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第221回日本経済予測 2024年05月22日 | 大和総研 | 熊谷 亮丸 | 神田 慶司 | 佐藤 光 | 末吉 孝行 | 吉田 亮平 | 久後 翔太郎 | 山口 茜 | 田村 統久 | 岸川 和馬 | 中村 華奈子 | 石川 清香 | 島本 高志

だい221かい日本にっぽん経済けいざい予測よそく

賃上ちんあげ・物価高ぶっかだかさきにある経済けいざい姿すがた課題かだいは?①賃上ちんあ効果こうか、②貿易ぼうえきデジタル赤字あかじ、③トランプリスク、を検証けんしょう

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2024ねん05がつ22にち

サマリー

  1. 実質じっしつGDP成長せいちょうりつ見通みとおし:24年度ねんど+1.0%、25年度ねんど+1.4%ほん予測よそくのメインシナリオにおける実質じっしつGDP成長せいちょうりつは24年度ねんど+1.0%、25年度ねんど+1.4%(暦年れきねんベースでは24ねん+0.4%、25ねん+1.7%)と見込みこむ。春闘しゅんとう賃上ちんありつ大幅おおはばげもあり、実質じっしつ賃金ちんぎん前年ぜんねんは24ねん7-9がつにプラス転換てんかんするだろう。定額ていがく減税げんぜい自動車じどうしゃ挽回ばんかい生産せいさん、インバウンド需要じゅよう増加ぞうか高水準こうすいじゅん家計かけい貯蓄ちょちく、シリコンサイクルの回復かいふくなどが日本にっぽん経済けいざいしたささえ・げるとみられる。海外かいがい経済けいざいしたれリスクにはつづ細心さいしん注意ちゅうい必要ひつようで、国内こくない金利きんりうえれやえんだか急速きゅうそく進行しんこう可能かのうせいもある。
  2. 日銀にちぎん政策せいさく日銀にちぎん経済けいざい物価ぶっか情勢じょうせい注視ちゅうししつつ、ゆるやかなペースで追加ついか利上りあげを実施じっしするだろう。メインシナリオでは24ねん10-12月短期たんき金利きんりを0.25%にげ、25ねん以降いこうとし0.50%(とし2かい)のペースで利上りあげをおこなうと想定そうていしている。えんやす進行しんこう物価ぶっかうえれリスクがたかまった場合ばあい国債こくさい購入こうにゅうペースの柔軟じゅうなんまたは購入こうにゅうがく減額げんがくつうじ、長期ちょうき金利きんり上昇じょうしょうさせるとみている。
  3. 論点ろんてん①:実質じっしつ賃金ちんぎん加速かそく効果こうか消費しょうひなやみは、インフレと労働ろうどう分配ぶんぱいりつ低下ていかによって実質じっしつ可処分かしょぶん所得しょとく減少げんしょうしているためだ。だが、物価ぶっか上昇じょうしょう賃金ちんぎんへの転嫁てんかりつは0.94程度ていどたかまっており、労働ろうどう分配ぶんぱいりつ長期ちょうき平均へいきんの50%近傍きんぼうまで低下ていかした。実質じっしつ賃金ちんぎん水準すいじゅんはすでにそこちした可能かのうせいもある。実質じっしつ賃金ちんぎんが1%増加ぞうかすれば消費しょうひは0.5%増加ぞうかすると試算しさんされるが、足元あしもとかぶだか影響えいきょう加味かみすれば消費しょうひは0.9%程度ていど増加ぞうかする可能かのうせいもあろう。所得しょとく弾性だんせい耐久たいきゅうざい消費しょうひが0.8、サービス消費しょうひが1.1程度ていどで、これらを中心ちゅうしん消費しょうひびが期待きたいされる。
  4. 論点ろんてん②:貿易ぼうえき・サービス収支しゅうしかかえる「5つの構造こうぞうてき課題かだい日本にっぽん構造こうぞうてき貿易ぼうえき・サービス赤字あかじ背景はいけい整理せいりすると、①電気でんき機械きかい中心ちゅうしんとした国際こくさい競争きょうそうりょく低下ていか、②産業さんぎょう空洞くうどうたいにち直接ちょくせつ投資とうし停滞ていたい、③デジタル関連かんれん中心ちゅうしんとした輸入ゆにゅう依存いぞんたかまり、④エネルギー価格かかく高騰こうとう原発げんぱつ停止ていし、がある。さらに貿易ぼうえき構造こうぞう脆弱ぜいじゃくせいかんするリスクとして、⑤輸出入ゆしゅつにゅう両面りょうめんでの中国ちゅうごく依存いぞんたかさ、も指摘してきできる。貿易ぼうえき・サービス収支しゅうし中長期ちゅうちょうきてき赤字あかじ基調きちょうつづき、赤字あかじはば拡大かくだいする見込みこみだ。収支しゅうし構造こうぞう強靱きょうじん国際こくさい競争きょうそうりょく維持いじ強化きょうかけて、上記じょうきの5つの課題かだい政策せいさく対応たいおうする必要ひつようがある。
  5. 論点ろんてん③:「トランプ・リスク」をどうみるかべい大統領だいとうりょうせんではトランプ優勢ゆうせいつたえられ、「トランプ・リスク」が話題わだいとなっている。かりに、関税かんぜいげや移民いみん規制きせいとうかんする同氏どうし主張しゅちょう実現じつげんする場合ばあい米国べいこく経済けいざいめん影響えいきょう試算しさんすると最大さいだいでGDPが▲3.40%、インフレりつが+2.75%ptとおおきくなるおそれがある。前回ぜんかいトランプ政権せいけん実績じっせき減税げんぜいへの期待きたいなどから一部いちぶ楽観らっかんムードもあるものの、今回こんかい主張しゅちょうされている関税かんぜいとう経済けいざいへの影響えいきょう前回ぜんかい政権せいけんよりもおおきくなるとみられ、注意ちゅうい必要ひつようだ。

おも前提ぜんてい条件じょうけん
(1)名目めいもく公共こうきょう投資とうし:24年度ねんど+2.6%、25年度ねんど+2.3%
(2)為替かわせレート:24年度ねんど156.0えん/㌦、25年度ねんど156.3えん/㌦
(3)原油げんゆ価格かかく(WTI):24年度ねんど80.1ドル/バレル、25年度ねんど79.8ドル/バレル
(4)米国べいこく実質じっしつGDP成長せいちょうりつ暦年れきねん):24ねん+2.5%、25ねん+2.0%

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