鉛筆えんぴつ

鉛筆えんぴつ

夫おっと鉛筆えんぴつ者もの，又また稱たたえ木き黑くろ，筆ふで之これ屬ぞく也。判はん木き而貫石墨せきぼく，合ごう若わか小しょう梃てこ。援之可か書畫しょが，當今とうぎん學がく書しょ作畫さくが，入門にゅうもん多た賴よりゆき之これ。筆跡ひっせき易えき拭ぬぐえ而不留とめ痕こん。鉛筆えんぴつ流りゅう遷至今いま，形かたち制せい各かく異こと，塗裝とそう無む定じょう制せい，尚なお有數ゆうすう變種へんしゅ：自動じどう鉛筆えんぴつ、免めん削そぎ鉛筆えんぴつ、紙かみ捲めく鉛筆えんぴつ。雖變易えき萬まん端はし，石墨せきぼく中心ちゅうしん不易ふえき。

顏色かおいろ鉛筆えんぴつ，又また謂いい色鉛筆いろえんぴつ、木き顏色かおいろ，亦また鉛筆えんぴつ之の屬ぞく，以彩中木なかぎ身み為ため主ぬし，稍やや難むずかし拭去ぬぐいさ，且受限げん材質ざいしつ，變種へんしゅ甚少。然しか於畫圖ず也，變化へんか繁しげ麗うらら，勝しょう鉛筆えんぴつ素描そびょう。

製せい鉛筆えんぴつ法ほう

今いま之の鉛筆えんぴつ，中ちゅう維石墨すみ，雜ざつ入にゅう黏土。石墨せきぼく益えき多た，中心ちゅうしん益えき軟，而色趨黑；反はん之これ，黏土益えき多た，中心ちゅうしん益えき堅けん，色しょく趨淺。鉛筆えんぴつ源げん於中ちゅう世紀せいき歐おう洲しゅう，初はつ，嘗以黑くろ鉛なまり塊かたまり、鉛なまり棒ぼう為ため筆ひつ，呼よび之の鉛筆えんぴつ。爾後じご以石墨すみ性せい軟，適てき於製筆ひつ，然しか當時とうじ不ふ識石墨せきぼく、黑鉛こくえん之これ異こと，誤あやま石墨せきぼく以為鉛なまり。故こ鉛筆えんぴつ雖有鉛なまり之の名な，實じつ無む含鉛也。

史ふみ

鉛筆えんぴつ之の形かたち，可か溯さかのぼ至いたり大秦たいしん之これ世せい。曩昔，大秦たいしん人じん以莎草かやつりぐさ紙し裹鉛塊かたまり以書，免めん污其手しゅ。及中世紀せいき，英えい格かく蘭らん牧羊ぼくよう人じん多た以石墨すみ誌し羊ひつじ身み，以資區く辨べん。後ご，匠たくみ人じん以石墨畫ぼくが加か農のう砲ほう之これ模も，以利精せい工こう；英えい格かく蘭らん皇室こうしつ亦また收おさむ石墨せきぼく礦為專有せんゆう，控ひかえ各かく礦穴。商人しょうにん甘あま冒おかせ風ふう險けわし，私わたし運うん石墨せきぼく，以製鉛筆えんぴつ。石墨せきぼく性せい軟，易えき冶成型がた，又また便びん書畫しょが，然しか易えき污手。當とう是ぜ時じ也，或ある以細繩なわ繫之，或ある以羊皮紙ようひし裹之，益えき加か便利べんり，廣こう傳つて於世，藝術げいじゅつ家か奇き之の。爾後じご，義よし大利おおとし人ひと製せい木き黑くろ，以二牒裹石墨すみ，即今そっこん鉛筆えんぴつ形がた制せい。

石墨せきぼく之の首くび見み，載の於西曆れき一いち五ご六ろく四よん年ねん，扶搖襲かさね英えい格かく蘭島らんたお。雨あめ橫風おうふう狂きょう，擊げき木き而摧。昆布こぶ蘭らん之の地ち，多た大木たいぼく連れん根ね起おこり，石墨せきぼく出で露ろ，是ぜ為ため濫觴らんしょう。然しか石墨せきぼく雖各地ち有ゆう之の，其質迥然而異。英人ひでと霸業，一世いっせい輝てる煌，蓋ぶた因いん所產しょさん石墨せきぼく，質しつ佳けい且純，久ひさ佔其利り。逮十じゅう八はち世紀せいき，法ほう人ひと以新法ほう復ふく合あい石墨せきぼく粉こ，筆ぴつ業ぎょう始はじめ得とく遄飛。十じゅう九きゅう世紀せいき，俄にわか、日ひ、美よし諸國しょこく，競きおい相しょう立りつ廠しょう。至いたり世紀せいき末まつ，德とく、日ひ、美よし諸國しょこく，并天下あもり市し，先後せんご傾かたぶけ銷，曾霸中國ちゅうごく。

