総量規制が適用されない場合について【貸金業界の状況】

2 総量そうりょう規制きせいにかかわらず、お借入かりいれできる貸付かしつけの契約けいやくがあります

総量そうりょう規制きせいになじまない貸付かしつけ（総量そうりょう規制きせいの「除外じょがい貸付かしつけ」）や、顧客こきゃくの利益りえきの保護ほごに支障ししょうを生しょうずることがない貸付かしつけ（総量そうりょう規制きせいの「例外れいがい貸付かしつけ」）については、たとえ、年収ねんしゅう3分ぶんの1を超こえても返済へんさい能力のうりょくがあると認みとめられれば貸金かしきん業者ぎょうしゃから借入かりいれすることができます。

解説かいせつ

総量そうりょう規制きせいの「除外じょがい貸付かしつけ」に分類ぶんるいされる契約けいやく

次つぎの貸付かしつけは、総量そうりょう規制きせいになじまない貸付かしつけとして、総量そうりょう規制きせいの「除外じょがい貸付かしつけ」に分類ぶんるいされます。総量そうりょう規制きせいにかかわらず借入かりいれが可能かのうで、借入かりいれ額がくが借入かりいれ残高ざんだかに算入さんにゅうされないため、その後ごの借入かりいれには影響えいきょうを与あたえません。

①不動産ふどうさん購入こうにゅうのための貸付かしつけ（いわゆる住宅じゅうたくローン）
②自動車じどうしゃ購入こうにゅう時じの自動車じどうしゃ担保たんぽ貸付かしつけ（いわゆる自動車じどうしゃローン）
③高額こうがく療養りょうよう費ひの貸付かしつけ
④有価ゆうか証券しょうけんを担保たんぽとする貸付かしつけ
⑤不動産ふどうさん（個人こじん顧客こきゃくまたは担保たんぽ提供ていきょう者しゃの居宅きょたくなどを除のぞく）を担保たんぽとする貸付かしつけ
⑥売却ばいきゃく予定よてい不動産ふどうさんの売却ばいきゃく代金だいきんにより返済へんさいされる貸付かしつけ

など

総量そうりょう規制きせいの「例外れいがい貸付かしつけ」に分類ぶんるいされる契約けいやく

次つぎの貸付かしつけは、顧客こきゃくの利益りえきの保護ほごに支障ししょうを生しょうずることがない貸付かしつけとして、総量そうりょう規制きせいの「例外れいがい貸付かしつけ」に分類ぶんるいされます。総量そうりょう規制きせいにかかわらず借入かりいれは可能かのうですが、借入かりいれ額がくが借入かりいれ残高ざんだかに算入さんにゅうされますので、借入かりいれ残高ざんだかが総量そうりょう規制きせいの基準きじゅんを超過ちょうかした場合ばあい、その後ご、「除外じょがい貸付かしつけ」や「例外れいがい貸付かしつけ」を除のぞいて借入かりいれができなくなります。

①顧客こきゃくに一方いっぽう的てきに有利ゆうりとなる借換かりかえ
②借入かりいれ残高ざんだかを段階だんかい的てきに減少げんしょうさせるための借換かりかえ
③顧客こきゃくやその親族しんぞくなどの緊急きんきゅうに必要ひつようと認みとめられる医療いりょう費ひを支払しはらうための資金しきんの貸付かしつけ
④社会しゃかい通念つうねん上じょう緊急きんきゅうに必要ひつようと認みとめられる費用ひようを支払しはらうための資金しきん（10万まん円えん以下いか、3か月げつ以内いないの返済へんさいなどが要件ようけん）の貸付かしつけ
⑤配偶はいぐう者しゃと併あわせた年収ねんしゅう3分ぶんの1以下いかの貸付かしつけ（配偶はいぐう者しゃの同意どういが必要ひつよう）
⑥個人こじん事業じぎょう者しゃに対たいする貸付かしつけ（事業じぎょう計画けいかく、収支しゅうし計画けいかく、資金しきん計画けいかくにより、返済へんさい能力のうりょくを超こえないと認みとめられる場合ばあい）
⑦新あらたに事業じぎょうを営いとなむ個人こじん事業じぎょう者しゃに対たいする貸付かしつけ（要件ようけんは、上記じょうき⑥と同様どうよう。）
⑧預金よきん取扱とりあつかい金融きんゆう機関きかんからの貸付かしつけを受うけるまでの「つなぎ資金しきん」に係かかる貸付かしつけ（貸付かしつけが行おこなわれることが確実かくじつであることが確認かくにんでき、1か月げつ以内いないの返済へんさいであることが要件ようけん）

