正かいせい税法ぜいほうでは、3年間ねんかん合計ごうけい300まんえんとされた。個人こじん投資とうし上場じょうじょう株式かぶしきとうへの長期ちょうき投資とうし促進そくしんする制度せいどとして、効果こうかがあるかかを検証けんしょうするため、試験しけんてき意味合いみあいもあり、3年間ねんかん短縮たんしゅくされたようである。

一方いっぽうで、この日本にっぽんばんISAについてはいくつかの課題かだい指摘してきされている。

まず、非課税ひかぜい口座こうざない上場じょうじょう株式かぶしきとう譲渡じょうとそんしょうじても、非課税ひかぜい口座こうざ以外いがい口座こうざ上場じょうじょう株式かぶしきとう配当はいとうとう譲渡じょうとえきとの通算つうさんはできないが、口座こうざ開設かいせつ10ねん経過けいか損失そんしつしょうじていれば、口座こうざ株式かぶしきとう譲渡じょうとそん損益そんえき通算つうさん可能かのうになる。この場合ばあい原価げんか管理かんり必要ひつようとなるが、何時いつ時点じてんでの取得しゅとく価額かがく基準きじゅんにするのかという問題もんだいがある。

さらに、非課税ひかぜい口座こうざ開設かいせつするためには、事前じぜん税務ぜいむ当局とうきょく申請しんせいして、「非課税ひかぜい口座こうざ開設かいせつ確認かくにんしょ」の交付こうふけなければならない。これは、年間ねんかんいちにんいち口座こうざとなることを徹底てっていするためにもとめられるものであるが、税務ぜいむ当局とうきょく確認かくにんにはある程度ていど時間じかんがかかるものとかんがえられるので、投資とうしにとっては機動きどうてき取引とりひきおこなえない可能かのうせいもあるとされる。なんらかの番号ばんごう制度せいどなどを導入どうにゅうするなどにより、手続てつづきを簡略かんりゃくすることも検討けんとう課題かだいとなるであろう。

制度せいど導入どうにゅうされる2012ねんまで時間じかんはある。

個人こじん投資とうし証券しょうけん市場いちば参加さんかし、「貯蓄ちょちくから投資とうしへ」のながれを促進そくしんするという政策せいさく目的もくてき達成たっせいできる制度せいどとなるかかについて、まだ検討けんとうする余地よちはあるものとおもわれる。

(※1)英国えいこくのISA(Individual Savings Accounts : 個人こじん貯蓄ちょちく口座こうざ)をしたため日本にっぽんばんISAとばれる。

このコンテンツの著作ちょさくけんは、株式会社かぶしきがいしゃ大和やまと総研そうけん帰属きぞくします。著作ちょさくけんほうじょう転載てんさい翻案ほんあん翻訳ほんやく要約ようやくとうは、大和総研だいわそうけん許諾きょだく必要ひつようです。大和総研だいわそうけん許諾きょだくがない転載てんさい翻案ほんあん翻訳ほんやく要約ようやく、および法令ほうれいしたがわない引用いんようとうは、違法いほう行為こういです。著作ちょさくけん侵害しんがいとう行為こういには、法的ほうてき手続てつづきをおこなうこともあります。また、掲載けいさいされている執筆しっぴつしゃ所属しょぞく肩書かたがきは現時点げんじてんのものとなります。

執筆しっぴつしゃ紹介しょうかい

金融きんゆう調査ちょうさ

金融きんゆう調査ちょうさ部長ぶちょう とり 拓馬たくま

最新さいしんのレポート・コラム