(Translated by https://www.hiragana.jp/)
第42回:あるバイパー乗りのコルベット評(後編) 【バイパーほったの ヘビの毒にやられまして】 - webCG クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

だい42かい:あるバイパーりのコルベットひょう後編こうへん

2021.08.28 バイパーほったの ヘビのどくにやられまして 堀田ほった つよし
ミドシップになってもコルベットはコルベット! webCG編集へんしゅうきってのアメリカしゃきが、新型しんがた「シボレー・コルベット」へのおもいをかたる。
ミドシップになってもコルベットはコルベット! webCG編集部きってのアメリカ車好きが、新型「シボレー・コルベット」への思いを語る。拡大かくだい

MRにDCTの搭載とうさい、そしてみぎハンドルの設定せっていと、話題わだい事欠ことかかない新型しんがた「シボレー・コルベット」。しかし、そもそもこのクルマの魅力みりょくは、そとこえにおもねらないドメスティックな存在そんざいかんだったはず。C8はコルベットかか? webCG編集へんしゅう唯一ゆいいつのアメリカしゃりが、実車じっしゃれていたおもいをかたる。

某所ぼうしょにて撮影さつえいちゅうの「C8コルベット」。ギョーカイないでもあめおとことして名高なだか編集へんしゅうとカメラマンがタッグをんだだけに、撮影さつえいはごらんとおりの空模様そらもようだった。
某所にて撮影中の「C8コルベット」。ギョーカイ内でも雨男として名高い編集とカメラマンがタッグを組んだだけに、撮影日はご覧の通りの空模様だった。拡大かくだい
「コルベット」史上しじょうはつとなるみぎハンドルの運転うんてんせきまわり。ドライビングポジションは、米国べいこく市場いちばのままであるはずの記者きしゃの「ダッジ・バイパー」より、はるかによくできている(笑)。
「コルベット」史上初となる右ハンドルの運転席まわり。ドライビングポジションは、米国市場のままであるはずの記者の「ダッジ・バイパー」より、はるかによくできている(笑)。拡大かくだい
「C8コルベット」のインテリアデザインスケッチ。記者きしゃおぼえた「ジェット戦闘せんとうみたい(ったことないけど)」という感覚かんかくを、共有きょうゆうできればさいわいである。
「C8コルベット」のインテリアデザインスケッチ。記者が覚えた「ジェット戦闘機みたい(乗ったことないけど)」という感覚を、共有できれば幸いである。拡大かくだい
日本にっぽん仕様しよう発表はっぴょうかいより、助手じょしゅせきがわからたインテリアの。エンターテインメントけいのサムシングが皆無かいむなうえ、センターコンソールのみね槍ヶ岳やりがたけよろしく運転うんてんせき助手じょしゅせき分断ぶんだんしている。車内しゃないでキャッキャウフフしたいひとは、のクルマをえらんだほうが無難ぶなんでしょう。
日本仕様の発表会より、助手席側から見たインテリアの図。エンターテインメント系のサムシングが皆無なうえ、センターコンソールの峰が槍ヶ岳よろしく運転席と助手席を分断している。車内でキャッキャウフフしたい人は、他のクルマを選んだほうが無難でしょう。拡大かくだい

モチーフはジェット戦闘せんとう

前編ぜんぺんもどる)
webCGが日本にっぽん仕様しようのシボレー・コルベットをしたのは、7がつはじめのこと。活字かつじけいウェブメディアのあいだでは、比較的ひかくてきはやいほうだったのではないかとおもう。機械きかいしき駐車ちゅうしゃじょう満杯まんぱいだったため、あめのなかを編集へんしゅうまではしってきたな「3LT」は、地下ちかたいらきスペースに鎮座ちんざましましていた。

わたくし、先行せんこう公開こうかいひだりハンドル仕様しようふくめ、新型しんがたコルベットに(まみ)えるのはこれで3度目どめである。さすがにあたらしい発見はっけんはないかとおもっていたが、おだい照明しょうめいなどの“演出えんしゅつなし”で印象いんしょうは、やっぱりちがった。ハレののC8は、あかるいゆう彩色さいしき似合にあキャなスポーツカーというおもむきだったが、くら地下ちか駐車ちゅうしゃじょうたC8は、「トーチレッド」のボディーカラーがほのかにくすんで、なんというかドスがいていた。このデザインについて「ジェット戦闘せんとう意識いしきした」とかたっていたのは、エグゼクティブチーフエンジニアの“御大おんたい”タッジ・ジェクターだったか? たしかにそんなかんじだ。

