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- 試合に敗れ取材に応じる井岡(撮影・垰建太)
<プロボクシング:WBA、IBF世界スーパーフライ級王座統一12回戦>◇7日◇東京・両国国技館◇観衆4235人
WBA王者井岡一翔(35=志成)が約5年7カ月ぶりの黒星を喫し、王座を陥落した。無敗のIBF王者フェルナンド・マルティネス(32=アルゼンチン)と2団体王座統一戦に臨んだものの、0-3の判定。18年大みそかのドニー・ニエテス(フィリピン)とのWBO世界同級王座決定戦以来の負けを味わった。プロデビューから15年の区切りイヤー初戦を飾れず、悔し涙を流した。35歳の井岡には試練となる1敗で、今後について「考えられない」と態度を保留した。
判定負け後、控室に戻った井岡は関係者にあいさつしながら悔し涙を流した。応援に駆けつけた愛息を抱きかかえ、気持ちを落ち着かせたものの「1回、1回、全身全霊で戦った。戦いに手応えを感じていた。判定は考えていなかった。負けは負け。それは泣きますよ」と唇をかんで率直な心境を口にした。
接近戦を得意とし、手数も多く攻めるマルティネスに対し、1回から手応え十分の左ボディーをねじ込んだ。「絶妙なタイミングで左ボディーが入った。効いて(マルティネスが)しゃがむか、しゃがみ込まないかのところが分かれ目。あそこが1番の大きな分かれ目だったのかな」。勢いあるIBF王者にボディー攻撃を警戒されながらも、最後までボディー打ちにこだわって接近戦を仕掛けたが、判定結果は無情だった。
ジャッジ3人のうち、1人がマルティネスにフルマーク支持という完敗の採点となった。「倒すつもりで戦っていたので、12回全体で見ていなかった。応援していただいた方に結果で恩返しできなかった。結果は残念だったが、1回1回やって12回を戦い貫いた。今はその気持ち」と表情を曇らせた。
プロデビュー15年の区切りで迎えた初めての世界戦は苦しい船出となった。お互いに対戦を希望していたWBC世界同級王者ジェシー・ロドリゲス(24=米国)との統一戦は遠のいた。「今は終わったばかりなので、何も考えられない。タイトルがなくなって、計画したことが白紙になって考えようがない」と慎重に言葉を選んだ。
マルティネス陣営からは条件次第で再戦希望を受け入れる姿勢を示されているが、今後については保留した。スーパーフライ級で再起するか、それとも日本男子初の5階級制覇を目指してバンタム級に転向するのか。35歳となった井岡の決断を待つしかない。【藤中栄二】
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