陳ちん琳

陳ちん琳字じ孔あな璋あきら，廣陵こうりょう射い陽ひ人ひと也。與あずか孔あな融とおる等とう並稱へいしょう「建けん安やす七なな子し」。

漢かん季き，初はつ為ため大將軍だいしょうぐん何なん進しん之これ主おも簿ぼ。中平なかひら六ろく年ねん，宦官かんがん亂らん政せい、太ふとし后きさき護まもる之の，琳欲以外いがい臣しん入にゅう宮みや兵へい諫。

何なん進しん既すんで歿，避難ひなん冀州，入いれ袁紹幕まく，文書ぶんしょ多た出で其手，《為ため袁紹檄げき豫よ州しゅう文ぶん》即そく其所撰せん。

建けん安やす五ご年ねん，袁紹與あずか曹孟德とく戰せん於官渡わたり，後ご為ため曹軍所しょ俘。

曹孟德とく惜其才ざい，委い以司空軍くうぐん謀はかりごと祭さい酒しゅ，往後之の檄文げきぶん亦また多た出自しゅつじ陳ちん琳、阮瑀之これ手しゅ。

建けん安やす二に十じゅう二に年ねん，疫疾大作たいさく，同どう劉りゅう楨、應おう瑒、徐じょ幹みき等とう染しみ疾やまし而卒。

評價ひょうか

• 曹丕嘗作《典てん論ろん》，評ひょう曰：「今いま之の文人ぶんじん，魯國孔あな融とおる文ぶん舉，廣陵こうりょう陳ひね琳孔あな璋あきら，山陽さんよう王おう粲つばら仲なか宣せん，北海ほっかい徐じょ幹みき偉えら長ちょう，陳ちん留とめ阮瑀元もと瑜，汝なんじ南みなみ應おう瑒德璉，東平とうへい劉りゅう楨公幹みき：斯七なな子し者しゃ，於學無む所しょ遺のこ，於辭無む所しょ假かり，鹹以自じ騁驥騄於千せん裏うら，仰おおせ齊ひとし足あし而並馳はせ。以此相しょう服ふく，亦また良りょう難なん矣。」
• 曹植：「昔むかし仲なか宣せん獨步どっぽ於漢南みなみ，孔あな璋あきら鷹揚おうよう於河朔ついたち，偉えら長ちょう擅名於青土ど，公おおやけ幹みき振ふ藻も於海隅すみ，德とく璉發跡あと於大おだい魏たかし，足下あしもと高だか視し於上京じょうきょう。當とう此之時じ，人人ひとびと自じ謂いい握にぎ靈れい蛇へび之の珠たま，家家いえいえ自じ謂いい包つつみ荊山之の玉たま，吾われ王おう於是設しつらえ天網てんもう以該之の，頓とみ八はち纮以掩之，今いま盡つき集しゅう茲國矣。然しか此數子こ猶なお覆くつがえ不能ふのう飛ひ翰絕跡あと，一いち舉千裏うら。以孔璋あきら之これ才さい，不ふ閑於辭じ賦ふ，而多自じ謂いい能のう與あずか司馬しば長ちょう卿きょう同どう風ふう，譬たとえ畫が虎とら不ふ成なり反はん為ため狗いぬ也，前書ぜんしょ嘲あざけ之これ，反はん作さく論ろん盛もり道どう僕ぼく讚たたえ其文。夫おっと鐘かね期き不ふ失しつ聽，於今稱しょう之の，吾われ亦また不能ふのう妄嘆者しゃ，畏かしこ後世こうせい之の嗤余也。」
• 陳ちん琳五言ごごん，妙みょう絕ぜっ當時とうじ，有ゆう「五ご琳七なな幹みき」之の稱しょう。即そく五言詩有陳琳、七言しちごん詩し有ゆう徐じょ幹みき也。名な篇へん如《水みず寒かん曲きょく》等とう。