んでみても、運転うんてんせきかこうようにはいされたドアコンソールやセンタークラスター、デジタルしきのインターフェイスがいかにも単座たんざジェット機じぇっときである。ただ、あんじょうというかなんというか……このデザイン、助手じょしゅせきがわ疎外そがいかんがハンパない(笑)。先代せんだいの「C7」でもそのはあったが、新型しんがたになって一気いっきにハジけたかんじだ。となりにおれさんをせる御仁ごじんは、自身じしん魅力みりょく車内しゃない空気くうきたせてください。

「……ま、独身どくしんおれには関係かんけいのないことだし」とひとちつつ、ステアリングひだりおくまるいイグニッションスイッチをす(C7はなぜか四角しかくかった)。ずわん! と車体しゃたいらす「LT2」の寝覚ねざめに、これよ、これこれ、これなのよとマツコ・デラックスのように感動かんどうする。「ああ、C8もコルベットであった」とたりまえのことを実感じっかんしつつ、同時どうじにそれが、うしろからつたわってきたのが新鮮しんせんだった。みみと、背中せなかでミドシップをかんじながら、編集へんしゅう出発しゅっぱつする。

シボレー の中古ちゅうこしゃwebCG中古ちゅうこしゃ検索けんさく

アシがわれば心地ごこちわる

駒沢こまざわどおり・山手やまてどおりと渋谷しぶや時計とけいまわり。甲州こうしゅう街道かいどう横切よこぎったらそのまま新宿しんじゅくをスイングバイし、まずはAカメラマンていへとかう。いにしえのアメしゃのイメージが更新こうしんされていない御仁ごじんにおかれては、「早朝そうちょう住宅じゅうたくがいにコルベットで突撃とつげきして大丈夫だいじょうぶ?」なんておもわれるでしょうが、ここ最近さいきんのアメリカしゃは、アクセルをまなければそのいは紳士しんしてきてい回転かいてんいき粛々しゅくしゅくはし理知的りちてきなクルマなのだ。

しかしである。それにしたってC8はマナーがよい。どうしたことかとくびをかしげるまでもなく、これは心地ごこちがスバラシイのだ。ホイールトラベルのちいさなかんじはまさにスポーツカーのそれなのだけど、路面ろめん凹凸おうとつ逐次ちくじなぞるような強情ごうじょうさはないし、段差だんさえてもイタいけいげもなく、デカいタイヤをぶるるんとあまめのあまさもない。ひたすらに、ヒタリと路面ろめんあしをつけてはしる。

そしてやはり、過去かこのコルベットとはちがうクルマなのだなあと実感じっかんする。

みなさんごぞんじのとおり、C7以前いぜんのコルベットは、サスペンションのスプリングにコンポジットリーフを使つかっていた。車体しゃたいをジャッキアップすると、底部ていぶ横断おうだんするデカいいたバネがつりがっていたのである。それもあって、過去かこのコルベットのライドフィールには、のクルマにはられないほのかなツッパリかんよこ方向ほうこうらぎがあった。

それが、新型しんがたにはないのである。これまたみなさんごぞんじのとおり、C8のサスペンションは前後ぜんごダブルウイッシュボーン+コイルスプリング。そりゃああじわって当然とうぜんである。洗練せんれんされたそのいに感嘆かんたんするとともに、ちょっとだけ、あの大陸たいりくてき心地ごこちなつかしくおもす。