中國ちゅうごく之の鉛筆えんぴつ廠しょう，始はじめ於西曆れき一いち九きゅう三さん〇年代ねんだい。香港ほんこん九きゅう龍りゅう固有こゆう廠しょう，英えい商しょう也。一いち九きゅう三さん二に年ねん，國人くにびと投資とうし，易やす為ため大だい華はな，是ぜ中國ちゅうごく之これ首しゅ。翌年よくねん，北京ぺきん中國ちゅうごく鉛筆えんぴつ公司こうし、上海しゃんはい華はな文ぶん鉛筆えんぴつ廠しょう，繼つぎ相しょう成立せいりつ。然しか技術ぎじゅつ落後らくご，多た所しょ依賴いらい，猶なお困こま獸しし鬥，不能ふのう立足たつあし。吳ご羹あつもの梅うめ嘗就學しゅうがく日本にっぽん，以三さん三さん年ねん歸國きこく，懷抱かいほう利器りき，欲よく實業じつぎょう救國きゅうこく，集しゅう資し籌建鉛筆えんぴつ廠しょう，振ふ臂ひじ而呼曰：「鉛筆えんぴつ在ざい各種かくしゅ文具ぶんぐ品ひん中ちゅう佔重要じゅうよう之の位置いち，而與小學生しょうがくせい關係かんけい又また切きり。查海關せき貿易ぼうえき報告ほうこく，去年きょねん鉛筆えんぴつ輸入ゆにゅう我國わがくに者しゃ，達たち一いち五ご零れい萬金まんきん單位たんい之の巨きょ，區區まちまち鉛筆えんぴつ一物いちもつ，每年まいとし亦また竟耗我國わがくに人じん之の財ざい富とみ達たち數すう百ひゃく萬まん元げん之の巨きょ。吾われ人じん所しょ惕者在ざい此，覺さとし有ゆう從したがえ速そく創そう辦此種しゅ工業こうぎょう之の必要ひつよう者しゃ亦また在ざい此。」「雖九龍已有我國唯一之大華鉛筆廠創設，然しか持もち此一廠しょう，抵制外貨がいか，力ちから當とう未み逮，此種工業こうぎょう實じつ大だい有ゆう提ひさげ倡發揚はつよう之の必要ひつよう。」其後，三さん五ご年ねん，上海しゃんはい建けん全能ぜんのう鉛筆えんぴつ廠しょう。蓋ぶた全能ぜんのう鉛筆えんぴつ廠しょう，中なか邦くに莫先之の。

堅けん軟

諸しょ鉛筆えんぴつ，尤ゆう藝げい士し畫が匠たくみ所用しょよう，常つね誌し歐おう系けい之の識，自じ「H」（硬度こうど）至いたり「B」（黑くろ度たび），或ある稱しょう「F」（所謂いわゆるfine point）。故こ藝術げいじゅつ鉛筆えんぴつ，由よし硬かた至いたり軟，由よし淺あさ而深，方ぽう為ため完全かんぜん。以下いか示しめせ之これ：

10H 十じゅう硬かた

9H 九きゅう硬かた

8H 八はち硬かた

7H 七なな硬かた

6H 六ろく硬かた

5H 五ご硬かた

4H 四よん硬かた

3H 三さん硬かた

2H 二に硬かた

H 一いち硬かた

F 微妙びみょう

HB 中庸ちゅうよう

B 一いち軟

2B 二に軟

3B 三さん軟

4B 四よん軟

5B 五ご軟

6B 六ろく軟

7B 七なな軟

8B 八はち軟

9B 九きゅう軟

10B 十じゅう軟

硬かた

→

中庸ちゅうよう

→

軟

石墨せきぼく軟硬不同ふどう，濃こ淺あさ殊こと異こと

美國びくに體系たいけい，僅用數字すうじ，下した示しめせ對應たいおう。

濃こ淺あさ	美國びくに		歐おう洲しゅう
	#0	=	2B
	#1	=	B
	#2	=	HB
	#2½*	=	F
	#3	=	H
	#4	=	2H

• #2½又また稱たたえ 2⁴/₈、2.5、2⁵/₁₀。

殊こと效こう

鉛筆えんぴつ之の用もちい，亦また在ざい書畫しょが之の外そと。可か以鑑鑽石。以水濕しめ真ま鑽，刻こく劃其上じょう，其表弗どる留とめ痕こん。若わか為ため偽にせ鑽，若わか玻璃はり、水晶すいしょう、電氣でんき石せき之の屬ぞく，則のり筆跡ひっせき可か辨べん。