Ｑ＆Ａきゅーあんどえーで理解りかいを深ふかめよう

Q1
総量そうりょう規制きせいの「除外じょがい貸付かしつけ」、「例外れいがい貸付かしつけ」には具体ぐたい的てきにどのような借入かりいれの契約けいやくがありますか？

A1
「除外じょがい」に分類ぶんるいされる契約けいやくは、定型ていけい的てきに貸付かしつけ金額きんがくが高額こうがくであることが多おおく、もともと「年収ねんしゅう3分ぶんの1基準きじゅん」を適用てきようするのが不ふ適当てきとうな契約けいやく類型るいけいを指さします。総量そうりょう規制きせいは適用てきようされません。
これに対たいし、「例外れいがい」に分類ぶんるいされる契約けいやくは、返済へんさい能力のうりょくに問題もんだいがない場合ばあい、または借入かりいれの必要ひつよう性せい・緊急きんきゅう性せいが高たかい場合ばあいに、年収ねんしゅうの3分ぶんの1を超こえることとなる貸付かしつけが例外れいがい的てきに許ゆるされる契約けいやく類型るいけいを指さします。この貸付かしつけが行おこなわれた場合ばあい、その後ごの貸付かしつけは「除外じょがい」「例外れいがい」を除のぞいて総量そうりょう規制きせいの対象たいしょうになります。
なお、「除外じょがい貸付かしつけ」、「例外れいがい貸付かしつけ」に該当がいとうする契約けいやくは上記じょうきの解説かいせつに示しめしているとおりです。

Q2
「おまとめローン」で金利きんりが有利ゆうりな貸金かしきん業者ぎょうしゃにローンを一本いっぽん化かしたいのですが、貸金かしきん業者ぎょうしゃの「おまとめローン」には総量そうりょう規制きせいが適用てきようされるのですか？

A2
複数ふくすうの借入かりいれを一本いっぽん化かする、いわゆる「おまとめローン」は、法令ほうれいが規定きていする一定いっていの条件じょうけんを満みたせば、「顧客こきゃくに一方いっぽう的てき有利ゆうりとなる借換かりかえ」として総量そうりょう規制きせいの「例外れいがい貸付かしつけ」に該当がいとうし、貸金かしきん業者ぎょうしゃから年収ねんしゅうの３分ぶんの１を超こえて利用りようできる場合ばあいがあります。

総量そうりょう規制きせいの「例外れいがい貸付かしつけ」に該当がいとうする「借換かりかえ」であるための条件じょうけん
（一部いちぶ・概要がいよう）

（1）借換かりかえの対象たいしょうとなる債務さいむは、貸金かしきん業者ぎょうしゃからの借入かりいれ債務さいむ全般ぜんぱん。銀行ぎんこうからの借入かりいれ債務さいむや、親族しんぞく・知人ちじんなどからの借入かりいれ債務さいむは対象たいしょうになりません。
（2）「借換かりかえ後ご」の金利きんりが、借換かりかえ前まえの金利きんりを上回うわまわらない。
（3）返済へんさい方法ほうほうは、約定やくじょうに基もとづく返済へんさいにより段階だんかい的てきに残高ざんだかを減へらしていくことを要件ようけんとする。
（4）１か月げつの負担ふたん額がくについて、借換かりかえ後ごの負担ふたん額がくが、借換かりかえ前まえの負担ふたん額がくを上回うわまわらない。
（5）担保たんぽ・保証ほしょうに係かかる要件ようけんについて、借換かりかえ後ごの条件じょうけんが、借換かりかえ前まえの条件じょうけんより厳きびしくならない。