目覚めざめのひとほえ(ほ)えはにぎやかな「C8コルベット」だが、アクセルをまなければサウンドはひかえめ。紳士しんしてきにもはしらせられるクルマだ。(写真しゃしん荒川あらかわ正幸まさゆき
目覚めのひと吠(ほ)えはにぎやかな「C8コルベット」だが、アクセルを踏み込まなければサウンドは控えめ。紳士的にも走らせられるクルマだ。(写真:荒川正幸)拡大かくだい
「コルベット」のあしまわりには、4りん独立どくりつ懸架けんか前後ぜんごよこきリーフスプリングという、のクルマにはられないユニークな構造こうぞうもちいられていた。写真しゃしんは「C4」のリーフスプリング。
「コルベット」の足まわりには、4輪独立懸架+前後横置きリーフスプリングという、他のクルマには見られないユニークな構造が用いられていた。写真は「C4」のリーフスプリング。拡大かくだい
よこきのリーフスプリングは、「C2」でシャシーが4りん独立どくりつ懸架けんかとなったのにわせてはつ採用さいようされた。当初とうしょはリアのみだったが、「C4」以降いこう前後ぜんごもちいられることとなる。
横置きのリーフスプリングは、「C2」でシャシーが4輪独立懸架となったのに合わせて初採用された。当初はリアのみだったが、「C4」以降は前後に用いられることとなる。拡大かくだい
2020ねん晩冬ばんとうべいラスベガスでもよおされた試乗しじょうかいにて、会場かいじょう展示てんじされた「C8」のカットモデル。
2020年の晩冬に米ラスベガスで催された試乗会にて、会場に展示された「C8」のカットモデル。拡大かくだい

あめでも安心あんしんして運転うんてんできる

そんなこんなでAカメラマンたく到着とうちゃく前後ぜんごのトランクに機材きざいみ、撮影さつえい現場げんばへと舳先へさき(へさき)をける。ちなみに、C8のミドシップさいしては積載せきさいせい悪化あっか危惧きぐするこえかれたが……これにかんしては、記者きしゃなんともイエマセン。FR時代じだいのズドーンとひろいラゲッジスペースがえてしまったのは事実じじつだが、プロカメラマンの撮影さつえい機材きざいをしっかりんだのもまた事実じじつ。ミドシップのスポーツカーとして存外ぞんがい積載せきさいせいゆうしているのはたしかだろう。になるひとは、おりのゴルフバッグでもって、最寄もよりのシボレーディーラーにあしはこんでみてください。

はなしはしりにもどしますと、この終日しゅうじつうっとうしいはんなつだったのだが、悪条件あくじょうけんしたでもコルベットのいは洗練せんれんきわみだった。操舵そうだフィールはクリアで、かじきはリニア。コーナリングではみずすましのような姿勢しせいのまま、ドライバーのおもうラインをすいすいっとなぞっていく。ブレーキの操作性そうさせいわる文句もんくなしで、はじめでいきなり「へこっ」と制動せいどうがかかるようなデリカシーのないまねはしない。そしてみなさん、「LT2」……古式こしきゆかしきプッシュロッドしきOHVの6.2リッターV8自然しぜん吸気きゅうきですよ。回転かいてんすうたかまるにつれてトルクをしていくこのエンジンもまた、リニアのきわみ。いつまでに、どのぐらいのテンポで、どのぐらいまでパワーをげるかというコントロールが、すごくしやすいのだ。

がいしてC8コルベットは、前後ぜんご左右さゆうのすべての方向ほうこうで、ドライバーの意思いし忠実ちゅうじつうごくクルマだ。った以上いじょうがることも、んだ以上いじょうす/つんのめることもない。だからこそ、500PSきゅうのミドシップのスポーツカーなのに、記者きしゃのようなへっぽこ野郎やろうあめ安心あんしんして運転うんてんしていられるのだろう。いやはや。限界げんかいたかさがどうとか、エレキがどうとかも大事だいじだけどさ、信頼しんらいできるクルマって、こういうもんでしょう。

はあらたまって8がつぼう今度こんどは「コルベット コンバーチブル」をしていた記者きしゃは、前回ぜんかいためせなかったことをやってみることにした。フラットアウトである。