• 臧洪：「行くだり矣孔璋あきら！足下あしもと僥利於境外がい，臧洪授命於君親おや；吾子あご托たく身み於盟主ぬし，臧洪策さく名めい於長安やす。子こ謂いい余あまり身み死し而名滅ほろび，僕ぼく亦また笑子えみこ生死せいし而無聞焉，悲哉！」
• 陳ちん壽ひさし：「昔むかし文ぶん帝みかど、陳ひね王おう以公子こ之の尊みこと，博好ひろよし文ぶん采さい，同どう聲こえ相應そうおう，才さい士し並なみ出で，惟おもんみ粲つばら等とう六ろく人にん最さい見み名目めいもく。」
• 韋仲：「孔あな璋あきら實じつ自じ粗そ疏……如是にょぜ彼かれ為ため，非ひ徒と以脂燭しそく自じ煎せんじ糜也，其不高だか蹈，蓋ぶた有ゆう由よし矣。然しか君子くんし不ふ責せめ備於一いち人にん，譬たとえ之の朱しゅ漆うるし，雖無楨幹，其為光澤こうたく亦また壯觀そうかん也。」
• 劉りゅう熙：「遒文壯たけし節ぶし，於漢季き得とく兩人りょうにん焉，孔あな文ぶん舉、臧子源みなもと是也これや。曹子建けん、陳ちん孔あな璋あきら文ぶん為ため建たて安之やすゆき傑すぐる，然しか尚なお非ひ其倫比ひ。」
• 顏かお之の推：「陳ひね孔あな璋あきら居きょ袁裁書しょ，則のり呼よび操みさお為ため豺狼さいろう；在ざい魏ぎ制せい檄げき，則のり目め紹為蛇へび虺。在ざい時じ君くん所しょ命いのち，不ふ得とく自じ專せん，然しか亦また文人ぶんじん之の巨きょ患也，當とう務つとむ從容しょうよう消息しょうそく之の。」
• 溫ゆたか庭にわ筠：「曾於そお青史せいし見み遺文いぶん，今日きょう飄蓬過か此墳。詞し客きゃく有ゆう靈れい應おう識我，霸才無主むしゅ始はじめ憐君。石いし麟埋沒ぼつ藏くら春草しゅんそう，銅どう雀すずめ荒涼こうりょう對たい暮雲ぼうん。莫怪臨風りんぷう倍ばい惆悵，欲よく將すすむ書しょ劍けん學がく從軍じゅうぐん。」
• 吳ご融とおる：「冀州飛檄ひげき傲英雄えいゆう，卻把文辭ぶんじ事ごと鄴宮。縱たて道どう筆端ひったん由よし我わが得え，九泉きゅうせん何なん面めん見み袁公。」
• 吳ご棫：「在ざい建けん安やす諸しょ子中こなか字じ學がく最深さいしん。幾いく三さん千言せんげん，用よう韻いん極ごく奇き古いにしえ，尤ゆう為ため難なん知ち。」
• 倪志澗：「陳ひね琳、阮瑀，文ぶん帝みかど稱しょう其為書記しょき表ひょう章しょう之の雋，展てん其翩翩之才ざい，而琳尤ゆう健けん爽。七なな子し之の散文さんぶん，孔あな融とおる可か以比肩かた王おう粲つばら，而陳琳次之の；其余則そく難なん以伯仲はくちゅう矣。」
• 盧の弼：「陳ひね琳料事ごと之の明あきら，與あずか魏ぎ武たけ不ふ謀はかりごと而合，英雄えいゆう所見しょけん，大略たいりゃく相しょう同どう，宜むべ魏ぎ武之たけゆき愛あい其才也。」

引據

建けん安やす七なな子し

孔あな融とおる｜ 陳ちん琳｜ 王おう粲つばら｜ 徐じょ幹みき｜ 阮瑀｜ 應おう瑒｜ 劉りゅう楨