ご利用りようにあたっては、「おまとめローン」を取扱とりあつかっている貸金かしきん業者ぎょうしゃにご相談そうだんください。

Q3
個人こじん事業じぎょう者しゃですが、総量そうりょう規制きせいのもとで、貸金かしきん業者ぎょうしゃからどのような借入かりいれができますか？

A3
個人こじん事業じぎょう者しゃの方ほうは、以下いかの2つの方法ほうほうのどちらでも、貸金かしきん業者ぎょうしゃからの借入かりいれが可能かのうです。

【事業じぎょう資金しきんの借入かりいれ】個人こじん事業じぎょう者しゃが事業じぎょう資金しきんなどの借入かりいれのため、事業じぎょう・収支しゅうし・資金しきん計画けいかくを提出ていしゅつし、返済へんさい能力のうりょくがあると認みとめられる場合ばあいには、上限じょうげん金額きんがくに特段とくだんの制約せいやくなく、貸金かしきん業者ぎょうしゃからの借入かりいれが可能かのうです。この事業じぎょう計画けいかく等とうに最低限さいていげん記載きさいすべき事項じこうについて、簡素かんそなフォーマット（「借入かりいれ計画けいかく書しょ」）が明示めいじされています（日本にっぽん貸金かしきん業ぎょう協会きょうかいの自主じしゅ規制きせい基本きほん規則きそく）。
さらに、借入金かりいれきん額がくが100万まん円えん以下いかの場合ばあいには、上記じょうきの事業じぎょう計画けいかく等とうの提出ていしゅつに代かえて、事業じぎょう・収支しゅうし・資金繰しきんぐりの状況じょうきょうが確認かくにんできる書面しょめんを提出ていしゅつすることにより、借入かりいれすることができます。【消費しょうひ者しゃとしての資金しきん用途ようと（教育きょういく資金しきん、レジャーなどの資金しきん）の借入かりいれ】個人こじん事業じぎょう者しゃの事業じぎょう所得しょとく（※）のうち、安定あんてい的てきな収入しゅうにゅうとして認みとめられるものについては、総量そうりょう規制きせいの基準きじゅんとなる「年収ねんしゅう」として、年収ねんしゅうの3分ぶんの1まで借入かりいれすることができます。なお、その際さいには別途べっと、事業じぎょう所得しょとくに関かんする証明しょうめい書しょ（確定かくてい申告しんこく書しょなど）が必要ひつようとなる場合ばあいがあります。
（※）事業じぎょう所得しょとくとは、総そう収入しゅうにゅう金額きんがくから必要ひつよう経費けいひを控除こうじょした額がくをいいます。

Q4
パートの主婦しゅふです。年収ねんしゅうの3分ぶんの1では貸金かしきん業者ぎょうしゃから希望きぼうの額がくの借入かりいれができそうにありません。何なにか良よい方法ほうほうがありますか？

A4
配偶はいぐう者しゃの同意どういを得える必要ひつようがありますが、借入かりいれ本人ほんにんと配偶はいぐう者しゃの収入しゅうにゅうを合算がっさんして、その3分ぶんの1までの借入かりいれを可能かのうとする「配偶はいぐう者しゃ貸付かしつけ」という総量そうりょう規制きせいの「例外れいがい」制度せいどがあります。①配偶はいぐう者しゃの収入しゅうにゅうを証明しょうめいする書類しょるい、②夫婦ふうふ間あいだの身分みぶん関係かんけいを証明しょうめいする公的こうてき書類しょるい（住民じゅうみん票ひょう・戸籍こせき抄本しょうほんなど）、③配偶はいぐう者しゃ貸付かしつけを締結ていけつすることについての配偶はいぐう者しゃの同意どうい書しょ、④指定してい信用しんよう情報じょうほう機関きかんへの信用しんよう情報じょうほうの提供ていきょうなどに関かんする配偶はいぐう者しゃの同意どうい書しょを提出ていしゅつすることが必要ひつようです。

例たとえば、夫おっとの年収ねんしゅうが250万まん円えん、妻つまの年収ねんしゅうが50万まん円えんの場合ばあい、妻つまは夫おっと（配偶はいぐう者しゃ）の年収ねんしゅうと合あわせて、300万まん円えんの3分ぶんの1、すなわち上限じょうげん100万まん円えんの借入かりいれが可能かのうです。この場合ばあい、仮かりに妻つまが100万まん円えんの借入かりいれをしますと、夫おっとは貸金かしきん業者ぎょうしゃからの借入かりいれが制限せいげんされることになります。

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