あめ横浜よこはまく「C8コルベット」。500PSきゅうの、ミドシップの、こう駆動くどうのクルマながら、普通ふつうはしっているぶんには不安ふあんかん一切いっさいない。(写真しゃしん荒川あらかわ正幸まさゆき
雨の横浜を行く「C8コルベット」。500PS級の、ミドシップの、後輪駆動のクルマながら、普通に走っているぶんには不安感は一切ない。(写真:荒川正幸)拡大かくだい
トランクルームは前後ぜんごわせ356.8リッター。ミドシップのスポーツカーとしては十分じゅうぶん容量ようりょうだが……FR時代じだい無駄むだなまでの広大こうだいさがなつかしい。
トランクルームは前後合わせ356.8リッター。ミドシップのスポーツカーとしては十分な容量だが……FR時代の無駄なまでの広大さが懐かしい。拡大かくだい
「LT2」とばれる最新さいしんの6.2リッターV8 OHV。ドゥカティのバイクをモチーフにしたというエンジンカバーなど、デザインにも使つかわれている。
「LT2」と呼ばれる最新の6.2リッターV8 OHV。ドゥカティのバイクをモチーフにしたというエンジンカバーなど、デザインにも気が使われている。拡大かくだい
だい排気はいきりょう自然しぜん吸気きゅうきというだけでも貴重きちょうなのに、どうべん機構きこうはプッシュロッドのOHV。ファンとしては、こすわせたくなるほどありがたい(泣)なき
大排気量自然吸気というだけでも貴重なのに、動弁機構はプッシュロッドのOHV。ファンとしては、手を擦り合わせたくなるほどありがたい(泣)。拡大かくだい

スネークダッシュなんかしなくても

アクアラインの料金りょうきんしょ加速かそくで、周囲しゅうい見計みはからってアクセルをんづける。またしても路面ろめんはウエット。トラクションコントロールで加速かそくしぼられるかとおもったのだが、C8は遠慮えんりょがなかった。ナニかのスイッチでもはいっちゃったかのようにLT2がたけびをあげ、車体しゃたいまえされる。覚悟かくごうまかった記者きしゃとKカメラマンは、2人ふたりそろってくびをドカン! とやられたのだった。イテテテテ。

それにしても、この加速かそくかん過去かこのモデルとは異質いしつだ。エンジンのはっするトルクがそのまま推進すいしんりょく変換へんかんされるかんじで、伝達でんたつ過程かていでのロスや、あるいは左右さゆうへのげなどが一切いっさいかんじられない。だいたい、C7でこんなことしたらおしりがムズムズしたもんである。なるほどねえ。……C8はもう、スネークダッシュとか、しないんだね。

かように新型しんがたコルベットは、一介いっかい編集へんしゅう部員ぶいん意地いじわるなにかをためしてみても、そのたびに完成かんせいたかさをおもらされるクルマだった。ドライバーのささやかな操作そうさにも意図いとをすくいとって反応はんのうしてくれるし、なによりLT2の滋味じみふかさである。そのあたりをちんたらはしっているだけでもたのしいし、心地ここちよい。

それでも、それでもである。このおよんでも「FRのコルベットがしくない」とえば、それはうそになる。キャビンのなかをドラシャがぶちき、床下ゆかしたはいかんとおることからくる、とくわれぬ脈動みゃくどうかん。アクセルをかすごとにさぶられる車体しゃたいあつかましいまでのブイハチの存在そんざいかんと、その埓(ほうらつ)ぶりを容認ようにんする、ふところふか制御せいぎょとシャシー設計せっけい。そうした、クルマの性能せいのうとは無関係むかんけいな(モノによってはむしろマイナスな)どーでもいいあれやこれやが、ふとなつかしくおもされるのだ。

ただ、そんな厄介やっかいけいオタクのくもったまなこをとおしてみても、いちのスポーツカーとしてのC8のすばらしさには、疑念ぎねんはさ余地よちはない。それに、「C7の進化しんかばんか?」とわれれば個人こじんてきに「NO!」なC8だが、それでもこのクルマは、たしかにコルベットなのだ。シボレー特有とくゆうのインテリアのにおいに、おなじみのBOSEサウンド、うち外装がいそう色濃いろこくただよう益荒男ますらお(ますらお)ぶりなおもむき。そしてなにより、背中せなかかんじる“ご本尊ほんぞん”LT2の存在そんざいである。えんえんはしつづけるのをにさせないグルーヴかんみたいなものは、C8でもたしかに健在けんざいだった。

C8はアメリカじんがデザインしたフェラーリでも、“スモールブロック”をんだマクラーレンでもない。このクルマを的確てきかくにいいあらわせる形容けいようはやはり、「ミドシップのコルベット」なのである。

スロットルをワイドオープンしてみても、おしりるようなそぶりは一切いっさいせない。アメリカのスポーツカーがヘビおどりをする時代じだいわったのだ……。(写真しゃしん向後こうご一宏かずひろ
スロットルをワイドオープンしてみても、お尻を振るようなそぶりは一切見せない。アメリカのスポーツカーがヘビ踊りをする時代は終わったのだ……。(写真:向後一宏)拡大かくだい
2013ねんから2019ねんまで現役げんえき活躍かつやくした「C7」。「最後さいご(……とまだまったわけではないけれど)のFRコルベット」として、将来しょうらい名車めいしゃ認定にんてい確約かくやくされたクルマである。
2013年から2019年まで現役で活躍した「C7」。「最後(……とまだ決まったわけではないけれど)のFRコルベット」として、将来の名車認定が確約されたクルマである。拡大かくだい
FRの「コルベット」はまもりつつ、MRのあたらしいスポーツカーを開発かいはつすればよかったのに。……というのは、ソロバン勘定かんじょうとは無縁むえんでいられる無責任むせきにんなファンのたわごとなのでしょうね。それはかっているんですけど。
FRの「コルベット」は守りつつ、MRの新しいスポーツカーを開発すればよかったのに。……というのは、ソロバン勘定とは無縁でいられる無責任なファンのたわごとなのでしょうね。それは分かっているんですけど。拡大かくだい
こちらは後日ごじつ取材しゅざいした「コルベット コンバーチブル」。このうし姿すがたがカッコいいと、Kカメラマンはご満悦まんえつであった。
こちらは後日取材した「コルベット コンバーチブル」。この後ろ姿がカッコいいと、Kカメラマンはご満悦であった。拡大かくだい
余談よだんだが、「LT3」も「コンバーチブル」も取材しゅざいあめにたたられた。……おれなにわるいことしたかな?
余談だが、「LT3」も「コンバーチブル」も取材日は雨にたたられた。……俺、何か悪いことしたかな?拡大かくだい

やっぱりまぶしくて直視ちょくしできない

とく前世ぜんせいとくんだおぼえはないのだが、ありがたいことに記者きしゃは、公私こうしにおいて初代しょだいのぞくすべてのコルベットのハンドルをにぎったことがある。そして僭越せんえつ(せんえつ)ながら、このクルマの波乱万丈はらんばんじょうひとよりちょっとだけくわしく理解りかいしている……と、勝手かっておもっている。

現存げんそんする世界せかい最古さいこのスポーツカー銘柄めいがら」ということもあって、コルベットというと保守ほしゅてきでかたくななイメージをたれがちだが、実際じっさいには存外ぞんがい変化へんか柔軟じゅうなんなクルマだった。気合きあいげる豪快ごうかい野郎やろうから、とうげ得意とくいなハンドリングマシンへと宗旨しゅうしえした「C4」、あるいはGMのサーキット復帰ふっきになうワークスマシンとして、世界せかい基準きじゅんのスポーツカーに脱皮だっぴした「C5」あたりの“衝撃しょうげき”は、記者きしゃよりむしろ、当時とうじ読者どくしゃ諸兄しょけいあねのほうがくわしいにちがいない。

もしこうした変化へんかきらっていたら、コルベットは68ねんも(!)歴史れきしかさねてはこられなかっただろう。それこそC3のわりあたりで、「ファンにおこられるのやだし、やーめた」なんてことになった可能かのうせいもあるわけで、つくづく年輪ねんりんかさねることと、変化へんかすることは同義どうぎなのだとおもう。

それでも、今回こんかいのミドシップがコルベット史上しじょう最大さいだい事件じけんであったのは間違まちがいなく、それだけにC8からは、「つぎ時代じだいはこれでく」というGMのつよ意志いしかんじるのだ。やがてはこのモデルもファンにれられ、歴史れきしまれ、「コルベットといえばロングノーズとコークボトルライン」という世代せだい記者きしゃは、原始げんしじんになっていくにちがいない。

C8をていると、世評せひょうおそれずクルマづくりにんできたGMにも、変化へんかをおおらかにれてきたふところふかいファンにも、敬服けいふくねんきんない。純粋じゅんすいなコンセプトにじゅんじ、2017ねん絶版ぜっぱんとなったダッジ・バイパーりのには、未来みらいへとをつないだミドシップのコルベットが、やっぱり、ちょいとまぶしくうつるのだ。

(webCGほった)

1984ねん登場とうじょうした「C4」。軽量けいりょうでバランスにすぐれたセミモノコックの車体しゃたいとショート&ワイドなディメンションのわせで、モダンなスポーツカーへと脱皮だっぴはかった。写真しゃしん高性能こうせいのうモデルの「ZR-1」。
1984年に登場した「C4」。軽量でバランスに優れたセミモノコックの車体とショート&ワイドなディメンションの組み合わせで、モダンなスポーツカーへと脱皮を図った。写真は高性能モデルの「ZR-1」。拡大かくだい
1997ねん登場とうじょうした「C5」はレースでも活躍かつやく。サーキットに久々ひさびさにカムバックしたシボレーのワークスマシン「C5-R」は、ルマンをふくむあまたのレースで欧州おうしゅうぜい後塵こうじん(こうじん)をびせかけた。
1997年に登場した「C5」はレースでも活躍。サーキットに久々にカムバックしたシボレーのワークスマシン「C5-R」は、ルマンを含むあまたのレースで欧州勢に後塵(こうじん)を浴びせかけた。拡大かくだい
「C8」が世界せかいはつ公開こうかいされてから2ねん。アメリカでははやくもハイパフォーマンスモデル「Z06」の存在そんざい告知こくちされた。2021ねんあき発表はっぴょうされる予定よていだ。
「C8」が世界初公開されてから2年。アメリカでは早くもハイパフォーマンスモデル「Z06」の存在が告知された。2021年秋に発表される予定だ。拡大かくだい
GMジャパンへの返却へんきゃくまえ、ガソリンスタンドにて給油きゅうゆける「コルベット コンバーチブル」の。このおしりなが姿すがたも、コルベットの歴史れきしまれていくんだろう。
GMジャパンへの返却前、ガソリンスタンドにて給油を受ける「コルベット コンバーチブル」の図。このお尻の長い姿も、コルベットの歴史に組み込まれていくんだろう。拡大かくだい
堀田 剛資

堀田ほった つよし

ねことバイクと文庫本ぶんこぼん、そして東京とうきょう多摩たま地区ちくをこよなくあいするwebCG編集へんしゅうしゃきな言葉ことば反骨はんこつきらいな言葉ことば権威けんい主義しゅぎ今日きょうもダッジとトライアンフで、奥多摩おくたまかいわいをお散歩さんぽする。

バイパーほったの ヘビのどくにやられましての新着しんちゃく記事きじ
  • だい47かい:114まん9019えん愉悦ゆえつ 2022.12.21 かぎりある石油せきゆ資源しげんをむさぼり、今日きょうなまガスをばらまいてはしるwebCG編集へんしゅう部員ぶいんの「ダッジ・バイパー」。今年ことしはいり、ずっと不調ふちょうだったどくヘビが、このほど整備せいびからかえってきた。どこをなおし、どうわったのか? どれくらい諭吉ゆきちんだのか!? 赤裸々せきららにリポートする。
  • だい46かい:クルマをえようとして、結局けっきょくやめたはなし 2022.10.3 アメリカのあばれんぼう「ダッジ・バイパー」にまわされてはや6ねん。webCGほったのしんに、ついにす? 読者どくしゃ諸兄しょけいあねみなさまは、どんなタイミングでクルマのえをかんがえますか。おかねですか? トラブルですか? 記者きしゃ場合ばあいはこうでした。
  • だい45かいたのみのつな民間みんかん療法りょうほう 2022.5.20 るわ、すべるわ、あめとはいささか相性あいしょうがよくないwebCG編集へんしゅう部員ぶいんの「ダッジ・バイパー」。くわえて電装でんそうけいまぐれなのも頭痛ずつうたねだが、これら2つの悪癖あくへき同時どうじおそわれたら、ぬしはどんな窮地きゅうちたされるのか? はる時雨しぐれしたきた事件じけん顛末てんまつをリポートする。
  • だい44かい:100まんえん(?)の遊興ゆうきょう 2022.4.6 ここのところおとなしかったwebCGほったの「ダッジ・バイパー」が、久々ひさびさきばをむいた。増大ぞうだいしつづける車検しゃけん費用ひように、噴出ふんしゅつするトラブル。ついに年間ねんかん整備せいびだいが100まんえん突破とっぱするのか? 貧乏びんぼうオーナーが放蕩ほうとうなアメリカンスポーツの実態じったいかたる。
  • だい43かい:(いまさら)ゆくとしくるとし 2022.1.13 ぼやぼやしているうちに2021ねん終了しゅうりょうし、いつのにやら2022ねん始動しどう! しかし「ダッジ・バイパー」りのwebCG編集へんしゅう部員ぶいんには、心残こころのこりがやまほどある。新年しんねんのスタートにあたり、諸般しょはん都合つごう記事きじにできなかった旧年きゅうねんの“ぼつネタ”を、ここに供養くよういたします!
バイパーほったの ヘビのどくにやられましての記事きじをもっとみる
関連かんれんキーワード
関連かんれんサービス(価格かかく.com)
関連かんれん記事きじ
  • あかいエンジンカバーの「シボレー・コルベット」登場とうじょう 40だい限定げんてい発売はつばい 2024.7.4 自動車じどうしゃニュース ゼネラルモーターズ・ジャパンは2024ねん7がつ4にち、「シボレー・コルベット」に特別とくべつ仕様しようしゃ「RED FRAME(レッドフレイム)シリーズ」を設定せっていし、注文ちゅうもんけを開始かいしした。デリバリーは同年どうねん9がつはじまる予定よてい
  • 完全かんぜんしん設計せっけいのアメリカンクルーザー 新型しんがた「インディアン・スカウト」登場とうじょう 2024.7.11 自動車じどうしゃニュース ポラリス ジャパンが新型しんがた「インディアン・スカウト」を日本にっぽんはつ公開こうかい。クルーザータイプのモーターサイクルで、従来じゅうらいがたよりフレームもエンジンも刷新さっしん。よりたか操縦そうじゅうせい快適かいてきせいと、力強ちからづよはしりを実現じつげんしているという。価格かかくは196まんえんから268まんえん
  • メルセデスAMG GT63 4MATIC+ クーペ(4WD /9AT)【試乗しじょう 2024.7.9 試乗しじょう 完全かんぜん独自どくじ開発かいはつ」をうたう「メルセデスAMG GT」がフルモデルチェンジ。AMGのになる最高さいこう出力しゅつりょく585PSの4リッターV8ツインターボと4WDのわせ、こう操舵そうだシステムや2+2が選択せんたくできるキャビンなど注目ちゅうもくポイントはおおい。その進化しんかしたパフォーマンスやいかに。
  • だい42かい:あるバイパーりのコルベットひょう後編こうへん 2021.8.28 バイパーほったの ヘビのどくにやられまして MRにDCTの搭載とうさい、そしてみぎハンドルの設定せっていと、話題わだい事欠ことかかない新型しんがた「シボレー・コルベット」。すっかりモダンで国際こくさいてきなスポーツカーとなったC8に、歴代れきだいコルベットの面影おもかげはあるのか? 編集へんしゅう唯一ゆいいつのアメリカしゃりが、実車じっしゃれていたおもいをかたる。
  • シボレー・コルベット クーペ3LT(MR/8AT)【試乗しじょう 2021.7.8 試乗しじょう ミドシップみぎハンドル仕様しよう設定せっていなど、あまたのトピックで注目ちゅうもくあつめている“C8”こと8代目だいめ「シボレー・コルベット」が、いよいよ日本にっぽんみちはしりだした。“コルベット史上しじょうはつ”のしん機軸きじく多数たすうまれた新型しんがた実力じつりょくをリポートする。
ホームへもど
この記事きじんだひとんだ記事きじ
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしかめないコラムや更新こうしん情報じょうほう次週じしゅう予告よこくなどをる。

登録とうろくいただいた情報じょうほうは、メールマガジン配信はいしんのほか、『webCG』のサービス向上こうじょうやプロモーション活動かつどうなどに使つかい、その利用りようおこないません。

登録とうろくありがとうございました。

webCGの最新さいしん記事きじ通知つうちりませんか?

くわしくはこちら

表示ひょうじされたおらせの「許可きょか」または「はい」ボタンをしてください。